類想一覧(選外)
我が庭に薔薇のアーチや夢叶う
三水
薔薇一輪なみだメイクのピエロから
桃園ユキチ
生垣やくづれんばかり白い薔薇
あいのるみ
垣間見る隣家の薔薇は白一輪
柳雨水
黄薔薇紅薔薇おとなになってゆく少女
岩木順
紅薔薇や色香に惑ふ逢魔が時
リカ
十字路の地蔵に酒と薔薇一輪
諫鼓苔深
赤いバラ弱体化してウクライナ
小林番茶
カルメンも妣も選ぶ薔薇は紅
斧的部
お茶目な子薔薇を咥えてフラメンコ
山水
薔薇一輪花瓶へ挿して豊かかな
杉森大介
薔薇園誰もがプリンセス夢心地
ぐりぐら京子
去りがたき香や小半時薔薇の番
二郷京子
生家に絵愛した母の薔薇ピンク
ムーンさだこ
百万本の薔薇嫉妬無限大
風の鳥
人が去りいま中之島薔薇のとき
パッキンマン
庭の薔薇柵飛び出して咲く五輪
角野角子
薔薇一輪香りが招く恋心
ちゅーちゃん
薔薇の香の忽ち猛き血となりぬ
恵勇
映え狙う宣材写真薔薇燃ゆる
上村茶娘
薔薇の園ベンチに寅さんの鞄
成瀬源三
亡き猫を念うて薔薇を包みけり
京野さち
(母の日に)吾子庭の薔薇を手折りてプレゼント
原島ちび助
増えし皺金婚式の赤い薔薇
山尾政弘
決意して花屋より薔薇贈りけり
堀隼人
定年の抱える薔薇に涙落つ
ゆぃ
薔薇の香や刺々しくも惹かれいく
渡会百々世草
薔薇の花二輪ちぎって恋終へる
山村立歩
君の薔薇膨らむ度に子と偲び
丸孤
吾子の手に傷庭の薔薇を花束に
村崎あかね
すききらいちぎりちぎりて薔薇のうみ
みつみん
師の米寿黄色の薔薇の束眩し
立ち漕ぎブランコじゅん
薔薇垣や皮膚科医院は休診日
山音
薔薇のトゲ通知受け取る我が心
ろひさま
後ろ手に薔薇一輪の逢ふ瀬かな
天東あさじ
薔薇の花静かに燃える恋心
瑞鬼羅
薔薇の色夕日が沈む帰り道
五方Ⅳ世
薔薇のとげ嫉妬の暗き血を流す
桃香
ワンカップ母の遺影に薔薇を添え
嵐菜
薔薇薫る黄色ドレスのプリンセス
ライア
さんぽ道引き込まれるはバラの園
気/氏
駅中の薔薇の前にて待ち合わせ
石橋猿山
陽を恋ひて楚々とかしぐや白薔薇
夏の町子
花嫁の空に放った白い薔薇
羽鳥藍峰
赤薔薇や言葉の棘の鋭かり
余田酒梨
鐘が鳴る薔薇の垣根のチャペルかな
山口雀昭
百花の薔薇競って誘う蜂一匹
徳翁
咥えたる真紅の薔薇やフラメンコ
雨霧彦@木ノ芽
ウクライナに黄の薔薇を名はピース
千葉睦女
「薔薇多めに!」花束隠し待ち合わせ
おん ころころ
紅薔薇に恩師の遺影飾りけり
遊泉
薔薇の垣荒れて歳月想い馳せ
たかこ姫
赤薔薇や逢魔時の街路灯
一井蝸牛
薔薇一輪退職机の華やかさ
相模の仙人
フラメンコ棘なき薔薇を咥へたり
たこぼうず
青春の胸の高なり薔薇の門
田中ようちゃん
重なりて暗き真紅の薔薇アーチ
紅小雀
気高きも枯る薔薇あわれをとめる
佐藤 啓蟄
仏間しづか薔薇一輪とて馥郁
萩野つき
薔薇よ薔薇薔薇噎せ返る噎せ返る
⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
丘の上雲晴れ渡り白い薔薇
しろくも
血の涙のごと致死量の薔薇の花
灰田兵庫
花びらのこぼるる時も薔薇は薔薇
後藤三梅
来世は百万本の薔薇貰ふ
上村 風知草
友よりの花信嬉しや薔薇の花
藪中和堂
薔薇咲きて祖母の裏庭行くかの日
ナサケモノ
君は薔薇眺めるだけの僕の恋
橋本彩雅
百の薔薇贈る夢見た君いづこ
なな緒
想い出す告別式の白き薔薇
暇禍
タクシーを呼ぶ手にプロポーズの薔薇
円谷琢人
月曜日薔薇持ち友と登校す
免疫力UP
誕生日薔薇はこぼるる妻の手に
宮本 モンヌ
ミニ薔薇に薔薇の矜持や薔薇の棘
植木 彩由
ブンブンブン羽音去っては薔薇をかぐ
水間澱凡
戦乱や荒廃の町薔薇咲きて
だけわらび
求婚の答えを薔薇と待つ二秒
テツコ
薔薇園や踊る男のフラメンコ
夜ノ森 さくら
シスターの抱くアンネの薔薇の香よ
誉茂子@野の花
薔薇にほふ畑のすみのひと並び
秋吉孝治
愛玩の娘のうえ爛漫薔薇甘く
藤野 じゅん
薔薇哀れ花びら雨に耐えきれず
村上継鳥
赤い薔薇摘んだ数だけ棘の痕
黒田
寅さんのマドンナ揃う薔薇園
野々原ラピ
薔薇一輪フラワーホール刺しお洒落
ナゾラブ
西班牙の女は薔薇を咥へけり
黒麹 糀
「秘密だよ」耳打ちされた薔薇の園
はるく
夫婦って棘のやふもの朱の薔薇
如月 ゆう
熱愛も感謝も紅い赤い薔薇
松山茜柑
薔薇の棘鼻の頭につけ無聊
白鳥国男
薔薇Amazon百八本を助手席へ
川蜷
懐かしき王女の名前薔薇香る
菫久
薔薇の棘折りて仏間に飾り居り
大木典子
貴婦人の茶会めく薔薇の庭園
おぐら徳
薔薇生きて逃げて平和といふ大輪
まどん
バラの香の部屋に寛ぐ誕生日
上津 力
プリンセスミチコてふ名の薔薇を買ふ
縁穐律
初恋や薔薇の蕾の閉ぢしまま
いこん
美しき薔薇や棘まで美しき
松元転石
赤い薔薇遺影の妻も宴の夜
ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
定年や薔薇一本を妻へ買い
川島欣也
襲い来る香の中独り薔薇繚乱
ダック
モノクロの心を癒やす薔薇の色
哲庵
また嫁ぐ君に捧げる薔薇かな
山本 マユミ
あの角を曲がれば薔薇朝八時
海瀬安紀子
懐かしき友とのLINE窓の薔薇
川村記陽子
ピース薔薇薫れ大輪ウクライナに
俳菜ひろこ
金婚の薔薇持つ祖母が嬉しそう
鮎川遼太郎
画数は棘より多し薔薇の二字
黒澤墨青
五人の子の妻に紅薔薇記念日に
正志
大安や薔薇とりどりに写真館
愛柑
薔薇の家雨粒光る田舎道
キクスケ
夜勤明け雨粒に立つ薔薇の花
宮沢 韋駄天
パレットに赤と黄色を薔薇の花
鳥越暁
咲き誇る独り住まいの薔薇屋敷
酔猿
薔薇咲くや婚約間近幸あれと
蓮風
猶恨み消えざるか仏壇に薔薇
落句言
鉄柵を這ふ頂きの薔薇の赤
江良 中
薔薇は魔性闇に紛れて棘を研ぐ
壱太
誕生日車中に残す薔薇一本
忘れちゃった
薔薇一輪熱き想いの甦り
福島 昇天
一輪挿し実家の庭の薔薇ひらく
紀杏里
四十路の恋リモート画面に薔薇一輪
茉叶
雨に散る紅薔薇寄せてジャム作り
茶
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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選者コメント
夏井いつき選
◆まずはご注意から。
中級と初級、どちらにも投句している人が、少々いらっしゃいます。
投句フォームの頁に「両方のフォームで投句したことが判明した場合、初級者への投句と判断させていただきます」と注意書きをしております。
まずは、仕組みやルールを確認して、どちらかのコースを選んで投句しましょう。
◆兼題「薔薇」の色
色に特色がある花ですから、当然ながら、さまざまな色がでてきました。
【赤、紅、緋色】
圧倒的に「薔薇=赤」でした。444句で、一番人気。ちなみに、初級コースは484句あったそうです。
「赤」という色は、「血の色」を思わせるので「赤→血→死」という連想が多かったですね。「口紅の色→女」は有りがちな連想。「火の色→燃える→情熱・愛情」という連想もあれば、「火の色→戦火→ウクライナ」と時事にいった句もかなりありました。
【白】
こちらはおよそ300句ありました。
「白→光」という方向にいく場合は一物仕立てが多かったのですが、「白→祈り」と連想した場合は、平和への思いを詠んだ句も多く、やはり皆さんの心にウクライナ侵攻が影を落としているのだなあと。
「白→傷みやすさ」は、白い花(例えば、木蓮など)特有の類想でもあり、薔薇である必然性があるか否かが、評価の分かれ目となりました。
以下は、
黄………………… 25句
青、蒼、碧……… 25句
ピンク、桃色 ……21句
黒 …………………16句
オレンジ ……………2句
紫 ……………………2句
特殊な色(例えば、鴇色、朱華色など)の場合、色を表す言葉の質量のほうが重くなり、肝心の季語が生きてこない句もありました。俳句における色の取り扱いは、句の成否を分けるものとなるのだなあと、改めて実感しました。
◆兼題「薔薇」の花言葉の扱い
植物の季語の場合、花言葉の意味を詠み込もうとするのも一つのアイデアではありますが、そこにも類想の穴がぽっかり開いています。
【黄色の薔薇】
嫉妬・薄れゆく愛などのネガティブな意味もあるので、恋人などに贈るには不向き。知らずに贈ってしまった、などの類想
【青い薔薇】
「奇跡、夢がかなう(花言葉)」希望を託す的な類想
◆兼題「薔薇」の本数の意味
【11本、100本、108本、100万本】
「最愛の人」「100%の愛」「結婚してください」という意味。最近は108本の薔薇を贈るプロポーズがトレンドだと聞いて、ワタクシなんぞは驚いておりますが、これだけの数字+薔薇を詠みこむと、七~九音を使ってしまうわけですから、残りの音数でよっぽどの独自性か真実味を表現しないと、類想の沼に沈んでしまいます。
まして、「百万本の薔薇」は、歌の言葉をそのまま頂いてきているわけですから、さらに難易度が高くなると考えるべきですね。
以上、中級コースの類想考察でした。