【並選】

• 告解室雨の境目は薔薇園

  山田蚯蚓

• 薔薇の名が流すビートルズはモノラル

  剛海

• 純潔は存在するか白薔薇

  山本蓮子

• 魔女住むといふ館薔薇の棘棘し

  素空

• 星々の全きしらべ黒薔薇

  関津祐花

• 大輪の白薔薇おとなりの新車

  小川さゆみ

• 赤薔薇こうべ垂れシェパードのぴたり

  朝倉カグラ

• 独り身の部屋はモノクロ薔薇紅し

  いくたドロップ

• 校門の錠前ひかる薔薇の園

  佐藤志祐

• トング手にコロネかパイか窓に薔薇

  TAKO焼子

• 蒼薔薇や少ない友と長くゐる

  夏湖乃

• 教会の塀をたわわに白き薔薇

  薮久美子

• 薔薇散って棘の鋭き朝かな

  川岡すえよし

• 結願は薔薇のつぼみの開くころ

  モッツァレラえのくし

• 出来立てのピアスで一人薔薇園へ

  鳴海沓子

• 薔薇薔薇薔薇間隙を突く空の青

  丹波らる

• この薔薇なら多分オトンに似合う薔薇

  高尾里甫

• 明くる日の薔薇に水遣るための僕

  る・こんと

• 幽霊の暮らす屋敷や白き薔薇

  みづちみわ

• 緑児のやうな薔薇緑児のやうに抱く

  夏雨ちや

• 薔薇の香やクロスワードを解き終へて

  多々良海月

• 結婚は残酷でした薔薇の棘

  地球人

• 薔薇ちらし聖母の輿の道赫く

  華胥醒子

• 狭き庭の仔犬は薔薇に尾をふりぬ

  伊予吟会　宵嵐

• アコーディオンの息継ぎ薔薇がさあ咲いた

  足立智美

• 薔薇胸に車掌はいつも最後尾

  あさのとびら

• 薔薇の雨クラリネットを吹く少女

  淡海かこ

• 薔薇一本買ふや令和の新コイン

  いなだはまち

• 姉の庭くれなゐの濃き薔薇ばかり

  可笑式

• 薔薇は薔薇でありとだけ書かれた紙

  野田有

• 数万種すべての薔薇に謁見す

  真喜王

• 手に入れてみると恐ろし薔薇の束

  竹村マイ@蚊帳のなか

• 薔薇園やつぎつぎ嗅いで皆ちがふ

  みやま千樹

• 過去の刺じくじく揺する薔薇や朝

  鷹星

• なゐ過ぎて明けゆくをかに薔薇しづか

  佐藤烏有

• 競馬場に溢れる薔薇や金曜日

  時まる

• 薔薇園の薔薇だけを観て帰りけり

  Kかれん

• 存えて身ほとりの薔薇増えにけり

  海猫

• 薔薇園に薔薇の手帳の落とし物

  吉谷地由子

• 薔薇の花びらひらひらと女神のサラダ

  石塚彩楓

• 英連邦戦死者墓地や手には薔薇

  戸部紅屑

• 四島に向き北国に咲く黄薔薇

  ねずみ男

• イーゼルを薔薇の向きへと合わせけり

  玉響雷子

• 薔薇あまた乙女は白き家を恋ふ

  宗本智之

• 薔薇摘んでシェークスピアの台詞など

  ひでやん

• 薔薇燃ゆる消灯前の大広間

  藤井赤童子

• セロファンのバリア担任からの薔薇

  あやっぺ

• かをる薔薇とかをる珈琲の夜

  まるかじり

• 薔薇つてさなんかイヤなのリボンの子

  土屋ひこぼし

• ひよめきと薔薇の蕾のあなかしこ

  花屋英利

• 丁寧に車を止めて渡す薔薇

  くずもち鹿之助

• 反りきった薔薇の花びらゆるく落つ

  沙那夏

• 朝まだき「売地」を白く匂ふ薔薇

  たけぐち遊子

• 薔薇の園母が子の鼻血を見てゐ

  青き銀椀

• 絵手紙にジビエの臭い薔薇の棘

  伊ナイトあさか

• ぽったりと紅薔薇もたれかかる塀

  富山の露玉

• 近景に薔薇遠景に戦争

  茫々

• 薔薇園の薔薇に囲まれ薔薇に酔ふ

  文月あつみ

• 猫の爪めく傷あとよばら手入

  品川笙女

• 薔薇の風開かずのピアノ解き放つ

  高庭銀雅

• 半分も言へずに帰る雨の薔薇

  三崎扁舟

• 薔薇の門これはバッハのパルティータ

  秋月

• わさわさと蔓延る義母の薔薇に咽す

  ａｔ花結い

• 香り立つブラックホールなれや薔薇

  西村小市

• しあわせなふりする薔薇にくるまれて

  小沢史

• 唐破風や真白き薔薇の蕊赤し

  もりたきみ

• 薔薇香るミチコが上靴かくしてた

  宮間ミヤマ

• 薔薇開く力や大気振動す

  かん　かんし

• 薔薇の香に包まれているベビーカー

  わさび

• ミカエルてふ薔薇にしみ入る聖歌かな

  伊藤てまり

• 薔薇の庭はや五冊目の薔薇ノート

  てまり

• 児の胸に紙のばら園庭に薔薇

  定吉

• 薔薇に傘画帳のひづみ雨の色

  さとう菓子

• お持ち下さいの貼り紙バケツに薔薇

  笑酔

• 赤薔薇やコントラバスの重低音

  旺上林加

• 不採用通知また来て黄薔薇かな

  たーとるＱ

• 白薔薇の錆びゆく速さ尼僧院

  ゆうま

• 愛称は様付け薔薇を活けていて

  一富士リリー

• 紅落とす演じきれたか問ふ薔薇に

  佐藤 位相朗

• バラの家大正琴のサザエさん

  小山晃

• 蔓薔薇や父の寡黙な指定席

  紫月歪丸

• サービスエリアのドッグランの薔薇

  渥美こぶこ

• 薔薇見えて子ら一斉に駆け出せり

  暖井むゆき

• 蔓薔薇の大輪病棟二階窓

  亀田かつおぶし

• 乳飲み子の空掴もうと薔薇の園

  風舎哲坊

• 薔薇の中へ中へ中への引力

  居並小

• 雨粒を花冠に湛ふ淡き薔薇

  ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

• 薔薇朱し脈とる指のとんととん

  岡井風紋

• 薔薇を行けたまには迷ってもいいが

  新蕎麦句会・凪太

• 灯の如く眠らぬ薔薇へ星明

  夏野とも子

• 薔薇咲けり雨師風伯畏れつつ

  辻野 花

• 虫潰す薔薇を愛でたる顔のまま

  直

• 礼拝堂の薔薇踏みにじる軍靴のあまた

  きゅうもん＠木ノ芽

• 空き缶の薔薇よ広場のギター弾き

  無弦奏

• まだすこし人見知りして薔薇の園

  霜田あゆ美

• モンローのリップ開く薔薇の波紋

  美月　舞桜

• たまさかに今日の口紅今日の薔薇

  伊藤順女

• 一本の薔薇は夫への電波塔

  河本かおり

• 段丘を上るは薔薇の香を伝ふ

  朱契

• 食卓の白薔薇ゆれて小さき刺

  瞳子

• 薔薇の家切手の窓に顔ふたつ

  鈴野蒼爽

• 薔薇の香を吸い込み昇る昇降機

  森爺

• 声掛けて薔薇の名前を尋ねけり

  重夫

• 村長の名の刻まるる薔薇の園

  杉尾芭蕉

• 薔薇一輪コーヒーミルのガガグググ

  花南天anne

• 車窓より香る薔薇引き返す道

  凡句楽直

• 薔薇接ぐや父さん今日はよく喋る

  井上のなめ

• 失恋の痛みとは薔薇を掴むこと

  希布

• 薔薇銜へバカボンのパパ入浴中

  ま猿

• カローラのシート六十本の薔薇

  かぬまっこ@木ノ芽

• 自分史を五ページで止め赤い薔薇

  れんげ畑

• 聖堂は神父ひとりや薔薇の垣

  蒼鳩　薫

• 赤い薔薇二百の色があると言う

  藤井舞月

• ヘリコプターペアレンツ来る薔薇を剪る

  ぐりえぶらん

• 赤き薔薇アンドロイドがお辞儀する

  花和音

• 白薔薇ひらきけり頭痛なき目覚め

  村瀬っち

• 薔薇多き家よりツェルニ二十番

  木ぼこやしき

• 濃紺のラペルには薔薇柔らかく

  青柳修平

• 薔薇が散るピアノの音が大嫌い

  真冬峰

• 薔薇崩る着信音は消したのに

  パーネ・メローネ

• 薔薇育てひとり暮らしをつらぬけり

  中里　凜

• 裁決の下りて新居に薔薇を植う

  麻きなり

• 縄文の暗き遺構を解きて薔薇

  吉野川

• 客去りし部屋のしじまに緋薔薇の香

  深草あやめ

• 一輪の薔薇に曲がりし薬指

  羽野あき

• 薔薇求め閉店間際飛び込みぬ

  稲畑とりまる

• 教会の真紅の薔薇に迷いけり

  松葉学而

• 帝国は薔薇だけを喰ふ奔馬かな

  平野光音座

• 好きなものばかりの孤食薔薇の夜

  森中ことり

• 車中より探偵薔薇を撮りにけり

  帝釈鴫

• EUにロシアの飛地薔薇白し

  福良ちどり

• 本当に薔薇が届くや誕生日

  渡部　あつし

• 朝風や咲き溢れたる赤の薔薇

  大小田　忍

• 不登校隣家の薔薇の赤眩し

  あらら

• 項垂れるハローワークの赤い薔薇

  有田みかん

• 掌に囲む薔薇少し湿りて

  ゆかりん

• 忘れ物置き場に枯るる薔薇の束

  うぢ一樹

• 眠剤の一粒減つて薔薇を伐る

  鈴木麗門

• 太陽は逆行薔薇は絶頂

  蓮花麻耶

• 伏せていた男の声や薔薇の庭

  葉るみ

• 薔薇や薔薇さては口説いているつもり

  満る

• 株ごとに市民の名あり薔薇の園

  風花まゆみ

• 裏道を走る雪崩のやうに薔薇

  かゐみすず

• 再訪は独りアーチは薔薇に満ちる

  むらぴ

• 薔薇の香を棘押し分けて嗅ぎにけり

  塩野谷慎吾

• 黒鍵に薔薇のひとひら夜想曲

  林りんりん。

• 情熱は何度からなの赤い薔薇

  平野水麦

• 薔薇ひらく夢の中の母はやさし

  緋乃捨楽

• 完璧な一輪の薔薇さびしそう

  オキザリス

• 棘も愛しいミス・マープルの薔薇育つ

  山くじら

• 水盤に白薔薇ひと枝傾ぐまま

  高木音弥

• 片便り薔薇満開になりぬれど

  青田奈央

• スクールバス薔薇園経由してゆけり

  中島走吟

• イギリスはいまなほ異国薔薇の門

  市橋正俊

• 庭に薔薇バレエ教師の吸ふジタン

  三月兎

• 財産は全て四女へ薔薇の園

  前田麺

• やもめ暮しの玄関の薔薇深紅

  吉武茂る

• 学舎の雨の花壇に薔薇あまた

  ぎんやんま

• 鳴り止まぬ留守の交番紅き薔薇

  宮村土々

• ソプラノのブレス大輪赤き薔薇

  宮川武久

• 姉妹てふ難しき仲赤き薔薇

  根本葉音@花芭蕉句会

• 薔薇の香やベンツに首ったけの旧友

  神山やすこ

• 満開の薔薇シャッター街のレンガ

  千の葉

• 煙る雨炎のやうに薔薇は反る

  黒子

• ずる休み理由（可憐な薔薇のせい）

  ゐるす

• 嘲りなどなにほどのもの薔薇を買ふ

  ラーラ・Ｋ

• 薔薇の家明かしバイエルたどたどし

  竹田むべ

• 薔薇の香やネジ巻き錆しオルゴール

  麻鈴モンロー

• 方言のきつい男の赤い薔薇

  東田　一鮎＠金カル

• 殺すごと真紅の薔薇の首を剪る

  南行ひかる

• 白薔薇の抗議の声や献花台

  小笹いのり

• 紅き薔薇抱え三軒目の扉

  西田月旦

• 終焉のベッドの脇に白き薔薇

  森安順一

• 薔薇の匂い脳のどこかにあるポッケ

  博さん

• 薔薇よりもバラの香つよきガムを噛む

  小町瑞泉

• 薔薇門を潜るアルミのストレッチャー

  田村利平

• 薔薇咲いて郵便受けにガムテープ

  山野麓

• 本降りの天気予報や薔薇を切る

  美馬ひとみ

• 庭の薔薇切って手向ける遺影かな

  杜乃しずか

• 讃美歌の聞ゆる庭の白き薔薇

  田畑　整

• 港の見える大使館ばら咲けり

  君島笑夢

• 薔薇園や眼鏡のリムをそっと上ぐ

  白レース

• 白髪の指揮者や燕尾服の薔薇

  宇田建

• 薔薇眺む午後やアリアとティーカップ

  音のあ子

• 白薔薇や雨の御門に護衛官

  紺乃ひつじ

• 薔薇の香に噎せて一日を惚けゐる

  ひだ岩魚

• 薔薇は散りカムパネルラに棘残る

  楽花生

• 夜を晴れてほしゅっと千切れそうな薔薇

  山城道霞

• 花がらは落とされて薔薇園の朝

  美年

• もし死ねばこの薔薇園で働きます

  晴田そわか

• 薔薇の香やレインコートの裾怠し

  安溶二

• 家も売る更地の隅の薔薇の園

  筬葉

• 巻き戻り始めし母や薔薇に水

  はれまふよう

• 結婚の王女の決意薔薇真白

  小池令香

• 見え初むる薔薇の花芯核のボタン

  遠音

• 薔薇園や花見る前に見る名札

  岡本　戎

• 午後二時の薔薇の疲れに門扉閉ず

  与志魚

• 雨上がり薔薇の絨毯猫の塚

  玉野汐音

• 狡獪は放漫の友薔薇の雨

  遊羽女

• 薔薇ひらくひかり傷つけないやうに

  はんばぁぐ

• 少年のソプラノの澄むバラの蕊

  清水縞午

• この町のあれはかざかみ門に薔薇

  ぉ村椅子（志村肇）

• 雨のち雨小柄なる薔薇最盛期

  高市青柘榴

• 黒猫ののそりと風に薔薇の闇

  夕虹くすん

• きつと別売りモデルハウスに薔薇とソファ

  片岡六子

• 棘のない薔薇つまんないルージュひく

  大空りんむ

• 花さうびとひとひら離れ落つ微音

  杏是りゐ菜

• 馬鹿騒ぎした友の死や薔薇を剪る

  豆闌

• チワワ抱き強面薔薇の垣を過ぐ

  松本裕子

• 白薔薇や隣家へ傾ぐ祝日旗

  白プロキオン

• 白薔薇を見つつ牛乳一気飲み

  中村笙平

• 出かけます鍵はいつもの薔薇のとこ

  千暁

• 魔女の住むカフェに緋薔薇の門立ちぬ

  夏風かをる

• 薔薇を持つアイスピックの握り方

  港のパン屋

• ゴーレムは瓦解し薔薇の丘しづか

  田中耀

• 後を継ぐ人いないらし薔薇の家

  まあぶる

• 薔薇一輪すこし乙女なる日暮れ

  猫髭かほり

• 憎しみを沈めて深し薔薇の襞

  青野遊飛＠蚊帳のなか

• 崩れやうまでをも薔薇は薔薇描く

  久保田Ａ

• 陽に赤く薔薇とライオン難波橋

  西田武

• あかつきの被爆ピアノや白き薔薇

  スモールちもこ

• 薔薇の香の過疎の浦町診療所

  余熱

• 一輪の戯れここはハイツ薔薇

  長谷川水素

• デコルテへ花弁の尖り薔薇を抱き

  樋口滑瓢

• チェリストの弓動くたび薔薇香る

  西町彰子

• 庭は薔薇だし皿は三階建てだし

  さるぼぼ@チーム天地夢遥

• 腓骨とはから説く薔薇とひきかへに

  山田菫舎

• バラなんて似合わないのに買ってくる

  大野美波

• 薔薇の香に寝たる夜薔薇の香に目覚む

  灰頭徨鴉

• 一筆に薔薇うつしをる無聊かな

  咲元無有

• 薔薇園に響けり野外コンサート

  千茶　　

• 薔薇の陰ピアス片方あらわれり

  柊　しゅう子

• 八時間家出せし母の手に薔薇

  沢拓庵

• マネキンは瞬き知らず薔薇散りぬ

  いつか

• 薔薇朽ちてひとりと強く思う夜

  ピアニシモ＠金カル

• オレンジの薔薇やランチはナポリタン

  季切少楽＠いつき組広ブロ俳句部

• ドネツィクの百万本の薔薇燃ゆる

  粋庵仁空

• 薔薇はらり散るほんたうの法治とは

  明惟久里

• 白薔薇が少しのあひだ門と成る

  池　閑茶

• 薔薇いっぱい入れて見送る霊柩車

  吟　　梵

• 生きるとは許すこと薔薇只青し

  アンサトウ

• 巨人兵薔薇の花束腕に持ち

  朝ぼらけ

• ポーカーの手札換へるや薔薇の棘

  バッカス

• PCは薔薇の筺をかくしをり

  越智ぷちまり

• きうと鳴く薔薇もありけり雨の園

  藤白真語

• 薔薇枯れる待合室は精神科

  たま走哉

• 夜の底静かに聞こゆ薔薇の呼気

  富士桜花

• 特に好きでもない薔薇とたらこスパ

  ウカイケンタロウ

• 一輪の薔薇よりアーチ始まりぬ

  文月

• 生きること喉乾くこと薔薇のみづ

  福田かな子

• 手折られた薔薇の香りや午前二時

  下條ちりり

• 四輪の薔薇食卓へ出勤す

  春幸

• たはことの文ゆかしくて薔薇を切る

  山河穂香

• なにはばら燦々産着ははためく

  一寸雄町

• 三行日記最初は薔薇が咲いたこと

  苺井千恵

• 伸び伸びと薔薇の木立よ復帰の日

  野山遊

• 手に持つ薔薇よ投げ入れる星の海

  野中泰風

• 一本の壊れさうなる赤き薔薇

  岩本夏柿

• 重たげにうつむく薔薇を覗き込み

  吉川花ほっぺ

• バラのトゲ診察結果を待つ5分

  いちご大福

• 薔薇園のベールガールを支えけり

  大紀直家

• バラの声カチカチとなるボールペン

  ナズナ

• 辞表書く指の強ばり薔薇ふるふ

  謙久

• 薔薇燈る此岸ジュゼッペキアラ墓

  佐藤俊夫

• 薔薇のトゲ群れを嫌うフリーランス

  加曽利アン太郎

• 薔薇そよぐふわっとめくれるカレンダー

  桃まんじゅう

• おなじ誕生日の汝好きか黒薔薇

  としなり

• ばら園のハートのアーチ潜る猫

  鶴岡木の葉

• 花薔薇のひかり渦巻くかたちかな

  染井つぐみ

• 心臓に刺すなら薔薇の茎の先

  四條たんし

• 閉店のリストランテの薔薇アーチ

  飛来　英

• 薔薇挿して祝いの席の定まれリ

  聞岳

• 薔薇手入れ革手袋に棘五つ

  あたなごっち

• 行間を読むなんて無理薔薇だから

  久留里61

• 薔薇の名はデライト夫はうわの空

  島田あんず

• 薔薇園の香の渦に立つ白杖

  百瀬はな

• パレードの終点薔薇真っ盛り

  野々りんどう

• 子がくれた薔薇は棘まで柔らかし

  青海波

• 新しき嫁の来るらし薔薇の家

  三水低オサム

• オアシスの地軸４５°の薔薇

  火炎幸彦

• ずるずると雨の電車や薔薇散りぬ

  向原かは

• 職辞して薔薇剪る音に迷ひなし

  さぶり

• 白薔薇のたつた一片ほの紅き

  常盤あけび

• 白薔薇や君へ最後の詩を書かう

  大庭慈温

• 薔薇持ちてエスカレーターを沈みゆく

  金朋かいと

• 恋人のいる振りをして薔薇を買い

  かんこ鳥

• 薔薇になり一番強き水選ぶ

  すいよう

• 暁天へ薔薇一輪が突き抜ける

  榊昭広

• ひそやかな一斉蜂起薔薇よ薔薇

  ほしのあお

• 薔薇置くやギターの下手な歌手の忌に

  叶

• 薔薇歌ふ黄色は天へ紅は地へ

  孔明

• 薔薇抱へ友は棺の中にゐる

  篠原雨子

• 薔薇あふれ家のローンは四十年

  剣橋こじ

• 散る薔薇を両手で包み母に撒く

  誠馬ノマド

• 遺伝学教授の庭の薔薇百花

  砂山　恵子

• 聖マリア薔薇はにほひの繁みなり

  亀の

• ひとつ咲き次々薔薇の音叉かな

  香壺

• 記念日に薔薇記念日は明後日

  京あられ

• 薔薇にも薔薇の棘にもまろき雨粒

  藤田康子

• 車椅子押されて眺む薔薇あえか

  円 美々

• 敗退の猫の眸や薔薇の下

  真下豆白熊

• 自転車と薔薇と正面衝突す

  河島　勇人

• 薔薇紅しまだ生きていていいですか

  えりいも

• 空白の自己PR薔薇赤し

  左　うすけ

• 買物は薔薇と切手のワンシート

  矢野貴子＠金カル

• 犬小屋の裏の薔薇垣正午過ぐ

  海音寺ジョー

• 共に泣くことが信仰薔薇香る

  常幸龍BCAD

• バラ落ちて追撃の間のしじまかな

  新城典午

• 動かざる薔薇とキャンバスと画家と

  sol

• カフェ色の薔薇やフジタの乳白色

  ぼたにこ

• 対岸のフレアスタック白き薔薇

  なかの花梨

• 薔薇真紅わが網膜の燃ゆるごと

  江藤真治

• ありありと深く膿む傷薔薇の棘

  紫小寿々

• 「さみしい」を教える先生の薔薇の香

  みおつくし

• 薔薇の愚痴こぼれぬやうに剣弁を

  トウ甘藻

• 白薔薇を買うても漫画喫茶かな

  小緑ふぇい

• 教会や薔薇のアーチをくぐる猫

  睦月くらげ

• どす黒いのが本当の薔薇の赤

  永田千春

• 遮光器をはずせ土偶よ薔薇を見よ

  遠山比々き

• 薔薇咲ける建設会社午後三時

  ひなた和佳

• 何もかも忘れし祖母や薔薇を嗅ぐ

  里羽豊後

• ことごとく地は安住を薔薇燃える

  千葉信子

• 大阪のおかんは強し薔薇に棘

  中　兎波

• 薔薇赫しモハメドアリの不撓かな

  森脩平

• 薔薇待てる童話作家の文学館

  達坊

• 薔薇展の帰路に野ばらの美しきこと

  甘泉

• 座薬いれるよ満開の薔薇きれい

  大黒とむとむ

• 薔薇匂う吾に透明の羽みえる

  花紋

• 英会話始むる白き薔薇を買ふ

  藤田ゆきまち

• 地球儀にやたらと凹凸薔薇の花

  和鹿島荒巻

• 大人とは上手く怒れる赤き薔薇

  みうら朱音

• 束ねられなほ紅の深む薔薇

  松田てぃ

• コルセット展くや薔薇の飾り窓

  すがりとおる

• この声は飢えた野良犬薔薇の園

  南風の記憶

• 海底を抜けて薔薇園に出る

  犬山裕之

• 終活ノート九十九の薔薇咲けり

  寿貢

• 三日ぶりの晴れホスピスの薔薇の白

  オーガストスガワラマサト

• 薔薇の棘踵を踏んだスニーカー

  いたまきし

• 赤き薔薇巻いて閉ざせる塔の黙

  富佐野ほろよい

• 棘古りて昭和は遠し薔薇の詩

  柳絮

• 洋館に書生の影と薔薇庭園

  麻生ツナ子

• 薔薇を刺すここを正義の地軸とす

  竹内一二

• 薔薇に背を羽音に耳をむけ君は

  えむさい

• サンレミの夜明けに蒼ゴッホと薔薇

  北爪いく葉

• 薔薇垣や表札青きカリグラフィ

  和泉攷

• オリーブの空き瓶に白薔薇二本

  桃花@いつき組俳句迷子の会

• マグダラのマリアの涙青い薔薇

  花咲明日香

• 薔薇を嗅ぐ記憶の先は夜会場

  むじーじ

• 薔薇へカメラ柵の向こうに黒バイク

  古牡丹

• 薔薇香る慰霊碑にわか雨の落つ

  はまお

• 薔薇咲くやショパンを三度視聴する

  銀　次郎

• 十人に百の解釈薔薇一輪

  始の子

• 薔薇や全国学テあとの考察

  うた歌妙

• おめでたの知らせ届くや薔薇の午後

  うさぎまんじゅう

• テーブルに薔薇一本の弾き語り

  毛利尚人

• 血はきたない赤さ薔薇はきれいな赤さ

  藤咲大地

• 助手席の薔薇一片の覚えなく

  青木りんどう

• 薔薇香る消毒液をほぼこぼす

  仁山かえる

• 教頭の話が長い薔薇赤い

  めりっさ

• 薔薇の這ふ壁の向うはユダヤ墓地

  うはのそら

• 売り出しの空地の隣薔薇の庭

  美音

• 讃美歌の安らかなる夜薔薇香る

  きなこもち

• 薔薇という孤独を強いられるまるみ

  ギル

• 模様替へ薔薇買つてきたばつかりに

  北藤詩旦

• 助手席の薔薇に埋もれる指輪かな

  そまり

• 難解な知恵の輪手に余る薔薇

  高橋寅次

• 海街の墓にトリスと紅い薔薇

  ちびつぶぶどう

• 薔薇園をゲイなる祖父の車椅子

  ふわふわ研究所

• 盗聴器めいて白薔薇の精密

  一斤染乃

• 八重の薔薇秘すはしなやかなる雄蕊

  夏椿咲く

• 薔薇咲いて名づけ事典の紙厚し

  五月ふみ

• シンザンはモノクロ競馬場に薔薇

  けーい〇

• 薔薇散りぬ腑分けのごとき雲を得て

  山香ばし

• 灰色の館こゑなし薔薇の門

  主藤充子

• 先生をあなたと呼べず白薔薇

  秋熊

• 美しき白髪に日差し薔薇の園

  諏訪ヤス子

• 康煕字典求め薔薇の図書館へ

  水蜜桃

• 薔薇を背の写真わたしが邪魔すぎる

  川越羽流

• 薔薇よ薔薇ピアフの話しているわ

  蒼來応來

• 白薔薇や星の匂へる村に来て

  卓鐘

• 港にはセイレーン像薔薇香る

  土佐藩俳句百姓豊哲

• キッチンに小瓶と薔薇と私の日

  嶋村らぴ

• 白薔薇ほどいて産着編みませう

  西川由野

• 薔薇の花一片一片の渇き

  山内　負乗

• 薔薇摘めば傷のある薔薇残りけり

  キッカワテツヤ

• 薔薇傾ぐ地軸の傾きの角度

  空豆魚

• 寡黙なる管理人をり薔薇の園

  大熊猫@四句八句

• 薔薇真っ赤今日は親知らずを抜く日

  加藤栗庵

• 薔薇園やパートナーシップ証明書

  ダンサーU-KI

• 薔薇園や二人なるほどさうざうし

  星乃ぽっち

• 紅薔薇の不穏な匂いして咲きぬ

  一走人

• 薔薇散るやアドニス像へ二三片

  眠　睡花

• 花嫁の髪豊かなり白薔薇

  水木合歓

• ミサの薔薇薫れば牛の嫁仕度

  酒井おかわり　

• それぞれの名を呼び母と薔薇の園

  井田みち

• 薔薇園の順路案内薔薇の下

  ぶうびい

• ミルフィーは猫の名薔薇の下に眠る

  猫ふぐ

• 石畳濡れて全き薔薇の園

  小川めぐる

• 飽きるとは馴染むことなの薔薇ましろ

  服部 あや

• 寂しくて棘のない薔薇買ってくる

  空木眠兎

• 金星は満つ白薔薇は朝ひらく

  雨野理多

• 敬礼の角度の指導薔薇凜乎

  弘友於泥

• 花薔薇のピースとカタルーニャの鳥と

  万寿果

• 躁の字に四つの口や薔薇真っ赤

  句楽岡徨詩

• 薔薇や棘持たぬ花瓣に角多し

  井原冴

• 路傍の薔薇や不夜街の雨しづか

  たつき

• 告白も嫉妬も嫌で薔薇とゐる

  まんぷく

• なぞときのポアロのばらのうすくれない

  みやかわけい子

• 薔薇預けここから先は無菌室

  みなみはな

• 名代の薔薇とリモート講師席

  空野　兎

• 一昨日と言ふ有耶無耶さ白薔薇

  三泊みなと

• 薔薇の花びらの渦に巻かれてしまいそう

  石崎京子

• 詫びに訪ふ顧客の垣の薔薇深紅

  鈴白菜実

• とりどりの薔薇すれすれに都電行く

  森一平

• 憎ければ来よ薔薇の香のカフェに来よ

  一港

• 薔薇の垣盲導犬のとどまれり

  千歳みち乃

• 青空をバーゴラの薔薇透ける赤

  はなぶさあきら

• デブ猫の木香薔薇をくぐり抜け

  太之方もり子

• 終演後紫の薔薇ゐる楽屋

  紅紫あやめ

• 臥せる子の枕に重き薔薇の束

  どみ　どみそ

• 浅緋の薔薇の薄片やはき影

  卯月紫乃

• 薔薇香るモデルルームのダイニング

  安春

• 借景は朝日連峰白薔薇

  山吹なお

• 黒鍵のエチュードやまぬ薔薇の家

  天陽ゆう

• あかときの風にささめく千の薔薇

  真井とうか

• 黒革の英和辞典に薔薇深紅

  あつちやん

• 薔薇園や何はともあれ空青し

  永想

• 発車ベル都電の窓を薔薇流る

  雪音

• 薔薇の門潜りて妻や家を去る

  綺楽よしじ

• 父の名の白薔薇買つて面会へ

  くま鶉

• 薔薇あかくあふるるやうにひらかるる

  浦野紗知

• 花びらの外へくるるん尖る薔薇

  じょいふるとしちゃん

• 産道は暗し此の世に薔薇は満つ

  のつり

• 曙のレム睡眠に薔薇開く

  高橋　雅

• 濡れそぼつ電話ボックス薔薇の束

  俳句王

• ベルギーの古城の薔薇の白き風

  ２８あずきち

• 女王と呼ばれる職業薔薇の垣

  せり坊

• 薔薇の香やときには明けぬ夜の欲しき

  老人日記

• 産院に無言のおんな薔薇へ雨

  霞山旅

• 子の帰国待つ間の薔薇の蕾かな

  ほんちゃん

• 文机のニーチェ白き薔薇一輪

  河野灰土

• ランナーの一瞥くれし路地の薔薇

  真名女

• 太陽神ラーへ最短距離は薔薇

  もりさわ

• 黙食のテラス一面薔薇の香よ

  清水祥月

• 掌の薔薇の重さや異国の夜

  東堂ナス

• 終バスや明日の余白へ匂ふ薔薇

  坐花酔月

• 病室の瓶の寸法薔薇を剪る

  樹朋

• 朝食のパーゴラ薔薇とサンドウィッチ

  柚木みゆき

• ヴァージンロードひと歩みごと薔薇迎ふ

  どくだみ茶

• サンドイッチの切り口きれい蔓薔薇も

  木染湧水

• ひょいと猫ふんしてツンと薔薇のよこ

  松井くろ

• 雨ふふむ薔薇の綻びためらひて

  ぼたんぴ

• 東雲が与えし色や薔薇香る

  かつたろー。

• 薔薇の香や豊川稲荷の白狐

  28ひろきち

• 星墜る薔薇の一片おつる夜

  北山　烏兎

• 薔薇園のラジオに聞こゆ死者の数

  工藤雨読

• タワマンにプラスチックのような薔薇

  里山子

• 百本と言へば百本くれる薔薇

  たけろー

• 尖りたる薔薇の花弁や全方位

  森　佳月

• 天空の光あつめて薔薇となる

  竹春エリザベス

• 薔薇園をバラのかたちのシュシュひとつ

  安寿

• 薔薇垣や心臓運ぶヘリコプター

  中田ひで

• 薔薇の門潜る真白きヒジャブかな

  音羽凜

• 丁字路のどん突き白き薔薇の門

  ふくじん

• 視野欠けし右眼ぎょうさん紅き薔薇

  今治八十八

• 丁寧に生きると決める薔薇の花

  小田ビオラ

• 紅い薔薇活けた玄関誰も来ず

  喜多輝女

• イングリッシュガーデン白き薔薇を飼ふ

  寺尾当卯

• 薔薇の庭ここで引き返せていたら

  三浦にゃじろう

• やっぱり、薔薇が似合うって相当じゃん？

  野口真砂輝

• 薔薇園紫の上とモンローと

  原　水仙

• 百箇日の雨したたる薔薇切りて

  吉田竹織

• つる薔薇や一日違いの誕生日

  ゆすらご

• ブレーキをかける間もなく薔薇散らす

  桂葉子

• まざまざと降る雨薔薇を素描せし

  斗三木童

• 園丁のぬつと立ちたる薔薇の園

  一生のふさく

• 園庭の端や理事長の黄なる薔薇

  宮坂暢介

• 薔薇の門いま緊張のインターフォン

  古都　鈴

• 薔薇の香や野外コンサートはボレロ

  とんぼ

• 学び舎の昏みに仄かなる薔薇

  アントワネット@ノエル

• 母の薔薇トラックに轢かれるも緑

  望月ぽん

• 乳色の朝たおやかに薔薇香る

  かえるしろ

• 取り返しつかない量の薔薇を剪る

  百瀬一兎

• 薔薇紅し〇もて囲む寡婦の欄

  中根由起子

• 薔薇の咲く坂を下れば大福屋

  荘司彩舟

• テンガロンハット誇らか薔薇きれい

  山中　揚

• チタン製関節屈め薔薇を剪る

  月岡方円

• つるバラマーメイドモネの子だくさん

  あたしは斜楽

• 告白や光束ねしごとき薔薇

  野地垂木

• 蔓薔薇や金管ひかるファンファーレ

  うしうし

• 薔薇抱くや閑話漏れくる楽屋口

  石田将仁

• 薔薇の赤満ち莖の赤棘の赤

  柿司

• 小さき薔薇移転団地に庭はなし

  よみちとせ

• テラス席に影刺す様な薔薇一輪

  鳥不驚

• むらさきの薔薇は過保護ぞ雨きらい

  Vn 花のん

• 漫画館開設準備薔薇咲けり

  熊谷 温古

• 薔薇は赤オーシャンビューの控え室

  菜々の花畑

• くれなゐのことさらにして薔薇ちりぬ

  風慈音

• 茎太き野生の薔薇の荒ぶりぬ

  ノアノア

• 薔薇大輪トロッキーなる革命家

  多事

• 薔薇に棘もう塞がったピアス穴

  まこ＠いつき組広ブロ俳句部

• 薔薇紅しマリウポリの煙黒し

  クラウド坂の上

• 白薔薇のアーチくぐって古代展

  水無月

• 蔓薔薇を抜け戻らずの館かな

  水野大雅

• 薔薇垣の午後に及べり潦

  石上あまね

• 離婚話紅薔薇挿して切り出しぬ

  風の鳥

• 蔓薔薇の厚みコントラバスに似て

  銀紙

• 製鉄のオーナーの薔薇とフェラーリ

  司啓

• 薔薇一輪押しつけられてしまひけり

  神谷たくみ

• 薔薇の午後ベッドの余白もて余す

  久森ぎんう

• 矜持のかたちぽってりと散る薔薇の瓣

  靫草子

• 萼さえも美しいのが薔薇である

  雷紋

• 貧血を嘲笑いたり赤き薔薇

  石本コアラ

• 吾も数学者のはしくれ薔薇を嗅ぐ

  赤馬福助

• 送迎車ドア開けたまま薔薇を聞く

  安

• 花数の少なき薔薇を誉めてみる

  蟻馬次朗

• 剥がれたる千々の鱗か薔薇散り敷く

  樫の木

• 街灯も信号機も無き町に薔薇

  つきのひと

• 黒薔薇よ翻すジャケットの裾

  丸山隆子

• ウェディングバルーンの掛かる薔薇二輪

  長楽健司

• ワルツめきしとどに薔薇の濡れにけり

  久蔵久蔵

• 通じるかしら薔薇国の薔薇に日本語

  絵夢衷子

• 薔薇の名を唱へて店を畳みけり

  村上右佐

• タラップや一夜明ければ薔薇の国

  よぶこどり

• あした死ぬだれかのために小さき薔薇

  すりいぴい

• 猫に飽き明日から薔薇を飼うことに

  まこちふる

• ゆび先に棘ふれし薔薇もどしけり

  福岡参山

• 立ちこめるスパイスの香や薔薇の赤

  よした山月

• 母の意地にほひたちけり緋の薔薇

  小殿原 あきえ

• 薔薇園や彼女はハイと言ひますか

  山内三郎

• 薔薇の辺やコットンの裾ひるがへり

  紫鋼

• 自転車のやさしき錆や薔薇の園

  北大路京介

• 自治会の引継ぎ終へて薔薇を買う

  み藻砂

• 薔薇咲いて鎮痛剤の効きわろし

  公木正

• 紳士とは薔薇に懺悔の出来るひと

  堀口 房水

• 薔薇の香をかぎ合ひ笑ふ二人かな

  新開ちえ

• 緋の薔薇を髪に朝日の河童橋

  ぐずみ

• オードリーヘップバーンの最期の手紙白き薔薇

  河合郁

• キャバクラのキッチン生ゴミ入れの薔薇

  一本橋ふくろう

• 薔薇園の聞きわけの良い薔薇を伐る

  イサク

• 歩行器と鋏閑けき庭や薔薇

  克巳@夜のサングラス

• 沈黙が鉄となる夜の薔薇紅し

  里すみか

• 片仮名の薔薇の名たどる異国の子

  みつれしづく

• 門を這う薔薇のうねりの凶器めく

  鳥羽南良

• 地雷あり戦場近き薔薇の垣

  糺ノ森柊

• 薔薇散るやなかなか起きぬ居候

  at花結い

• 銃口を塞げよ大きなる薔薇よ

  沖原イヲ

• 雨粒は薔薇の螺旋の迷宮へ

  砂楽梨

• 大輪の薔薇くれなゐの重さかな

  一日一笑

• 白薔薇己がひかりに溶けたるか

  岩橋春海

• 薔薇の風信号に足止めしとき

  大河里歩

• どの薔薇も綺麗ニューハーフの泪

  ノセミコ

• 首細き女鬱々と薔薇弄す

  伊予吟会心嵐

• 痛覚の無き髪怖し薔薇に棘

  さくさく作物

• 夕間暮れ薔薇香る距離遠くなり

  畠山　悊央

• ひとしずく言の葉まとふ薔薇の耳朶

  きのえのき

• 紅薔薇に吐息埋める女かな

  ふもふも

• 薔薇の香はゆたかに朽ちてゆくにほひ

  飯村祐知子

• 薔薇の庭去りし上司のバイオリン

  ふわり子

• 白薔薇の朝日を強く弾きけり

  歩く鳥

• 散骨は薔薇園がいい眠るペロ

  柳浦総師

• 薔薇崩る月夜の空の明るさに

  内藤羊皐

• 薔薇園をボサボサの猫歩きをり

  ユキノユ綺

• 外灘や薔薇売る媼の白そこひ

  加良太知

• 黒板の白き数式白き薔薇

  澄海真人

• 嗚咽てふ言葉ありけり薔薇開く

  まるちゃんにいさん

• 先ず犬の立ち止まりけり垣の薔薇

  菊池克己

• 匂ひ立つ薔薇の性欲が怖い

  世良日守

• 薔薇の名にラ行棘のごと風のごと

  錆田水遊

• すきとほる今際の羽根や薔薇の園

  玉庭マサアキ

• ペダル漕ぐ薔薇と潮の香海の道

  吉田　無学

• 窓越しの東京タワーと薔薇一輪

  くさ

• 赤い薔薇赤く錆びたる白い椅子

  犬散歩人

• 波音に揺れたる薔薇の園の朝

  富山湾

• ため息ふたつ捕捉白薔薇の蕊

  阿部猪子

• 独り身や薔薇一本でまっさらで

  こいぬ

• クラーベを踏んで航空便の薔薇

  千代 之人

• 閉院の玄関横の赤き薔薇

  きのと

• 棘のある白薔薇ブーケトスされて

  東京堕天使

• 大輪の白薔薇レンガ館しづか

  岸来夢

• 誰ぞ住む薔薇の垣根の窓の影

  林　和寿

• 廃園の鉄錆薔薇の紅々し

  大　広秋

• 薔薇園や名門校の調教師

  登盛満

• 薔薇垣の向かふに揺るる産着かな

  野口日記

• クレヨンを置いては薔薇を活けなほす

  赤松諦現

• バーバリープラダブルガリやはり薔薇

  万葉剣

• 祝五百年城壁に薔薇の影

  石岡女依

• 白薔薇や詩をよむ人の顔きれい

  青空まる

• 良い人でいなきゃいけない薔薇香る

  Q&A

• オペラハウスのひかりは総て薔薇へ

  鰯山陽大

• 薔薇大輪デートリッヒの黒手套

  黒蜜かりんとう

• 彼方此方に薔薇の爆発してるやう

  瑠璃星

• 後朝を淋しき色に灯す薔薇

  げばげば

• 薔薇の香むんむん土嚢を積む作業

  栗田すずさん

• 薔薇百本とリムジンに籠りけり

  池内ときこ

• 下町や薔薇埋め尽くす線路垣

  妄児

• 蔓薔薇の窓連弾の三連符

  朝月沙都子

• 薔薇の炎に沖縄復帰五十年

  東太

• 薔薇を切る音透きとほる美術館

  やまさきゆみ

• 白薔薇の縁より朽ちる黄ばみかな

  堀雅一

• 薔薇を買ふ母の葬儀の二日後に

  梓弓

• 途中下車こんなところに薔薇の園

  和泉穣

• 哀しみの涙は薔薇の棘となる

  水城

• 花嫁の花ばらかほる控室

  池田 　凜

• 咲ききりて薄きガラスのやうに薔薇

  ひすい風香

• 一輪の薔薇のひかりや白む朝

  上津　嘉子　

• 連休の続きのやうに今朝の薔薇

  ヤヒロ

• 粛々と人の名を持つ薔薇を剪る

  田辺ふみ

• 明日ひらく薔薇へ薔薇守りびと跼む

  梵庸子

• 生活のための薔薇ではありません

  花伝

• 薔薇香る鉄条網に基地の札

  四丁目

• 洋館やドアの形に薔薇の門

  清白真冬

• 薔薇の香やコトンと揺らし都電ゆく

  越前岬

• 薔薇咲いて校舎中庭開放日

  青柿

• 薔薇の名はピース地下壕に産声

  このみ杏仁

• ごぼごぼの怒り深緋の薔薇沈む

  快晴ノセカイ

• 前撮りの新郎新婦薔薇の中

  くみくまマフラー

• 薔薇の園男は低く後ろ行く

  浜友輔

• 薔薇園や吟行らしき丁寧語

  田端欲句歩

• 妹よバラの造花の横に薔薇

  ぞんぬ

• 崩れゆく最中の薔薇の心地よき

  背馬

• ドライブの帰りは一人薔薇匂う

  いもがらぼくと

• 薔薇赤し翼をもった言葉吐く

  高山佳風

• 便箋は白紙のままに薔薇たけなわ

  ちかひか

• 雨宿り等価交換せし薔薇よ

  露口全速

• ホイッスル短しアメリカの薔薇よ

  橋本こはく

• 融通の利かない執事薔薇に水

  亀田荒太

• ダイアナと呼ばるる薔薇の香り白

  どいつ薔芭

• 薔薇の火に薔薇のひかりにわが死なむ

  矢嶋博士

• 揺れる気や薔薇の後ろの駐車場

  松本俊彦

• 白薔薇の鳩となり空翔る白

  中原柊ニ

• 雨の薔薇傷つくことに慣れました

  岡山小鞠

• 朝刊ことり咲きかけの薔薇アーチ

  山羊座の千賀子

• 堕天使の囁きさうな薔薇の園

  そめいゆ

• たまゆらの指骨の痛み薔薇のほほん

  つくも果音

• 薔薇を剪る指の毛深き牧師かな

  葉村直

• 薔薇薔薇薔薇ひとつ飛ばして薔薇薔薇薔薇

  嶋田奈緒

• ビル街の生きろと薫る朝の薔薇

  乃の

• 薔薇の蕊花弁の奥の奥の奥

  常磐　はぜ

• 告白の予感予約の席の薔薇

  姫辛夷

• 薔薇園の薔薇の樹形を確かめる

  髙橋弓女

• ワルツっぽいドアマンの所作薔薇香る

  笠井あさり

• 薔薇散るやワイングラスの割れし音

  枯木　花

• 戦塵にうすき朝日や薔薇咲きぬ

  毒林檎

• 薔薇の棘人を憎んでゐる証拠

  三休

• 薔薇熟るる己が重さに死す明日

  宥光

• 横浜の港行き交う船に薔薇

  細川　小春

• 雨の日のオフィスを薔薇のよく匂ふ

  星月さやか

• 薔薇の花びらの端っこは外巻き

  瑠璃星飛雄馬

• 薔薇捨てて阪急電車にて帰る

  きみどり

• 丘の上の十字の墓標白さうび

  ひろ志

• 薔薇はこんな音じゃないもっともっと

  藤鷹圓哉

• 薔薇香るゆっくり曲がる飛行船

  遥風

• 薔薇匂ふローマ冠する無人駅

  干しのいも子

• 倫敦のチャイナタウンの薔薇の夜

  おきいふ

• 白薔薇や漁師の溜まる洒落たカフェ

  きべし

• 赤薔薇あまた果てなき地震雲

  北川颯

• 東京の蔓薔薇よるの息づかひ

  でんでん琴女

• 教会の薔薇盛りをりメメントモリ

  るびちゅ

• 真夜の帰路あけぼのいろの薔薇ぷるん

  渡辺桃蓮

• 薔薇を見て薔薇に見らるる二人かな

  すずしろゆき

• 来ぬ人のスープに薔薇の花びらを

  ミモリ

• 薔薇花弁落つ明くる日も出勤す

  福田ミヤキ

• 活けかけし薔薇の二本を投げ捨てぬ

  風蘭智子

• 妻亡くて薔薇の香つよくなるばかり

  立部笑子

• いけ好かぬ上司が何でこんな薔薇

  笑松

• 海馬に小路を図書館に薔薇を

  愛燦燦

• ばらがさくくらやみにめはすぐなれる

  さくら（5才）

• 海風は薔薇へ煉瓦のビール館

  八幡風花

• 薔薇揺るるシャンソン唱ふリズムして

  林真紗湖

• 鏡台の薔薇ゆるやかに傾けり

  月石　幸

• 薔薇の門くぐり言祝ぐ婚の客

  つじの五七五

• 薔薇へ問う原種でありたかったのか

  鈴木野道

• メトロ乗るフランスパンと薔薇抱いて

  星影りこ

• どの薔薇に囚はれやうか迷ひ飛ぶ

  木寺　仙游

• 荒城の薔薇曲輪より匂ひけり

  佐藤甘平

• ピースてふ薔薇咲く原爆ドーム前

  閑々鶏

• 路地裏に薔薇を自慢の工務店

  新濃　健

• 検診の歩をとどめおり雨の薔薇

  増田　昴

• カセットの祖母の肉声薔薇散る

  ぱぷりかまめ

• 薔薇やまだ伏せしままなる写真立て

  羊似妃

• 乱れなき薔薇を抱へて退職す

  酔下弦

• 双の掌で黄薔薇の香りを占有す

  吉永なお

• 赤きバラ恐竜動く博物館

  さいたま水夢

• 満開の薔薇に屠られる心臓

  杜まお実

• 薔薇の門大人のピアノ教室へ

  野ばら

• 屋上の薔薇の庭園カツサンド

  吉川拓真

• サマースノーてふ薔薇うつむきて雨

  絵十

• 猫の廻す回転扉薔薇の園

  妹のりこ

• バラの香の隣家の塀をやすやすと

  哲山（山田　哲也）

• 薔薇よりも近づく羽目になりにけり

  蘭丸結動

• ミニパトのコースに薔薇の白を足す

  大和田美信

• 薔薇園に眠れる背広姿かな

  緒方朋子

• オペラ座のタフタ閃めく薔薇の宴

  西行葉牡丹

• 寂しいと言へぬ質なり薔薇真紅

  えりべり

• 無重力の紅き薔薇やゴッホの耳

  吽田のう

• 薔薇に棘ぼくに選挙権てふ枷

  はぐれ杤餅

• 薔薇闌けて早や園丁の鋏音

  露崎一己句

• 一輪の真っ赤な薔薇と云ふ本気

  そうり

• 薔薇の門パンクロックの女学生

  不二自然

• 薔薇の花がら手にまだ生きていた匂い

  清永ゆうこ

• 薔薇赤し謳へ明日の革命歌

  山川腎茶

• 白き香のチケットブース薔薇の園

  長谷川ひろし

• 雨あしの狂ひて狂ふ薔薇の蕊

  蜥蜴の尻尾

• ゆっくりと老いて薔薇とは縁遠し

  日々拓人

• 紅薔薇や婦女子銃とる国のあり

  村上優貴

• 静寂は雄弁な花器薔薇の家

  優木ごまヲ

• 摘出の子宮を憶ゆ薔薇咲けば

  石浜西夏

• 追ふ追はぬ決めかねてをり薔薇の雨

  英子

• 九ヶ月で死なせし猫や薔薇の墓

  里山疎水

• 入園料千円の薔薇誇らしげ

  小倉あんこ

• 薔薇垣の分ける母屋と離れかな

  釜眞手打ち蕎麦

• 薔薇と書く美しく正しく凛と書く

  新多

• 白薔薇祈りの波動満ちる地下

  平としまる

• 我が庭の薔薇は彼の日のブーケの香

  石井瑩

• 旧姓で呼ばれたい町薔薇香る

  黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部

• スピッツの吠えぬ日もあり薔薇の門

  月見柑

• お喋りが途切れてみんな薔薇を見る

  涅槃girl

• 雨の日の蕩ける薔薇やレイニーブルー

  比良山

• 薔薇に耳寄せれば嘆き聞こえさう

  杉柳才

• 失ふ物みな失つて薔薇を買ふ

  秋沙美　洋

• 百本の深紅の薔薇に眩暈かな

  dragon

• 出口には白き花置く薔薇の園

  くろけん

• 薔薇香るカフェや壁にはローランサン

  木村となえーる

• 昇降機ひらけば薔薇のアーチに空

  アロイジオ

• 散歩道薔薇また薔薇の三丁目

  細木さちこ

• 薔薇香る無風の庭を奔放に

  小川都

• 薔薇の雨ライオンライオンピンクになあれ

  澤田　紫

• 雨後の薔薇フアンフアーレの幕の開く

  メレンゲたこ焼き

• 薔薇散るや探すポプリのガラス瓶

  晴好　雨独

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています！