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中級者以上結果発表

2023年4月20日週の兼題

麦の秋

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

兼題 麦の秋:初夏/時候
【傍題】麦秋(むぎあき) 麦秋(ばくしゅう)


今回の兼題「麦の秋」を実作する時のポイントは、これが時候の季語であることです。

本来、時候の季語は映像を持たないものがほとんどです。例えば、「初夏」「夏来る」などの時候の季語は、季節の感触はありますが具体的な映像はありません。

が、「麦の秋」は、熟れた麦畑の映像を内包している点において、時候の季語としては珍しい種類のものです。


今回の投句には、時候ではなく、植物の「麦」あるいは「麦畑」として詠んでいると思われる句が沢山ありました。そのような句は、残念ながら、選句の篩から落とさざるを得ません。

解釈によっては、時候の季語として許容される場合もあり、なかなか時間のかかる選句となりました。(例えば、「麦秋のまんなかに〇〇」等は、「麦秋という季節のなかで」的に読めばOKか、という類いです。)


そんな「麦の秋」に関しての類想、こんな感じです。


【類想パターン】

◇想い

・ 郷愁 ふるさと

・ 戦禍の麦秋 平和を祈る

・ 故人を想う


◇五感

・ 黄金色 金色 金糸雀色 黄色 → 風や声も金色

・ 空の青と金色の対比 → ウクライナの国旗への連想

・ 明るい → 景色だけでなく声や匂いや心も

・ 香ばしい

・ 熱を帯びているような

・ 痒い ちくちくする

・ 乾いている


◇麦の様子?

・ 空へまっすぐ伸びる 空を向く

・ 禾 芒


◇連想しがちな作品

・ 風の谷のナウシカ → その者青き衣をまといて金色の野に……

・ ゴッホの絵 ミレーの絵

・ 小津映画の『麦秋』

・ サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』


◇景色 時候ではなく「植物の麦」の景色を詠んでいる感じのものも……

・ 一面の麦の秋 車窓に見る麦の秋

・ パッチワーク モザイク

・ 自転車(立漕ぎしたり疾走したり) 通学の子供たち

・ 子供がかくれんぼ 子供が駆ける

・ 犬と散歩 犬が吠える

・ 手を振る 名を呼ぶ

・ 雀や鴉などの鳥

・ 夕日に染まる景色 落暉

・ 列車 ローカル線 単線 バス 旅の途中 車窓 

・ 軽トラが走る

・ まっすぐな道 一本道

    

◇収穫後は……

・ パン → バター 人気のパン屋さん

・ うどん 製麺 讃岐

・ ビール  → 乾杯 飲み干す 咽喉越し


◇オノマトペ

・ ざわざわ ざわわ さわさわ

・ ちくちく

・ ゆらゆら ゆらら ゆらり


◇その他

・ 踏まれても〇〇 踏んで〇〇(麦踏みが背景にある?)

・ 美瑛 十勝 近江 明日香 讃岐


佳作・秀作・特選の作品は、これらの類想を「共感の土台」として生かし、独自性や真実味を加えたものが並んでいます。さらに、季語「麦の秋」の本意については、特選&秀作の選評にて触れております。参考にしていただけたらと思います。


※今回の兼題「麦の秋」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3909句、投句人数1572人となりました。以下、類想句の一覧です。

類想一覧(選外)

  • 塩むすびほろりくづれて麦の秋

    ウロ

  • 麦の秋じっと眺める雀おり

    朝ぼらけ

  • 焼きたてパンの香り飛ぶ麦の秋

    島陽広

  • 杖つきて通うリハビリ麦の秋

    かなこ

  • バス降りて我が故郷麦の秋

    宮沢 韋駄天

  • こだはりの麺の産地や麦の秋

    春よ来い

  • 竹竿の布団ふかふか麦の秋

    スマイリー

  • マスクとれ会話も弾む麦の秋

    福島 昇天

  • 麦秋や豆柴添ってランニング

    望月 円

  • 訳も無く駆け出す吾子よ麦の秋

    知恵さん

  • 麦の秋真っ新が良い白Tシャツ

    上田ASH

  • マッサンとリタの余市よ麦の秋

    里山疎水

  • 軍用車列なす国も麦の秋

    たていし 隆松

  • 麦秋や肩に喰ひ込むおんぶ紐

    卯月紫乃

  • 麦の秋焦がれどもナウシカは来ぬ

    三無季生

  • 万歩計前へまえへと麦の秋

    牛歩

  • 麦の秋次来るバスは四時間後

    諫鼓苔深

  • 杖取りて歩いてみれば麦の秋

    しみずこころ

  • ペダル漕ぎ母のおつかい麦の秋

    ちはやふる

  • 乾杯の一口旨し麦の秋

    はなだんな

  • 麦秋や烏群れ飛びゴッホの絵

    マタネ

  • むかふから亡父来さうな麦の秋

    月影 重郎

  • 考に似た後ろ姿や麦の秋

    宗平 圭司

  • 放課後の進路面談麦の秋

    東原桜空

  • ランドセル吾子の手を振る麦の秋

    野田遊水

  • 握り飯両手に喰らふ麦の秋

    中田邦光

  • 麦の秋畑耕し大ジョッキ

    桃月あかり

  • 皆すぐにかくれんぼする麦の秋

    三崎扁舟

  • 帽子の子あぜ道かけて麦の秋

    かすみ草

  • 戦争を知らざるままに麦の秋

    宍戸もくれん

  • 手作りの窯で焼くピザ麦の秋

    余田酒梨

  • ランドセル放りて一人麦の秋

    酔蚊眼

  • 越前の一両車行く麦の秋

    奥田早苗

  • 麦の秋水車ゆっくり動き出す

    飛翔

  • ランドセル走る畑は麦の秋

    駄々

  • 愚図る子が眠ればずつしり麦の秋

    林りんりん。

  • どこまでも真つ直ぐなみち麦の秋

    國本秀山

  • 吾子の靴小さくなりし麦の秋

    魚里ユウリ

  • 麦秋を行くタクシーや軽井沢

    魔星蟲ダークネスライザー1世

  • 麦の秋ナウシカが見た地平線

    河本詠兎

  • 耳も鼻もくすぐったいよ麦の秋

    立川茜

  • 麦の秋今描いたよなゴッホの絵

    野州てんまり

  • 麦の秋ふと降りてみる知らぬ駅

    おのまい

  • 麦秋に音聞こえ来るヘリコプター

    須磨子

  • 麦の秋サイクリングの君見惚れ

    柴桜子

  • 撮り鉄の並ぶ畦道麦の秋

    さぶり

  • 麦秋や泡立ちのぼり琥珀酒

    やっせん坊 池上

  • 麦秋のセスナ大きく旋回す

    鈴木麗門

  • にっくきカラスを追ったら麦の秋

    羅蒐

  • マッサンの声の響きや麦の秋

    上津 力

  • 麦の秋「ちゃん」とかはもう恥ずかしい

    藤岡美波

  • 麦の秋烏の群れの遊び飛び

    羅美都

  • 青を着て犬と闊歩す麦の秋

    鳥羽ししまる

  • 麦の秋盆に山盛り塩握り

    太之方もり子

  • 麦秋や王蟲現れそうな碧

    高岡 春雪

  • 去る者は追わず真っ直ぐ麦の秋

    田辺ふみ

  • 夕陽浴び帰る畦道麦の風

    東 湘輝

  • 踏まれ耐え大地の歓喜麦の秋

    内田高雲

  • ナウシカの降り立つを待つ麦の秋

    気のまま風

  • 麦の秋ひょっこり現す犬の顔

    石崎京子

  • チャリ押して歩幅合わせて麦の秋

    江良 中

  • 立ち漕ぎの少年ふたり麦の秋

    タリタ クミ

  • 麦秋や終の住処を此処と決め

    中 兎波

  • 久々の母の温もり麦の秋

    坂 とき

  • フリスビー飛び跳ねる仔の麦の秋

    永井春蘭

  • ポニーテールをなびくに任せ麦の秋

    白猫のあくび

  • 麦秋を行く人の手にあるマスク

    坂本梨帆

  • 蒲生野をザワザワ揺らす麦の秋

    とき坊

  • 下校する子どもの声や麦の秋

    紋舞蘭

  • 大風に騒めく音や麦の秋

    髙見艀舟

  • 麦の秋記憶を辿り母の味

    山本 マユミ

  • 来た道も行く道もまた麦の秋

    葛谷猫日和

  • 天候と平和を祈る麦の秋

    かとしん

  • 爆音の遠くに聞こえ麦の秋

    森 佳月

  • 木洩れ日やみどり児眠る麦の秋

    だけわらび

  • 休憩にそれぞれのお茶麦の秋

    不二自然

  • 夕空へ直線の道麦の秋

    かぬまっこ@木ノ芽

  • 麦の秋熱々の湯気うどん汁

    まつといのいち

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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