俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2023年4月20日週の兼題

麦の秋

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • ムエットに「ウイ」麦秋の調香師

    津々うらら

  • 単線の上りA席麦の秋

    淺野紫桜

  • 麦の秋あれが今度の信金さん

    横山雑煮

  • 「カレーの市民」吹き抜ける風麦の秋

    澤田 麦

  • 自衛官募集の看板麦の秋

    平としまる

  • 金印の島に波寄す麦の秋

    羊似妃

  • ぽふぽふとロジンバッグや麦の秋

    清瀬朱磨

  • 麦の秋古墳のやうな山三つ

    糸川ラッコ

  • 講習の硬き背凭れ麦の秋

    村岡花風

  • 麦秋やヒエログリフの木菟両眼

    ひねもす

  • ガイドヘルプの五年生おり麦の秋

    沢胡桃

  • 妹の嫁ぐ異国や麦の秋

    風蘭智子

  • 自転車をケッタと呼びて麦の秋

    さ乙女龍チヨ

  • 甥の代で終わる農事や麦の秋

    若林鄙げし

  • 麦秋をゆくゴールデンリトリバー

    睦月くらげ

  • 麦の秋ビフィズス菌のふくれだす

    西野誓光

  • ピザ釜の温度上々麦の秋

    夏湖乃

  • 隧道の耳の詰まりや麦の秋

    みらんだぶぅ

  • でたらめな口笛わたれ麦の秋

    英ルナ

  • 母方のいとこと遊ぶ麦の秋

    中村笙平

  • 麦の秋黄ばむジャージの二本線

    嶋田奈緒

  • 麦秋や天へ打ち上ぐ夜の闇

    haruwo

  • 棚田まで潮の匂いの麦の秋

    六花

  • バス停の降りれば余生麦の秋

    神谷たくみ

  • 麦の秋バターの角の柔らかし

    落人家楽人

  • 甃の緋色と緑麦の秋

    からすちゃん

  • 影失せて陽は残酷に麦の秋

    夢雨似夜

  • ヘルシンキ合唱の呼ぶ麦の秋

    北爪いく葉

  • 麦秋の浜には遊び足りぬ脚

    遊羽女

  • リヤカーに子犬も積んで麦の秋

    黄鶺鴒

  • 今日きりと撮る一ページ麦の秋

    みつき 夏

  • パン教室に男もゐたり麦の秋

    多可木@ノエル

  • 麦の秋ジャングルジムに潦

    まめばと

  • おほいなる風の行方や麦の秋

    愛燦燦

  • 麦秋のハミング祖母のケセラセラ

    瀬央ありさ

  • 麦の秋運河の舟で小鮒釣り

    大阪駿馬

  • 麦秋や畦みち塞ぐ強き風

    上津 嘉子 

  • カンザスから先生来たよ麦の秋

    じょいふるとしちゃん

  • 金継ぎの茶碗山盛り麦の秋

    俳句ファイヤー立志

  • ふたりとも肩の濡れたる麦の秋

    渡辺十把 

  • 学年で一番ノッポ麦の秋

    茉叶

  • けふもまた祭りの会議麦の秋

    快晴ノセカイ

  • 麦秋や口吻をする道祖神

    伏見丹耶

  • ドーナツの穴は空色麦の秋

    小川しめじ

  • ダイオキシン出さぬ煙突麦の秋

    GONZA

  • まるまると黒き貨車なり麦の秋

    月石 幸

  • 郷愁は胸底の火か麦の秋

    熊谷 温古

  • 移住せし小径は迷路麦の秋

    草間八千代

  • 麦秋や銀輪風となる蔵王

    ゆうじい

  • 麦の秋わたしは踏まれたら痛い

    ひと粒の種

  • 麦秋や大地静かに熱狂す

    とも子

  • 突き進むジェットの雲や麦の秋

    埼玉の巫女

  • 麦の秋ひとりけんぱの影法師

    佐藤これ凡

  • 塩害の田をあきらめて麦の秋

    伊藤てまり

  • 病む兄へ車走らす麦の秋

    村上薫

  • 観衆のかしらは下向く麦の秋

    宮本モンヌ

  • 非常食薦める妻や麦の秋

    びんごおもて

  • のの様は泣いている子へ麦秋へ

    半ズボンおじいさん

  • 上野から長距離バスに麦の秋

    寺嶋杳杳

  • 麦の秋介護浴槽担ぎ来る

    ひろ志

  • ノーを云ふ友の眼力麦の秋

    帝菜

  • D51と水車の音と麦の秋

    仲 操

  • 人間は黒き汚点か麦の秋

    司啓

  • 銀皿のバターに角や麦の秋

    宮武濱女

  • 麦秋の匂ひやさしき北上川(きたかみ)や         

    村上優姫

  • 麦の秋瑣末なことと風まかせ

    まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 窓じゆうに旅のしるしや麦の秋

    吉川拓真

  • 吾子の名の候補は三つ麦の秋

    梅鶏

  • 犬の連れ爺から婆へ麦の秋

    高山佳風

  • 代々の墓誌の七才麦の秋

    正岡丹ん

  • 寛解の夫に魚焼く麦の秋

    岡田雅喜

  • お下がりの白は濁りて麦の秋

    上市まさ

  • 播州の醤油の香差す麦の秋

    松元転石

  • 埃立つ大規模現場麦の秋

    橋本有太津

  • ノンラーの並ぶ古民家麦の秋

    久保田凡

  • 麦の秋校歌の前奏勇ましく

    ゆすらご

  • 麦の秋純正律の風に訊く

    清水縞午

  • 麦の秋耕作放棄地に百戸

    秋白ネリネ

  • 血と鉄に埋まる母国や麦の秋

    灰色狼

  • 軽トラの花嫁の父麦の秋

    安春

  • 麦秋や漠と修子の小さきカフェ

    佐藤茂之

  • 新人の教育係麦の秋

    原島ちび助

  • 麦の秋明日は遠くの図書館へ

    なつめモコ

  • 少年の青びかりする麦の秋

    千葉信子

  • つまり詩はトライとエラー麦の秋

    ノアノア

  • 自転車の列のしんがり麦の秋

    縁穐律

  • 揚げぱんをかけてじやんけん麦の秋

    香田ちり

  • 麦の秋ひかりの擦れ合ふノイズ

    恵勇

  • 鼻筋高き父の死面や麦の秋

    林 水城

  • 点在の円墳あをし麦の秋

    木村ひむか

  • 分校の雲梯あをし麦の秋

    やまさきゆみ

  • 人は増殖大陸は麦の秋

    五十理化

  • みどりごの喃語をつつむ麦の秋

    山 ゆり

  • 麦秋や弥留気地蔵に参らうぞ

    岡井風紋

  • 転職の決まらぬ道や麦の秋

    山田四十郎

  • 麦秋や大師の里はむらさきに

    たむらせつこ

  • 麦の秋窓から祖父のモーツァルト

    野原茉莉

  • 電柱の「想定浸水」麦の秋

    さふぁい庵

  • 麦の秋やぎの豊かな乳しぼる

    ほしの有紀

  • 麦秋や海の温度を確かめる

    水木合歓

  • 遠方の雲そり立ちて麦の秋

    虎八花乙

  • 火葬場の煙は白し麦の秋

    風の鳥

  • 君と復習う課題の和声麦の秋

    むらぴ

  • コルカタの観光サドゥー麦の秋

    はるく

  • 麦の秋低空飛行の鳥一羽

    増田 昴

  • 逆上がりの手まめの潰る麦の秋

    アントワネット@ノエル

  • フィナーレを煽るタクトや麦の秋

    北欧小町

  • 麦秋や猛き武器めくスーザホン

    関津祐花

  • 麦秋の坂を軽トラらたらたた

    藍創千悠子

  • 病みつきの眼や麦の秋は愛

    麻生四里

  • 麦の秋金の在処は風に聞け

    赤馬福助

  • 数式の絡まるノート麦の秋

    河村静葩

  • 炭酸の泡の恋しき麦の秋

    中島穂華

  • 廃線のレールの錆や麦の秋

    東太

  • 麦秋の村にベルギー人の嫁

    前田麺

  • 麦の秋声を嗄らせて外野席

    酔下弦

  • JAの褪せたる帽子麦の秋

    ももたもも

  • 麦の秋金平糖の噛み心地

    亀山酔田

  • 測量士南北に立つ麦の秋

    田川泥舟

  • 麦秋の夕に掲げたるトロフィー

    けーい〇

  • 麦秋や税額通知書の重し

    かなえの

  • 一掛けの藍の手拭ひ麦の秋

    青柳修平

  • 麦秋やダブルガーゼの寝巻買ふ

    紅小雀

  • 百キロの徒歩折り返し麦の秋

    ちょうさん

  • 悲しびを吐いては麦の秋を吸ふ

    るびちゅ

  • 麦の秋まだ少し鳴る笛ラムネ

    柿司 十六

  • 麦秋やトラピストバターの黄金

    ふじこ

  • 風と競るロードバイクや麦の秋

    多々良海月

  • 麦秋やカラメル多きプリン恋ふ

    ViVi杏梨

  • 麦の秋うたた寝すれば二条駅

    小林番茶

  • 風を撮るシャッター音や麦の秋

    菫久

  • 移住者を迎える空き家麦の秋

    沙那夏

  • 道東は青空ばかり麦の秋

    新濃 健

  • ゴム巻ききつて放つひこうき麦の秋

    大山和水

  • 太陽の色より濃くて麦の秋

    フージー

  • 遮断機のけたたましさや麦の秋

    ちゃるこ

  • オルガンにA4(ラ)の音帰る麦の秋

    足立智美

  • けふ生きることに無心や麦の秋

    荒一葉

  • 百円玉放り投ぐるや麦の秋

    中川家族

  • この石でいつも一服麦の秋

    池田  凜

  • 河川敷ボールあまたに麦の秋

    苺井千恵

  • 麦の秋疑念晴れたる通信使

    戸部紅屑

  • 星々の描く海面や麦の秋

    蜥蜴の尻尾

  • 麦の秋消防団員募集中

    斉藤百女

  • 麦秋やペペロンチーノに具をいれず

    吉崎赤絲

  • 休耕とは田が死ぬること麦の秋

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • ドライブの曲はユーミン麦の秋

    八幡風花

  • 麦秋やストラディバリウスの音色

    虎堂吟雅

  • 香ばしき匂ひはいづくより麦秋

    Kかれん

  • 先輩と正捕手競う麦の秋

    たま走哉

  • 麦秋の丹波路を行く風連れて

    井上鈍句

  • 生ぬるき麦秋や空はまさをに

    渥美 謝蕗牛

  • オレクサンドル生きて闘へ麦の秋

    三重丸

  • 麦の秋宅地造成足下まで

    樹朋

  • 廃校の門は赤さび麦の秋

    亀田かつおぶし

  • サリンジャー手に故郷は麦の秋

    ジン・ケンジ

  • カレーうどんを運ぶ係や麦の秋

    ふのんへん宗悟

  • パンっと蓋とばす酵母や麦の秋

    泉晶子

  • 麦の秋ジンジャーエールを飲み干す

    まるかじり

  • 着陸の飛行機軋む麦の秋

    伊予吟会 宵嵐

  • プルタブは叫ぶ麦の秋此処に

    HNKAGA

  • 麦の秋ひとりぼっちのロビンソン

    まりい@木ノ芽

  • 弥生時代タイムスリップへて麦秋

    堀ゆうき

  • 麦の秋防災無線訓練中

    紫水晶

  • 消失点まで光満つ麦の秋

    清水奈々子

  • 麦秋や損益分岐点越えた

    コーヒー博士

  • ホールより自転車加速麦の秋

    万里の森

  • 麦秋や跳ねる仔犬に鈴鳴らす

    山口絢子

  • 利根川の大き曲がりや麦の秋

    塩野谷慎吾

  • 菩提寺へ一本道や麦の秋

    岡山小鞠

  • 麦の秋風の重みを押し返す

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 父に似てバリトンの声麦の秋

    吉川花ほっぺ

  • 弟から生家壊すと麦の秋

    柚和

  • 麦の秋甲府盆地に風満ちて

    西村小市

  • 麦秋や味噌らうめんがおやつの子

    藤田ゆきまち

  • エアポート人影もなく麦の秋

    ムーンさだこ

  • 陶芸や湯呑みでこぼこ麦の秋

    りんごのほっぺ

  • パン詰め放題百円麦の秋

    あっくん

  • 麦秋や風の轍の前に立ち

    猫凡

  • ポン菓子の爆音ひびけ麦の秋

    村木年子

  • 電気屋の全てのテレビ麦の秋

    暇禍

  • 亡骸を運ぶ車や麦の秋

    ななかまど

  • 麦秋や隠れ里めく風の裏

    星チャイ子

  • 嫁ぐ日の父の灰皿麦の秋

    つきのひと

  • 畑拓くカムイモシリや麦の秋

    篠川 翠

  • 刈り草も人も干涸ぶ麦の秋

    始の子

  • 磯鵯るりるり鳴いて麦の秋

    なしむらなしん

  • 麦の秋サニーサイドアップつぶす

    ねむり猫

  • 麦秋の光の筆の走りけり

    弥勒夕陽

  • 声変はりして子は無口麦の秋

    みゆむうしば

  • 麦秋や靡けど落ちぬやじろべえ

    ゆきなごむ

  • 麦秋の警鐘忙し単線路

    はれみちる

  • コンビニの少し遠くて麦の秋

    勘太郎

  • 地球儀を一気に回す麦の秋

    道隆

  • 麦秋や子らくちなはをふりふりゆく

    茫々

  • 麦秋の助手席に聴くビートルズ

    朝月沙都子

  • 麦の秋少女に野心生まれけり

    謙久

  • 麦秋や指揮者は風を聞いている

    橋本こはく

  • 完売のサブレブルトン麦の秋

    幸田梓弓

  • 先人の手柄わらわら麦の秋

    あさのとびら

  • 段ボールですべる古墳や麦の秋

    黒子

  • 麥秋や史書數行に國滅ぶ

    トラヴィス・ビックル

  • 麦の秋ネイティブでない讃岐弁

    乃の

  • 麦の秋ねじれた心櫛けずる

    あおのめ

  • 寄せ書きは表紙の裏に麦の秋

    る・こんと

  • 象屋より象は海越え麦の秋

    吉野川

  • 前籠の聖書に夕日麦の秋

    巴里乃嬬

  • あたくしを大地に刺して麦の秋

    下條ちりり

  • 麦秋や慰霊碑を拭く児童会

    小川都

  • 麦の秋食糧自給できぬ国

    中島走吟

  • 住職の説法続く麦の秋

    きべし

  • 三尺の恐竜吠える麦の秋

    星野はいかい

  • 峡抜けし振子電車や麦の秋

    たこぼうず

  • 針山に待針植うる麦の秋

    東山すいか

  • 芳しき青汁のあを麦の秋

    オキザリス

  • 竹とんぼどこに落ちても麦の秋

    西町花冠

  • 柔道部ボクだけ麦秋がいたい

    樹海ソース

  • 麦秋や瘤跡なづる好々爺

    中山月波

  • 麦の秋駐在さんと郵便さん

    だっく

  • 美男子の県知事出馬麦の秋

    伊沢華純

  • 噛み砕く鳥軟骨や麦の秋

    畑山六十二

  • 麦の秋バドミントンの羽根の反り

    永田千春

  • 麦の秋釜の横には薯蕷汁

    沢瀉みやこ

  • 麦の秋風と歩きて遠き山

    一型

  • 教習のバス追い越しぬ麦の秋

    空豆魚

  • 麦の秋トリコロールへ雲遊ぶ

    向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • 受信箱またいつぱいで麦の秋

    花咲めだ香

  • ヒマラヤの古代のミイラ麦の秋

    よぶこどり

  • 筑波嶺の神へひれ伏す麦の秋

    陽光樹

  • 朝礼の校歌斉唱麦の秋

    文月あつみ

  • 麦の秋大和の髭の擦れる音

    外鴨南菊

  • 表札に猫の名並ぶ麦の秋

    藤井赤童子

  • ぶろっくをふまないとしぬ麦の秋

    高山 夕灯

  • 麦秋や鼻の形もみな違う

    雪だるま

  • 帰鳥の声麦の秋より賢者呼ぶ

    匹田ひとみ

  • 麦秋や四十がここで若いんだ

    モリコリゴリ

  • 地図上は行き止まりらし麦の秋

    おぼろ月

  • 農道の止まれは一つ麦の秋

    伊予の大督寺

  • 麦の秋叩く太鼓の乱れ打ち

    山口雀昭

  • 隧道の光の先の麦の秋

    Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • 麦の秋ぴんと立たる茶虎の尾

    富田健朗

  • ビールめく夕日酸つぱき麦の秋

    鷹星

  • トーテムポールのお腹は黄色麦の秋

    迫久鯨

  • ぴいぴいと笛の音海へ麦の秋

    岡本 戎

  • 産廃の予定地未だ麦の秋

    一坪茄子

  • デビュスィーの風透きとおり麦の秋

     どいつ薔芭

  • エンジン美し風の中なる麦の秋

    高木石塊

  • 鬣の絡れたライオン麦の秋

    森 日美香

  • 紙垂清か麦秋の余市蒸溜所

    中村すじこ

  • はなまるの答案用紙麦の秋

    山尾政弘

  • 空弁の割り箸いずこ麦の秋

    浪速の蟹造

  • 麦の秋肘に押さふるヨガマット

    海峯企鵝

  • めえと鳴く「め」の音#麦の秋

    晴田そわか

  • 校舎裏チューバ抱えて麦の秋

    アリマノミコ

  • 古書店の店番あくび麦の秋

    葉月けゐ

  • 斑鳩の甍の波や麦秋や

    えいぎょ

  • まぶしくていたたまれない麦の秋

    片山蒼心

  • 降り続く雨麦秋は無垢めける

    ぱぷりかまめ

  • カラフルなランナーの列麦の秋

    どこにでもいる田中

  • 麦の秋杖を小脇に煙草屋へ

    山田蚯蚓

  • 麦秋のゴールデンレトリバー(二歳)

    元野おぺら

  • 麦秋や手に持つペンが重くなり

    宇都宮 千瑞子

  • 麦秋や錦糸玉子に酢のにほひ

    藤咲大地

  • 水星の逆行明けて麦の秋

    平野光音座

  • 馬洗ふ名残の池や麦の秋

    辻野 花

  • はじめての資本論なり麦の秋

    寺尾当卯

  • 麦秋や学生帽の白カバー

    宮川武久

  • 上澄みになりゆく氷麦の秋

    暖井むゆき

  • 麦の秋ランディ・バースの髪の色

    くずもち鹿之助

  • つづくつづく十勝路つづく麦の秋

    大熊猫@四句八句

  • 白杖と山風をきく麦の秋

    田畑 整

  • 麦秋や王農高の壁新聞

    沢拓庵

  • 昨夜の夢みな忘れゐて麦の秋

    時まる

  • 麦秋の風保健室浄化する

    芋 二郎

  • 軽トラに初心者マーク麦の秋

    ひなた和佳

  • 旧姓の同期の訃報麦の秋

    夏目タンチャン

  • 麦の秋乾きし土の匂いかな

    細木さちこ

  • ラザーニャの湯気香ばしや麦の秋

    秋津穂 実

  • 麦秋やフォークギターの耳触り

    永想

  • 麦秋の大地に震え離陸せり

    篠田ピンク

  • 印籠はいつも最後や麦の秋

    豆柴

  • 麦秋や呼出し電話在りし頃

    津軽わさお

  • バイエル五十五番両手で麦秋

    殿村則子

  • じょっぱりの酒に拘る麦の秋

    津軽ちゃう

  • モノクロのフィルムに描く麦の秋

    樹魔瑠

  • 荷に縄のくくり目とかれ麦の秋

    おきいふ

  • 煮炊きする妻の鼻唄麦の秋

    平野水麦

  • 遠筑波野州六条麦の秋

    峰泉しょうこ

  • 麦の秋いのちの水を貰ひたる

    喜多丘一路

  • ヴィオロンの高音の艶麦の秋

    紗羅ささら

  • 津軽富士見えぬ南部や麦の秋

    津軽まつ

  • 麦秋の海に果てるや魁夷の道

    野々原ラピ

  • 麦の秋ニッカポッカの口遊む

    葦屋蛙城

  • 綱引きのおまけにティッシュ麦の秋

    林眞亜紀

  • 麦秋やチュッパチャプスとライディーン

    山紗季茉悠海

  • 麦の秋ラストシーンは大爆破

    熱田俊月

  • 麦の秋護りつづける女の眼

    山路碧水

  • 麦の秋道路工事は昼休み

    三水低オサム

  • 古希超えて賞罰無くて麦の秋

    れんげ畑

  • 撓垂れて雨音哀し麦の秋

    秋内 壱玖

  • 踏切の止んで澄む色麦の秋

    山内順子

  • 麦の秋六階の上はホスピス

    悪七兵衛

  • 発酵の香る古民家麦の秋

    Q&A

  • 麦秋やリベルタンゴに揺れながら

    木寺 仙游

  • 開墾の軌跡の石碑麦の秋

    那須のお漬物

  • 麦秋を抜け未来よりもどりたり

    花屋英利

  • 姉となるひとを加へて麦の秋

    犬山裕之

  • 晴れ旅2日上州は麦の秋

    祥林

  • 満載の軽トラ縦走麦の秋

    立川猫丸

  • 古里の田圃は貸地麦の秋

    山水

  • 麦秋や如雨露のみづの弧の形

    梅朶こいぬ

  • 車窓からチアの練習麦の秋

    羽光

  • 麦の秋遠く空爆のコンバイン

    松本裕子

  • 旧友の母となるとふ麦の秋

    サトサナ

  • 麦秋や廃墟となりし眼鏡橋

    くろべぇ

  • アルマイトのふたをあければ麦の秋

    露崎一己句

  • 波動なる光は粒子麦の秋

    吉田竹織

  • 敵兵を埋めて麦秋とふ治め

    沼野大統領

  • 麦秋の彼方高層マンション群

    唯果

  • 麦あきや胎教によい新天地

    誠馬ノマド

  • 鉱毒に消えた村跡麦の秋

    川島欣也

  • 汐の香をふふむ山風麦の秋

    対馬清波

  • 麦秋やジンジャエールの泡の音

    杉柳才

  • NICU満床麦の秋

    村上甘雨

  • いがらつぽい麦秋の子の反抗期

    英子

  • 校庭に響くゴスペル麦の秋

    百瀬はな

  • 記念樹はすべてみどりに麦の秋

    平山千鶴

  • 凹凸の無いキャンバスや麦の秋

    加和志真

  • 三日ほど留守の住職麦の秋

    田村利平

  • 転職のロッカー鍵や麦の秋

    小林昇

  • 自転車で目指す札所や麦の秋

    俳菜ひろこ

  • 麦秋の光の波に呑まれけり

    祖父江春翆

  • 麦の秋やぎはまんまるめだまです

    犬井山羊

  • 耳なでる風ひょうひょう麦の秋

    妄児

  • セザンヌの画集かほりて麦の秋

    ひいらぎ

  • 麦秋のつぶらの中の赤ん坊

    ひだ岩魚

  • 盃ばねの座席はんなり麦の秋

    トウ甘藻

  • 麦秋の坂に匂へる相模灘

    星埜黴円

  • 山積みの石炭ひかり麦の秋

    鮫島しょうん

  • SAへ続く車列や麦の秋

    もふ美

  • 麦秋の地をトラックの青果売り

    桜鯛みわ

  • 父死して変わらぬ日々や麦の秋

    野原 華

  • 麦秋は走る沸き立つ風を連れ

    高橋風香

  • 縦横に走る路線図麦の秋

    dragon

  • 豚舎の音にぎやかな朝麦の秋

    高市青柘榴

  • 四年ぶりふるさとにゐる麦の秋

    楽和音

  • 麦の秋あいみょんの歌延々と

    木村となえーる

  • 麦の秋ボアズはルツを娶りけり

    ダンサーU-KI

  • 畦道に思案の子供麦の秋

    河野灰土

  • 麦の秋山宿の犬に名を尋ね

    猫山みちこ

  • とつくにも千年前も麦の秋

    風野花 一

  • 逃走のバックミラーに麦の秋

    うはのそら

  • ひたすらにぼうつと吾子や麦の秋

    酒井春棋

  • わが影を追ふだけの道麦の秋

    砂山恵子

  • 姑の風林火山麦の秋

    柳絮

  • 麦の秋乗り合いバスの行く堤

    はまゆう

  • 軽トラに夕陽をのせる麦の秋

    涼月橋

  • ワレワレハ地球ノカケラ麦の秋

    栞虫かじり

  • 麦秋の只中を吾が心の帆

    冬野とも

  • 九回の打席回らず麦の秋

    剣翔寺亜太琉

  • 空青く巡礼の笠麦の秋

    甘泉

  • 麦秋やさわゝゝと手話劇の子ら

    としなり

  • 麦の秋老には老の暮し向き

    小池博美

  • 分校へ通ふ子どこも麦の秋

    蔵原 貢次郎

  • ぎいぎいと軋む荷馬車や麦の秋

    杜乃しずか

  • 猫の名に一文字借りて麦の秋

    陽乃姫

  • 麦秋の風よだみ声の山頭火よ

    猫ふぐ

  • 炊煙の淡し薄暮の麦の秋

    宇野翔月

  • 麦の秋ブルグミュラーが終わらない

    ふくろう悠々

  • 麦秋満載くらくら神の国

    坂土海夏

  • ミサイルの飛ぶらしき空麦の秋

    円路

  • 麦の秋風の起点の地平線

    明後日めぐみ

  • 戦ひに荒れたる耕地麦の秋

    桃香

  • 罰走の往復5キロ麦の秋

    坐花酔月

  • 古民家の決め手は厨麦の秋

    竹村マイ@蚊帳のなか

  • 僧院の渡り廊下や麦の秋

    武田ラーラ

  • 麦秋やレゾンデーテル我は麦

    谷町百合乃

  • AIの進化しよつぱい麦の秋

    満嶋ハト

  • 麦の秋軽い傷なら治るだろう

    人宙人

  • 麦秋や産休明けの初授業

    ヒマラヤで平謝り

  • 代参の金比羅詣麦の秋

    眠 睡花

  • 麦秋の塵やマーチングの予行

    野点さわ

  • 麦秋の図書館だから未来読む

    青鷹

  • 麦の秋錆びし昭和の看板よ

    田村ヒロミ

  • 麦の秋陶器のかけらポケットに

    大野美波

  • 葬送の列山門へ麦の秋

    そうま純香

  • 麦の秋くっきりと出る喉仏

    紅紫あやめ

  • 蹴り上げる給食袋麦の秋

    花咲明日香

  • 麦の秋空へ抜けたる滑走路

    角田 球

  • 水のあを空のみづいろ麦の秋

    森海まのわ

  • この雨をいずれわたしへ麦の秋

    秋雪

  • 駅売りの新聞薄し麦の秋

    竹田むべ

  • 麦の秋「自由に生きよ」と父の声

    小島やよひ

  • 泥の巣の突き落とさるる麦の秋

    岬ぷるうと

  • 麦の秋離陸機の背の光る朝

    さゆり@金カル

  • プレーリードッグのハグや麦の秋

    野口真砂輝

  • 黒猫の尾になでられる麦の秋

    花紋

  • あと二段こんぴらさんや麦の秋

    哲庵

  • 麦の秋心配ごとの七つ八つ

    山香ばし

  • 麦秋の風はきんいろしゃんららら

    at花結い

  • 麦の秋補欠選手のホームラン

    恋瀬川三緒

  • 柵越しのキャッチボールや麦の秋

    黒木水産

  • めんめ踏む踵の丸み麦の秋

    小倉あんこ

  • 麦秋やあれは確かに友の声

    加賀くちこ

  • スクーターの新任教師麦の秋

    石塚彩楓

  • 歳とれば昼の角打ち麦の秋

    藤鷹圓哉

  • カステラの薄紙剥ぐや麦の秋

    山野麓

  • 大きめの自転車押して麦の秋

    東田 一鮎@金カル

  • 桃色に溶ける折鶴麦の秋

    ほこ

  • 婚活のスーツ明るし麦の秋

    松井くろ

  • 人間は競ひの欠片麦の秋

    あるる

  • 友を待つゴッホの椅子や麦の秋

    霜田あゆ美

  • 麦秋の風をぬければ父母の家

    高本蒼岑

  • 駐在を終えデリー空港麦の秋

    神山千世

  • 麦の秋家庭教師のチャットくる

    さとう夢虫

  • ロザリオを爪繰る農夫麦の秋

    アロイジオ

  • バス待てば母の微睡む麦の秋

    ぎんやんま

  • 麦の秋ああ大刀洗飛行場

    高永 摺墨

  • 試験監督の半ドン麦の秋

    青に桃々@いつき組俳句迷子の会

  • 麦秋のポストや一本道へ人

    川澄 栞大

  • 麦秋に慰む牛の眼は澄んで

    つくも果音

  • 音程の定まらぬ空麦の秋

    布村 柚子

  • 麦秋やオレの一号ホームラン

    フィビキ I

  • 港にはコンテナの山麦の秋

    びぼん

  • 麦秋は父の背中の傷より来

    月岡方円

  • 坂東の将門塚に麦の秋

    猪飼篤彦

  • 麦秋やよゐこしかゐぬ小学校

    佐々木のはら

  • 長雨に鎌の錆うく麦の秋

    国東町子

  • 開け放つ塔屋の窓や麦の秋

    中根由起子

  • 久々の髭剃り終へて麦の秋

    つちや海郷

  • 大鍋の無水カレーや麦の秋

    佐藤レアレア

  • 巡礼の白杖に鈴麦の秋

    おかだ卯月

  • 葬列のなんと賑やか麦の秋

    満る

  • うどん屋の白き暖簾や麦の秋

    ひでやん

  • 母校への道ちくちくと麦の秋

    もぐ

  • 鬼ごっこみたいな風だ麦の秋

    ノセミコ

  • 麦の秋自炊する子の日々豊か

    有野 安津

  • イサキ売れおおきに嬉し麦の秋

    西風 心鏡

  • 車窓より風満ち足りて麦の秋

    清鱒

  • 銀幕に若きウェインや麦の秋

    村上継鳥

  • 雲すべて刈られた空よ麦の秋

    ふくじん

  • 風が追う車椅子の夫麦の秋

    つづきののんき

  • 麦の秋齢五十で所得ず

    仮名鶫

  • 麦の秋異国の遍路の広き肩

    猫楽

  • 腕まくり二つ折り込み麦の秋

    石垣 葉星

  • 麦の秋反対したらすぐ独り

    戸井島はな

  • 吸いがらを拾う良心麦の秋

    白山一花

  • リヤカーは今も現役麦の秋

    銀 次郎

  • 好物のしっぽくうどん麦の秋

    八尾の正吉

  • 二次審査通過の知らせ麦の秋

    泥塗れのポスト

  • 晩鐘の止まぬ麦秋立ち返る

    白庵

  • 麦の秋今日は素足にコンバース

    上村惠翠

  • 麦の秋馴れし貌してもらひ猫

    藤白月

  • 麦の秋みつけた何を永遠を

  • 自由たれ麦秋の空色の手よ

    弘友於泥

  • ひょっくりとねずみ顔出す麦の秋

    遥風

  • 麦の秋巻紙だけの黄のクレヨン

    古庄 萬里

  • 東塔の落慶法要麦の秋

    Early Bird

  • 麦の秋裾を引きずる風の神

    紙威楓

  • 通学路避けて得る友麦の秋

    麻きなり

  • 麦秋の一本道を透析日

    椿 佳香

  • 麦秋や風を見たかと聞く男

    流流

  • 巨大獣の表皮脈打つ麦の秋

    田中勲

  • 麦秋や昨日のシャツを今日も着る

    さとうナッツ

  • 坂東は馬駆ける国麦の秋

    朱契

  • あと少し生きてみたくて麦の秋

    蓮花麻耶

  • 蹴上がりをして麦秋の地平線

    武井 超凡

  • 自在戸の風に軋むや麦の秋

    青柿

  • コーヒーの香満つ厨よ麦の秋

    三島ひめばしよう

  • コンフィの胃袋妬ましくて麦秋

    鳥田政宗

  • 銭湯のコーヒー牛乳麦の秋

    高木音弥

  • 焔星昇る地平や麦の秋

    嵐菜

  • 麦の秋さあ秘密基地へ近道

    reion

  • 麦の秋待ち合わせする駅舎かな

    花はな

  • 麦の秋終点まで行ってみよう

    あかめちゃん

  • 麦秋の海まだ紺をきはめ得ず

    愚老

  • 窓越しの八高線や麦の秋

    こきん

  • いつのまに少年に髭麦の秋

    月影の桃

  • ベビーカー飛び出す足よ麦の秋

    縞ふみ

  • 麦の秋スピンの切れた工学書

    雨野理多

  • 麦の秋しこ名ののぼりはためけり

    澄海まさと

  • テンガロンハットへ麦の秋ギュッと

    みづちみわ

  • 父猫は旅に出しまま麦の秋

    ま猿

  • 表札の変わる実家や麦の秋

    だがし菓子

  • 麦の秋構想決まる三作目

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • 結納の振袖静か麦の秋

    おこそとの

  • 麦秋や降り場で流し込むヴァーム

    石井一草

  • レポートの最後に句点麦の秋

    夏立也

  • ブリーチの痛み今夜の麦の秋

    光峯霏々

  • 薪窯の今日の機嫌や麦の秋

    ときめき人

  • ワイン抜く少しのためらひ麦の秋

    池 閑茶

  • 伊江島の麦秋へ猫潜みたり

    駒村タクト

  • 首に巻く厚手のたおる麦の秋

    戸口のふっこ

  • 麦の秋風ゆるゆると歩み出づ

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 麦の秋灰皿残るローカル線

    慢鱚

  • 糞尿を流す象舎や麦の秋

    秋野木吾

  • 麦秋や一直線に無人駅

    みうらけんじ

  • 麦秋や土器の埋まっている小道

    一本橋ふくろう

  • 千キロは走つた風や麦の秋

    川越羽流

  • 通学の自転車新品麦の秋

    逢來応來

  • 麦の秋カピバラの背の毛並みかな

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • むぎあきのやまの青さにおどろきぬ

    堀口 房水

  • 神様はいると思うよ麦の秋

    伊藤なおじい

  • 麦の秋筋を通した空は青

    あたなごっち

  • 廃線と噂の鉄路麦の秋

    ふくびきけん

  • 赤チンの膝また赤チン麦の秋

    旺上林加

  • 教科書の髭の落書き麦の秋

    荒木響

  • 蒼穹へ億の脊骨や麦の秋

    帝釈鴫

  • 麦秋や好きな詩歌を口遊み

    山田蹴人

  • 金色のカトラリー選る麦の秋

    かねつき走流

  • 麦秋の夜明けひたすら猫を待つ

    佐々木ヨウジ

  • 甘水を飲み干す産後麦の秋

    田中ミノル

  • 島めきし森は鎮守か麦の秋

    シュリ

  • 麦の秋犬のいつまで吠えてゐる

    つまりの

  • 吹き渡るボレロのリズム麦の秋

    白玉みぞれ

  • 寝返りに兄の声援麦の秋

    角野角子

  • 麦秋や埃のままのレンタカー

    高橋寅次

  • 麦秋や登山ナイフに切るサラミ

    青井えのこ

  • 褐色の墓石傾き麦の秋

    立山穂高

  • 麦の秋六人部屋の総譜へ陽

    早田駒斗

  • 倚りかかる車窓麦秋の頬杖

    樋口滑瓢

  • 葬列の笑みのおだやか麦の秋

    久保田A

  • 巫女鈴の縦の波紋や麦の秋

    翡翠工房

  • 麦の秋つばに転がる摘果の実

    竹原かよこ

  • 駐車場入口の列麦の秋

    馬門宗太

  • 麦の秋鎖骨にこびりつく疲れ

    宙海

  • マヨネーズ振って飛び散る麦の秋

    久米穂風

  • 麦秋の図書ボランティア旧校舎

    田季たまき

  • 麦の秋応援バスは速度上ぐ

    花実人生

  • 麦秋や空に物寂しさ放つ

    かつたろー。

  • ゆるぬきに戦慄く水よ麦秋よ

    珈藤絵本

  • むぎ秋や日陰の風のよそよそし

    砂月みれい

  • 頭だけ見える園バス麦の秋

    くみくまマフラー

  • 麦秋や「成育歴」という虐め

    瀧川祥洞

  • サヨナラのライトスタンド麦の秋

    秋月

  • ビーナスも仮面も土偶麦の秋

    コーノ凡士

  • 麦の秋あれは二十歳の時だった

    於大純

  • 麦の秋宵に明るい星ひとつ

    西川あきや

  • 麦秋や波刃包丁買ひにけり

    佐藤さらこ

  • 山に在る神を招くや麦の秋

    山もと帰牛

  • 駅弁を立ち売る声や麦の秋

    入道 まりこ

  • 風渡るモネの日傘よ麦の秋

    山本蓮子

  • 麦の秋ホルン眩しき外野席

    深山むらさき

  • 三千人波打つ野音麦の秋

    羽奈あかり

  • サンダーバード突っ切る能登の麦の秋

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • 鐘楼が見え来れば町麦の秋

    小川若葉

  • 保護猫が飼い猫になる麦の秋

    奈良の真

  • 麦秋や杖の向くまま歩く母

    洋々

  • 麦の秋オー・ヘンリーをポケットに

    音のあ子

  • 麦秋や出雲平野の光る朝

    水間澱凡

  • サックスは麦秋の地に響くなり

    中野風鈴

  • 麦秋や頭の中にゴッホ居る

    市橋正俊

  • 麦秋や机上に転ぶチュッパチャプス

    玉野汐音

  • 麦の秋醤油工場に午砲を聴く

    キートスばんじょうし

  • 麦秋や月はテラフォーミング済

    へな☆けん

  • 麦秋やママは死んだと言ふ娘

    水谷阿紀子

  • 自転車のかごに学帽麦の秋

    一港

  • ピストル音に鴉たつ麦の秋

    草夕感じ

  • 気球降りつつ麦秋を拡大す

    遠山比々き

  • 麦の秋ローズマリーのよく乾く

    蒼空蒼子

  • 麦秋の風に乗り来るロバのパン

    一走人

  • 麦秋やひかりのつぶの弾みをり

    麻の葉

  • 麦秋や練習会の土手を風

    富佐野ほろよい

  • 白髪のフォークシンガー麦の秋

    有田みかん

  • 耳底打つボレロのリズム麦の秋

    青木りんどう

  • 麦の秋兵士の歌の過りけり

    空想婆

  • 昔日の明星ここに麦の秋

    豊島月舟斎

  • ストローのスクッと立ちて麦の秋

    吉 や 

  • 麦の秋遺作展とふ葉書来て

    亜桜みかり

  • 廃線の線路に錆や麦の秋

    檜鼻ことは

  • 麦の秋十三回忌の寺の庭

    白薔薇

  • 麦秋のビル街に住むペシミスト

    入口弘徳

  • 麦の秋トンネル越えた海きらり

    ナゾラブ

  • 平穏の音でヘリ飛ぶ麦の秋

    湯屋ゆうや

  • 愛憎は居らぬ湿気へ麦の秋

    京野さち

  • 麦秋の風よ友だちできました

    冬島 直

  • ペーパーバック持ち西へゆく麦の秋

    いこん

  • ネクタイの結び目緊し麦の秋

    林山千港

  • 麦の秋あとは弱火で十五分

    丹波らる

  • 麦秋の筋肉マンにステロイド

    池内ときこ

  • 陽を浴びて軍手も鍬も麦の秋

    くぼたみどらー

  • 麦秋の子象のしぶき柵を越へ

    川内佳代

  • 麦の秋動くものみな船に見え

    公木正

  • 麦の秋記帳せず辞す遺作展

    空木眠兎

  • 看板の流れる車窓麦の秋

    青木豊実

  • 広東語つぶやく祖父や麦の秋

    清松藍

  • 麦秋の車窓遅めの幕の内

    はれまふよう

  • 麦の秋すこし遠くへ夢を置く

    梵庸子

  • 麦秋の空を一途に仰ぎけり

    コウ

  • 弟の手を引く兄と麦の秋

    川鷹

  • 合祀墓の仏花わんさか麦の秋

    島田ポン吉

  • 出所の日弁護士ひとり麦の秋

    和泉穣

  • 潮風の重さ軽さや麦の秋

    伊予吟会心嵐

  • 東西の神がぶつかる麦の秋

    在在空空

  • 麦の秋錆びた自転車キキと鳴る

    鳳凰美蓮

  • 天仰ぐ農夫の影や麦の秋

    小手毬

  • ざわめきは大地の声か麦の秋

    小藤たみよ

  • 釜飯のお焦げじゅわじゅわ麦の秋

    安井コスモス

  • 給食の鯨肉かたし麦の秋

    黒澤墨青

  • 麦の秋サリンジャーが名のハムスター

    飛来 英

  • 牧場の笛の音遠く麦の秋

    北大路京介

  • 単線のゆるきカーブや麦の秋

    そまり

  • 父の声知らぬ子ふたり麦の秋

    霞山旅

  • 育児日記書棚にみっつ麦の秋

    クロまま

  • 道のごみ拾う人々麦の秋

    清仁

  • 麦秋や陶土打ち挽く水車小屋

    池弘庵翁

  • 麦の秋広島サミット献花台

    森嶋 理子

  • 従兄妹らと遊んだ水路麦の秋

    みやかわけい子

  • 帯締めを咥へて装ふ麦の秋

    舘風香

  • 病明かせる人と麦秋の自転車

    仁山かえる

  • 麦秋や混ざりて滲む水彩画

    絵十

  • ジェット機の翼音なく麦の秋

    A・アメリ

  • 浅間山ひかりを帯びて麦の秋

    弘中しかもり

  • 帰らぬと座り込む犬麦の秋

    増山 銀桜

  • 麦の秋YMOは肺で聴く

    稗田鈴二郎

  • 麦の秋フルーツタルト買う不二家

    ぐりぐら京子

  • 平飼いの鶏冠真っ赤に麦の秋

    オアズマン

  • 赤丸の現在地今麦の秋

    しんしん

  • 麦秋清し繰り返す蕁麻疹

    夜音 友

  • 麦の秋坂東太郎蛇行せり

    右田俊郎

  • セロ弾きのゴーシュ呼びたし麦の秋

    夏の町子

  • ここがあのマイセンの丘麦の秋

    火炎幸彦

  • 大陸の空に鼻歌麦の秋

    毛利尚人

  • 麦秋や古書肆の窓の開きたる

    太平楽太郎

  • 舟唄の節のあそびや麦の秋

    露草うづら

  • 影よりも黒き黒牛麦の秋

    里すみか

  • 麦秋や友と築きしヴィンランド

    原神かたな

  • 麦秋や磐梯山の吹きおろし

    黒蜜かりんとう

  • 九条はやわらかな布麦の秋

    部谷虎落

  • 新しき基地局の建つ麦の秋

    星月彩也華

  • 麦秋の向こうもこの世はるか阿蘇

    福良ちどり

  • 過去帳の知らない名前麦の秋

    小川さゆみ

  • 麦の秋大辛選ぶライスカレー

    斗三木童

  • カンサスへ出稼ぎにゆく麦の秋

    かんこ鳥

  • 納骨の先のたましひ麦の秋

    どゞこ

  • 少年の口笛は水脈麦の秋

    アンサトウ

  • 麦の秋毛繕いして過る風

    仲村 調息

  • 麦の秋日暮れてひとの声すなり

    赤松諦現

  • お持たせのバウムクーヘン麦の秋

    万寿果

  • 中庭に卓待つ午後や麦の秋

    鈴木来穂

  • アラームの痕跡四時の麦の秋

    鬼殻

  • 麦の秋遠くの重機動き初む

    木ぼこやしき

  • コンクリの電柱となり麦の秋

    山中 揚

  • 油差す母の心臓麦の秋

    小山晃

  • 麦秋へ行政無線の尋ね人

    いごぼうら

  • ユーカラの鼻音やさしく麦の秋

    百瀬一兎

  • 麦の秋缶に使途なき予備釦

    伽那

  • 白球の光に入る麦の秋

    笑酔

  • 虚しさは微塵もなくて麦の秋

    高岡春雪

  • 当たり屋が首を鍛へる麦の秋

    髙倉光

  • 古戦場跡の石碑や麦の秋

    葉月庵郁斗

  • 東京はなにいろですか麦の秋

    常磐はぜ

  • コップみな磨き上げたれ麦の秋

    鷹取 碧村

  • 麦の秋彼と明日のパン買いに

    杼 けいこ

  • 手のまめの鉄の匂ひや麦の秋

    キッカワテツヤ

  • 虹彩は二十四色や麦の秋

    ちゃあき

  • 麦の秋「はてしない物語」をひらく

    里山子

  • 台帳広げる駐在さんや麦の秋

    小笹いのり

  • 麦秋やパヴァロッティの朗々と

    小川テル子

  • 麦の秋全人生入らぬリュック

    かゐみすず

  • 緞帳の藍色上がる麦の秋

    千賀子

  • 山間の診療所カフェ麦の秋

    塩風しーたん

  • 一筋の大河銀色麦の秋

    千茶

  • 楽流し移動スーパー麦の秋

    中里 凜

  • 大波に腰まで濡れて麦の秋

    壱太

  • 接線の傾き求め麦の秋

    新城典午

  • 野良着干し妻に任せて麦の秋

    田畑せーたん

  • 麦秋よカノンで踊ろ終の夜は

    水木花水木

  • 階段を空へ空へと麦の秋

    ひすい風香

  • 岡持の反射きんいろ麦の秋

    加山シンゴ

  • ヴァイオリン・ソナタの譜面麦の秋

    高遠見上

  • 麦秋のパイプ短し散水車

    白プロキオン

  • スピッツのメロディーあふれ麦の秋

    真喜王

  • 麦の秋ページめくれて薄荷の気か

    白井 佐登志

  • 透明な風のざわめき麦の秋

    ふあんた

  • 麦秋や畦にたたずむ軍馬の碑

    是空

  • 満員の地方球場麦の秋

    登盛満

  • 飛ぶ書類追う麦秋のサラリーマン

    太閤検地郎

  • 外猫の乳房の萎み麦の秋

    むったん@狐狸山会

  • とりたての免許で海まで麦の秋

    川代つ傘

  • 麦秋の修学旅行列車かな

    百卓@ノエル

  • 拓本の歌碑ぽんぽんと麦の秋

    華胥醒子

  • 麦の秋徒歩一分にあるパン屋

    麻生ツナ子

  • 二台目の選挙カー行く麦の秋

    笑姫天臼

  • 塩加減良き炒飯や麦の秋

    原 綾川

  • バイオリンにて奏でるや麦の秋

    野中泰風

  • 乳母車を降りると泣く子麦の秋

    上村 風知草

  • 麦の秋弊社に届く5G

    ぜのふるうと

  • 麦の秋上唇にジャム光る

    小だいふく

  • 軽症のホームシックの麦の秋

    あらかわすすむ

  • 薬缶茶が百の飯場や麦の秋

    メレンゲたこ焼き

  • シーソーをエイと蹴り上げ麦の秋

    どくだみ茶

  • 逆転や麦秋を裂く応援旗

    もりさわ

  • 引っ越しの開梱終えて麦の秋

    雨霧彦@木ノ芽

  • 焼場より人焼く匂ひ麦の秋

    宥光

  • 麦秋や祖父のカナ字の農日記

    三休

  • 麦の秋五分遅れの停車駅

    むねあかどり

  • 麦の秋地下の書庫から鳥図鑑

    小豆白虎

  • 麦秋や給食袋ぶらさげて

    とんぼ

  • 麦の秋縄文遺跡一万年

    鈴木古舟

  • 麦秋や切れし高架の錆の色

    はなぶさあきら

  • 麦の秋だし君のこと諦める

    西村 棗

  • 廃校の冷泉無色麦の秋

    野山遊

  • ヒッタイトの兵潜めるか麦の秋

    吉永那夫子

  • 出席の便り届く日麦の秋

    みのる

  • 一斉に吠へる犬をり麦の秋

    髙橋弓女

  • 麦の秋ひいばあ研ぐや鎌鋏

    卑弥呼

  • まさをなる空よいのちの 麦秋よ

    武井かま猫

  • すれ違う君の口笛麦の秋

    髙橋弓女

  • 五分で済む遺産相続麦の秋

    せいち

  • 麦秋や記憶のバズル組む車窓

    みうら朱音

  • 麦秋の町ふたりを許さざりし町

    松山めゐ

  • 麦秋の十勝を走る無蓋貨車

    高田杏

  • 麦秋の婚姻届試し書き

    佐川碧

  • 麦の秋ひとみな神のかたちてふ

    龍田山門

  • 麦秋や音なく過ぎる霊柩車

    岩木順

  • 麦の秋ミニ四駆のモーター音

    可秘跳

  • 麦秋や電柱に不動の烏

    阿波オードリー

  • 麦秋や彼方には海だった場所

    清白真冬

  • ジャムの蓋ぽこんと開いて麦の秋

    佐野明世

  • 子の長きジーパン乾き麦の秋

    田絵

  • 麦秋の決意老父の畑仕舞ひ

    みやま千樹

  • カップ麺ちぢれの硬く麦の秋

    桜月夜

  • 名はローラ麦秋の復興ピアノ

    織部なつめ

  • 一人乗る高速バスや麦の秋

    さんざし

  • 麦秋の農夫の肩に風のきて

    西野桃果

  • 立礼席に黒文字軽く麦の秋

    蘂六

  • 朝食の自家製パンや麦の秋

    岩本夏柿

  • 休日の蒸気機関麦の秋

    玲風

  • 麦の秋弥五郎どんの口尖る

    ヨーダ 鍵

  • ワッフルの律儀な格子麦の秋

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 夫の焼くスコーンぱさぱさ麦の秋

    よみちとせ

  • 東京の嫁に自慢の麦秋を

    加良太知

  • 銀髪も尚初々し麦の秋

    すぷ雷人

  • 立ち漕ぎの風はざんざら麦の秋

    天陽ゆう

  • 浜スタの売り子の筋力麦の秋

    くさ

  • 見慣れない色の軽トラ麦の秋

    服部あや

  • 麦の秋ディランの歌声もドライ

    月待 小石

  • 新品のグローブの香や麦の秋

    きなこもち

  • 麦の秋欠伸のやうな牛の声

    菊池克己

  • 海をまだ知らぬ子背負い麦の秋

    浜 友輔

  • 麦秋の一滴錆び猫と為れる

    横縞

  • 馴れ初めし猫の失踪麦の秋

    榊昭広

  • 子を送る坂に始まる麦の秋

    浜友輔

  • 錆びてゆく遺品のミシン麦の秋

    碧西里

  • 麦の秋忍者村まで後二キロ

    浜千鳥

  • 置き去りにされし心よ麦の秋

    林 和寿

  • 麦の秋エコー写真の手は5ミリ

    おたまじゃくし

  • 麦の秋当確のバラ七つ八つ

    青居 舞

  • 麦の秋ねこの肉球においがす

    田村美穂

  • 麦の秋産声三千グラムなり

    風花まゆみ

  • トリミングして麦秋の空あの国旗

    カオス

  • 高圧線微かに揺れる麦の秋

    横山くみこ

  • 麦の秋外を見たいと母は逝く

    kikuti-aya

  • 麦秋や軽くなりたる北関東

    釜眞手打ち蕎麦

  • 野球部の野太き声や麦の秋

    はごろも856

  • 緑児の尿の清らか麦の秋

    菅井香永

  • 麦の秋キッチンカーはたまご色

    日向こるり

  • 寮長が下足かぞえる麦の秋

    菜々の花畑

  • ぶんまわす水彩バケツ麦の秋

    秋野しら露

  • 光・風・水の伽羅色麦の秋

    濃厚エッグタルト

  • 麦の秋犬座り込む肉屋の前

    白井百合子

  • 麦の秋空の要塞めくサイロ

    ろまねす子

  • 新ルート探す放課後麦の秋

    だてまき

  • 競技場に麦の秋の風つよし

    緑茶花

  • 山門や海馬を擦る麦の秋

    141番

  • カフェの名は子どもが決めて麦の秋

    野ばら

  • 夜鴉の鳴きさわぐなり麦の秋

    蘇子

  • 麦の秋病院前のバス停と父

    宮間ミヤマ

  • 麦の秋ロボットののろのろ走る

    羽野あき

  • 山の湯はご近所集う麦の秋

    麗し

  • 新道をオートクルーズ麦の秋

    片岡六子

  • 父の株売り切っちまえ麦の秋

    鷹見沢 幸

  • 麦の秋河原に降りて馬洗う

    森爺

  • 麦の秋アルデンテまで五分半

    みつれしづく

  • ついばみし鳥は何色麦の秋

    福花

  • 麦秋や喪服のやうなスーツ買ふ

    細川鮪目

  • 麦の秋海の向こうを知るジョン万

    豆闌

  • スクーターに袈裟ひるがえる麦の秋

    老人日記

  • 巨大ロボ打て飛べ進め麦の秋

    斎藤さんけん

  • ウヰスキー覗けば麦の秋の空

    新右衛門

  • 山羊の背に子山羊三匹麦の秋

    丹下京子

  • カーナビの声は淡々麦の秋

    そうり

  • 高台の病院通ひ麦の秋

    丸山隆子

  • 祝いたきは麦秋麦秋の国旗

    美津うつわ

  • 麦の秋知らない郷の火見櫓

    いなほせどり

  • 麦の秋までは下ばかり見ていた

    律文不文律

  • 麦の秋お経一行繋ぐ喪主

    福田みやき

  • 麦秋の中に作業の人ひとり

    喜多輝女

  • 取締りはパトカー五台麦の秋

    染井つぐみ

  • 麦秋や「行きたいリスト」を開く朝

    紀友梨

  • 麦秋やスマホに任す薬時

    み藻砂

  • トラクターもランボルギーニ麦の秋

    石上あまね

  • 麦秋の僧の袈裟ほの匂ひ立つ

    比良山

  • 鶏の朝跳ぶ理由麦の秋

    香依蒼

  • 農道はふいと絶ゆるや麦の秋

    しゃれこうべの妻

  • 幸せを拾ふ鴉や麦の秋

    そめいゆ

  • 麦の秋吉のみくじに杜の風

    ヤヒロ

  • 押入れのギターは臭し麦の秋

    藤原素粒子

  • スケッチに帽子忘れて麦の秋

    藤 えま

  • セザンヌの絵具のうねり麦の秋

    姫川ひすい

  • デメテルの髪の豊かに麦の秋

    津島野イリス

  • キャスケット窓際におき麦の秋

    さいたま水夢

  • 閉校の最後の生徒麦の秋

    文月

  • 麦秋やバックナインの熱けいれん

    水越千里

  • ペダル漕ぎ琵琶湖百キロ麦の秋

    清水祥月

  • 壮年の子に言ふ小言麦の秋

    渡海灯子

  • 麦秋や河畔に移動サーカス来

    音羽凜

  • 麦秋や異国の丘は幾つある

    花伝

  • 久々の出社の朝や麦の秋

    いなだはまち

  • マウンドののたうつホース麦の秋

    千歳みち乃

  • 麦秋やたぶん古墳の森ひとつ

    だいやま

  • 麦の秋テラスでロバの耳なでて

    小荒真こひのむ

  • 麦秋の小昼漬け物品評会

    香羊

  • 人は詩を食うて生きるか麦の秋

    沖原イヲ

  • 改装の蕎麦屋の二階麦の秋

    二十八

  • 麦秋や風に蹌踉ける子を支へ

    稲畑とりこ

  • 麦秋やピカソの青き恋の炎

    藤 雪陽

  • 酒蔵の杉玉碧し麦の秋

    雨李

  • 木星が牡牛座に来て麦の秋

    山内 負乗

  • 畦道に六地蔵あり麦の秋

    カバ先生

  • 山一つ越え麦秋のぽんぽん船

    清水 三雲

  • 麦の秋離島一便集ふ波止

    いなほせどり

  • 卒論は「ノルウェィの森」麦の秋

    灰谷素数

  • アスファルト剥げば大地や麦の秋

    でんでん琴女

  • サバ缶を開けて昼食麦の秋

    一日一笑

  • 平幕の髪の結われる麦の秋

    山城道霞

  • 麦の秋銀紙おむすび乱反射

    萩野つき

  • 麦秋や村の人口ひとり増え

    若井柳児

  • 青きまま暮れゆく空や麦の秋

    飯村祐知子

  • 夕闇の溶ける早さや麦の秋

    小川野雪兎

  • 駅前のアース渦巻麦の秋

    黒麹 糀

  • 指にタコ掌にマメ麦の秋

    宮坂暢介

  • レトリバーの黒きくちびる麦の秋

    和山しなもん

  • あをじろきあのひの夢精麦の秋

    蝦夷の子

  • カツサンド初戦突破の麦の秋

    井田みち

  • 旅人のやうに独りや麦の秋

    砂楽梨

  • 街中を世田谷線や麦の秋

    森一平

  • ブルースはまだ早かった麦の秋

    花和音

  • あと1km肺に満ちゆく麦の秋

    干しのいも子

  • ひとつ歳とり麦秋のIターン

    ざうこ

  • たつぷりと筆膨らます麦秋の水

    靫草子

  • 麦の秋母娘は食前の祈り

    孔明

  • 麦の秋ひかりはひとりじめできぬ

    雪音

  • 咥え噛む両切りキャメル麦の秋

    鈴野蒼爽

  • 本棚のほとんどは陰麦の秋

    眩む凡

  • 吾子の背にエースナンバー麦の秋

    富山湾

  • 鬢付けの溶けかかりてや麦の秋

    槌屋藤内

  • 国道の矢印は右麦の秋

    葉るみ

  • 道場へ健やかな風麦の秋

    卯年のふみ

  • 棟上の棟梁立てり麦の秋

    くろけん

  • 打寄せる夕日の粒子麦の秋

    中島 真珠

  • 前撮りは母校の門で麦の秋

    うに子

  • 麦の秋また村長は無投票

    江戸人

  • 保健室に先生いない麦の秋

    杢いう子

  • ペーターとクララとハイジ麦の秋

    すりいぴい

  • 国境を越えゆくバスや麦の秋

    小池令香

  • リハビリは遂にはなまる麦の秋

    山くじら

  • 麦秋を行くパピコのやうなわれら

    夏雨ちや

  • ボロボロの公衆トイレ麦の秋

    小木さん

  • 接待のうどん啜るや麦の秋

    洒落神戸

  • ポンペイにパンの化石や麦の秋

    夏草はむ

  • 沐浴のひかる産毛よ麦の秋

    四季春茶子

  • ソーランの声高らかに麦の秋

    たまのねこ

  • 麦の秋水の備蓄を始めたり

    はっしー

  • 艷やかに跳ねる黒馬麦の秋

    緒方朋子

  • 明治期の廳舍の煉瓦麥の秋

    陽花天

  • 麦秋のゆふぐれ色の馬車の幌

    立部笑子

  • 雲弾く羽音を仰ぐ麦の秋

    吉谷地由子

  • 麦秋のヒロシマ空へ供花七つ

    高尾里甫

  • 麦の秋肺痛むほど吸う清気

    山本たか祥

  • 麦の秋クロワッサンの焦げ苦し

    糺ノ森柊

  • 麦の秋猫はそろばんなど知らぬ

    詠頃

  • 飴色のパイプ燻らせ麦の秋

    桂葉子

  • 麦の秋不易の珈琲300円

    濃紫えみ

  • チェシャ猫の八重歯金色麦の秋

    綱川羽音

  • 麦の秋歩幅大きいノッポさん

    宮武桜子

  • シャンプーも男も変へた麦の秋

    桂子

  • 麦秋の風吸ひ込みし牛の尿

    蘭丸結動

  • 思春期の素直な手足麦の秋

    花南天anne

  • 麦秋の大地やヘリの急降下

    まるちゃんにいさん

  • 麦の秋フェンスを越える球多し

    谷山みつこ

  • あとがきをまず読む癖や麦の秋

    髙田祥聖

  • 失敗もいつか金いろ麦の秋

    原 水仙

  • 麦秋に立ち漕ぎのくるぶし揺るる

    天風月日

  • 犬の毛の今日もはらはらはら麦秋

    古都 鈴

  • 試歩の背な伸ばされるごと麦の秋

    塩の司厨長

  • 大家族の父の休日麦の秋

    田口大寒六

  • 麦秋や馬の扱ひもう慣れた

    たけろー

  • 練習試合バス降りて麦の秋

    叢林

  • ライオンの眠りの深し麦の秋

    久森ぎんう

  • 客が汽車を押す坂ありき麦の秋

    越智空子

  • 麦の秋校舎の影の聳え立つ

    千代 之人

  • 50号をはみ出してゆく麦の秋

    ほうちゃん

  • 麦秋やAIといふ大食漢

    彼方ひらく

  • 病院へ向かう地下鉄麦の秋

    Karino

  • カットした髪むぎあきにひかり落つ

    TAKO焼子

  • ニニロッソのトランペットを麦の秋

    芍薬@独逸

  • ガラスペン音だけ響く麦の秋

    鈴木由花子

  • 納戸より赤茶けたネガ麦の秋

    ユ綺

  • 麦秋や医師の造りし用水路

    華風ルナ

  • 掃除婦の帰宅後の酒麦の秋

    蟻馬次朗

  • 麦の秋ネクタイ緩めカツサンド

    殿さまペンギン

  • 砂利道をチャリのギターよ麦の秋

    無弦奏

  • 観葉植物麦秋のベランダに出す

    西田武

  • 麦の秋喪服の厚き法事客

    古乃池糸歩

  • 話し込む土手の少年麦の秋

    小石日和

  • 引際も大事と店主麦の秋

    佐藤のぶ子

  • タコ山の公園デビュー麦の秋

    山羊座の千賀子

  • 揚々と柴犬の尾や麦の秋

    堀雅一

  • ロケバスののろのろ進む麦の秋

    愛柑

  • 麦秋や幕間に即浅田飴

    山川凛

  • のど飴のさいごひりつき麦の秋

    夕虹くすん

  • 空の果てふいごをしまう麦の秋

    海瀬安紀子

  • 炊き出しのカレーの列や麦の秋

    すがりとおる

  • 登校班に遅れて母と麦の秋

    ふわり子

  • 麦秋や風の形が見える五時

    梨西瓜

  • 藍染の凹凸の襞麦の秋

    刈屋まさを

  • 名物のパン買いそこね麦の秋

    峰 乱里

  • 複線化促進の旗麦の秋

    蜘蛛野澄香

  • けんけんに取り残されて麦の秋

    井上美月

  • エレカシを歌うじてんしや麦の秋

    青空まる

  • 干拓の大きな水車麦の秋

    淡湖千優

  • 麦の秋マドリッドからくるライン

    朶美子(えみこ)

  • 麦の秋洗濯物がいい匂い

    灯野

  • ヒンメリに平和の祈り麦の秋

    水蜜桃

  • むぎあきやいささか遠き診療所

    風慈音

  • つんつんと風の音聴く麦の秋

    みなみはな

  • ピザを焼くこども食堂麦の秋

    くぅ

  • 麦秋や色褪せていく水路橋

    伊藤 柚良

  • 麦の秋飛騨に飛び交う神の声

    石川順天

  • 麦秋のゆふべサドルの冷めゆきぬ

    鈴白菜実

  • あんぱんをわけ合ふ勇気麦の秋

    袋小路 綴乃

  • 麦の秋乳房のしこり探る指

    立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • 古りゐたる一合枡や麦の秋

    落句言

  • 母送る風レクイエム麦の秋

    後藤三梅

  • 目をほそめ耳にさざなみ麦の秋

    小泉泰志

  • 廃屋をアトリエとなし麦の秋

    きょんちゃん

  • サリンジャーと春樹が好きで麦の秋

    蒼鳩 薫

  • 麦の秋ステッキついて笠智衆

    鯛 風

  • 麦秋の土産に玉子焼きサンド

    種田山頭火マークII

  • 進退を決めて酒場へ麦の秋

    鯛 風

  • 江ノ島の見ゆる新居や麦の秋

    みなづき光緒

  • 麦秋の空中ブランコ風を生む

    澤田 紫

  • 麦の秋ジェーン·エアのマナハウス

    一久恵

  • 麦秋やソ満の土にひらふ骨

    寿貢

  • 昼飯の箸は茶の枝麦の秋

    リコピン

  • 麦秋の風よ外宮の参道よ

    山川腎茶

  • 伊予灘へ降る旗あまた麦の秋

    野澤真澄

  • 川船や橋を上目に麦の秋

    相沢薫

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皆さまふるって投句してください。
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