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中級者以上結果発表

2024年12月20日週の兼題

春着

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

◆まずは、この季語の本意を整理しておきましょう。

「春着(はるぎ)」は新年の季語。正月のために新調した晴着、または正月用の衣服を意味します。

 私が子供の頃は、家族みなが新しい下着を着て、お正月を迎えておりました。そんな風習は、すっかり廃れてきたように思います。(少なくとも我が子育ての時代に、正月の枕元に子供たちの新しい下着を用意してやる、なんてことはほとんどありませんでした。皆さんのご家庭では、いかがでしょうか?)


◆ほとんどの歳時記によると、季語「春着」は「多くは子女のそれを指す」とされてきましたが、多様性が語られる現代ともなれば、季語の本意も今後少しずつ変化していくのかもしれません。


◆ついでにいうと、今回、「春着の娘」という句が相当数ありました。「娘」と書いて「こ」と読ませているのですが、この読みは強引です。(「女」と書いて「ひと」と読ませるのも、推奨致しかねます。)

 どうしても「娘」という字を使いたいのならば、「むすめ」と三音で読むべきです。音数の都合で「こ」と読ませたいお気持は分かりますが、「春着の子(こ)」で、十分意味は伝わります。


◆今回の兼題「春着」が新年の季語であることだけは、しっかりと押さえて頂く必要があります。天・地に推した句は、それぞれ正月らしさの表現されていますので、是非参考にして下さい。

 

◆傍題にある「春衣」は、「はるぎ」と読めば新年の季語ですが、「はるごろも」と読むと、春の季語になっているようです。音数合わせで、「はるごろも」と読ませるのだろうと思われる投句もありました。歳時記を確認せず、イメージで季語を使っているケースが非常に目だった今回の兼題でした。


◆「春着縫う」という季語を使った句も幾つかありました。正月に着る春着を縫うとなれば、それは年内の行為ですから、冬の季語であることは覚えておきましょう。

 それに伴っていえば、「春着買う」等も、年内の行為ではないかと思うのですが、いかがでしょう。 


※今回の兼題「春着」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数4793句、投句人数1704人となりました。以下、類想句の一覧です。


類想一覧(選外)

  • 春着着て桃割れの子のはにかみし

    kikuti-aya

  • 春着の娘誓いを込めて弓を引き

    ぽんたちん

  • 駅降りる春着の孫やはにかみて

    内田高雲

  • 可愛くて攫われないか春着の子

    小山 晃

  • 外泊の許可出た母に春着着せ

    とりゆふ

  • 古稀も過ぎ齢重ねし春着かな

    中島 裕貴

  • またもやも鏡の前に春着の子

    一雁低空

  • 叔母着従姉妹着姉着めぐって春着

    吽田のう

  • 春着着て早く脱ぎたしまた着たし

    虎穴虎児

  • お揃いの春着の姉妹駆け出しぬ

    滝美音

  • 母の手に小さき春着懐かしむ

    イガチョフ良一

  • 参道の運動靴の春着の子

    リカ

  • 朝まだき春着装う社かな

    蓮田初老

  • かしこまり氏神様へゆく春着

    あまま

  • 転けぬよう気を張り詰めて春着かな

    正雪

  • 春着の子春着の子抱く母となり

    市橋正俊

  • 母縫いし春着着せてくれるも母

    越前俊水

  • 母縫いし春着はそっと枕元

    俵信

  • 春着着て立ち振る舞いの変化かな

    まりい木ノ芽

  • 新しき下着真白き春着なり

    鈴木すゞ

  • 犬と子の春着華やぐ宮詣り

    dragon

  • 神鶏に追はれ泣き出す春着の子

    松元転石

  • ピカチュウを抱いて春着の子の闊歩

    二十八

  • 三世代着継ぐ春着はたおやかに

    雅 寝子

  • 食べ歩きこれ見よがしの春着の娘

    たていし 隆松

  • 春着きたふたりくぐるや大鳥居

    おんあいす

  • 品作る春着の亜子の指先よ

    菅原ゆう

  • 春着きて家族へ動画メッセージ

    かんこ鳥

  • 声高しおのづと目立つ春着の子

    タケザワサトシ

  • 春着の子汁粉零ぼすもすまし顔

    岡塚敬芳

  • 仮設には春着の子らのキャッキャキャッキャ

    コーヒー博士

  • 日本町歩く春着の子はズック

    駄々

  • おさがりの藍の帯締め春小袖

    理真

  • セピア色祖父に抱かれし春着の吾

    濱本典々

  • 君を待つ春着の襟を整えて

    七日

  • 嫁ぎ来て箪笥に眠る春着かな

    丸山佳子

  • 春着の娘後ろ姿を姿見に

    横山山水

  • 春着着てルルンタくるり廻る子や

    あねもねワンヲ

  • 章脳の香る春着の形見かな

    宇田女deノエル

  • 春着きて別人のよう淑やかに

    ニッシャン

  • 春着着る姪っ子久し二度見する

    黒島海斗

  • 次々と春着きす母古着きて

    嶌田飛鳥

  • はにかみて親のうしろの春着の子

    伊藤 蒼邨

  • 子の寝息春着あたため朝を嗅ぐ

    青みどり

  • 踏ん張りて満員電車春着かな

    斧 的部

  • 初めての化粧むずかる春着かな

    宝塚御殿子

  • とつておきの春着に合はす髪飾り

    もふ美

  • ぶかぶかの草履はたはた春着の子

    Dr.でぶ

  • 今も昔も皆春着のひとときを

    そわかそわか

  • めでたさのなき病床の春着かな

    津木百合

  • 普段はジーンズ内股の春着の娘

    円美々

  • 遺影おき着せた春着に花咲きぬ

    北五帆

  • しつけ糸残りし母の春着かな

    山もと 日月坊

  • 肩上げを下ろし今年の春着かな

    細木さちこ

  • 春着きせおっとっとっとそれだっこ

    小島正見

  • 春着の娘後ろ姿を気にしつつ

    那須のお漬物

  • 晩節も春着仕立てし友いづこ

    鱈 瑞々

  • 濃いルージュちょっと背伸びな春着かな

    飾る

  • 初孫が春着に燥ぐ初着物

    あさぬま雅王

  • 肩上げを少し狭めて春着かな

    acari

  • 祖母の着た着物直してシン春着

    雅屋少将

  • 木漏れ日に春着煌めく石畳

    枡矢書右衛門

  • この春着かつて母着し花模様

    井口あき子

  • 草履脱ぎ跳ねてはしゃぐは春着の子

    卑弥呼

  • 春著買ふ少し大きめ母の愛

    黄黄玉

  • 八十路とて鏡いくたび春着かな

    たむらせつこ

  • 石畳み走る春着はスニーカー

    わたり 和

  • 姪の着る春着を着しは親と叔母

    中村笙平

  • 貧しくもたもと襷の春着かな

    丸山晴耕

  • 氏神へ小さき手合わせ春着の子

    小野陽笑

  • 春着の子等の放る賽銭の音

    西瓜頭

  • 新調の紅き春着に紅き頬

    杜野 ほたる

  • 枕元赤青二枚春着かな

    千葉睦女

  • 肩上げを解いてはにかむ春着の子

    竹村マイ(蚊帳のなか)

  • 不意に手を握り謝る春着の子

    坂本 羊雲

  • 思ひ出は春着の君と二人乗り

    みなみはな

  • 春着なりカメラを睨む吾五歳

    つーじい

  • 折角の春着姿を見せたくて

    小和布

  • 古希すぎて少し派手めの春着なり

    ゆぃ

  • 還暦やピンクの春着地味かしら

    檜鼻ことは

  • 姉弟子の春着や袖にしつけ糸

    春蘭素心

  • 春着脱ぎ胡坐をかくや三姉妹

    谷 道悦

  • 春着きて三度見直す同級生

    豚々舎 休庵

  • 春着とはいつも名ばかり震災後

    我孫子もふもふ

  • りんごあめ舐めて春着の子の笑顔

    おだかずこ

  • 大人びた春着の友に目を反らす

    羊飼いのメリー

  • 陽光の春着に稚児のよだれかな

    毛利尚人

  • 町おこしレトロな春着きて歩く

    ハルノ花柊

  • 春着着しネールアートも賑やかし

    竜眼ジジ

  • 初々し春着の袖に醤油染み

    土佐俳句人

  • 筝曲の発表会の春着かな

    浅井カバ先生

  • 澄まし顔崩して笑ふ春着の子

    紗羅ささら

  • 春着の子トイレの仕方おぼつかぬ

    信濃のあっくん

  • 春着縫ふ母の背中の侘しさよ

    琵琶湖のおばさん

  • 窮屈さ二の次にして春着の娘

    田畑せーたん

  • 退院を迎ふ朝の春着かな

    黒猫かずこ

  • 春着きて母の背丈を追ひ抜きぬ

    菅井香永

  • 喜寿になり春着揃えてはつらつと

    風花

  • 春着紅くって木立では蕾かな

    要睡止

  • 綿菓子のピンクをねだり春着の子

    宇のななみ

  • 春着着て家族総出の日和かな

    卓司

  • お転婆の春着に隠す袖の丈

    バンブー

  • 春着袖押さえ振る旗長和殿

    高辺知子

  • リハビリを終へ春着での立ち写真

    いちすぺ

  • 溜席春着の女の大拍手

    羅美兎

  • ひとりでもかわらぬ春着の鮮やか

    たこ山焼之輔

  • 春着の子足はいつものコンバース

    中 兎波

  • 兄追うて裾に転ぶや春着の子

    谷山みつこ

  • にほひ残る祖母の春着や孫に合ふ

    一歩亭六案

  • 戦禍満つ地球裏側春着満ち

    松本 探句トップ

  • セピアのネガ春着の母幼き日

    向日葵蜜柑

  • 肩上げをおろす頃かな春着の子

    恋瀬川三緒

  • 娘の見立て少し派手目の春着かな

    中井無心

  • 鳥居前小走りで来る春着の娘

    かとしん

  • 長き袖もて余しをり春着の子

    伊藤てまり

  • 髪結いて人それぞれの春着着る

    宮沢 韋駄天

  • 初句会紅一点の春着かな

    福島 昇天

  • 春着跳ねるや吾子の手に御籤

    可部ショージ

  • 正座してスマホ十五の春着かな

    古乃池糸歩

  • 春着の子ぜんまい式の玩具めく

    福原あさひ

  • 芳しき春着映えたる奥座敷

    北山 烏兔

  • 兄ちゃんの春着がいいと膨れ面

    呼幸

  • 簪を揺らし歩くや春着の娘

    松永恕淳

  • 串カツに並ぶ猫背の春着の子

    永田千春

  • 枕辺の春着いくども確かむ子

    おかえさき

  • 春着の子おもちゃ売り場に色を差す

    島陽広

  • 春着着て頬紅潮し砂かぶり

    日向浜

  • 青空の午後を春着の外国人

    小室雅俊

  • その子はたち春着の記念写真かな

    樋口滑瓢

  • 何度でも鏡をのぞく春着の娘

    さいたま水夢

  • 春着着てかしまし三人Vサイン

    夜ノ森ムーミン

  • 寿ぎの声弾みたる春着かな

    前田いろは

  • 取り巻きの春着に迷ふ着付け方

    誠馬ノマド

  • おさがりのまたおさがりの春着かな

    中島走吟

  • 背伸びして咲く花ごとき春着の子

    香取扇公

  • 初春着二十歳の自覚写メ残す

    秋谷 忍

  • しづしづと揺れし袂や春小袖

    今林快波

  • 御端折りのさるる春着やふくれ面

    山口絢子

  • 男衆の春着すがたに二度見惚れ

    風間 燈華

  • 歌舞伎座へ春着の婆らさんざめく

    真咲よしの

  • スマホには皺の消えたる春着の吾

    美年

  • 春着きてお内裏様のごと姉弟

    海猫

  • ひととせを待ちたる春着能登のまち

    一井蝸牛

  • おはしよりで走り出したる春着かな

    うはのそら

  • 春着着てお宮参りと頼み事

    加藤光狗

  • 整えられた春着夜明けの美容室

    三無季生

  • 春着縫ふ留学生に拝まれて

    蘭丸結動

  • 春着きて記念撮影背筋伸ぶ

    荒木響

  • お転婆の春着闊歩す浅草寺

    篠雪

  • 少し派手かしらと春着選ぶ母

    石塚彩楓

  • 春着からげ春着の子を追いかけて

    眠 睡花

  • 春着の裾はずませて行くマチネかな

    ざうこ

  • 昭和の画大発会に春着の花

    みしまちづる

  • 境内に春着の二人はにかんで

    れんげ畑

  • 姉と春着カメラ構える祖父の声

    加納仁桜

  • どうせならお寿司がいいと春着の娘

    花亭五味

  • 爺ちゃん家春着の孫がはしゃぎおる

    スズランチイコ

  • 春着つけタイムトラベル古都の路

    しいなはづき

  • 春着の子並ばせ笑顔母在りき

    PONホンダ

  • ガラポンの列に春着の親と子と

    せいち

  • 我が春着父の形見の大島ぞ

    鈴木古舟

  • 姿見の前を何度も春着かな

    相沢薫

  • 仏前の春着の姉妹かしこまり

    松本厚史

  • 矢を射る春着三十三間堂

    織部なつめ

  • 艶やかな春着浮き立つ芝居小屋

    立野音思

  • 今年も同じ春着生きれた証

    ぐりぐら京子

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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