俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2024年12月20日週の兼題

春着

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 眩しくも春着のひかり一列に

    金海銀葩

  • 傍目にも曰く有りげな春着待つ

    三上 栞

  • 割烹着取りて整ふや春小袖

    楽和音

  • 春着の子なだめる母もまた春着

    藍創千悠子

  • この国に生まれかみしめ春着かな

    埼玉の巫女

  • 春着の子尾根の風車の白い羽根

    大関 邦友

  • 友禅の春着眩しき車椅子

    まるにの子

  • 朝礼の並びにひとり春着の娘

    木村カズ

  • ヴィーナスの誕生のごと春着脱ぐ

    藤井俊季

  • 豚まんに赤い口紅春着かな

    定位置

  • 春着など持たざる家に生まれけり

    今野佑紀

  • 古民家に春着の華の満開に

    いこん

  • お下がりの春着に舞うや金の蝶

    奈良岡歩

  • 春着きて第九を謳ふ者出でよ

    むじーじ

  • お端折りのたっぷりありて春着の娘

    アムゼルえりこ

  • 清しさや若き春着等の来店

    逢來応來

  • 祖父の手を放すとぐずる春着の子

    きいこ

  • 知らぬまま生きるは嫌ね春着あか

    菜々の花畑

  • ニューヨークの真中に春着追い来たる

    そうま純香

  • 伊醯羅童子お詣りしたる春着かな

    舟御前deノエル

  • 筒井筒作務衣と語る春着かな

    広島あーやあーや

  • お抹茶に陽光あそぶ春着かな

    須田爪黒

  • 小宇宙無限の青と春着かな

    奏月 葉音

  • 出発の春着華やぐ始発便

    山尾歩

  • 君のみてほしいは春着だけでなく

    なか かよ

  • お揃いの春着の姉妹仲直り

    ほうちゃん

  • 春着は茶箱へ当座は院着だけ

    藤鷹圓哉

  • 袂振る振るお車を待つ春着

    西田月旦

  • 紅は濃く饒舌多弁春着の子

    風の木原

  • もらわれて市松のやうに春着の子

    熊谷 温古

  • 姿見や通過電車の窓春着

    さぶろう

  • 春着ゆく橋を映して堀の水

    橋本有太津

  • 哲学の道を春着の娘のそぞろ

    林真紗湖

  • 霊験あらたかや石鎚と春着

    石鎚山大三郎

  • 春着置く枕のたかや球子の富士

    成瀬 朽木

  • 急ぎ足春着の匂う講演会

    真喜王

  • 座布団の春着の女優より落語

    山口葵生

  • 待たされて春着の君を許しけり

    空山プラネタリウム

  • あつけなく母の春着の吾に馴染み

    おかげでさんぽ

  • 新しき謡を習ふ春着かな

    後藤三梅

  • 男として生きる違和感春着着る

    松田寛生

  • ひつつめの眼きりりと春着の子

    与志魚

  • 写るたび前髪触る春着の子

    志きの香凛

  • お泊まりを阻む春着の延滞料

    品川雅史

  • バス停や鮮やか春着一直線

    あらい ゆう

  • 春着往く開かぬシャッター続く街

    朋部 琉

  • 幼子や春着の胸のドラえもん

    中村あつこ

  • 春小袖着たまま弾いてみるピアノ

    百卓deノエル

  • 春小袖歓声あげるスタジアム

    伏見丹耶

  • 真つ白なこゝろで纏ふ春着かな

    佐竹紫円

  • いそいそと春着かけたる客間かな

    森重聲

  • 仕付け糸ぷつり春着の輝けり

    ⑦パパ・いつき組広ブロ俳句部

  • シャッターにすわと破顔の春着の子

    富永武司

  • 春着なき子らにバドミントンの空

    空木花風

  • 退院の春着羽織りて待つ迎え

    山本マユミ

  • 春着の夜クラファン一つ絞りポチ

    秋桜みりや

  • 六甲の山際あかり春着の娘

    愛燦燦

  • 仄赤い包帯に替え春着とす

    凪太

  • 開耶媛の絵はさくら色春着買ふ

    るびちゅ

  • 春着きてミニSLを跨ぐ君

    小田毬藻

  • 春着きてこころの淵を遠廻り

    ほこ

  • 春着三つ泳ぎ去りけり裏参道

    あるる

  • 春着脱ぎ床に散らすや花車

    谷川ふみ

  • 飾られしかに店先の春着の娘

    酔下弦

  • 春着着て胸の鼓動のネジを巻く

    トマト使いめりるりら

  • 着る孫も妻の春着も背伸びして

    神酒猫

  • 思い出皆二束三文春着売る

    希布

  • 大社手水をぬぐう春着かな

    足跡新太

  • 金糸銀糸母の香りの春着かな

    亀田かつおぶし

  • バイオリンやさし春着の袖ゆらし

    剣橋こじ

  • 厨の朝春着を選ぶ二階の子

    中川春嵐

  • しつけ糸解くを待てずに春着の子

    千尋

  • 春着着て共に鏡を覗き見る

    新濃 健

  • 春着らの色に圧されている気持ち

    鶴見ツル

  • 反り橋の風に色飛ぶ春着かな

    椋本望生

  • 春着着て正規雇用で家持ちで

    ふくびきけん

  • ちさき手にふれる春着の揺れ姿

    影夢者亜

  • カナ書きの名前入りなる春着かな

    風来坊健丸

  • トンネルの点滅映す白春着

    美月 舞桜

  • ばばばばと言ひて飛びつく春着の子

    亀山酔田

  • 薄紅の春着の内に修羅覗く

    南りぱりこ

  • 小さな手に小さな袋や春着の子

    田村利平

  • 橋立を走り抜きたる春着の子

    トウ甘藻

  • 床頭台に春着のありて夜勤入

    朝宮馨

  • 君に逢うための春着は窮屈で

    小手川とし

  • 茶柱の自由を思ふ春着かな

    刈屋まさを

  • 春着脱がば焼印のよな紐の痕

    らん丸

  • 春着着て部屋から部屋へ里子かな

    奈良の真

  • 石段を登りし春着ふくらはぎ

    伊予吟会 宵嵐

  • 衣紋掛け春着を待って揺れている

    小里京子

  • 気負ふことなき歳となり春着かな

    かん かんし

  • 肩あげの運動ぐつの春着笑む

    冬の土の子

  • 春着より着メロ鳴るやSnowMan

    剛柔

  • 春着の子草履のかかとどめの赤

    あま門

  • 割烹着着けて際立つ春着かな

    風遊び為参

  • 見届ける春着の昇降機の扉

    高橋寅次

  • 中国に着くと春着の紅きかな

    宇野翔月

  • 春着の子遠い追憶押しよせり

    広瀬八重桜

  • 色やさし喪明けて買いし春着かな

    どれみすみ

  • 父も吾も少し照れたる春着かな

    紫水晶

  • 春着の袖に隠す手と繋ぐ手と

    まるかじり

  • 大人びて母の歩幅に春着の子

    羽住玄冬

  • ふるさとの今宵春着の人を見る

    月城龍二

  • ふわふわの姉妹春着のピースサイン

    とはち李音

  • 肩上げの深き春着の肩落ちて

    岬ぷるうと

  • アタック25白は春着の解答者

    坪山紘士

  • ほんのりと妻の春着やミルクの香

    ゴーマ

  • 迷子なり春着の波に飲み込まれ

    コモドドラゴン

  • 千代紙の鶴飛びたさう春着の夜

    足立智美

  • 一献は春着の喜寿へ夫婦箸

    鷹星

  • 春着きて心を放つ心かな

    リーガル海苔助

  • 礼をする春着の姪の所作の美し

    あきちゃんはよーせい

  • 運転の上手な孫の春着かな

    なつめモコ

  • 帯換えて十年振りの春着かな

    鶴岡木の葉

  • 大吉のおみくじ引いて解く春着

    伊ナイトあさか

  • 百の糸の匂ひの春着日の出待つ

    下條ちりり

  • 夢二式美人姉妹の春着かな

    沙那夏

  • ソデヒキとのたり呟く春着の子

    夜野 百幸

  • 会ふまでに春着に似合ふ貌にせむ

    中村想吉

  • 着こなせぬ齢の春着これも良し

    あらかわすすむ

  • 白馬をも目細めたるや春着の香

    喜寿の嵐

  • 玄関の春着明るき遊びましょ

    玉家屋

  • 春小袖あなたが名前書くところ

    水鏡新

  • ほほ笑みがくゞる春着のしつけ糸

    白沢ポピー

  • 実家まえ無沙汰三人春着揺れ

    富士桜花

  • 静寂に春着を映す川面かな

    犬井山羊

  • 加賀の水くぐり五彩の春着かな

    小川都雪

  • 百面の琴百人の春着かな

    中里 凜

  • ハーレーに跨る子けふ春着着て

    空井美香

  • 春着脱ぐ夜の帷に沁む歌よ

    雅蔵

  • 三つに折れおはすや春著きて母は

    ま猿

  • 幼子の春着のままに眠りけり

    水無月 八子

  • あたし今日天使だからね春着着る

    三水低オサム

  • 鳥居ぬけ恋みくじひく春着の娘

    星影りこ

  • 札一間飛ばす細腕春着の子

    だっく

  • うなじからチラとタトゥーの春着かな

    あたしは斜楽

  • 春着の娘チョゴリヒジャブも打ち揃ひ

    コーノ凡士

  • 二丁目の問わず語りの春着かな

    西村青夏

  • 吾子ふたり春着をていねいに畳む

    Q&A

  • 雑踏の空へ袖振る春着の子

    猫またぎ 早弓

  • 母春着着て衿緩やかに普段のごと

    りんごのほっぺ

  • しつけ糸四十番の春着折る

    石原しょう

  • 癌消えて春着より伸ぶ腕と首

    松山松男

  • ばあちゃんの着せる春着の弛みかな

    浩子赤城おろし

  • 吉日にとく紙縒紐春着かな

    川端こうせゐ

  • 貝ボタンつけて春着のワンピース

    さおきち

  • 娘に譲る春着の支度うきうきと

    春のまさ女

  • 春着の子一礼真似る鳥居かな

    ときめき人

  • いくたびも御神籤を引く春着の子

    喜多丘一路

  • 職を得し春着一名精神科

    グーかチョキかグー、長期休暇中(元ぉ村椅子(志村肇))

  • 手話忙し春着の柄の花模様

    野々村澄夫

  • よその町春着の友は目を逸らし

    花咲めだ香

  • 出勤や春着の街へ送り出す

    蜥蜴の尻尾

  • 脱がされるために春着を着るものか

    青海也緒

  • 客役で春着の友と外郎売

    樺山 鴻春

  • 能登は晴裾に傷ある春着なり

    淡湖千優

  • 日のさして春着に扇広がりぬ

    森きやつか

  • 母の手の剥がす春着と足袋と櫛

    坂野ひでこ

  • なんとなく言葉控えめ春着かな

    蛍源氏

  • 膝折りて母の着せたる春着かな

    仲 操

  • 母箸を持てば箸持つ春着の子

    細田裡子

  • 春着着せ吾娘を背負いて華厳寺へ

    横山三水

  • 春着着てアクアリウムのような街

    妹のりこ

  • やはらかに母乳匂へる春着かな

    じゃすみん

  • ファインダーに母娘揃ひの春着かな

    玲風

  • 春着で参道伴侶のエスコート

    藤村 一寿

  • 春着の裾少し持ち上げ境内へ

    どこにでもいる田中

  • 憧憬の簪揺るる春着の子

    玖良咲

  • 紫の考の見立ての母春着

    mayu

  • 二週撮り客席の娘ら春着かな

    青い空加納

  • 教壇に立てばはにかむ春着かな

    風虎

  • 春着脱ぎ溜め息ひとつ過去問へ

    ゆず柴

  • 壮観ぞ手水へ並ぶ春着春着

    弘友於泥

  • なんとまあ婆娑羅なれども春着の娘

    斉藤百女

  • をみなごの春着の裾を憂ふ也

    KOMA

  • 生来の六識汲むや春着重し

    榎美紗

  • 形見てふ春着の三十路海あかる

    福花

  • 革命の女神となりし春着解く

    匹田小春花

  • 春着の子バスの空気のふんわりと

    和住 緋弧

  • 春着着る昭和百年の始まり

    中島穂華

  • 逆転のトライ春着のOB席

    苺井千恵

  • 引き算は離合のナンバー春着の子

    鈴木裕公仁

  • 西口に人待ち顔の春着かな

    ひだ岩魚

  • 春着からですます調のラヴレター

    日月見 大

  • 大盤振る舞い爺双子に春着

    飯沼比呂倫

  • 親子二代花紺青の春着かな

    松沢ふじ

  • 仮住まい箱を掻き分け春着選る

    石岡女依

  • 春着の子母のかゞみと話し中

    太井 痩

  • 春着の子宝石のごと摘むグミ

    居並小

  • 一人だけ春着の従姉ババを引き

    平としまる

  • 折り紙の苦手な子です春着かな

    絵十

  • くたくたの下着隠した春着行く

    京あられ

  • 春着征くロマンスあとからついてくる

    森無田

  • 初顔の爺に手を振る春着の児

    村上 継鳥

  • よちよちとあやつる春着は金ボタン

    阿部油

  • 色違いの春着けんかの姉いもと

    沢 唯果

  • 春着の娘(こ)行き交ふ街の新しき

    ピアニシモ

  • 春着の子帰りは迎へ来ると云ふ

    碧萃生

  • 赤格子黄格子妹の春着かな

    源早苗

  • 初絵馬にひらがなおどる春着の子

    近藤マタネ

  • 玉砂利の音や春着の裾模様

    川蜷

  • 春着の子四五人揃ひ手庇す

    丹波らる

  • 二歩下がり犬の手を取る春着かな

    八一九

  • 大層な年になりそな春着かな

    ナオコ タイラー

  • 姿見に微笑み返し春着の子

    中田邦光

  • 春着着た姉を喜ぶ弟が

    甘泉

  • 待つ人の好みと知つて此の春着

    蓮田つばき

  • 笑ふとき「ほ」の好もしき春小袖

    美竹花蘭

  • ピカチュウがおしっこしたと春着の児

    佐藤茂之

  • 来客を迎えて春着紅さして

    竹の子

  • 観音へ敬語おぼえて春着の児

    謙久

  • 春着満ち気付き逃げ出す専用車両

    ムシ・ミカミ

  • 遅れ毛を弾ませてみて春着の子

    ハンマーヘッド会釈

  • 婆さまの春着おごそか紫苑色

    よみちとせ

  • 日々同じ記憶重ねて着る春着

    沢井如伽

  • 成田山親の春着で二人連れ

    平川一空

  • 割烹着携え春着婚家訪ふ

    峰泉しょうこ

  • タッチダウン立って弾ける春着の娘

    田辺ふみ

  • 春着着て往けば春着と引き会へむ

    松本独り

  • 喪にぬれて眺め入りたる春着かな

    小春風 幸

  • 箸はこびままならぬ子の春着かな

    石塚碧葉

  • はじめての顔はめパネル春着の子

    嶋田奈緒

  • 春着着て笑窪のままの元子役

    黎明

  • 父の背にだらりと眠る春着の子

    きべし

  • 新調を夫の気づかぬ春着かな

    かぬまっこ木ノ芽

  • 巴里の灯の揺れる簪春着の娘

    大阪ひろしま菜

  • あねいもうと駆け出しそうな春着かな

    卯之町空

  • ほろほろと春着の膝のくづれけり

    男鹿中熊兎

  • 従姉妹らも同じ撫で肩春着の子

    花和音

  • ほろ酔い婦春着は粋な黒コーデ

    君塚美蕉

  • 異邦人となり春着のチマチョゴリ

    文茶影

  • 呼んでない春着の一家訪ね来る

    くずもち鹿之助

  • 宵の雲春着わづかに湿りつつ

    西野誓光

  • 襷とり春着写真へ急ぐ母

    紙谷杳子

  • 猪口つまむ今宵春著の満二十歳

    はなだ杢

  • 遠ざかる灯油のメロディ春着ぬぎ

    夜之本紙処

  • 傘寿なり朱き春着の最終章

    つづきののんき

  • 喫茶きりんの前で春着の子の撮影

    月岡方円

  • 今年こそ少し派手目の春小袖

    アントワネットdeノエル

  • 足止めて春着に見惚れ丸の内

    三須渓迷

  • 春着着て柩のははの真顔かな

    田口大寒六

  • 顔剃りて春着の袖に埋まりぬ

    紅三季

  • 目尻さげ吾見る夫よ春着着る

    さがみ湧水

  • 人去りし後の静寂や春着脱ぐ

    剛海

  • ヤクルトカー引いて春着とすれ違う

    素因数分解

  • ハンドリム回す春着の手の凛と

    多数野麻仁男

  • 含羞みの倅が連れ来春着の子

    みらんだぶぅ

  • 春着着て見るものすべて美しく

    香田ちり

  • 表札がふたつ春着の子がふたり

    山田蚯蚓

  • 朝食に見慣れぬ母の春着かな

    堀雅一

  • 賽銭の横顔のきみ春着かな

    櫻心

  • 軽トラの助手席でんと春着の娘

    安春

  • はにかむや病棟の吾子春着着て

    羽柳武助

  • かあちやんが刀自と呼ばるる春着かな

    堀口房水

  • 金髪も銀髪もゐて春着かな

    釜眞手打ち蕎麦

  • 粗衣裸足仁王の前の春着かな

    小林土璃

  • スキップの片手にワイン春着ひらり

    小橋真梨子

  • 挨拶の嫁の春着を褒めにけり

    杉尾芭蕉

  • 古箪笥母が愛した春着かな

    風谷エクレア

  • 朝七時春着の妻の爪清ら

    駒村タクト

  • とりあへず回つてみたる春着かな

    海峯企鵝

  • 世界に色有りき咲いたのは春着

    窪田ゆふ

  • 変声期の正月小袖柄は菊

    メディックス千里

  • 白檀の香るあいさつ春着客

    霧賀内蔵

  • とりどりの春着のピザめきてをるや

    群多亡羊

  • 拭き上げし車に待てる春着の子

    ふにふにヤンマー

  • 退職も配転もイヤ春小袖

    舟端玉

  • そよ風や目映き春着バスへ消ゆ

    山田翔子

  • 議事堂へバツジを付けし春着かな

    木寺 仙游

  • 春着着て恋の相談する神に

    高田 ちぐさ

  • 春着着て父を訪ねる西病棟

    中村すじこ

  • 春着着て嫁の居場所の厨かな

    伊藤順女

  • 通過せしホームに咲きし春着かな

    かこよし

  • 盤の駒春着に擦れてご破算に

    みのやん

  • 新色の紅粧ひて春着とす

    サツキトラヲ

  • 紋様の垂るる吊革初衣装

    ゆりのいろ

  • 春小袖婆の背丈の母になる

    四丁目

  • バラナシのみな春着着て沐浴す

    山中えいみ

  • 駅隅がぽわわり明るき春着の娘

    花彼岸

  • 十七の階埋める春着かな

    青柳修平

  • 胸元にあてて見得切る春着かな

    猪飼篤彦

  • ヨーヨーのように春着の子の歩く

    梅鶏

  • 六法を胸に橋ゆく春着の子

    渡辺桃蓮

  • 三人の足揃いたる春着かな

    緩木あんず

  • 無愛想に言祝ぎ申す春着かな

    うめやえのきだけ

  • 靴底の溝はデザイン春着の子

    やまもと葉美

  • 鼻歌とスキップ弾む春着かな

    渡辺 小豆

  • 春小袖や温泉街で会う女性

    瀬野広純

  • 春着の裾やや上げていく国技館

    こみやふるる

  • つまずけば春着の裾に糖花かな

    亀田蝸牛

  • モーゼの娘人込みを割る春着かな

    深澤 健聖

  • むつからずよくもお辞儀の春着かな

    岡崎佐紅

  • 三姉妹花の半衿春着かな

    森里綾里

  • 三十路なる妹の柩へ春着掛く

    まるちゃんにいさん

  • 玉砂利の音はすずやか春着かな

    入口弘徳

  • 春着着てスマホ修理を待つ時間

    宗平真実

  • ロゼワイン掲ぐ七十の春小袖

    たけぐち遊子

  • 右前にスマホ差し込む春着の娘(こ)

    明神おぼろ月

  • 黒黒黒ばかりの車両に春着

    村田益次郎

  • 子の春着見てより夫の落ち着かず

    高橋風香

  • 春着の子角をそれたり元の町

    佐藤位相朗

  • 車より色のこぼれて春着の子

    冬乃子

  • 春着てふ拘束ものともせぬ姪よ

    江良 中

  • 見得を切り賽振る母の春着かな

    野瀬藻石子

  • 鳴る靴のピコピコ跳ねる春着の子

    ももたもも

  • 焼杉の塀の合間の春着かな

    也和

  • 五か月の腹ふっくらと春着かな

    えいぎょ

  • いつもの山を母と見る春着かな

    大和田美信

  • ひとり居の春着ひと日読書に費やせり

    細葉海蘭

  • カレーうどん啜る君吾の春着振る

    立石神流

  • 春着撮るパパにスマホを向けるママ

    キッカワテツヤ

  • 吉原の遊女のごとき春着かな

    風友

  • 独り居のお膳に座る春着かな

    渡海灯子

  • 春着に隠す父の好きなじゃこ天

    柴桜子

  • 純金の売り値確認いざ春着

    HNKAGA

  • 拝殿に春着の吾子の反りかへる

    ほしのあお

  • 春着着て田舎教師の香りかな

    ウラッキー

  • 整える春着に母の矜持あり

    河村静葩

  • ゴム跳びの子らを傍目に春着の子

    野州てんまり

  • 大ホールにウィンナワルツ春着客

    みやざき白水

  • バス停に並ぶ一人だけの春着

    虹岡思惟造

  • 新妻の派手な春着や義母好み

    森 佳月

  • 本裁の春小袖の子背くらべす

    じゅんこ

  • 廃校となりし母校に立つ春着

    山香ばし

  • 群がって雑誌立ち読みする春着

    大野美波

  • 春著着て母の手製の布簪

    ルーミイ

  • のぞみ号春着の袖の紙袋

    青木豊実

  • 色鉛筆転がりやすし春着の子

    加藤ねずみ

  • 青が好きな幼なの春着空の色

    宗平圭司

  • お下がりの春着へ母の足す刺繍

    原 水仙

  • 女には女の夢の春着かな

    種田ランチぼち

  • 「赤い靴」くちずさみゐる春着の娘

    藤井桃圓

  • 縁結守に春着の娘ら弾む

    むらぴ

  • 仏間にて眠る春着の双子かな

    林廉子

  • 暗がりに脱いだ春着の笑い皺

    千葉右白

  • 祖母は来て春着を替えて午後となる

    松岡倬伺

  • 参道にはしゃぐ春着の背くらべ

    鳥乎

  • 膝で解くだるま弁当春着の娘

    木村隆夫

  • 春著きる夫の眉毛の白髪立つ

    伊藤柚良

  • モノクロの写真春着の子の喜憂

    まっちゃこ良々

  • 単線のドアからピョンと春着の子

    水蜜桃

  • 幕末の志士は嫌いな春着の子

    風早杏

  • ゆっくりと過ごしたしとて脱ぐ春着

    もりたきみ

  • スマホから流れる歌や春着の子

    白井百合子

  • 夕闇や春着の白は白きまま

    だん がらり

  • 会釈てふ習ひ麗し春着かな

    円路

  • 脱ぎたれば心も解けし春着かな

    松葉学而

  • 春着の子カレーうどんをづるづると

    栞虫かじり

  • きらきらと春着があなた選ぶのよ

    瓦 森羅

  • ペンギンのネクタイだけの春着かな

    石本新香

  • 師匠着る春着に白き衿と足袋

    藤本秋蝶

  • 快晴や春着の母のしなやかに

    やまさきゆみ

  • 着飾りし一人っ娘抱き我が春着

    地球人

  • 糸くずを弾いて今朝の春着かな

    ウロ

  • 春着脱ぐ自由へかるき吾のからだ

    宥光

  • 春着の子皆の笑顔にへの字口

    立田鯊夢・いつき組広ブロ俳句部

  • 鶴舞ふ箏爪春着の手の白き

    東田 一鮎

  • シャンパンや春着褒め合ふクラス会

    日向こるり

  • 玉子焼きかまぼこ掴み春着の子

    櫂野雫

  • あどけなき胸の豊かさ春着の子

    月影 重郎

  • ひらひらと石段降りる春着かな

    太之方もり子

  • 吊り革へのばす春着の腕の色

    野村齋藤

  • 春着着て母の遺影の前に立つ

    笑詠化

  • 手書き添へ娘から春着や身に馴染み

    服部勝枝

  • やれやれや春着を脱ぎて時計見る

    原貼女

  • 一族を束ね春着の祖母の芯

    古川一光

  • めでたさも桃色春着母卒寿

    橘散里

  • よくしやべる春着の隣金ボタン

    亀田荒太

  • こんにちはと大き挨拶春着の子

    咲弥あさ奏

  • 春着乗せ新手袋の運転手

    寺尾当卯

  • 春着の子折り目正しき風の吹く

    村瀬ふみや

  • 連れられて春着を買いしあの市場

    大阪駿馬

  • 歌舞伎座のイヤホンガイド春着かな

    じょいふるとしちゃん

  • 師と弟子と鶴亀謡ふ春着かな

    悪七兵衛

  • 闊歩する春着にブーツの二十歳かな

    村上薫

  • めでたさの句会へ春着若菜色

    泉晶子

  • 四十余年春着の少女還らざる

    星埜黴円

  • 頬紅の一刷毛多き春着の子

    植木彩由

  • 春着の子さつそく猫を抱きにけり

    永井無々

  • やはらかに白寿の春着纏ひけり

    小川しめじ

  • 吹く風や春着をなぞるみどり髪

    清水ぽっぽ

  • 春著着て遊びほうけた髪をして

    中山月波

  • 青空を見上ぐ春着に不死の鳥

    三尺玉子

  • 初春着二十年後の君を想う

    弓田 孝高

  • 外つ国の人の集まる春着の子

    田畑 整

  • 三姉妹の春着うめももさくら柄

    赤坂みずか

  • 賑やかに路地に散らばる春着の子

    角田 球

  • 衣紋かけ孫の春着のしわ愛し

    池 閑茶

  • 春着にて二種のブローチ右に鳩

    沖庭乃剛也

  • ジョン・レノン春着姿のオノ・ヨーコ

    星夢 光風

  • 春着きて揃ふ一族松の梁

    小石日和

  • はんなりのまだぎこちなき春着かな

    ななかまど

  • 染み残る春着やだけど好きなんだ

    桐山はなもも

  • 三姉妹吾だけお下がりの春着

    文月あつみ

  • 春着の子スポーツカーを置いて来る

    白庵

  • 全身で振り鳴らす鈴春着の子

    坪田恭壱

  • 簪に稲穂を付くる春着の妓

    宏楽

  • 千十五段登るも嬉し春着乙女

    津軽まつ

  • 通りすぎまた振り返る春着の子

    中島尚之

  • 窓口は春着ずらりや佳き昭和

    津軽わさお

  • 神棚に拝みし春着の姉妹かな

    増田楽子

  • 祖母の待つ年に一度の春着の子

    桃香

  • 人出ありぽこと浮き出る春着の子

    川屋水仙

  • 春着の娘真っ赤な紅をくれという

    とんぶりっこ

  • 大吉を当てて春着の有頂天

    野々原ラピ

  • 背ナに負ふ春着の吾子の重さかな

    草夕感じ

  • 母に見せ父にも見せる春着かな

    塩野谷慎吾

  • 春着の子草履とワルツ奏でたる

    吉沢樰

  • 週末の雨を覆せよ春着

    高市青柘榴

  • 人ごみの春着の渦に憂いあり

    白井佐登志

  • 裾摘まみエスカレーター行く春着

    王朋亡

  • 赤姫のやうな春着の御空かな

    中岡秀次

  • 新しき前歯生えかけ春着の娘

    木村となえーる

  • 見繕う春着手に取り二三着

    山本葉舟

  • 春着きて習い始めのキラキラ星

    安曇 平

  • 春着の子はねひらくこと羽化といふ

    イサク

  • 厨ごと終え春着にて寿げり

    後藤玉泉

  • 春着舞う射的場干支撃ち落とし

    町神

  • 樟脳の香に背筋伸ぶ春着かな

    飯沼深生

  • 病室の祖母に見せたら脱ぐ春着

    澪那本気子

  • 春着きてオルガン奏す碧眼の君

    陽花天

  • 片言の挨拶伏し目春着かな

    山海動静

  • 着せらるる母の好みの春着かな

    佐藤さらこ

  • 春着の子座卓を時計回りする

    月出里ひな

  • 帯締めに黒きリボンの春着の娘

    富良里旅人

  • 春著着て待つ指先の揃ひけり

    ミカンスキー

  • 改札をゆくも拙き春着かな

    京野さち

  • 春着は矢絣糺の森は霖

    升 丁茶

  • 寅さんと春着の人が五六人

    青星ふみる

  • 猫ひろう場所に春着は番いだす

    酒井おかわり

  • 春着着て復興半ば力水

    川辺世界遺産の居候

  • 滑らせてぬぎし春着のぬくもりよ

    どいつ薔芭

  • 笑い声して介護施設の春着

    花はな

  • 赤と白境内奔る春着かな

    勇魚志朗

  • 一斉に走れば春着の子の速く

    豆柴

  • 歩き方教はりてをり春着の子

    和泉攷

  • 姑も嫁も春着に割烹着

    空流峰山

  • 春着の中身からこんなにもタオル

    八田昌代

  • 入店は頭かしげて春着の子

    うすい木蓮

  • 歓びのかたち春着の転ぶとき

    大黒とむとむ

  • 初重ね帯を解けば姉妹かな

    柿司 十六

  • 参道の石粛として春小袖

    かつたろー。

  • 春着の娘彼の神籤を覗き笑む

    林 和寿

  • えだ枝に小さき紅の春着かな

    花とわこ

  • 妻として選ぶ春着の聴色

    海野青

  • 留袖の睦む鳳凰春着かな

    嶺乃森夜亜舎

  • 人間の春着と人形の春着

    柊琴乃

  • 春着にもあるさ右利き左利き

    荒 一葉

  • 飼い猫に遊ばれている春着の子

    ねむり猫

  • すれ違う春着同士の交わす笑み

    一井かおり

  • 青天や背に春着の縫目立つ

    黒子

  • 駅ピアノ全身で弾く春着かな

    三崎扁舟

  • 何十年ぶりや春着の気恥ずかし

    仲間英与

  • 三年を見越して縫ひし春着かな

    田邉真舟

  • 春着つどふゆるやかに皆歳かさね

    やっちゃんち

  • 春着踊れば光のワンテンポ余る

    四條たんし

  • 「可愛い」はいもうとばかり春着憂し

    山田不律

  • 叱られて鶴のうつむく春着かな

    葦屋蛙城

  • 一年の病臥のあとの春着かな

    砂山恵子

  • サザエさんちめく春着の家族写真

    天陽ゆう

  • 大吉よ春着の指で御籤ひく

    風の鳥

  • 右袖の皺も愛しき春小袖

    さとう隆明

  • 晴天の和傘くるりと春着かな

    ヒロヒ

  • 春着きて笑みを浮かぶる徴収課

    上津 力

  • 春着ごと酔って屋台の女達

    青山ちひろ

  • 小走りの春着と春着駅の香よ

    立川茜

  • せんべろのデート春着ぞ午後三時

    國本秀山

  • 角帯もやや様になる春着かな

    瓢箪鮎

  • 白寿の祖母白杖と春着の白し

    円谷琢人

  • 其れらしき春着の二人夜の街

    いなほせどり

  • 出勤は春着カルトンそっと置く

    夏目あかり

  • 帯直し襟裾直し春着の子

    巳智みちる

  • ばあちゃんの呉れた春着やみずの色

    こま爺

  • 独身の最後の年の春着かな

    みやかわけい子

  • 東京の主役となりたくて春着

    あらい

  • ゆるやかなシャトル空振る春着の子

    円海六花

  • 地球儀の中に春着を置いてきた

    綱川羽音

  • くれなゐの春着真白な願ひごと

    長谷機械児

  • 黄揚羽の羽化めく匂ひ春着かな

    森野みつき

  • 銀ブラや四人「春着」で待ち合わせ

    笑姫天臼

  • 春着の子動物園の入口に

    松本笑月

  • 晴々と春着の人になりにけり

    髙橋弓女

  • 春着の子風吹く街は日暮れ時

    林口竹

  • マニュキュアを忘れて春着まるめる手

    登盛満

  • ねえゆっくり歩いて春着なんだから

    ほしの有紀

  • 肩あげの春着のしつけ糸しゆるる

    佐藤儒艮

  • 三代をつなぐ春着や総絞り

    リコピン

  • 諸人こぞりて春着の二年坂

    松高法彦

  • 音羽屋をオペラグラスの春着かな

    黒澤墨青

  • 山伏のやうに春着の子の闊歩

    白プロキオン

  • 春着の娘アキレス腱のストレッチ

    山下水音

  • 城山の庁舎に入る春着の娘

    君島笑夢

  • 春着は白クラーク像の指す方へ

    村上甘雨

  • 明け方の色の浮きだす春着かな

    秋田俳楽

  • やったのはおがかばっぱか春着の染ミ

    イシデ電

  • エプロンを夫に譲りて春着かな

    西村小市

  • 春着出勤灰皿洗い免除

    美津うつわ

  • 赤き花春着の刺繍いま盛り

    桂葉子

  • 晴れ晴れと歩く春着の一の宮

    とも子

  • 半襟の刺繍は徹夜春小袖

    椿 佳香

  • 成人の春着溢れて能登半島

    美濃仙人

  • 総絞り祖母伝説の日の春着

    感受星 護

  • 襟外しうどん啜りし春着かな

    外鴨南菊

  • 茄子紺の母の春着や婦人会

    金子泰山

  • 紅引いてそのまま春着ごと笑う

    馬場めばる

  • 春着から溢れる色と空の青

    沖乃しろくも

  • 無き袖を振りて春着の一張羅

    大内ひろりん

  • 春着の祖母グループホームの掲示板

    金田庭園

  • 棄てられぬ春着遺影は笑うのみ

    佐東亜阿介改め境沢一千雄(富豪軍団)

  • かちくりのよな大家族春着撮る

    吉田竹織

  • 終電や五軒目も酌む春着ども

    むさし野まさこ

  • 失恋の友の自棄酒脱ぐ春着

    月見里ふく

  • 引き揚げの祖母の仕立ての春着かな

    塩風しーたん

  • 母は召すその名春着といふ偽薬

    遠山比々き

  • 悪疫退散の輪をくぐる春着

    テレシア

  • 春着解く厨の姉に見せぬまま

    鈴白菜実

  • 五味坂を上る家族の春着かな

    哲山

  • 終わりなし春着の娘らの恋ばなは

    望月ゆう

  • 春着きてかりそめやまひ忘れたり

    どすこい早川

  • 母の香はまだ陽だまりに満ち春着

    本村なつみ

  • 喜寿の母流れるやうに着る春着

    えりべり

  • 頭数増えて春着の腕まくり

    始の子

  • 明日は晴れ衣桁に鶴の春着かな

    とんぼ

  • 春着行くパステルカラ-青い空

    橋本諒駿

  • 陽に映ゆるパラドックスや黒春着

    菅田斑猫

  • じわじわと鼻緒くい込む春着かな

    野原 華

  • 生意気な娘でしたと春着の娘

    岡田道一

  • きゆうくつに春着きゆうくつな車両に

    郡山の白圭

  • 太陽の甘き香りの春着かな

    睦月くらげ

  • 春着着て姉の笑くぼのより深し

    林としまる

  • 春着着てさるぼぼ買ひに宮詣

    森一平

  • 皺深き手にはネイルの春着かな

    美んと

  • はらはらと春着のままのかくれんぼ

    わたなべ☆いつせい

  • 石柱の文字なぞりをる春着かな

    立山穂高

  • 引く神籤はるぎの袖に隠し見る

    上津 嘉子

  • 君待つ駅へプリーツスカートの春着

    絵夢衷子

  • 亡き父の春着で坐る父の席

    おおにしまこと

  • ビル街に一人春着のひかり帯び

    田村ヒロミ

  • 大島に半幅合わせ春着とす

    田村 宗貞

  • 春着着て入る押入れもういいよ

    わぎゃん

  • 華やぎし一時は過ぎ春着脱ぐ

    川口里山

  • 物の怪の脱皮のやうに春着ぬぐ

    野点さわ

  • 琴の音を褒められている春着の子

    藤本 仁士

  • 春着脱ぎいつもの妻となりにけり

    堀邦翔

  • 神の目をしのび春着の裾なほす

    沙一

  • 裏地にも蝶の刺繍の春着かな

    斗三木童

  • 春着きて纏ひつく猫もう居らず

    小池博美

  • クラス会春着に紅と度胸あり

    藤源卿

  • はにかむを覚えにきびの子の春着

    ひなた和佳

  • 引き算の愁ひ装ふ春着かな

    山田季聴

  • みなとみらいぞ動く歩道を春着たち

    篠田ピンク

  • 春着きて厨で習う襷掛け

    平野水麦

  • 狛犬の笑ひかけたり春着の子

    村木年子

  • カンバスを買ひに春着の襟真白

    ひでやん

  • 平坦のみちに躓く春着かな

    案浦エミリー

  • 足袋先の急く石段や春小袖

    棗椰子(なつめやし)

  • 巳の刺青袘に隠るる春着の娘

    千鳥城.いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • 鼻をくすぐる赤のモヘアを春着とす

    しばのおはる

  • 強烈な打鍵音春着震わす

    虎堂吟雅

  • 朝電車船漕ぐひとの春着かな

    釋愚拙

  • 百段をゆらゆら上る春着の子

    やまだ童子

  • 春着の二人恋御籤見せ合うて

    竜胆

  • 昼も過ぎ春着の来たる喫煙所

    五味海秀魚

  • 草野球春着でのぞむ始球式

    千和にの

  • 溜席正面春着のセレブレティ

    井納蒼求

  • 柏手に揺れるピアスの春着の娘

    水間澱凡

  • 春着の児レンズの前で欠伸する

    南全星びぼ

  • 春着きし子らの煩き平和かな

    乃の

  • 春着の子身上げの皺は気に留めず

    ミント・スチュワート

  • 不機嫌に手足突き出し春着の子

    一走人

  • 犬の眼の輝きの先春着あり

    haru_sumomo

  • 春着着てひねれば違う水の音

    松坂 コウ

  • 流れたる春着の人の渦の中

    小夏

  • 挨拶の春着は母が決めた紺

    たけうち晴美

  • 春着の子お下がりの是非講釈し

    神谷篝火

  • 春着着し妻また口説きたくもなり

    神谷史記

  • 伊達競ふ春着席巻ニューヨーク

    畑中幸利

  • 春着の日晴れ空広し西子湾

    蔵書室主人

  • 熱心に納豆かます春着の子

    香山浩

  • 老ゆるとも夢見る人や春小袖

    阿曽 遊有

  • 急かされて春着支度の朝鏡

    三島ひめばしょう

  • 春着揺れ夫婦守もつられ揺れ

    兎野紫

  • すれちがふ春着のひとと合ふ視線

    無弦奏

  • 四姉妹分の春着や義母曰く

    飛来 英

  • 浪人生今日一日の春着かな

    秋野木吾

  • 賑やかに春着は昇るスカイツリー

    楽花生

  • 気がかりを畳み春着を広げけり

    大岩摩利

  • 袖二つ裾三つ折りの春着かな

    しんしん

  • 口紅もネイルも真っ赤春着の娘

    加賀くちこ

  • 真っ直ぐな背骨春着の襷かな

    吉川花ほっぺ

  • 十五の吾十五の春着捨てぬ祖母

    大 広秋

  • 野育ての娘の春着は闊歩する

    辻󠄀勢

  • 公園に爆ぜる春着の砂まみれ

    あたなごっち

  • 韓服(ハンボク)の春着韓服のエプロン

    紗藍 愛

  • お花の稽古たすき掛けして春着の娘

    まろのり

  • ただ一人春着の中のドレスの娘

    八尾の正吉

  • 晴れやかに春着と春着褒め合へり

    常磐はぜ

  • 壁向いて春着の憂い脱ぎ落とす

    早足兎

  • 半襟の裏に母の名春着の娘

    滝上 珠加

  • 春着には白いうさぎの笑顔あり

    上村茶娘

  • 眉間に皺歩幅小さく春着の子

    太田けいこ

  • 手術衣を脱ぎて春着の妻となり

    榊昭広

  • 去年の皺なぞりて羽織る春着かな

    田中一升

  • 新妻の春着はすでにタスキ掛け

    北乃薫衣草

  • うつむけば春着の膝や神楽鈴

    香田 野分

  • 春着婉美にエスカレーター上がる

    翡翠工房

  • 初衣装羽織袴のよだれ掛け

    天道虫

  • みそかすの意地の見せ場や春着着て

    夏 しのぶ

  • 我が春着古鏡すら曇りなし

    彩桜里

  • 日の丸のお子様ランチ春着の子

    洒落神戸

  • 職場には春着の二人ひとりは吾

    増山銀桜

  • 春着フォト褒められ直る機嫌かな

    峰 乱里

  • 石山へ春着は紫紺手に『源氏』

    みなづき光緒

  • 春着脱ぎ捨て独りの鬼ころし

    ユキト

  • 春着脱ぎいつもの妻に戻る家

    杉柳才

  • 潔ぎよき柄を今年の春着とす

    こうだ知沙

  • 銀座裏クラブ春着の智恵子抄

    春風流士

  • 春着着て母六度目の年女

    松本こっこ

  • 口元のチョコかソースか春着の子

    水豚庵

  • 曇天を割るいとけない春着かな

    織 紫子

  • 頭を獅子に噛まれて笑ふ春着の子

    渡嘉敷五福

  • エレベーター降りて春着に散る光り

    染野まさこ

  • あろうことか「おかあさま」とは春着の子

    となりの天然水

  • 輪投げして狙ひ外さぬ春着の子

    ふじかつとび

  • 饒舌が無口となりぬ春着の子

    さぶり

  • 陽も風も春着に優し雲流る

    鳳凰美蓮

  • ひらがなの願いごとする春着の子

    菅野まこ

  • 迎え討て厄年三十路の春小袖

    月石まちこ

  • 霊山の土産も包み春着の荷

    夕虹くすん

  • うらないに頬杖つきて春着かな

    京有楽草

  • それぞれのルージュにとりどりの春着

    水京

  • 教へ子の羽化のまぶしき春小袖

    山崎千晶

  • 浮世絵の緻密な淡さ花小袖

    TAKO焼子

  • 母の眼に映す七十二の春着

    中根由起子

  • かしこまり茶席に座る春着の子

    からすちゃん

  • 大吉を春着の腕の掲げをり

    スモールちもこ

  • 帯跨ぎつつ解き放す春着かな

    戸口のふっこ

  • てくてくと春着ひかりを集めをり

    夏風かをる

  • 春着の子客間の戸より見えてゐし

    おかだ卯月

  • 春着きて授与式をみつふりかえる

    恵翠善

  • お手玉も薄桃祖母と春着の子

    井田みち

  • 貝桶の春着纏ひて顔合わせ

    篠川 翠

  • 春着着て肩甲骨のすつと立つ

    そら

  • 蝶のごと部屋から部屋へ春着の子

    夢見昼顔

  • 次々と春着繰り出す回転扉

    高田杏

  • 喪が明けて春着の夫が吹くノクターン

    紅のジーナ

  • お勝手を塞ぐ春着の二三人

    天風月日

  • 弦弾く春着の媼能舞台

    オアズマン

  • ファミレスに春着の群れの高笑ひ

    平本魚水

  • 古春着上書きされていく記憶

    蝦夷野ごうがしゃ

  • 婚約す訪ふる春着の子のまぶし

    よこいちやこ

  • 裾上げの生地余りある春着

    渡辺香野

  • お局に酌してもらふ春着かな

    Early Bird

  • 我が心映して鏡春着かな

    玉川 徳兵衛

  • アップルパイ提げて家路の春着かな

    ぎんやんま

  • 次の子に買うかもしれぬ春着かな

    野中泰風

  • 日だまりの優しさ眠さ春着かな

    壱太

  • ストロボの光とらえて春着かな

    一ノ瀬なつめ

  • 春着着てラインの声もよそ行きに

    増田 昂

  • 水御籤つんつんと取る春着の子

    家守らびすけ

  • 午下りひとり春着のしつけ解く

    acorn

  • しれっとした顔で渾身の春着

    一慎

  • 坂上る春着ニケツのリアシート

    大谷 走郎

  • ダメンズウォーカー卒業して春着

    満る

  • 始発電車春着一人の四人席

    芝歩愛美

  • 濃紺の杜を木漏れ日めく春着

    小豆白虎

  • 行列に「春着春着」とひとりごつ

    北爪いく葉

  • つつましき春着十八噂好き

    正念亭若知古

  • 春着に前掛跪坐で打つ相槌

    西川由野

  • 尖りし娘春着陽気なちんすこう

    紫小寿々

  • まだ乳歯あるのよ春着似合うでしょ

    朱鷺9条湯八

  • 独り居となりて春着の縁遠く

    梓 渓

  • 春着の姪抱きて小さき小さき父

    八十六九

  • 友達は武士の子孫ぞ白春着

    井上鈴野

  • 他人行儀の黙あの子は春着

    天照昭光

  • 名奉行めく着くづれの子の春着

    一斤染乃

  • 久方の娘の春着遠ざかる

    青海葉月

  • 蝶牡丹鶴御所車、春着たち

    佐藤ゆま

  • 純白の春着の母は御柩の中

    杼 けいこ

  • 松竹梅鶴亀おわす春着かな

    国東町子

  • 国家試験心に春着祈願かな

    笹間明明

  • 階を五百段ゆく春着かな

    宮武濱女

  • 行きつけの春着のママへまづ一献

    立川猫丸

  • 夕暮れや春着の襟の浮き沈み

    まこちふる

  • 妻の癌小康となる春着かな

    よかわもりお

  • 姿見を飛ぶや春着の飛翔鶴

    黒蜜かりんとう

  • 牛乳をちやんと見て飲む春着の児

    もりさわ

  • 常香炉の香りとともに春着脱ぐ

    慢鱚

  • 独り着て独り愉しむ春着かな

    ほんちゃん

  • 新色に染まる紅筆春小袖

    竹内ユキ

  • おしやべりは隔世遺伝春着の子

    わおち

  • 光差す社員カードに春着かな

    黒田栗まんじゅう

  • 拳上ぐスポーツ観戦の春着

    森中ことり

  • 「写真撮りま~す」裾すぼまりにする春着

    加藤栗庵

  • 助手席の春着パールロードの眩し

    星詩乃すぴか

  • 春着の子耳のかたちは祖母譲り

    佐野亦山

  • 麻痺の手を袖に隠して初衣装

    ふくろう悠々

  • もも色のかんざし揺らす春着の子

    藤井かすみそう

  • 札を取り春着の袂凌ぎ合い

    ふみ

  • 潮風を受ける春着や坂の町

    井上れんげ 広ブロ新入部員

  • 春着照るエスカレーター戌の寺

    島田ポン吉

  • 春着の背正し恩師との再会

    陽光樹

  • 裾軽ろきインバウンドの春着かな

    大塚迷路

  • 春着ごと抱き上ぐる子の重さかな

    浦野紗知

  • はにかみて春着の嫁の耳白し

    高本蒼岑

  • 友だちにクッキー焼いて春着の子

    梵庸子

  • 春着の娘あけの鐘待つ兜町

    野田遊水

  • 春着の子ラメたつぷりと地下ライブ

    吉谷地由子

  • 春着の子行き過ぎてより雨となる

    倉持くらもん

  • 父兄参観春着の母のすまし顔

    雨霧彦(木ノ芽)

  • 颯爽と遠回りする春着かな

    田中美蟲角

  • 瑠璃色の春着しつけも取らぬまま

    砂月みれい

  • 孫にまで似合ふと言はす春着かな

    みうらけんじ

  • 青空や袂に雲の春着着て

    森葉豆

  • 太ってる猫が春着を飛び移る

    小公園噴水

  • 島春着銀の簪黒髪に

    いとう香り子

  • 担任の春着気づかぬやうに過ぐ

    なしむらなし

  • 教わつた日のこと春着たたみけり

    野地垂木

  • お地蔵の着付け直す子春着着て

    伊江かつじ

  • そばかすの靴屋の娘春着着る

    哲庵

  • 父に付き春着は愛でられて参る

    うた 歌妙

  • 一途なる血の巡りたる春着かな

    広瀬康

  • 春着着たままカラオケ行ったってよ

    髙橋花紋

  • 春着の子あそぶ春着を着ぬ子等と

    錆田水遊

  • スーパーに春着の女魚購い

    夏の町子

  • 所作教へながら春着の帯締める

    日永田陽光

  • モノクロの写真と同じ春着かな

    玉野文

  • 春着の吉祥文様弾む坂

    岩鼻 のこ

  • 春着のぎうぎう神宮前歩道橋

    林りんりん。

  • 春着の娘ホームの祖母に頬寄せて

    あなうさぎ

  • 待ち人来ず媼の厚き春着かな

    朗子

  • 春着の子降りてモノクロめく車両

    みやま千樹

  • ストール赤し三割引きの春着

    岬りこ

  • 今日彼をふってやるんだ春着いざ

    蜜がけまやこ

  • 普段着のままに春着の友の家

    西郡うり

  • 前後泣かされ春着の姉妹写真

    松山めゐ

  • レジ打つや鼻緒うずきたる春着

    海月のあさ

  • 両手広げ坂の上から春着来る

    秋星子

  • 襟足のおくれ毛黒く春着の娘

    むったん

  • 脱走牛追うは春着の娘かな

    宇佐美ミズク

  • 翅ひらき羽化のやうなる初衣装

    ぶうびい

  • 靄のたつ朝市祈る春着かな

    長操

  • 吉祥を結ぶめく春着は薫る

    大和田 よつあし

  • 春着らに車内の温度華やげり

    いさな歌鈴

  • やわらかなビル風まとい春着ゆく

    狷狷亭猩々

  • 地味色の春着ノンシャランと孔雀

    佐川碧

  • 夜勤明け私は着れなかった春着

    墨川杏太郎

  • 明日は晴れ衣桁に妻の春着かな

    香依蒼

  • 風追ってストライダーの春着の子

    丁鼻トゥエルブ

  • 祝樽居並び春着迎へけり

    ろまねす子

  • 春着にはショパンの音色が良く染みる

    梨山碧

  • 石鹸の匂ひ若やぐ春着かな

    はぐれ雲

  • 都大路春着の弓は上りをり

    豆はな

  • 境内で豚まん口に春着の娘

    浜 友輔

  • 明るめの紫選ぶ初重ね

    ひすい風香

  • 春小袖しなふ手首の駅ピアノ

    千歳みち乃

  • 星空へ春着スマホは置いて出る

    青井えのこ

  • 春着着て五尺ニ寸の影伸びて

    森の真林

  • ウィーンフィル世界配信春着の日

    和泉穣

  • ばば様の春着姿や「日は、入日」

    小倉あんこ

  • 酣で春着帰ればみな帰る

    木村深夜

  • 春着きる明日は嫁ぐ日ひとりっ子

    桜月夜

  • 鳥と似てゆくや春着の母老いて

    龍田山門

  • おずおずと進む泥路の春着かな

    伊沢華純

  • 鈴の緒をゆらす春着の袖ゆれて

    露草うづら

  • 母の指身上げの糸を抜く春着

    あらいすみこ

  • 南座を出づる母娘の春小袖

    ジン・ケンジ

  • 春着着てあけぼの色の坦々麺

    春野ぷりん

  • 鳳凰の母の振袖春著とす

    星月彩也華

  • 浅海と空の境に春着の子

    楊梅江風

  • 縄跳びに揺れる春着の裾回し

    むねあかどり

  • 春着きてニュースは今日の晴れ予報

    古瀬まめねこ

  • 春着きて献血す君のおほらかさ

    花水木

  • 春着着て浮き橋の下覗きおり

    酔蚊眼

  • 春着から春着へ渡す手紙かな

    葉ざくら

  • デコトラのように春着のハレーション

    六浦筆の介

  • 父は逝き母には言へぬ春着欲し

    たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • ゆっくりと歩くを競う春着の子

    ぜのふるうと

  • ふるさとの曲り角から春着の子

    四方うみ哉

  • エルメスと同じ絹糸初重ね

    アニマル可秘跳

  • 水色の春着を纏い神戸まで

    里山子

  • 春着の子鳥居の足元マック食む

    五十嵐 三連単

  • 仕付け取る春着の身幅余りけり

    麗し

  • 春着の手預金紙幣を数へをり

    佐久凡太郎

  • この年は春着に侍る影ひとつ

    阿万女deノエル

  • 八十年前の戦を知る春着

    佐藤烏有

  • 肺活量話す春着のアスリート

    清仁

  • 写真館へ父母従へて春着の子

    野ばら

  • 兄と見まがひぬ春着のおとうとを

    渋谷晶

  • 春着の子胡蝶の如くとびまはる

    愚老

  • 春小袖緊急呼び出し患者診る

    老人日記

  • 肩上げの右上がりなる春着の子

    どくだみ茶

  • シャンパンに濡れる春着の白き袖

    富山湾

  • 夜勤明け春着の子らとすれ違ふ

    太平楽太郎

  • 息吸へば春着の帯のきうと鳴り

    キートスばんじょうし

  • 合掌の春着の裾の凛と張る

    細川鮪目

  • ぎこちなき春着並んでゐる茶房

    江口朔太郎

  • 妊りて正月小袖の面映ゆし

    谷町百合乃

  • けざやかな春着の人に振返る

    山内彩月

  • 青空や袖を振りつつ春着の来

    はれまふよう

  • 春着着たままに乗り込む救急車

    坂本宙海(そおら)

  • 春着の娘見守る老父脚細し

    千曜 桜

  • 春着着てメシアはここに笛を吹く

    たか

  • 春著着てにこりともせぬ写真かな

    富山の露玉

  • 春着の子気恥ずかしくて舌をだし

    吉田春代

  • 背に小言三つ四つ残す春着かな

    てるきち

  • 春着みな折り目清しく畳まれり

    明後日めぐみ

  • 十歳の春着の歌うのど自慢

    山川土時

  • 春着の子雀のやうに跳び回る

    ひろ志

  • 名古屋巻き崩れラメ散る春着かな

    紅紫あやめ

  • なまはげの立像睨む春着の子

    飯塚煮込

  • ぐずる子を春着のみずいろごと背負ふ

    越智空子

  • 喜寿なれば花柄選ぶ春着かな

    森 毬子

  • 春着の人の群れとなる朝の駅

    鳥田政宗

  • 写す娘も写される娘も初衣裳

    森爺

  • 母と子の春着置いてけぼりの父

    岡田雅喜

  • 畳んだり掛けたり着たり春着かな

    風花美絵

  • 春著の子鳥居に一礼するを知る

    杜まお実

  • 参拝の列におきゃんな春着達

    吉武茂る

  • 誂えの春着は四つ身育ちませ

    なみは

  • 春着の子言葉遣ひも畏まる

    白猫のあくび

  • 行きずりの人に褒められ春着の子

    渡部克三度

  • 参道の遠くあの子の春着かな

    月石 幸

  • モノクロの写真の春着は紅なるや

    鈴木来穂

  • 参道のペコちゃんも笑む春着かな

    竹春エリザベス

  • 箱根駈る母校の色の春着かな

    唯野音景楽

  • 百蝶の香と仕草めく春着の来

    沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • お揃いの春着の毬のてんころろ

    青野遊飛(蚊帳のなか)

  • 肩上げの母の針目の春着かな

    つまりの

  • 還暦も二十歳も春着初ライブ

    蘂六

  • 亀甲柄の帯をキリリと春着の娘

    雨李

  • ソファーへと宝づくしの春着の娘

    桃園ユキチ

  • 福の「ふ」の如し春着の袖振れば

    宮下ぼしゅん

  • 葛藤を取りはらいたる春着かな

    松山茜柑

  • 春着なり外国製のチョコレイト

    青水桃々(俳句迷子の会)

  • うなじ脱毛して襟を抜く春着

    となりの天然石

  • 春着の吾カメラの父の声優し

    はごろも856

  • 婿殿へ母のこさへし春着かな

    風花まゆみ

  • 春着走る開門のフェリー乗り場

    狩谷わぐう

  • マブダチ逝けり翳りに吊るす春着

    きゅうもんde木の芽

  • 娘一家を迎へ脱ぎたる春着かな

    鷹見沢 幸

  • 春着着て乳かオシメか泣きやまぬ

    馬門宗太

  • 赤恋し春着の紺は早すぎて

    鳥羽南良

  • また母の名で呼ばれをる春着かな

    深山むらさき

  • 春着てふ羽織の紐のゆるる朝

    風蘭智子

  • 草履柄くつしたプラプラ春着の児

    風薫子

  • 春着児の背伸びトイレと小さき声

    内田ゆの

  • クリクリの天然パーマ春着の子

    sol

  • 切なさや春着ばかりを褒められて

    中原柊ニ

  • 天パーで鳥居に抱きつく春着の子

    寺尾向日葵

  • 春着の娘二段飛ばしのスニーカー

    さとう昌石

  • 突然の雨に春着のあたふたと

    豊岡重翁

  • 高彩度春着四人の高き声

    村上熊子

  • 辿々し衣擦れの春着の笑顔

    叶田屋

  • 日の出づる国に生まれて春着の子

    夢雨似夜

  • 神社への道のり遠し春着の子

    咲 まこ

  • 門口を陽だまりのごと春着の子

    若井柳児

  • 赤本と眼鏡たたみて春着かな

    森脩平

  • 百歳や春着を飾る母の居て

    聞岳

  • 春着来て3Dカメラの空旅

    上村 風知草

  • シフト了え春着の娘らとすれ違う

    ふゆの都々逸

  • んだ。だっぺ。言えず無口な春着の子

    さくら悠日

  • 半色して君に逢う春着かな

    蓮井理久

  • 憂鬱も良しとす春着しゃんと着る

    春那ぬくみ

  • くるくると茶筅春着のお嬢さん

    古都 鈴

  • 髪際のきずはももいろ春着の子

    宮坂暢介

  • ベランダから見るお隣の春着のボン

    西町花冠

  • 入院の祖母に見せたき春着かな

    花星壱和

  • 婚活や紅掛空色の春着

    一寸雄町

  • 潮風をかまぼこ色の春着かな

    雨野 理多

  • 捨て値なる春着の袖の染みも愛し

    西村 棗

  • 春着脱ぎまづ子ら走るはや遠く

    宇都宮駿介

  • 口くわえた襷に春着さあ一射

    諫鼓苔深

  • 金彩も古き染みさへ佳き春着

    冬島 直

  • 行き付けの暖簾をひょいと春着の背

    しゃれこうべの妻

  • 春着の子誰が心を攫うのか

    そまり

  • 逝きし娘の春着箪笥の一番上

    カリヨン

  • 声はじく園児一列春衣かな

    余熱

  • 膝くづし衣桁の春着みあげをる

    飯村祐知子

  • 春着眠る家族の記憶蓄えて

    高重安眠

  • 次子抱っこ長子ひっつき春着かな

    大竹昭子

  • フチありの写真春着の一家かな

    仲村夏子

  • 春着にてゴムひも跳んでゐたりけり

    黒麹 糀

  • しずしずとそそぐ塗椀春着の子

    うに子

  • 春着らの集りて人見知りの犬

    ツナ好

  • 末孫へ祖母の春着の色深し

    電柱

  • 膳の前父も春着にあらたまる

    玉響雷子

  • 太鼓橋の水面ヴィヴィット皆春着

    鳥不驚

  • 袖振れば羽ばたく如し春着の子

    柚木みゆき

  • 春着の子坂を上れば東尋坊

    海音寺ジョー

  • 春着着る吾子をお空に放り投げ

    藤永桂月

  • 取札をじつと見据ゑる春着の子

    花見鳥

  • 着せ合って女の部屋の春着かな

    西町彰子

  • 勝手口手伝ふ子らの春着かな

    云々 美雲

  • 吊り革に手が届きそう春着の子

    松田迷泉

  • はらはらと見遣る春着の箸使ひ

    火炎幸彦

  • 春着袖押さえマルゲリータ食らふ

    久米穂風

  • 片言の五七五や春着の子

    さとうナッツ

  • 春着着て母に増えゆく物忘れ

    杏乃みずな

  • コロッケの列にさらりと春着かな

    山城道霞

  • 手毬寿司で口紅守る春着の昼

    八光地蔵

  • 春着選ぶレトロな母の新しき

    丘るみこ

  • 義母着せたる春着に初心重ねけり

    有野 安津

  • 瓶の蓋春着の今日はか弱き娘

    綿鍋雪

  • 快晴や春着の千鳥ひょいととぶ

    横縞

  • シーソーへ連れてゆかるる春着の子

    みつれしづく

  • 帰省荷の底の底から春着かな

    喜田紫陽

  • ままならぬ襷の袖の春着かな

    そぼろ

  • 着付師の十名をりて春着着る

    美織

  • 改札をくぐれば反射する春着

    たけろー

  • ジーンズと並んで歩く春着かな

  • 君に馴染む春着と夜に馴染む吾

    団栗あんパン

  • 「転びなや」婆が手を引く春着の児

    橋野こくう

  • 常香炉の煙くるりと春着の子

    広木登一

  • 賓頭盧の膝も摩りて春着かな

    清水 三雲

  • おつかいと小花散らしの春着かな

    一港

  • たむろする春着の娘高笑い

    髙見艀舟

  • 夜勤明けナースの春着萌黄色

    佐野明世

  • 肩書をなくして老いの春着かな

    加藤多作

  • 春小袖袂押さへて買ふ切符

    音羽凜

  • 地下鉄の窓がときめく春着かな

    灰田兵庫

  • 村香る春着やパリの雑踏へ

    reion

  • 躊躇わず野良黒猫を抱く春著

    塩の司厨長

  • 風わらう渾名やめてと春着の子

    夏椿咲く

  • 春色の春着畳んで枕元

    ふみづきちゃこ

  • 三脚の出番となりて春着かな

    ナタデココ

  • ハネぬよう敷石たどる春着たち

    南波舟

  • 長靴と傘たずさえて春着の子

    北村 崇雄

  • 春着手に右だけのパールのピアス

    井上美月

  • 獅子像のまなざし背に春着の子

    斎藤三藤斎

  • さんざめく雀賑々春着きる

    おおいし 陽葵

  • かんざしを挿す手の白き春着かな

    夏川三木子

  • 半世紀前の春着のあざあざし

    あみま

  • 懐紙摘む指さへ白し春着かな

    鳴海沓子

  • 市場のにほひ春着の列に消えにけり

    つくも果音

  • 揃ひたる靴の待ちおる春着かな

    吉野川

  • 不器用な姉に着付けをせがむ春着

    伊丹漱螺

  • アパートのどこか春着の客のあり

    熊のまさきち

  • 百年の写真と同じ橋春着

    山中 あぎ

  • 抱き取りし腕に重き春着の子

    空心菜

  • お転婆は春着の下に隠しけり

    はれみちる

  • 生真面目に憩う春着の揃う居間

    中島 真珠

  • はっちゃけて弾ける裾の春着かな

    ゆきなごむ

  • 神様と夫に見せる春小袖

    関津祐花

  • 袖まくりラーメンすする春着の娘

    くさ

  • かがり火に染む頬隠す春着袖

    弥勒夕陽

  • 春着の娘なんだか壁のある距離よ

    鶴富士

  • 祖父に娘と見紛はれたり春着の子

    福井桔梗

  • おとそつぐため息三つ春着の児

    水木合歓

  • 先をゆく羽のやうなる春着かな

    きのえのき

  • 嫁ぐ姉春着の色の悲しけく

    くぅ

  • 吉凶を笑い飛ばすは春着の子

    みたまん

  • 噛み合わぬリモートあいさつ春着きて

    吉永那夫子

  • 春着より透明な手の垂れてゐる

    羽梠鴇人

  • どこぞより箏の音色の春着かな

    巣組龍虎

  • 春着の子鐘を鳴らして楠公さん

    きょんちゃん

  • 参道のたこ焼き目当て春着の子

    沼宮内 かほる

  • 祖母の着付け春着の帯に挟む指

    西野桃果

  • そこだけが目映い色よ春小袖

    秋葉 翠

  • プロフィール写真に赤い春着かな

    原神かたな

  • お賽銭奢るよ春着着てるしさ

    彫刻刀

  • 厄年を吹つ飛ばさむと子に春着

    白子ポン酢

  • 手をひろげはるぎの子になるあと五分

    寺尾ロゼッタ

  • 春着著てマナーモードのスマホかな

    田辺富士雄

  • カラオケのマイク離さぬ春着の子

    露崎一己句

  • 春着着る鏡の中の母の顔

    辻本四季鳥

  • 春着の衿はちょこんと若草色

    尚茶

  • ああでもないこうでもないと子の春着

    夏山栞

  • 春着追ふ春着は逃げて捕まらず

    一日一笑

  • フルートを舞台構ふる春着かな

    布村 柚子

  • 訓示聞く社員の視線春着かな

    入道 まりこ

  • ほくそ笑む父は無口や春着の子

    ふわり子

  • 「大吉」の胸にふくらむ春着かな

    花南天anne

  • 長患ひ春着にとおす細き腕

    加藤水玉

  • 春小袖バニラが香る新十両

    立町力二

  • けふだけは径ゆづり合ふ春着かな

    坂口いちお

  • 福袋最後尾着く春着の子

    おこそとの

  • 着信の春着の自撮り写真かな

    菊池克己

  • 春着の子左で箸を使ひけり

     銀 次郎

  • おさがりが流行りの色になる春着

    白眼 緑照

  • 子と孫を先ず誂へし春着かな

    伊藤なおじい

  • 迂回せむ春着の友のゐる広場

    蜘蛛野澄香

  • よく懐く犬にしり込みする春着

    猫ふぐ

  • 白襷の通し矢めざす春着かな

     蔵原 貢次郎

  • 春着着て生けし枝先の凛なり

    霧 澄渡

  • 抱きあげて御空に高し春著の子

    渡辺宵雨

  • 名と同じ色の春着や継ぐ娘

    坂本雪桃

  • 口角を上げて春着の美容院

    白石美月

  • ひだり、みぎ、サンバステップ、春小袖

    阿部八富利

  • 春着の娘グリーンレモンの香りかな

    吉 や

  • はずむ指ひらく春着の畳紙や

    むい美縁

  • 春着買ふ帰路の天使のはしごかな

    浅乃み雪

  • 木漏れ日の子供病棟春着かな

    山尾政弘

  • 春着でいらっしゃい私の生前葬

    水瀬曜

  • 短すぎる髪はいじらず春着かな

    さ乙女龍チヨ

  • 終電ややがて始発は春着の香

    西風 心鏡

  • 廃校の灰色二十歳らの春着

    28あずきち

  • 新妻の畏まりたる春着かな

    冬野とも

  • お食い初め袖から小指春着の子

    桃姫

  • 母と子の春着の柄の揃ひをり

    槇原九月

  • 手の甲のえくぼは四つ春着の子

    古賀

  • 挨拶を返してくれぬ春着の子

    藤井赤童子

  • 口紅を落とす手の甲春着の子

    ゆすらご

  • 三歳の春着を抱けば乳臭し

    赤尾てるぐ

  • 自然遊歩道をひとり春着の子

    小木さん

  • 満州より戻りし祖母の縫ふ春着

    満生あをね

  • 初重ね辰巳芸者の紅の色

    まきうち祐

  • 足湯だけ春着の娘一人旅

    白山一花

  • 真白きコートふわり春着の留学生

    空 ひろ

  • 弾かるるみづの如くに春着の子

    恵勇

  • ひねもすや春着の匂ふ祖母の家

    木村ひむか

  • 吉凶を結ぶ春着の子の背伸び

    広島じょーかーず

  • 春着の子三人運ぶ慎重に

    神島六男

  • 弟が姉に見惚れし春着かな

    天王谷 一

  • 赤青黄鈴緒翔びつく春着の子

    本久優千

  • 髪結ひてぴょこぴょこ歩き春着の児

    家古谷 硯翠

  • お下がりで無くてはにかむ春小袖

    赤尾実果

  • 同窓や春着揃いの鬼太鼓

    彩 詩充

  • 父の両腕へ春着の妹ふたり

    鈴野蒼爽

  • 春着の子薄化粧して納棺す

    はるく

  • 花柄の刺繍なぞらるる春着

    帝菜

  • 通勤の駅三人連れの春着

    はなだんな

  • 通りざま刻薄な目に春着どち

    中嶋奈緒子

  • 春着着て父の彼女を待つ座敷

    ふもふも

  • 弧を描くゴール春着の歓声

    松浦 姫りんご

  • 妹は春着お姉ちゃんはジャージ

    へな☆けん

  • 同盟の母娘証の春着かな

    森2五歩

  • 春着の子顔のサイズの髪飾り

    宇佐美好子

  • 春着の娘薄茶点前の震えつつ

  • 春着の子と呼ばれはにかむ春着の子

    秋野しら露

  • 会う会わぬ春着の内が思案する

    楽椿

  • 黙座する所作も映える春着の子

    黒田 修一

  • 春着の子すずめのごとくちゆんちゆんす

    木ぼこやしき

  • 逝く人の遺す指輪と春着かな

    羽衣ノエル

  • 顔見世のはにかみつつの春着かな

    祐 紀杏里

  • 垂乳根の体型目立つ春着なり

    北美三風

  • 石けりや春着の吾子は青い鳥

    千代 之人

  • 春着出す母左手の指輪跡

    ちょうさん

  • ゆふぐれの春着は垂れてあらはるゝ

    藤原素粒子

  • 春着脱ぐ身に四等星くらいの温

    いりこのにゃらつめ

  • 扇振る熱海芸妓の春着舞い

    玉響海月

  • 白髪の若々しくて初小袖

    白神ハムサンド

  • あぐら座にストンと春着他愛なく

    須川えい

  • 欠伸して舌を出したる春着かな

    たいらんど風人

  • じゆかじゆかの春着の袖や海の色

    空地ヶ有

  • 春着着て女優気取りのけふひと日

    池田  凜

  • 春着の妓深きうなじの眩しかる

    能研ショテカ

  • 幕間のロビーを咲かす春着かな

    久えむ茜咲

  • 初舞台震へながらに春着の子

    石原由女

  • 助手席の娘春着で眠りをり

    案山子<いつき組広ブロ俳句部

  • 会食の春着で上がる摩天楼

    佐藤知春

  • 春着の子父のかげよりお辞儀せり

    於大純

  • どう、いいね幾度春着の道すがら

    西田武

  • スキップを真似して次女の春着かな

    高永 摺墨

  • 春着脱ぐ嫁てふ牢獄から脱す

    大久保加州

  • シーソーへ早く早くと春着の子

    ヤヒロ

  • 牌つかみ義姉鼻歌の春着かな

    こきん

  • はじめての舞台ウッドベースと春着

    ちびつぶぶどう

  • 春着のお隣さん今朝は会釈だけ

    清松藍

  • 大空に羽を広げるやう春着

    城内幸江

  • 帯留めを無心に選び春着へと

    岡田瑛琳

  • 春着着て重い茶箱の一番町

    竹令呑

  • めでたやな春着まとひてたもと酒

    くちなしの香

  • 結ひ上ぐる髪が痛いと春着の子

    伊藤恵美

  • 空席の車両に春着敢えて立つ

    高岡春雪

  • 復興のニュース見ている春着かな

    土井あくび

  • 手を振ってまた着崩れる春着かな

    山崎なお(season1_了)

  • 家系図をていねいに書く春着の子

    藤里玲咲

  • 人形のまなざし優し春着の子

    武蔵野青空

  • 控えめな神さまと会う春着かな

    卓鐘

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