【佳作】
割烹着脱いで春着の揃いたる
くろべぇ
春着一行スカイツリーを上昇す
三浦海栗
薄紅の春着勇まし駅ピアノ
だがし菓子
ロザリオの揺るる胸もと春着の子
月見柑
百二歳春着の中に埋もれをり
素数
春着買う日本橋には空が無い
天雅
それぞれに船を待ちたる春着かな
磐田小
春着かな姉は嘘泣き上手かった
三隅 涙
溥儀・剣・地球儀・教義・釘・春着
九頭龍 一鬼
これでもかと吉祥厄年の春着
島 白椿
くじ当てる春着一粒万倍日
ちくりん
清らかにかんざしの鈴春着駆く
多々良海月
春着着る写真の前で着る春着
戸部紅屑
弦音の余韻に匂ふ春着かな
村岡花風
背もたれへ春着もたれぬまま渋滞
深紅王
清水の舞台春着の三姉妹
東原桜空
ふくふくと大阪締めの春着かな
さく砂月
引き潮や沖の鳥居へ春着の子
坂 由美乃
撫牛の膝艷やかや春着の子
佐藤志祐
叔母様の春着ハーブのほどよき香
Kかれん
春着の子ときどき神様もゐたり
水須ぽっぽ
またも立ちどまり春着の吾子を撮る
ふくじん
マツキヨのマニキュア試す春着かな
栗山おかか
みづうみに春着を浮かせられますか
高遠見上
平和とはむかうから春着の三人
あが野みなも
揺るぎなき春着の一射ど真中
満嶋ハト
美しき春着あしたを疑はず
ふじこ
しつとりと絹の重さの春着かな
糸川ラッコ
枕元の春着の甘き匂ひかな
大地緑
ほんたうのわたし春着にかくまひぬ
あまぶー
柏手に揺るる春着の松竹梅
兵頭紫峰
出戻りの娘晴れやかなる春着
森 日美香
めでたさは重たさ春着からんころん
嶋村らぴ
帯結ぶ音きよかりし春小袖
有村自懐
ピンマイク着けて春着の鎧めく
秋津穂 実
春小袖みな不動尊前に下車
須磨ひろみ
お互いの春着を褒めて渋谷の日
百瀬はな
手触りを味わひて衣桁へ春着
亜桜みかり
祖母に聞く母のこと春着たたみつつ
伊予素数
ゆきたがふ金の春着や五十鈴川
高原としなり
ご報告に天神様へ春着かな
東 湘輝
鎌倉や春着でつつく鴨せいろ
火星ラジオ
春着の君我が無精髭からかふな
河島 八々十
福神も厄神も神初衣装
すずなき
父だけの病室走る春着の子
谷本均
兄弟子が仕付をほどく春着かな
幸田梓弓
蝶の舞う春着ひ孫へ引き継がん
万里の森
春着まず社務所の猫に御披露目す
うみのすな
さざれ石へ拍手を打つ春着の児
八幡風花
春着きる掛軸の鳥はばたきぬ
青居 舞
春着着て善哉かをる休憩所
みづたま
タラップを降りて春着をはためかせ
藤咲大地
新妻の春着の紋は丸に蔦
立ち漕ぎブランコじゅん
人生ゲーム春着の陽子には勝てぬ
池内ときこ
クーペ乗り込む春着の君のこむら美し
渥美 謝蕗牛
帯締めの違ふ双子の春着かな
渡邉花
幕間のざはめきこもる春着脱ぐ
平野芍薬
すんと芯整つてゆく春着かな
卯月紫乃
タクシーへ春着の腰を回し入る
長谷川水素
春着きて清しく的を射ぬきけり
にゃん
やはらかき橋の曲線春小袖
瓦 すずめ
春着の娘インタビューする娘も春着
余田酒梨
銀座千疋屋より零るる春着
靫草子
春着の子豊穣祈願の弓つがふ
香羊
颯爽と春着の一家迎へたる
ことまと
ラーメンの列にふたりの春着かな
くみくまマフラー
畳紙を解きて春着は羽化したる
アンサトウ
花いちもんめ乞はれてゆくは春着の子
北村 環
東映の波にこわごわ春着の子
成瀬源三
袖通す春着に姉の匂いかな
渡部 あつし
札勘の袖の邪魔する春着かな
小笹いのり
春着きて団地がいつもよりぼろい
公木正
鳩の眼の昏きに揺るる春小袖
桜鯛みわ
通勤の新幹線に立つ春着
いたまき芯
畳まれし春着畳紙の窓に花
武井 超凡
春小袖ローマは奈良のような街
まぐのりあ(蚊帳のなか)
射的屋に吸い寄せられる春着の子
笑松
義母となる人と春着の神谷バー
木公男8888
春著きてわかれ話だらうなあれ
古瀬まさあき
娘に春着着せてうだつの上がる街
柳絮
半襟は梅の刺繍や喜寿春着
千の葉
ステージは春着の波や琴五艘
東山すいか
春着の一団があんまん買うて行く
る・こんと
天神様へ春着の袖の影きよら
亘航希
宇治橋を来る春着よりさみづの香
ノセミコ
割烹着脱いで春着の妻若し
くつの した子
合羽橋まで出てしまふ春着かな
さるぼぼ17
春着だし多分赦してくれるでしょ
ヒマラヤで平謝り
金婚の春着の母を褒めし父
津軽ちゃう
ペキニーズ両手に妻の春着かな
酒井均
赤子蹴る蹴る蹴る春着着せ難し
若林くくな
白檀や客の春着のうすみどり
佐藤レアレア
しうとめの春着ずいぶん華美だこと
岡根今日HEY
来たるバスの春着のなんといふ密度
勇緋ゆめゆめ
先導の春着馬上に一礼す
けーい〇
客として肉まん買いに行く春着
山姥和
仕付け糸抜きし春着は息を吐き
在在空空
フリースローざんと決めたる春着かな
清水縞午
朝ミサや春着の母と春着の娘
アロイジオ
春着らのかさばりおうてゐる厨
島田雪灯
仏壇の写真春着のものに替へ
山本先生
しゃらしゃらと光を鳴らす春着かな
笑笑うさぎ
用終へて二時間次女のなほ春着
百瀬一兎
春着の子柄杓にそえる手の清し
富佐野ほろよい
丸めるもうれし春着のしつけ糸
水きんくⅡ
春着の子春着の子らと待ちあわせ
おのまい
たとう紙の窓やすずめの春小袖
秋白ネリネ
風やはし春着の鶴のはたたきぬ
たーとるQ
カナッペを並べる母の春着かな
蒼空蒼子
瀬戸の香の小舟春着は男木島へ
土佐藩俳句百姓豊哲
春着きて逆さ睫毛の愁ひあり
文乃倉
坪庭のひかり春着のあかね色
みづちみわ
参道の鹿従へてくる春着
石浜西夏
酔ふほどに春着の梅の紅増せり
三月兎
門柱の日の丸がやがやと春着
東京堕天使
跳ぶ笑ふ双子の春着泣く眠る
トポル
かんざしの鈴や春着の舟をこぎ
このみ杏仁
母だけが皇族ですかといふ春着
七瀬ゆきこ
東雲の天ととのひぬ初重ね
風慈音
弁護士の受付嬢の春着かな
橋本椿紗
春着の子光の粒の音の小鈴
せり坊
乳の香の春着やみどり子にも指紋
のんぬもんぬめぐ
春着着ていつもの鳩は神の使者
橘鶫
枡席の歓声に揺れ春着の娘
柊瞳子
よく跳ねて金糸の鞠の春着かな
オキザリス
春著着てかつら文庫を訊ねたり
渡邉春生
たとう紙を解いてあふれる春着かな
あおのめ
春着着てカレー屋さんの列にゐる
栗田すずさん
春着の子寄れば仔山羊のドンと跳ね
鈴木 浮浮
帯解けば春着に甘美なる疲れ
竹田むべ
ケンタッキー両手に提げて来る春着
かねつき走流
茶香炉のふはりふはりと春着かな
小園夢子
春着の子こわごわ渡る太鼓橋
なかの花梨
春着着て声うつくしき鳥になる
春あおい
春着満つるスカイツリーの展望台
川越羽流
つとめての空あけぼのの雲春小袖
伊藤映雪
ミニカーを匿うてゐる春着かな
内藤羊皐
盃は青磁と辰砂春着きる
せいしゅう
指揮棒にはしゃぐ春着のラデツキー
華胥醒子
門先へ降車の燈り春着客
トラヴィス ビックル
愛らしき妹が嫌ひ春着の日
夏湖乃
角打ちに遣らずの雨や春小袖
新山晶花
車より降りる春着へ差し出す手
はなぶさあきら
ドライブスルー春着の袖の受け渡し
田上南郷
水鳥のごとく春着の裾捌き
あなぐまはる
鈴緒ふる春着の袖の影甘し
小川さゆみ
車夫の手の庇ふ春着の裳裾かな
藤白真語
エレベーター開けば春着の会釈揃ふ
安溶二
バスに乗る春着へ笑みの集まれり
はまゆう
春着で礼出身校の道場へ
雪さやか
みづ受くる手のふくふくと春着の子
はぐれ杤餅
八掛を換へし春着や躙口
渥美こぶこ
院内学級先生今日春着
桜井教人
太鼓文庫立て矢文庫と春着過ぐ
麦野 光・いつき組広ブロ俳句部
春着きて墓石へ開く受賞の誌
仁山かえる
牧師夫人メラニーさんの春着かな
武田ラーラ
プリ機から覗く春着の蝶や花
高尾里甫
振り返る春着が決め手だったとか
ぐりえぶらん
はれやかに米寿の春着濃むらさき
朶美子(えみこ)
耳打ちの声の漏れたる春着たち
牧野冴
学会の見たか教授のあの春着
世良日守
一斉に春着の揺るる谷町線
灰色狼
花材抱く春着の列や六角堂
あまぐり
巻きつける春着の袂神の手湯
沢胡桃
明日着せる春着手荒れを和ませむ
花屋英利
腕相撲一瞬で勝つ春着の子
梅田三五
駅伝の風や春着の裾の赤
釈 証真
弟にまぶし春着の三姉妹
香壺
当直を終へて春着とすれ違ふ
平山仄海
言祝ぎや嫁に着付ける春小袖
ののはな誉茂子
仁左様の見得みとどける春着かな
巴里乃嬬
遠山は雪か春着のやはらかし
千夏乃ありあり
春着きて爪弾くフラメンコギター
碧西里
車椅子の膝に眠れる春着の子
ぐでたまご
浅草や春着の提げる芋ようかん
木染湧水
春着きらきら観音の池の鯉
晴田そわか
台所並ぶ春着の袖清し
田中ミノル
しつけ取る宝尽くしの春着かな
丸山隆子
帯の背を見むと春着の子の傾ぐ
仁和田永
飛車打つや春着の袖の閃きて
久森ぎんう
タクシーをわさわさ溢れ出る春着
播磨陽子
老猫は春着の膝を玉座とす
坐花酔月
髪直す春着の姉の美しき背
津島野イリス
昨日より他人行儀な春着かな
おぎのりん
宿に借るアイヌの春着湖泰し
北欧小町
二度見せり春着の経理課長とは
冬野志奈
帯低き銀座結びの春着かな
すがりとおる
ドアノブに春着の引つかかつてゐる
コンフィ
雨脚の縦縞模様春小袖
砂楽梨
臥す父に見せて姉妹の春着かな
くま鶉
割烹着白し春着の母忙し
小川野雪兎
それぞれの春着に紅の明るさよ
冬のおこじょ
宿の子の春着の黄こそ全けれ
いかちゃん
跳ぶ子らの春着眩しき潦
久保田A
ゆらゆらと春着の膝をさびしき尾
ぐ
春着よりねぢり包みの飴ころん
葉村直
スカジャンの龍と並びて春着の背
樫の木
常よりも会釈は浅し春着の子
木村弩凡
春着の子水縹色の空高し
岡山小鞠
まだ見せてくれぬ春着となるまでは
稲畑とりこ
柏手を大きくふたつ春着の子
山川腎茶
鳳凰のまばゆくひらく春着かな
沖原イヲ
ロケバスや後輩の春着は淡し
着流きるお
春小袖白き二の腕回しロン
山路碧水
八方へ春着の花のゑまひけり
北野きのこ
袖振りて春着の蝶を翔びたたす
春海のたり
春着集ふや賀茂川の橋太し
眩む凡
春着の袂抱えて乗るや銀座線
いずみ令香
春着の子春着のままに地震の夜
久留里61
袂にはお手玉ふたつ春着の子
大西秋桜
春着きて本の余白のまぶしさよ
石神湖畔
春着の子春着の花を数へたり
平良嘉列乙
祈祷待つ椅子に眠るや春着の子
石田将仁
春着ゆく島の神社は坂の上
でんでん琴女
特養の屋上の神社に春着
竜退治の騎士
口上の滑らかなるや春小袖
苫野とまや
駅ビルは行方なき春着に満ちて
ぉ村椅子(志村肇)
母の喪の過ぎて春着の交交よ
梅朶こいぬ
合戦の絵巻見に深紅の春着
門田なぎさ
蝶にぶつかつてみたい、春着かな
猪子石ニンニン
しつけ解く春着や鏡掛も緋色
ペトロア
春着春着春着皇居見えてきた
津々うらら
戸締まりの妻の春着のひるがへる
きつネつき俳句系Vtuber
春着の子春の体温して眠る
髙田祥聖
春着から這い出るようなタトゥー見た
石本コアラ
出稽古や春着の絹のつめたさよ
夏雨ちや
袖口に折りじわ引っかかる春着
武井かま猫
参道の砂利はつれなし春着の娘
糺ノ森柊
渋谷駅春着のわれを迷子にす
山吹なお
連鳥居数へてくぐる春着の子
みゆむうしば
春着似合わず鋭角に切るちくわ
爪太郎
ぴかぴかのクーペ春着の君を待つ
山羊座の千賀子
電車より零れ春着の花鳥かな
RUSTY=HISOKA
蝉丸を狙ふ春着の前のめり
岸来夢
石段の半ば春着の子に抜かれ
庭野環石
春着着るチェロ百挺のコンサート
高木音弥
梅に雉菫に蝶の春着かな
気まぐれ亭いるか
エレベーターの大輪の春着かな
神谷たくみ
春着きて首のライカの軽きかな
杉岡ライカ
春着脱ぐ婦人部部長から母へ
夏草はむ
青空の用意されたる春着かな
高山佳風
懐中香ほのと春着の刀自笑まふ
羊似妃
沈香の香り立ちたる春着かな
房総とらママ
回診のなき病棟の春着かな
えらいぞ、はるかちゃん!
ほろ酔ひの春着もゐたる厨かな
綾竹あんどれ
地獄蒸し蓋して春着褒め合ひぬ
空豆魚
そつと出る喪中の隣から春着
島田あんず
呼び鈴の鳴るや春着の立ち姿
千・いつき組広ブロ俳句部
折り畳む春着の君の車椅子
赤馬福助
たとう紙を捲り春着の香りけり
陶笛有味音
休出の台車春着の波を割る
小川テル子
服喪明け春着の花を賑ははす
沼野大統領
吉兆の空を仕立てし春着かな
シュリ
鐘の音の澄むや春着の大発会
河上摩子
通過せし駅に春着の娘立つ
猪倉さえこ
春着の子袖翻しサル山へ
平岡梅
失はぬ夢のごとくに春着の子
北藤詩旦
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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