類想一覧(選外)
先祖の墓はすでに無き白露かな
朝里いつか
子を見送り足元濡らす朝露や
亀亀子
後朝の碧めく露に濡れる袖
藤源卿
免許証を返して寂し朝の露
スズランチイ子
露纒ひ始発列車や二番線
池田 凜
朝露や自販機には「暖」並び
日月見 大
猫の髭露の重みの音を出す
中谷素太
空映す露の雫やはらほろと
有田みかん
老いた足走るあぜ道露飛ばし
康 寿
サドルの露拭きて見上ぐ空の朝
櫻心
朝露やたわわに実り遊歩道
壱太
空遠し露ひとつづつの命かな
大田白梅
きらめきや穂先によりて露落ちぬ
猪飼篤彦
風に負けすとんと落ちる芋の露
小林理真
喜々として露葎へと走る犬
春よ来い
卒寿なほ若いと思ふ露の秋
朶美子(えみこ)
ひとつずつ朝を映すや露の玉
河上摩子
露時雨虫の世界の嵐かな
朧月夜
露の径かき分け犬の鼻てかる
愛燦燦
びしょ濡れの靴や嬉しき露むぐら
haruwo
朝露の真珠のごとき光満つ
滝美音
葉に宿る露数えるや吾子の指
みなづき光緒
露まろく揺れし宝の息づかい
須田爪黒
まず葉先気付けば一面朝の露
働大蔵
知られずに生まれて消えゆ小さき露
星醒
露の玉ふたつくっつき零れたる
どいつ薔芭
百葉箱はペンキ塗りたて露の玉
沙那夏
公園の切り株の樹皮覆ふ露
青柳修平
露の玉すこし付きたる庭の草
柚木 啓
朝露や伸びする君と隠れ宿
楽和音
一粒の露煌めきて葉を伝ふ
山田翔子
露落ちるまで眺めてる陽が上る
うさぎ柚和
朝まだき葉末の露に季節知る
だけわらび
露結ぶ葉裏の羽虫は夢みてる
いとう香り子
露けしや滞りつつ往く八十路
つづきののんき
置き配の住所滲むや露ひとつ
たかはしゆう
畦道を露蹴散らして古希の妻
越前俊水
今朝来ても採る物無しと露光る
立歩
グリーンの露にひと筋パット跡
希布
全音符めく白露の微振動
羊似妃
中空に並ぶ露あり陽の光り
沖乃しろくも
手の先や露を拭いて鎌を取り
山本葉舟
万物の移ろふさまや露の玉
リカ
露ひとつ消えて余韻のしづけさに
影夢者亜
前足のぷるると散らす露の玉
せんとう一波
露弾く見とれし葉先吾子の舌
山内啓上
露の玉二すぢ三すぢ時を生く
あまま
露光るグランド踏みし朝部活
横山山水
露と露出会ふそばから消えゆけり
花咲めだ香
露纏う有機の野菜艶々と
田畑せーたん
登校すフェンスの露をなぞりつつ
柊琴乃
朝露を飲み干し木々は目覚めけり
平野恵風
家遠し両手広げて玉の露
あさぼらけ
自転車の朝露素手で払うなり
中野風鈴
露乗せた葉の葉脈の大きなり
高田ちぐさ
ひと休み足首草の露に濡れ
黙々笛
結界を張るかの如き露の糸
くろべぇ
陽の射すや休耕田に露の玉
コダマヒデキ
暁光や穂に幾万の露光る
渡海灯子
露生まる夜明けの笹の先の先
木村となえーる
朝練のボールは露の草むらに
仲間英与
陽の出づる刹那茅穂の露命
まんはく
露纏うあの子の靴は晴れ模様
クウシンサイ
朝練を急ぐサドルの露の玉
早坂喜熊
ジーンズの濡れて重たき草の露
六浦筆の介
蠢くやアメーバのごと芋の露
ななかまど
それぞれの葉にそれぞれの露掲ぐ
明後日めぐみ
光さす露ひと粒のダイヤかな
一 華楓
露消ゆる朝の校舎に児らの歌
辻本四季鳥
草草につり合う露ら相乗て
杉と松
夜行バス並むるや露の道の駅
たこぼうず
露まとい墓石の文字の濃く出り
高本蒼岑
長靴で祖母の後追う露の畦
太之方もり子
蓮の葉の露こぼるるや風の道
櫂野雫
朝露やごほんと夫の目覚めをり
宇田女deノエル
露つるりころころつるり風まかせ
池がん吉
宿の下駄つっかけて出る露の町
夏山栞
露はじけ飛びつく犬の足と舌
みみみ
裾濡らす野辺の葉先に露ひかり
樽井薫
草の露ひと玉ごとの宇宙かな
松葉学而
露沈む後は野となり山となり
稲光虎介
露踏みし外湯めぐりの下駄の音
ぐりえぶらん
膝に触れ狭き道行く草の露
渡邉花
まだ露に残す朝日のかけらかな
空流峰山
朝寝坊ミラーの露を手で拭い
君塚美蕉
露降りて露に惑うや蟲の生
想予
露の珠張りつめ解けし朝かな
神山すい如
露の子ら触れて間に間に玉になり
町神
朝露のズボンの裾を濡らしけり
かぬまっこ木ノ芽
露の世や子は親となり親は子に
君島笑夢
朝露のきらめくや赤子のえがお
近藤マタネ
葉脈をたらたらと露迷路めく
妙
露ひとつひとつに宿る瞳かな
豚々舎 休庵
朝日さすほうせきのごとく茄子の露
こーがはるちゃん
帰るよと抱えた犬の鼻に露
江良 中
フリスビー犬のジヤンプと舞う露と
酔蚊眼
草の原朝日の露の光る点
紫檀豆蔵
泣き虫も土塀も消えて露の朝
乃の
露の玉まるくまるく空の影
平岡梅
清らかな音響かせよ露の玉
日暮ひぐらし
草の葉に星の名残りか朝の露
あさぬま雅王
老犬のふらつく足に草の露
ゆず柴
大宇宙昼夜の際に露輝光
秋田俳楽
すべり落つ露のふたつぶ鼻づらへ
たけぐち遊子
露を置く畔道歩き足濡れる
ニッシャン
露けしや缶コーヒーのホット押し
小佐治
朝雲や露置く先に光りをり
巴玖
あの頃の景色を露に閉じ込めたい
城扇尋
露万朶ふれればしとどに袖重し
くちなしの香
露落ちて王冠つくる山の池
竹の子
涙かも露一雫友の墓
中村笙平
出勤の靴を掠める庭の露
独楽
四寸の靴の小走り露光る
椿泰文
朝露のサドル拭ひてはたけ道
梅路みね
朝露や河川公園走る人
松元転石
露きらり山の斜面へ深呼吸
ちびつぶぶどう
蔦のびて音符のごとく露並ぶ
広瀬八重桜
純粋の閃き紡ぐ露万朶
友咲恵子
一粒の露の重みに耐へかねて
青木豊実
夜露にも光灯せば一等星
風 鈴
風に散る露の光や友の逝く
西乃冬雅
露の世に靴を濡らすも粛々と
早足兎
葡萄の葉々先に露の五十ほど
山本衣早六
巡るごと露紛らすや山参道
acari
満天の星を集めて小さき露
栞虫かじり
河川敷素足に跳ねる露の玉
土佐俳句人
おもいきり泣いていいよと露滂沱
秋野茜
芋の露玉になりつつ滑り落ち
早坂 一周
露むすぶ先人の教えそらにあり
匹田小春花
蒼き星閉じ込めたるや露の玉
藤 無南
裏庭や露の光れる猫のヒゲ
源早苗
葉に宿る無垢の権化よ露の玉
紅のジーナ
露ふたつ合はせてひとつ零れ落つ
となりの天然水
撮れたよときらめく露の一雫
七ほし天とう
山頂への細道泥足の露
スモールちもこ
朝露を人差し指に移し取り
田中紺青
露の玉ころりころりと苔の声
葉吾人
露を散らしてシンデレラのハイヒール
加藤ねずみ
古希の朝露の弾ける音を知る
つぶ金
露のなる草原駈ける子牛かな
上津 力
お勝手の扉につきし露の玉
松本笑月
亡き犬の墓石に拝す露葎
村上 継鳥
手の甲で拭う朝露葉の緑
田村塩津
ころころと光る露星のかけらよ
泉晶子
朝露に濡れて重たきスニーカー
卑弥呼
ポスト見て足を濡らした露を知る
Karino
徒歩五分実家の庭は露葎
竜退治の騎士
夜明け前星瞬いて露となる
藤永桂月
まつさらのスニーカー踏む露葎
ねこの☆さんぽ
ひかる露澄んだ空気の散歩道
ひみこ
廃駅の線路の錆に露の置く
天王谷 一
群れ成す子野に分け入りて露まとふ
島陽広
芋の露集めて母は墨をする
山田檸檬
朝帰り犬の尻尾を濡らす露
黒鶫
芋の葉上遊ぶころりん露の玉
夜ノ森ムーミン
きらきらの露をも握り逆上がり
美んと
小さき手の夜露集めし足任せ
むねあかどり
枝に触れ顔に一筋露の痕
誠馬ノマド
早暁を巡礼ひとり露深し
真咲よしの
農作業終えたジャージの袖に露
原島ちび助
朝日浴び蜘蛛糸伝う露光る
剛柔
蜘蛛の巣に煌めく露や空青し
増田楽子
近道の露連れてくる通学路
おおにしまこと
長き葉に連ぬる露をつんとつき
どくだみ茶
里芋の葉脈を沿う露ひとつ
桃花
葉の露や風に転がるころぴかり
朋部 琉
吾子送る始発の駅舎露けしや
小川テル子
にぎり飯リュックにつめて朝の露
寺嶋杳杳
田の畦を行く地下足袋や露の濡れ
スマイリーK
露ひとつぶ葉先の時を止めてをり
木ぼこやしき
露の世に光もたらす分娩室
富永武司
ボール探して探して露まみれのズボン
ぞんぬ
露の野路袖濡れゆくを楽しみぬ
田中一升
露の世や諸行無常の鐘の音
柴太郎侍テッテケシ
露払ふ熊笹の尾根日の出かな
菊池克己
スポイドで集めて淹れし朝露は
如月 ゆう
露の玉映る世界と転がって
なか かよ
この身とて露となり来て又空へ
せいしゅう
葉の先やはち切れさうな露の玉
かこよし
草の露ころころころり土に溶け
森里綾里
露なれど命連なり墓の前
スタイナー紀美子
紙屑となりし馬券や夕の露
すかーてぃっしゅ
遠き訃に露いただきて焼香す
花屋英利
葉から葉へふるふるふふと露の玉
亀田亀五朗
循環すはじめの露が葉にひとつ
杼 けいこ
朝帰りした猫露でビッショビショ
諫鼓苔深
朝露やペース上げてのウォーキング
俳邦山
道端の小さな草の白露かな
高橋 基人
こぼれじと一つにむすび芋の露
愚老
露の世や朝粥啜る母卒寿
櫻井夢散人
露しげし草むらとなる実家かな
西町彰子
まっすぐな白線露のグラウンド
電柱
シャッター街軒下の草露光る
八光地蔵
露の玉舐めとる猫の舌の音
田村美穂
しずしずと葉先に向かい結ぶ露
おこそとの
夜露かな死より尊い生ありて
卯の花雅子
露光り蜘蛛の巣浮かびあがる朝
石黒なを子
新学期きららと光る松の露
水野 孝
泣き言はもう言わないよ露葎
あねもねワンヲ
日溜りに小さき光や露の玉
秋葉 翠
あけぼのに庭草ひけば露に濡れ
かじま木犀
露乗せて路傍の草のたわみけり
竹内ユキ
天映し刹那に消うる露ひとつ
ちょうさん
露合ひて一足す一和一なれり
小室雅俊
白露やダイヤ一粒こぼれそう
みつき 夏
朝露のレンズに空の青宿る
滝澤 和恵
てのひらに露をあつめて吾子の手に
富良里旅人
窓の露予定を記すカレンダー
はれまふよう
夜勤明け花壇の露に映る空
井田みち
地球ひとつ命のひとつ露ひとつ
諸塚凡志
蓮の葉に朝露集め銀の鈴
やっせん坊 池上
ウオーキング朝日に光る草の露
髙見艀舟
蓮の葉の露コロコロコロコロコロ
大宝あすか
煌めきて石仏の背に白露来る
そめやまさみ
露光る葉っぱのすみにハート描く
ほんちゃん
朝露にあがる歓声通学路
山川腎茶
折れ草に露連なりてビーズ編み
西野桃果
朝露の道なき路のその先に
中藤古希
下の葉へ露の集まり地上まで
入道 まりこ
露集め子らの幸せ祈る文字
坂本秋風
露乗せる苔の姿も生き生きと
寺木 風宣
ひとり旅手に取る露のそっと落つ
宮沢 韋駄天
晴れの日や露ふみてゆく裏小路
そぼろ
露の玉溢して歩く杖の先
平としまる
葉の先をこらへきれづに露の玉
松坂 コウ
露二つやがて一つとなり落ちぬ
豆柴
朝露の揺れて始発の電車来る
高旗みつき
次回の兼題も
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選者コメント
夏井いつき選
◆中級コースとして、やや残念なのは、季語の本意について確認しないまま作句しているのではないかという点です。
例えば、「露涼し」を使っている句もありましたが、これは夏の季語。「霧」「霜」「梅雨」などは、兼題を見間違えたのか、入力ミスか。更に、「露草」の句が少々あったのには、困惑いたしました。ひょっとすると「露の宿った草」の意かもしれませんが、「露草」は植物の季語ですから、使い方が明確に違います。
また、「露寒」「露寒し」を使った句もありましたが、これらは「露の降りる頃の寒さ」を本意としている季語ですから、別立てのものとして扱うべきす。
◆明らかな慣用句としての「露と消える」「露ほども」といった使い方もありましたが、季語の「露」とは意味が違ってきます。
俳句の世界では、文字詠み込みの兼題の出し方もありますが、本サイト『俳句ポスト365』では、季語を兼題として、季語を学んでいくことを目指しております。
◆「露」の傍題に「白露」もありますが、これは「しらつゆ」と読みます。「はくろ」と読むのは、時候の季語・二十四節季の「白露」。
この読み方が、曖昧な句もかなりありました。特に、下五「白露かな」は「しらつゆかな」と字余り? にしている可能性も否定はできませんが、「はくろ」と勘違いしているのではないか・・・との疑いも持っています。
◆「露」とは「風のないよく晴れた夜、大気が冷えてくると草木や地表の物体に水蒸気が凝結して水滴をつくる」ものですから、雨上がりや雨が降っているときの「露」は、明らかに不自然。同じくグラスの結露も違うかな、と。
とはいえ、句意が多少曖昧なものもあり、選句もかなり苦労しました。
◆更に、悩ましかったのは、砂漠に生息する虫を詠んだ句。体表についた水滴(露)を集めて水分を摂るのだそうですが……そういう地域において、季語「露」はちょっと違うのではないか。季節感という点で、違和感が残りました。
◆毎度のことではありますが、類想の分類した句の中には、この兼題ならでは類想もあれば、どんな兼題でもよく出てくる句材や言い回しも入っています。
類想句を一句一句確かめながら、それぞれを種類別に分けていけば、類想についてのデータが少しずつ脳内に蓄積されてきます。
自句の評価のみに一喜一憂するのではなく、データとして情報を貯めていくことも、俳筋力を身につけるための有効なトレーニングになります。
※今回の兼題「露」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数4053句、投句人数1725人となりました。以下、類想句の一覧です。