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中級者以上結果発表

2025年8月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 鬼と会つたら露と答へて消えませう

    谷口詠美

    選者コメント

    夏井いつき

     業平と高子の悲恋を下敷きにした『伊勢物語』の「芥川」の「白玉か~」の歌がモチーフとなった一句です。「鬼」と出会ってしまったら、「露」と答えて消えてなくなりたいものだ。業平の願いも、露と消えてしまった物語に思いを寄せているのです。
  • 牛追いて露の大河に漂流す

    sekiいつき組広ブロ俳句部

    選者コメント

    夏井いつき

     牛を追っているのは朝の草原。びっしりと露のおりたその様を「大河」と比喩した上に、重ねて「漂流す」と言い止めた勇気も褒めたい一句です。牛も牛飼いも露に濡れそぼち、緑の大河をゆっくりと漂っているのです。
  • パリの河ガザの雨東京の露

    ぐでたまご

    選者コメント

    夏井いつき

     三つの印象的な地名を入れ、「河」「雨」「露」と水の異なった姿を取り合わせたアイデアは勿論、三段切れを味方につけた557の破調も、句に内容に見合います。最後の「露」の一語が、しみじみと読者の心に染みわたります。
  • 逆しまのきれいな朝が露の中

    山本先生

    選者コメント

    夏井いつき

     「露」の中に、光景が逆さまに映る様子を書いた句もありましたが、「逆しま」になっているのは「きれいな朝」であるという把握に工夫があります。朝の光、露の光、レンズとしての光を、下五で「露の中」と言い止めたのも佳き判断です。
  • しら露のさつぱり迷ひなき身投

    足立智美

    選者コメント

    夏井いつき

     「しら露の」と中七下五へ繋がっていきますから、擬人化と読むべきでしょう。草の先から「さつぱり迷ひなき」かのように落ちる「しら露」。が、読後に「身投」の一語が心に引っ掛かったままになる。それも作者の企みです。
  • この露を呑めばいぢめの止むだらうか

    青井えのこ

    選者コメント

    夏井いつき

    「露」を呑むという発想の句はありますが、後半「いぢめの止むだらうか」という独白に、心が凍り付きました。季語「露」の持つ儚さ、切なさ、哀しみ、冷たさ等、負の感情が否応なく湧き上がってくる作品です。
  • 不詳の死に丸して露の朝にゐる

    きつネつき俳句系Vtuber

    選者コメント

    夏井いつき

     「不詳の死」を遂げた人物は、被害者でしょうか、行き倒れでしょうか。書類の「不詳の死」に丸をしているのは警官でしょうか、検死官でしょうか。「露の朝にゐる」という呟きに、全ての思いが重なっていきます。
  • 朝露や牛の舌より上がる湯気

    城内幸江

    選者コメント

    夏井いつき

     「朝露や」と詠嘆してから、「牛の舌」へ映像が切り替わります。文字としては書いていませんが、朝露に濡れた草を牛が食んでいる光景がありありと見えてきます。「舌より上がる」と更なるアップから「湯気」へ。見事なカメラワークです。
  • 握力や鎖場は露しとどなる

    北野きのこ

    選者コメント

    夏井いつき

     岩場や崖をよじ登るために設置されるのが「鎖場」。握り占めた太い鎖は、露に「しとど」に濡れています。上五「握力や」という詠いだしの力強さも、一句の味わい。朝の冷気と山気が押し寄せくるかのような作品です。
  • 露中たりして朝飯の旨きこと

    堀口房水

    選者コメント

    夏井いつき

     早朝から露の中をさんざん歩いてきたのでしょう。靴も裾もぐっしょりと濡らして戻れば、「朝飯」が用意されているのです。上五を(「食中り」のような使い方で)「露中(あた)り」とした上での「旨きこと」という展開。俳諧味の一句です。

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