【佳作】
葉脈の露の起伏の匂い立つ
富士桜花
測量士奥へと進む裾に露
三日月なな子
夕露の宿に喪服を脱ぎにけり
夏草はむ
トンネルの出口に朝露の献花
神奈川ゆうき(前俳号:川村ひろの)
牧の牛ひかりもろとも露を喰む
佐藤志祐
露葎吾は除染土の上に住む
一久恵
朝露を踏んで当番開ける鍵
笑松
露の死はたぶん忘却だと思ふ
嶋村らぴ
とこしへを風にたゆたふ芋の露
RUSTY=HISOKA
露けさの裸身や鎧なき仁王
守田散歩
星さざめく露の生まるる一瞬に
磐田小
骸なる鴉のひかり露葎
茗乃壱
ソ連館跡の石柱露しとど
GONZA
結納はけふ芋の葉に結ぶ露
はぐれ杤餅
露けしや同じ家紋の村十戸
月影 重郎
露むぐらまだ生きている檻の猪
清松藍
露の玉どうしても心が曲がる
じゃすみん
公園や露の蛇口のみづばばば
広島じょーかーず
電線と電信棒と露の朝
京野さち
ふるさとは転封なき地芋の露
可笑式
草の葉をこぼるるまでを露といふ
中岡秀次
いちめんの露買い手なき休耕田
くさ
ユグドラシルの露ならきつと甘いだらう
たーとるQ
ガレ場来て縋る鎖や露しとど
バンブー
露しづか人は小さな孤独もつ
北藤詩旦
草むらの露を副葬品に猫
多々良海月
草の露テイクオフ待つ熱気球
希凛咲女
露垂れてわれは在来種であるか
百瀬一兎
湯の町の錆びた櫓や露の原
小林土璃
露や露これは祈りの鮑殻
冬のおこじょ
荒草におく露といふひかりの実
にゃん
朝露のずくりと猫の帰還かな
岬ぷるうと
露おりて草は静かに押し戻す
半額弁当
露けしや句集のまはる療養所
このみ杏仁
死後の空映す鏡として露は
藤里玲咲
露けしや首を反らして起きる亀
大谷 走郎
草の露石の銃座の横倒し
つくばよはく
露結ぶ光と影を分け隔て
桜井教人
いもの葉を濡らさず走る露のつぶ
山崎千晶
さびしくてひとつぶになりたがる露
ヒマラヤで平謝り
石鎚は神の山なり芋の露
加藤多作
びつしりと赫き廃車を統べる露
岸来夢
山村の国旗掲揚台の露
うめやえのきだけ
露の夜の吸入薬の甘さかな
風かおる
朝露へ光こころはがらんどう
奈良の真
朝露を滑る馬搬の大丸太
三浦海栗
露散らし母牛二度目に立ち上がる
清水縞午
虚子庵へ葉擦れの露を欲しいまま
杏乃みずな
朝露を以て入山の禁いまだ
ツナ好
吾も吾子も淋しきつぶて露しとゞ
古賀
露の朝空き地に土管なんてない
いたまき芯
泣きやんで露は昨日の透明度
本村なつみ
海へ佇つ墓碑のにほんご露葎
謙久
詩になれぬ朝のつぶやき露光る
おのまい
露の秋湯気立つ歩荷すれ違ひ
せり坊
露はじくどうしやうもない圏外に
沼野大統領
どの草の露を舐めても濡るる猫
大黒とむとむ
臍の緒は一人にひとつ露の玉
伊藤映雪
露むぐら木霊の卵孵化しさう
アンサトウ
露葎だれもいらない形見分け
やっちゃんち
朝露のぶるぶる夜明は痛いから
ノセミコ
露よ夜の花瓶の口のあまりある
げばげば
孤独なる露ほどまるく固く在る
かときち
露のみなしづかに月を溺れさせ
常幸龍BCAD
露けしや荒行堂の僧百人
羽住玄冬
露けしやシュラフの窓に星降り来
谷 斜六
朝露をきれいと言える生きている
窪田ゆふ
露けしや母胎と呼ばれたる器
常磐はぜ
解体の果ての露抱く能登瓦
HNKAGA
刑務所の夜露遺族宅の夜露
ふくびきけん
百台の放置自転車万の露
安春
たてがみにあはき星の香露の朝
坐花酔月
朝露やへそ慎ましきスコリア丘
沖原イヲ
露宿しつつあらくさの刈られゆく
えりべり
呼鈴の遠くなるなり露の夜
風慈音
はちみつ色のランタン露の切株へ
天陽ゆう
朝露や何も悲しくない訃報
大岩摩利
草に葉に死体に隔てなき夜露
佐藤烏有
露万朶十方三世一切仏
加藤栗庵
白露や衰えやすきふくらはぎ
一走人
国境や鉄条網の刺に露
富佐野ほろよい
白露や軍艦島の影の濃き
きなこもち
天国はこんなあかるさ露の中
みやま千樹
芋の露かしげひとつにしてあげる
さおきち
あさがほのいろに生まれて今朝の露
すまいる そら
朝露の正門守衛に誰何さる
中尾鎖骨
淋しさにひとつとなれり露と露
北村 環
鼻の奥心の奥がすんと露
月枝いと
リハビリの馬の身震ひ露の原
深山むらさき
さつきまで鬱王はをつた露の玉
沢拓庵◎いつき組カーリング部
露こぼれ鳥の心となりにけり
浦野紗知
旅終えて幻住庵記草の露
いなほせどり
レジュメ百綴づ朝露が鳴つてゐる
一斤染乃
起きぬけの仔の毛の露を舐め取りぬ
いさな歌鈴
いしぶみにNaomiUEMURA露しとど
巴里乃嬬
露踏みて明日のじぶんに会ひにゆく
丸山美樹
金星の放卵のごと露結ぶ
鷺沼くぬぎ
露おきけり看取りの夜の薄明かり
山崎 佳世
迎合は是かゆがんでおちる芋の露
森野みつき
冥王の眼であろう露滾る
丁鼻トゥエルブ
集ふほどゆがむ真球芋の露
わおち
露の野へ露の鉄扉を押し開けて
小豆白虎
捻締錠ゆるき玻璃戸や露の宿
くま鶉
露ふるへ孤独の星と分かつ痛み
播磨陽子
ふれたれば露は私となってしまふ
横縞
用もなく叩いて露のすべり台
ろまねす子
露きらきら学校はいま二時間目
かねつき走流
終電に捲る夜露の求人誌
妹のりこ
露結びけり猛禽の骸の眼
アロイジオ
キャンパスに薬草園や露香る
柚木みゆき
露けしや砲台跡といふ円柱
いかちゃん
瞽女の唄集めて露の芯となる
山城道霞
謂れなき処刑や露を吐く墓標
谷川ふみ
露散らし朝の薬に寄る実家
西川由野
窯跡のあをき欠片や露葎
冬島 直
馬のかほぬつと近づく草の露
綾竹あんどれ
天幕の傷より露の覗きをり
理酔蓮
春画の雲母擦り石畳は白露
しゃれこうべの妻
命日の朝のサドルの露まみれ
あみま
触覚に複眼に翅に脚に露
井納蒼求
月明り露潰れさう濁りさう
古瀬まさあき
露玉のたわむ居心地悪そうに
唯野音景楽
露葎農機具小屋の傾斜二度
玖良咲
芋の葉の露やタロアへ慰霊団
一寸雄町
カツカツと茅舎の杖か露葎
ちやあき
露むぐら神は余白におはしけり
蝦夷野ごうがしゃ
食べられぬ夫に一滴朝の露
カリヨン
復職初日朝露の花時計
高尾一叶
口吻を露一粒に挿し入れり
立山穂高
持ち帰るほかなき怒り夜露ふむ
だいやま
枕木の下から生える草に露
れんげ畑
朝露を志功の馬の駆け出しさう
木染湧水
無名戦士之墓や萎るる供花に露
伊藤恵美
臆病なひかりは露となりにけり
津々うらら
夜をゆきしもの獣らし露葎
平本魚水
次回の兼題も
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