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中級者以上結果発表

2025年12月20日週の兼題

冴ゆ

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

◆募集時の季語解説は、以下のように記しました。「『寒し』『冷たし』よりも更に寒さが極まった、透き通るような感じの冷たさをいう。月や星、風や声、物音なども冴え冴えと感じられる。感覚的な季語といえよう。」

 これが、この季語の本意の要約ではありますが、主な歳時記を確認すると傍題には多少の幅があります。

『講談社カラー版新日本大歳時記』傍題:冴え 月冴ゆ 声冴ゆ 風冴ゆ 霜冴ゆ 鐘冴ゆ 星冴ゆ 灯冴ゆ 影冴ゆ

『新版 角川俳句大歳時記』傍題:冴ゆる夜 冴ゆる月 冴ゆる風 冴ゆる星 声冴ゆ 霜冴ゆ 冴え 灯冴ゆ 影冴ゆ

平井照敏編『新歳時記』傍題:冴ゆる夜 冴ゆる月 冴ゆる風 冴ゆる星 声冴ゆる 霜冴ゆる

 そもそも「冴ゆ」は二音の季語なので、「月」「星」「風」の天文、「霜」のような地上での現象、「声」「鐘」のような音等を情報として組み込むことが可能なため、さまざまなバリエーションが生まれてきました。それら音数の都合ではなく、傍題のニュアンスを理解した上で、意図をもって使うことを心がけて下さい。


◆間違いとして気になったケースは、「冴ゆ」が何かの名詞に接続した時に、そのままの形が使われている。例えば、「空」に接続するとすれば、「冴ゆ空」になってしまっているケースです。この場合は、「冴ゆる」と連体形にする必要があるのです。

 活用は以下のようになります。

【冴え(未然)冴え(連用)冴ゆ(終止)冴ゆる(連体)冴ゆれ(已然)冴えよ(命令)】

 間違いの例としては……「冴ゆし」「冴ゆく」「冴ゆき」「冴ゆれり」など。更に、「冴ゆの浜」「冴ゆの空」等もありましたが、この使い方は無理があります。

 「水冴ゆ」「雪冴ゆ」などには、違和感も持つのですが、傍題に「霜冴ゆ」があるので、判断は難しいところです。

 「針」「指」「骨」など、具体的なモノが「冴ゆ」も個人的にはちょっと微妙な気がしますが、俳句はケースバイケースですから、成否は作品次第ということでしょうか。


◆傍題に「鐘冴ゆ」があるせいか、「犬の遠吠え」「救急車の音」「夜列車の音」など聴覚にもっていく句も多かったのですが、そこに類想の穴があったということも申し添えておきます。


◆仮名遣いの誤用もちらほらありました。「冴ゆ」はヤ行の動詞ですから、「冴へ」(ハ行)「冴ゑ」(ワ行)の活用はしません。歴史的仮名遣いは、折々に辞書で確認すればよいわけですから、面倒くさがらずに習慣づけましょう。



※今回の兼題「冴ゆ」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数4424句、投句人数1883人となりました。以下、類想句の一覧です。

類想一覧(選外)

  • 村の夜「火の用心」の声冴ゆる

    原島ちび助

  • 木星の瞬き冴ゆる暗夜かな

    尾花 由紀子

  • 風冴ゆる無人ホームや首ぬくし

    さくらバディ

  • 暮六つに冴ゆる梵鐘畦渡る

    西町花冠

  • 冴ゆる夜やペダル鈍らすイエナリエ

    遊子眼鏡

  • 冴ゆる朝東の空に細い月

    岡田いっかん

  • 冴ゆる朝白き世界へ踏み出しぬ

    くちなしの香

  • 犬吠に砕ける波や風冴ゆる

    松葉学而

  • 星冴ゆる孤空にそびゆ天守閣

    竹の子

  • 集まれる朝の体操冴ゆる音

    くろけん

  • 点滴の一粒ごとに月の冴ゆ

    富田健朗

  • 月冴ゆる街の間の街灯り

    とめいろぉ

  • 冴ゆる駅ポッケの手には家の鍵

    雛めぐみ

  • 冴ゆる夜の駅に奏でるカンパネラ

    うに子

  • 無人駅イルミネーションの青冴えて

    尚茶

  • 黄昏に靴音冴ゆるシャッター街

    嵐菜

  • 夜風冴ゆ貨車の遠音頬を刺す

    成瀬 朽木

  • 闇の中汽笛過ぎゆく冴ゆる月

    高木 美月

  • 夜冴えて研ぎ澄まされる心の刃

    津田燕子花

  • 空気冴ゆ試験終わりてココア飲む

    どらまにあ

  • 明けやらぬ氏神社手水冴ゆ

    太之方もり子

  • 冴ゆる夜や道場出れば星あまた

    西町彰子

  • 冴ゆる空君の面影探す日々

    山本マユミ

  • 音冴ゆる外階段をハイヒール

    藤本花をり

  • 空冴ゆる大井松田の富士の嶺

    小川テル子

  • 冴ゆる朝駅へと続く道硬し

    こすもす

  • 冴ゆる夜へ女王の如くピンヒール

    小室雅俊

  • 冴ゆる夜の別れを告げるメールかな

    高嶺織人

  • 宗谷岬日の出待つ光芒冴ゆる

    水間澱凡

  • 出棺のリンカーンクラクション冴ゆ

    みしまはぐし

  • 夜の静寂汽笛の冴ゆる港町

    よみちとせ

  • 冴ゆる朝復路一斉スタートす

    風の木原

  • 風冴ゆるパンダの居ない国となり

    川彩明

  • 明けやらぬ縹の空に冴ゆる月

    松浦美紅(姫りんご改め)

  • 千年の石山寺の鐘の冴ゆ

    千曲埜詠

  • 赤く冴ゆサイレン遠し風呂温し

    すずしろ桂

  • ゆるゆると目覚める街に月冴ゆる

    今井秋雨

  • 救急の音は鋭く冴ゆ闇へ

    淡海 なおあき

  • 手術着とピッピッピッの音冴ゆる

    坂口いちお

  • 結願の声明白し冴ゆる堂

    新森楓大

  • 窓明かり一つ残して外気冴ゆ

    猪飼 篤彦

  • 病得て命の力我に冴ゆ

    玉川 徳兵衛

  • 遠くから犬の遠吠え月冴える

    一本杉 

  • 冴え冴えと吾の上にゐる朝の月

    大久保一水

  • 見上げると冴ゆる光や呼吸澄む

    青紫

  • 早朝のハイウェイ彼方富士冴ゆる

    不動進太

  • 山寺の鐘冴え渡る越の暮れ

    すみ湖

  • 早朝の太極拳の声冴ゆる

    小澤五月

  • 冴ゆる夜の終着駅の車止め

    リカ

  • 長廊下伴う土間の冴えにけり

    あさぼらけ

  • 炊事場の刃先の音や冴ゆる朝

    菅原ゆう

  • 冴ゆる夜の露天の風呂や光る星

    上津 力

  • 丸くなり吾も動かぬ冴ゆる朝

    中防美津子

  • 静寂冴ゆ月光Jupiter夜の底

    中津柊一

  • 冴え渡る鐘の音や旅立ちの朝

    永靖

  • 冴ゆる朝浅煎りコーヒー粗く挽く

    近未来

  • 恵林寺の明けゆく空に冴ゆる鐘

    豊岡重翁

  • 冴ゆるプラットフォーム終電往く

    円谷琢人

  • 会話冴ゆ朝の散歩の笑い声

    大阪駿馬

  • 街灯を背に受け歩む影冴ゆる

    香取扇公

  • 払暁に瞳の冴ゆる遍路道

    江良 中

  • 星冴えて心の重荷捨つがたし

    立歩

  • 冴ゆる道バイクの排気音響く

    草野立青

  • 月冴えて星がささやく闇の中

    享子

  • 御坂路や冴ゆる連山朝に焼け

    巴玖

  • 朝練の声冴えわたる校庭に

    洋々

  • 冴ゆる夜や振り子時計の刻み音

    玲風

  • にんげんのたましい冴ゆるこの世かな

    月城龍二

  • 雨の夜の東京駅舎冴ゆる二時

    わたこと

  • 見上げればキンキラと冴ゆ星あかり

    一 華楓

  • 黎明の剣ヶ峰冴ゆ雲は無し

    七ほし天とう

  • 星冴ゆる二十四時間勤務明け

    椿 佳香

  • 独り臥し遠きサイレン冴ゆる夜

    さぶろう

  • 鉄塔の灯冴ゆる先のシリウスや

    孔明

  • ヒマラヤの星空冴ゆる光かな

    増田楽子

  • 庭球の冴ゆる掛け声ネット越ゆ 

  • 冴ゆる夜はトマトフォンデュの家族也

    黒山万牛

  • 吾ひとり冴ゆるいつもの散歩道

    薄安

  • 冴ゆるとて蒸気放つランナーかな

    おつき澳吉

  • 真夜中のナースコールの音冴ゆる

    くつの した子

  • ひとりの足音響き冴ゆ

    種田陽太

  • 夫淹るる珈琲の香や冴ゆる朝

    小野陽笑

  • 冴ゆる夜犬の泣き声幼き日や

    りんごのほっべ

  • 青白き犬の咆哮冴ゆる夜

    手紙道

  • 音冴えて列車は停る窓の闇

    海堂杢太郎

  • 空冴ゆる汽笛届けやドップラー

    戸部士郎

  • 一身に月の光や心冴ゆ

    希凛咲女

  • 赤信号の明滅や夜に冴ゆ

    月丘佑

  • 国家試験目指す窓辺や月冴ゆる

    小石日和

  • 冴ゆる夜の釣糸たるる月の海

    浪松新子

  • 主治医から着電冴ゆる午前四時

    青木豊実

  • 煌々と闇にオリオンひとり冴ゆ

    黒田 修一

  • 白山の冴ゆる白さよ朝日受け

    宇於留 礼桜

  • 乗り降りのなきバス停や冴ゆる夜

    大久保加州

  • 風冴ゆる波止場を船の出港す

    夜寺耕太

  • 冴ゆる身やじはり受け止め露天の湯

    小田慶喜

  • 冴ゆる朝掌に吐くハーの息

    越中之助

  • 冴ゆる夜やページをめくる音さやか

    田中紺青

  • 野天湯の湯気も立ち消え月冴ゆ

    康 寿

  • 星冴ゆる無人の駅の待合室

    松元転石

  • 救急車のサイレンの音冴ゆる夜

    PONホンダ

  • 冴ゆる夜山より声の響きけり

    上江洲睦

  • 白々と子を待つ灯り冴ゆる夜

    松本厚史

  • ふるさとは人影も無く冴ゆるかな

    水野 孝

  • 冴ゆる夜や星の瞬き何語る

    おおにしまこと

  • 冴ゆる朝鎮守目覚むる二拍打つ

    杜野廉太郎

  • 街灯のつらなる歩道冴ゆる影

    浅紫 泉

  • 星冴ゆる終着駅に君を待つ

    矢車 星風

  • 漆黒の闇に星冴ゆ浜辺かな

    国東町子

  • 山頂へリフトは冴えし山の中

    望月ゆう

  • 午前二時ノーマルタイヤ冴ゆる道

    忘れちゃった

  • 対岸の冴ゆる灯りや船の影

    石黒なを子

  • 並び待つ詣での空にオリオン冴ゆ

    南波舟

  • 星冴えて戦禍の墓標屹立す

    深山野 ゆり

  • 道場に隠れし気冴ゆ稽古前

    瓢箪鯰

  • 赤信号点滅するや冴ゆる街

    渡部 あつし

  • OBにキャデイのファーの声冴ゆる

    宏楽

  • 冴ゆる夜の青信号は続きけり

    田辺ふみ

  • 裏町の冴ゆる静寂や細き月

    海野老海鼠

  • 無人駅月の冴えざえ降りしかな

    いごぼうら

  • 中天に冴ゆ月の影急く家路

    田中一升

  • 冴ゆる夜の犬の遠吠え山の音

    山崎 佳世

  • 追悼の旅支度する朝冴ゆる

    桐山はなもも

  • メタセコイアてっぺんの空に冴ゆる青

    西乃羊雲

次回の兼題も
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