俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2021年4月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 気の強きテリアのマリー蛇を追ふ

    ラーラ・K

    選者コメント

    夏井いつき

     生き物を二つ入れるのは難しいのですが、見事なバランスで成立しています。「気の強きテリアのマリー」と犬の描写の方が多いのに、季語「蛇」の様子をありありと想像できるのが面白いですね。
  • くちなはのすべるちからのみえざりき

    RUSTY=HISOKA

    選者コメント

    夏井いつき

     蛇の特性をさらりと言い切った一句。土の上でも樹皮でも水面でも同じように「すべる」のに、その「ちから」は見えないというのです。直接体験の回想を表す助動詞「き」の使い方もさすがです。
  • 卵吐く蛇といふ愉しき袋

    いかちゃん

    選者コメント

    夏井いつき

     呑み込んだ「卵」を何かの理由で吐き出しているのです。ぬめぬめした粘液と共に吐き出される「卵」の映像は衝撃的ですが、そんな「蛇」を「愉しき袋」と比喩する発想にノックアウトされました。
  • 蛇道を横切り終えてJAFはまだ

    北野きのこ

    選者コメント

    夏井いつき

     後半「JAFはまだ」だけで(蛇が道を横切るのを待つという)テッパンの類想を、完全に払拭するのだから大したもの。脱輪かパンクか、次に出てくるのは鹿か熊か。JAFはまだ来そうもありません。
  • 下顎を濡らさぬやうに蛇泳ぐ

    板柿せっか

    選者コメント

    夏井いつき

     泳ぐ蛇を表現する場合、どこに視点を集めどう切り取るかが勝負。「下顎」をアップで捉え、「濡らさぬやうに」と描写することで、泳ぐ「蛇」の様子が真実味をもって立ち上がります。天晴な観察眼。
  • 二日目のカレーみたいな色の蛇

    新蕎麦句会・凪太

    選者コメント

    夏井いつき

     「二日目のカレー」が美味しいという句かと油断して読んでしまうので、「~みたいな色の」の後の「蛇」の一語にのけぞってしまいます。そして、確かにこんな蛇いるなと納得もしてしまうのです。
  • 山頭火は登りやすいか句碑に蛇

    山香ばし

    選者コメント

    夏井いつき

     放浪の自由律俳人種田山頭火。上五中七の謎の言葉は、下五「句碑に蛇」によって意味を結びます。野宿もした山頭火にとって「蛇」は近しい生き物だったかもしれません。問いかけが優しい作品です。
  • 排水のとほのく音や蛇の夜

    えむさい

    選者コメント

    夏井いつき

     中七「~音や」と詠嘆した後の「蛇の夜」という詩語。蛇を見てしまった夜か、屋根裏に巣くう蛇がいるか、はたまた心に飼う蛇か。遠のく排水の音が、蛇の這う音に重なっていくかのような夜です。
  • 蛇に咬まれた蛇の腹白かった

    かつたろー。

    選者コメント

    夏井いつき

     蛇のみならず、何かに咬まれる等の災難に遭うと、「腹白かった」のような単純な印象だけが刻まれることが多いように思います。絵日記の文言のようですが、その拙さの中にリアリティがあります。
  • 蛇を見しより鈴音の鳴りやまず

    あつちやん

    選者コメント

    夏井いつき

     「見し」の「し」は助動詞「き」の連体形。蛇と遭遇して以来、耳奥に「鈴音」が鳴りやまないという奇っ怪な体験を書いた一句です。「蛇」は、怪異の世界に繋がる鍵のような存在でもあります。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら