【並選】
蛇しゅるしゅるこの星の地を均しけり
仁山かえる
ひんやりと土蔵は古りて蛇冥し
茫々
逸見駅を蛇がのたうつ昼下り
ヒマラヤで平謝り
山祇の怒りくちなは声失くす
村越ぽん
道端の蛇の死骸の腹白し
壱太
吠える蛇へ遣るイカ臭き週刊紙
或人
蛇の尾の消えてざわめき戻りけり
吉川花ほっぺ
蛇ひかり修院の池立つ小波
谷町百合乃
まぐはひの果つるや蛇のすうと消ゆ
横縞
全長で畔を跨いで蛇消える
対馬清波
祠へと尾残し消えぬ蛇の影
美音
魂に重さありけり蛇泳ぐ
加世堂魯幸
しずかなる岩戸に仄か蛇を嗅ぐ
蜂里ななつ
廃畳蛇の塊崩れけり
春雪
熱帯の蛇ら澱めり園の槽
どみ どみそ
砂地這ふ蛇や軌跡の風に消ゆ
野地垂木
ルームミラーにのたうつ蛇を見送れり
松井くろ
買ひたてのパン温かや蛇の室
石神湖畔
手に残る毒無き蛇の匂いかな
北大路京介
蛇の棲むてふ空き家に越して三日はや
はぐれ杤餅
鱗は銀蛇吉兆を呼び込みぬ
季凛
長雨の瘴気を蛇や身じろがず
豆闌
夜の蛇影をひきずり別の夜へ
福良ちどり
蛇動く稚拙に描く筆のごと
伊久多彩葉
岨道や祠に棲まう蛇の舌
大和屋としより
しゅるしゅると蛇どくどくと脈速く
古都 鈴
蛇出づと慌てる嫁と慌てぬ婆
田村利平
石垣に吸われてしゅるん蛇消える
キッカワテツヤ
B型の巳年に生まれ蛇嫌ひ
森一平
近道は蛇様のおはする社
丸山隆子
腹膨るる蛇張り紙の迷い猫
俳句ファイヤー立志
蛇現る出産予定日散歩道
あつむら恵女
民守る赤眼の蛇動き出せ
伊豫のかずお
見抜かるる嘘やくちなわ悠々と
くま鶉
二拍手仄かに揺らぐ神の蛇
長操(おさみさを)
島の子の稼ぐ小金や蛇捕りて
小だいふく
仮免の路上教習蛇轢きぬ
中里 凜
祈願とふ渇きし墨字白蛇座す
多事
くちなはに三度遭ふたる沼手入れ
銀 次郎
蛇つるみ月夜のせせらぎとなりぬ
斉藤立夏
叢の銀のぬめりや蛇の道
野々りんどう
葬列を横切って行く山楝蛇
とんぼ
廃れたる田畑に雨や赤煉蛇
東 湘輝
蛇を追ふ棒の重さの手に残る
うしうし
蛇の眼の頭薬に似て草しづか
紅ズワイガニ海老美
蛇出でて庶務部全員降り来たり
稲畑とりこ
頼りなきまでに短き蛇逃す
月影の桃
起き上がる草に粘れる蛇の鱗
峰 乱里
清流をS字に蛇の浮力かな
さるぼぼ@チーム天地夢遥
ゆらゆらと蛇が庭木へ落ちてくる
里山子
とぐろ巻く蛇はテレビの裏側に
天の川ーズひこぼし
蛇二匹もんどり打つて崖を落つ
瀬戸 薫
蛇ひそむ防空壕の溜り水
誠馬ノマド
夕ずくやキャタピラ跡を青大将
戸口のふっこ
蛇登る樹の洞下に返し板
小鳥ひすい
戦地構える銃腔の先を蛇
白井猫
今朝の蛇ぬるり月のものが来ない
東京堕天使
蛇灼けるアラビア文字の福音書
ちゃうりん
Sの字の波のまだらはきつと蛇
28あずきち
目の合える蛇の行方をしかと見む
八木風味
姫沼の汀ゆれたり蛇の舌
竹春エリザベス
耳動く気のせり蛇に真向かひて
花屋英利
おどれんち蛇がおるけんこらえたる
お天気娘
流木の重なるところ蛇出る
金本節子
8の字の子蛇の腹ぞ蠢けり
夏雨ちや
独り身や蛇へ本音のくだを巻く
倉木葉いわう
切株をひとり占めして蛇の昼
北乃カモメ
雨後の朝鶏舎に蛇の足がつく
種種番外
蛇の影セダン沈んでゐる沼地
藤 雪陽
しゃーと哭く蛇にかぼそき舌の赫
ジョビジョバ
エラーのボール拾うには蛇でかすぎる
足立智美
蛇の尾のすりぬけし手や月青し
みつれしづく
バリの蜜月蛇首に巻く汝
加地祐作
駄々こねる赤子や庭の小さき蛇
鶴屋桃福
古民家の梁より垂るる蛇の影
研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
ハブ怖し援農隊の腰引けて
北山 烏兎
金網を蛇くぐり入るお菊井戸
うみのひつじ
くちなははほねやはらかくくねらせて
柚木みゆき
なまぬるきゲージさらりと去りし蛇
抹茶子
蛇あらわるベートーヴェンの如し
叶田屋
軽トラと軽トラと子と蛇二匹
夜野百幸
ぐわんぐわんバックミラーの中の蛇
結壱隆月
ふいに凪ぐ川面に螺旋切るや蛇
栗の坊楚材
反省に蛇のせいぞと書きにけり
錆田水遊
蛇逃がすこと校長の仕事らしい
花紋子
蛇払いてより腕の血管が痒い
澤村DAZZA
砕かるる蛇の頭蓋や血は清し
葵新吾
神木の卵飲む蛇神の蛇
青木豊実
くちなわや日曜の身の置きどころ
紫小寿々
ピアニカや蛇は腹式呼吸ララ
清水 三雲
放課後に蛇と目が合う部室前
稲垣由貴
石鹸で洗ったが手は蛇臭く
ヤヒロ
蛇ならば皮や剥いだと笑う祖母
野中泰風
草分けてうるはしき蛇直進す
朶美子(えみこ)
ひと筋の水尾のきらめき蛇渡る
東太
絞めやめぬ蛇さめし眼をそのままに
有田けい子
そのカーブの電線に蛇垂るるとふ
sakura a.
歌舞伎座の奈落に美しき蛇のゐる
雪井苑生
蛇のゆく草むら直ぐに立ち直る
上津嘉子
芝刈りの山の斜面に蛇潜む
小塚ちか丸
隠沼を腥き風大蛇出づ
斎乃雪
神の池離るる蛇の息遣ひ
水野大雅
やはらかにつかめば蛇の目のつぶら
深草あやめ
子らの手をずるりと土手の穴へ蛇
克巳@夜のサングラス
監視モニタ五台に映りきらぬ蛇
石田将仁
蛇あやむ鳥獣保護区の看板で
谷山みつこ
蛇失せて雨の匂ひを残しけり
影山らてん
ふところに蛇飼っているおとこかな
石川聡
銅沼を裏磐梯へ蛇わたる
おいらくの鯉
理髪屋の二軒先より蛇の土
磐田小
背景は停止無音を進む蛇
二重格子
水匂ふ排水溝を蛇が飛ぶ
まどん
蔵壁をうねる間もなく蛇落つる
武井かま猫
締めをへてくちなは緩くなりにけり
紺乃ひつじ
飼い主の腕より蛇の重み来る
日出時計
銅鐸のいでし里山青大将
薮久美子
蛇の行く草陰に猫忍びたり
斗三木童
御触れには蛇を百匹集めよと
三浦にゃじろう
雨洗ふ蛇の鱗のひとつづつ
登りびと
吾子のバス待つ傍らを這ふ蛇か
千原 十吾
蛇をうつ竹の箒に手応えなし
公木正
蛇ひとつ動けば蛇のかたちかな
野良古
自らの影をなぞりて蛇進む
川越羽流
隠り沼の蛇の咥ふる赤き花
飯村祐知子
縞蛇の放物線や崖を飛ぶ
砂楽梨
空止まる正午の街や蛇動く
枯丸
錆ういたドラム缶に蛇蛇蛇
川口みち
クレーンで動かす岩の下に蛇
弥日
エンジンの中に蛇の見え隠れ
藤えま
塊の蛇突く先なほ硬くして
狩谷和寓
蛇泳ぐ遮るものはすり抜ける
城内幸江
轍には蛇の屍のやわらかき
猫瀬涼汰
蛇現れてより不協和音止まず
穂積天玲
夕まぐれ蛇の逃げゆく妣の家
令ちゃん@花芭蕉
蛇掴み転校生は友になり
宮坂変哲
暗澹や風穴のごと蛇ひやり
千風もふ
たましひを丸呑み蛇の楽しさう
すりいぴい
擁壁の日だまりに蛇うとうとと
明惟久里
蛇の目の悲しみ知らぬままの黒
中鉢矢的
裏山の蛇曽祖父の肘硬し
宮本象三
理不尽な指示は丸呑み蛇を飼う
うに子
蛇搏たれあらぬ方向へと首は
髙田祥聖
水面を蛇渡り行く寺の池
千葉睦女
アスファルトを8の字に蛇焦げゆきぬ
しゃれこうべの妻
墓地暮れて御先祖様に蛇鎮座
里之照日日
老媼の微動だにせず蛇の消ゆ
洒落神戸
枝たれる蛇へとひらく東尋坊
まこちふる
ひとづての蛇の長さがまちまちで
川崎東照
蛇見れば蛇のごとぶお髪太る
野井みこ
隠り沼や動かぬ蛇の太き腹
山内彩月
蛇の尾を見送りし穴覚えおく
蟻馬次郎
月光の模様となりぬ大蛇かな
よしざね弓
男は手を用いて蛇を引き出しぬ
あいだほ
巫女ひとり蛇の社に鐘が鳴り
雀浪乱
自治会や蛇の噂の通学路
赤馬福助
くちなわや空気が肌にへばりつく
パーネ・メローネ
廃寺庭音も立てずに蛇通る
和泉与六
退く蛇よ良心市は売切れて
鳥羽南良
蔓に絡み振り子のやうに揺るる蛇
中島走吟
三日目も動かぬ蛇を大廻り
洞五蘭
蛇横切って残響に立ち尽くす
やよえ
蛇消えて草擦れの音残りをり
慎吾
蛇消へて仕事にならぬ作業小屋
陽光
養魚池過ぎりて行ける蛇の影
ひろ志
たをやかなアラビア文字よくちなはよ
岡山小鞠
アスファルトのたうつ蛇は見られをり
駒新陽
夜市の熱気蛇を抱くガラス箱
四丁目
水草に紛れて蛇は弧を描く
髙橋弓女
蛇の首切っても動くしっぽなり
山口雀昭
うとまれつ楽園尾瀬の蛇ながく
鳥羽蒼燃
子らの手を逃れし蛇と目の合ひぬ
露草うづら@第二まる安
うねうねと在り蛇のみに見ゆる道
けーい〇
母を呼ぶ兄を呼ぶ蛇見つめつつ
くみくまマフラー
風紋にそひてゆるりと蛇消ゆる
むったん@狐狸山会
蛇になりさうな所を起こさるる
新右衛門
深き夜溜息を貪る蛇
伊予吟会 心嵐
苔岩の蛇のにほひを引き返す
白鳥古丹
榊より神の釣針へび垂れる
すずしろゆき
足摺の蛇も仏や遍路道
小山晃
蛇捕らえ飛び立つ鳥も無表情
丹波らる
ひいやりと闇の飲みこみゆく蛇よ
南方日午
真昼なり樹蔭に逃げる蛇迅し
徳翁
蛇知るや己が形に動く水
清白真冬
ここもまた蛇の領域秘湯旅
いつか
庭に蛇家の神とは言ふものの
さぶり
昼間見し蛇より長し夢の蛇
谷川野蛍
草むらの欠けた茶碗をなぞる蛇
久蔵久蔵
然りげ無く蛇を逃がして野良仕事
服部勝枝
大水を蛇たくましく泳ぎ切る
大阪駿馬
ばあちゃんと草刈鎌と蛇と死と
福井三水低
暁や石垣上る蛇赤し
紫鋼
泥けむり残し田水の蛇去りぬ
晴好 雨独
硝子越し群青の蛇の生臭き
佐藤のぶ子
月の蛇銀の小川を泳ぐらむ
どいつ薔芭(ドイツばば改め)
蛇坂を蛇滑り来る豪雨かな
青柿
くちなはや水にたゆたふ背のひかり
みやこわすれ
U字溝に添ひてひたひた蛇泳ぐ
よしのはるか
蛇太し四人竦みて瞬かず
細木さちこ
蛇三尺背骨なめらか水渡る
魚返みりん
輝ける蛇の鱗の生臭く
そうり
田舎家は開けっ放しや蛇が居る
石井瑩
しめやかに雨の浄土が池を蛇
伊奈川富真乃
檻並ぶ低き照度よ隅に蛇
田山華雲
静寂の沼は呑まれるものと蛇
井田みち
爆心地に眠っていそう黒い蛇
入口弘徳
三輪山に神の白蛇居て一礼
平松洋子
廃線の赤錆色やまむし棲む
聞岳
人影に蛇叢へ隠れけり
きのと
里山を墓守の蛇白く小さく
鶴小なみ
内斜視めく眼を動かさぬ蛇ひとつ
白プロキオン
左手に火箸右手に鍬で蛇
たけぐち遊子
赤血球ふえてお山の蛇去りぬ
松山めゐ
黒き蛇黒き運河を滑り行き
矢想
蛇泳ぐ源平池の端より端へ
稲畑とりまる
蛇濡れて排水溝の水を行く
近江菫花
白神の神宿る水守る白蛇
野々原ラピ
出くわせた蛇と逃げたる同じ方
藤田ゆきまち
山姥のけたけた笑う蛇の肉
篠田ピンク
道を蛇満腹のまゝ轢かれけり
夏 湖乃
米軍機の低空飛行蛇泳ぐ
砂糖ふさこ
蛇逃げて五百羅漢の尻に消ゆ
津軽わさお
蛇去りてまなじり強き僧に逢ふ
福田嘉奈子
鎌首を低くして蛇藪に入る
藤倉密子
ため池やさざ波切って蛇泳ぐ
犬散歩人
まひるまの蛇はたおやかなるとぐろ
青蜥蜴
ながむしのけふは左に巻くとぐろ
新多
分け進む無風の湖や蛇一匹
津軽ちゃう
夕暮れの漣裂いて金の蛇
黒子
木より落つ蛇のとぐろの重き音
樹朋
晴天のシャッター街に蛇の影
ときわ露草
暗がりの学校探検蛇わらう
野の花さな
聖火リレー楽しむ過疎の村の蛇
長楽健司
蛇のなみだ鏡の中に置いてきた
青田奈央
打つに打つ打たれつづけの蛇かなし
茂る
ドロップの缶に逃げ込む夜の蛇
M・李子
風の音たちまち奪ふ蛇一顧
久我恒子
一条の跡ゆらゆらと蛇はゆく
青柳修平
蛇打たれ紳士ベルトのごと垂るる
雑魚寝
保津川の碧き水面を小さき蛇
なかの花梨
蛇逃げし街川岸の夜の藪
じょいふるとしちゃん
ベトナムの路上販売籠の蛇
常磐 はぜ
洪水の原ゆうゆうと蛇泳ぎ
品川笙女
視野のすみS字描いて迫る蛇
縁穐律
蛇泳ぐ土砂降りの碓氷峠や
優純bow
沓脱ぎに家守る蛇の悠然と
ふみ
首すじに蛇ひんやりと重たかり
幸田柝の音
原災の村くちなわのウロコ光り
えいぎょ
脱皮後はひときわ眩し朝の蛇
石岡女依
森寂か波紋描きし蛇一匹
大石 真水
石垣にへばりつきたる蛇の息
水浜義友
敵打つごと蛇ころしたる鍬洗ふ
ことまと
蛇消えし納屋の奈落の深さかな
酔下弦
てのひらの蛇の鱗のつるひやり
遥風
石垣の蛇にたじろぐ島ゆたか
さいたま水夢
蛇打ちし棒杖とする上り坂
森爺
蛇入って真青の原となり了る
榊昭広
洞口にとぐろ巻きたる島の蛇
安井コスモス
夜の蛇ピアスの穴のじゅくじゅくす
天陽ゆう
宿老や築百年に蛇と棲む
英子
蛇死して瞼なき目のただ濁る
緒形光生
つくし野は隠し絵くちなはのとぐろ
関津祐花
蛇まだら廃家風呂場の床タイル
靫草子
首あらばやさしき蛇を巻きませう
青海也緒
蛇落つる蔵の埃の驚きぬ
門のり子
山肌を蛇滑り落つ墓参の途
せり坊
青眼の少女に蛇を返しけり
蘭丸結動
蛇捕りの叔父は早くに逝きました
楽花生
蛇消えて草あをあをと目覚めけり
与志魚
土に生く蛇と呼ばれて嫌はれて
竹田むべ
Sの字を描きつ熱砂に沈む蛇
かんこ鳥
初蛇にマンション会議招集す
黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
蛇の這う音近づきぬ森の闇
阪口夢堂
白蛇の祠を蛇は去りがたく
島田あんず
蛇失せて岬に続く赤鳥居
河本かおり
蛇行する蛇対岸へ一直線
重夫
傘の柄で押さえ込まれし蛇三寸
百瀬はな
抱卵の脈打つ夜や蛇辷る
利尻
小さき蛇口には更に小さき蛇
季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
石垣の十五万石大ながむし
戸部紅屑
蛇のぬりのぬり生臭き風のこし
剣橋こじ
引き返すなら今よ細きくちなはよ
亜桜みかり
蛇の尾の消えゆくまでを濃き無音
(深山紫改め)深山むらさき
忌むなよと黒き瞳の蒼き蛇
岬りこ
神様と思うて見やる不意の蛇
江藤すをん
あの蛇は曾爺さんと同い年
苺井千恵
光芒は神の天降りや蛇の逝く
宗本智之
日曜の銀座見上げるビルに蛇
かえるしろ
蛇くらい何と四十路の坂登る
野ばら
ぬるぬる道をぬめぬめ蛇の闇夜
まるかじり
蛇が出たらこれで叩けと言われても
キートスばんじょうし
ある時は変じた蛇の鐘をも焼けり
きゅうもん@木の芽
舗装路に染みつく死臭蛇黒し
どくだみ茶
くちなはと見つめあひしは他言せず
ふじこ
抜き手切る蛇と目が合ふ舌が笑つてる
七瀬ゆきこ
ごきぶりホイホイ覗けば小さき蛇
嶋田奈緒
蛇泳ぐ古城の濠の水脈しづか
安春
蛇の舌空気舐めつつすすみけり
貝花
木のベンチ蛇の鱗の残りけり
石崎京子
隠れんぼ古寺におった蛇鳴いた
伊藤辰弥
神体の白蛇は目を瞑らない
あさのとびら
吾老うや威風堂々屋敷蛇
三水
くちなわやつるみて痺れゆく創痍
高橋寅次
丸き夜に鋭きくちなはの眼は潰れ
ひでやん
白亜紀の頃から蛇は嫌ひです
多々良海月
首と胴わからぬままに蛇走る
根本葉音@花芭蕉句会
漲りてくねり来る蛇用水路
今野淳風
雑巾と見紛う蛇を踏みつける
小笹いのり
蛇のをる井戸水求むをとこかな
砂山恵子
囚われの蛇逆襲の赤き舌
ほろよい
蛇行けば水面は浄波瑠のごとし
さとう菓子
急流を蛇渡り終へ雨催ひ
千原台小十郎
呼びかける蛇はざざざとうねり去る
ねむり猫
池の端腹ぷつくりと寺の蛇
八幡風花
田を泳ぐ小蛇三匹雨の中
じゃすみん
石垣の継ぎ目に蛇の嵌まりをり
染井つぐみ
首に巻く大蛇冷しなお重し
しゅういずみ
蛇の子のころげるやうに道過る
白鳥国男
竹根蛇や治りつつある火傷跡
渡辺エリナ
あらはなるまなこぬうるり蛇滑る
むゆき
くちなはの目や瘡蓋の下のうろ
山崎ヤマボー
空き缶に頭嵌りしままの蛇
永想
蛇の腕木庇を漂へり
内藤羊皐
手掴みに蛇捕まえし人は父
杵築きい
通夜終へてずずと天井裏を蛇
ももたもも
鴨井這うつがいの蛇の白き腹
富士木実子
蛇入らば草の雫はきらきらと
巴里乃嬬
棒切れに巻き付く蛇や汽笛の音
光本弥観
軒裏へ樋這う蛇に迷いなし
たかこ姫
蛇がいて叫べるくらい若かった
小川さこ
しばらくは五体あわだつ蛇の口
松本 裕子
巣の真下梯子を上り始む蛇
青柘榴
義清の血を騒がせるほどの蛇
桜井教人
並縫いのはやさ路肩へ急ぐ蛇
佐藤儒艮
蛇たわむ看板だけのほねつぎ屋
竹内一二
首に巻く蛇や戦禍地シンガポール
亀亀子
蛇垂れるおなじ重さの影垂れる
露草乃文
母の顔思ひ出せずに蛇を飼ふ
叶
口笛を吹けども蛇は逃げにけり
ほしのあお
ゆるゆると蛇泳ぎ行き日が落ちる
邦生
湯西川蛇欄干にほされたり
小塚蒼野
今年も来黄浅緑の蛇土間に
川村湖雪
一匹の蛇泳ぎゆく水あかり
宮武濱女
蛇の尾や肛門からの十センチ
ツユマメ末っ子8歳@いつき組広ブロ俳句部
蛇すでに逃げて明日壊さるる実家
蒼空蒼子
木星の夕道はばにゆるむ蛇
北川そうあ
天井に蛇ずる音や夜明けなり
ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
草叢へほりこむ蛇の首と胴
久森ぎんう
ゆつくりと屋敷稲荷の蛇太る
辻野 花
雨上がる蛇泰然と現れる
堀 江 貴
遠き日の防空壕や蛇の舌
芍薬
河馬の後脚そこから五尺が蛇
花結い
赤点のテストの上に眠る蛇
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
熇尾蛇やシェークスピアの一行詩
村上優貴
風呂釜に己が丈を巻きなおす蛇
池内ときこ
首に蛇うろこの裏の重き肉
ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
こら蛇よこごは危ねど向こさ行げ
朝月沙都子
蛇を打つへつぴり腰に喝入れて
椋本望生
くちなわの頬張る虫の眼の緑
理酔
白蛇の噂は本当車買う
さくやこのはな
蛇祀る村に生まれし女の子
つきのひと
白蛇や鍾乳石の肌やさし
オキザリス
蛇の音なき音捉ふ母鼠
セイイエス井上
蛇撲ちし枝を焚べれば白けぶり
石井一草
帰りみち雨のにおいと蛇のあお
羅蒐
恍惚といふ領域に蛇つるむ
宮藤遊子
木道に蛇打ち切られし鼻歌
北野南瓜
生臭き匂を残し蛇の道
岡本 戎
独身寮蛇との暮らし早二年
はるく
蛇の月影やぶる水路かな
花南天anne
水草の陰へくちなは子等叫ぶ
紅小雀
引き剥かるる蛇の尾跳ねてまた跳ねて
富山の露玉
蛇去るを待つ軽トラの去るを待つ
成瀬源三
托鉢の後ろに重き蛇の跡
大和田美信
スラム行く運河の蛇の航跡波
万斛
衣ずれの音と消えゆく蛇の影
蒼奏
車椅子の轍を蛇の進むなり
山本先生
教室の窓越し蛇を見てゐる
江良 塁訓
蛇去りて山道風の音ばかり
ひともじ
雨つぶのふるふ小神古池のへび
青に桃々
蛇のこと話す擬音の多い子と
高橋無垢
川渡る蛇の波紋の長きかな
大紀直紀
給水車着く市役所の陰を蛇
山城道霞
ながむしや鉄塔に空はひろすぎる
浦野紗知
一斉に石跳ぶ水面走る蛇
十傘 緒哥々
早朝のトトロの森を青い蛇
打楽器
農道をセンターラインめいて蛇
日向こるり
蛇や城の石垣穴太積み
いなほせどり
焼石のとぐろの蛇を売る老女
岸 れん
蛇や仁徳陵の昼下がり
よぶこどり
サハラ這ふ蛇や砂紋を刻みをり
井納蒼求
蛇よヘビ横切るならば吾のうしろ
冬のおこじょ
人には人の蛇には蛇の痛み
花咲明日香
長長と蛇渡りたる無人駅
新濃 健
蛇去るやドミノ倒しの草匂ふ
ふもふも
出口なき胎内巡り蛇の昼
亀の
寂光浄土門番のやうに蛇
GONZA
ゴムホース先をつぶして蛇狙ふ
たま走哉
蛇這ふや背を向け謗り呟きぬ
平野孤舟
縞蛇の肉の話や爺二人
山月 恍
蛇逃げて一年ぶりに月のもの
海野碧
蛇つかひ5000ルピーは高すぎぞ
坐花酔月
蛇の声こだます荒れ田捨て畑へ
宗平圭司
そこだけは動かぬものよ蛇の眼は
鷹取 碧村
草の影ゆらす波紋を睨む蛇
暇禍
戸の桟に蛇ぴつたりと村の駅
高野きぬ
目が合えどぬうぬうと蛇進むなり
大嶋メデ
解体の迫る母屋の前に蛇
ロティ
この蛇を跨げば何処へ踏み入るか
龍田山門
昼の宮足罠のごと蛇つるぶ
すがりとおる
暗闇に蛇落下する音ふたつ
遊飛@蚊帳のなか
くちなはの絡み合ひたる社宅の木
蓮花麻耶
腹みせて死したる蛇の二尺ほど
夏草はむ
湧水の川を縞蛇滑りけり
写俳亭みの
赤楝蛇は地蔵の前を避けてをり
ぞんぬ
新しき句碑の角度を蛇好む
梵庸子
たましひの波動ゆるりと蛇の這ふ
篠原 雨子
漣の水田を渡る蛇の首
中根由起子
蛇の尾でありしか昨夜の指切りは
堀口 房水
折れ線グラフごと法面の蛇速し
明神おぼろ月
ひといきれ満ちて蛇の目動かざる
むうさく
線路上の蛇ひかり号通過す
香依蒼
ながむしの棒切れ探す間に失せり
長谷川水素
鈍色に青天返す蛇の腰
空地春水
濁り川しの字くの字に蛇渡る
辻陽気姫
空つぽの蛇荒らしたる鳩の小屋
風花まゆみ
ぬらぬらと鱗一片までも蛇
杏と優
蛇突つく鶏の嘴逞しき
大谷如水
水動く月の使者めく碧き蛇
谷口詠美
渦巻のしゅるりしゅるりとほどけ蛇
月見柑
城跡の蛇も何代目かの裔
磯田我省
石垣へ蛇の這ひ出で雨となる
山川腎茶
耳打ちをしてをる子等や蛇泳ぐ
三泊みなと
まちなかの蛇に跼めば広き空
佐野明世
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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