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中級者以上結果発表

2023年1月20日週の兼題

鳥雲に入る

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 鳥雲に入りてかぜの名あらしの名

    まんぷく

    選者コメント

    夏井いつき

    「鳥雲に入りて」と切れのない形でつながり、「かぜの名あらしの名」とリズムを作ります。鳥たちが遭遇する「かぜ」や「あらし」にも「名」があるのだという感慨に、俳人らしい共感を抱きます。
  • 鳥雲に入る朝はひかりに飢えてるか

    じゃすみん

    選者コメント

    夏井いつき

    七音の「鳥雲に入る」を上五に置き、中七下五で韻律を取り戻します。夜を越えてくる「朝」という時間は、「ひかり」に飢えているからこんなに眩しいのだろうか、という呟きそのものが詩です。
  • ファゴットは神様の息鳥雲に入る

    綱川羽音

    選者コメント

    夏井いつき

    管弦楽の木管楽器群で低音を担当するのが「ファゴット」です。その音色は、まるで「神様の息」のようだという聴覚から生まれた詩。「鳥雲に入る」空へ茫洋と広がる音色は、まさに春を呼ぶ音です。
  • 鳥雲に瘢痕といふ眩しき詩

    常幸龍BCAD

    選者コメント

    夏井いつき

    「瘢痕(はんこん)」とは傷跡の意。季語「鳥雲に」に対し、抽象的な取り合わせに挑みました。この傷跡とは、治癒の喜びか、闘いの誇りか、生存の安堵か。「眩しき」の一語がそんな読みを示唆します。
  • 鳥雲に入る耳鳴りはきれいな刃

    RUSTY=HISOKA

    選者コメント

    夏井いつき

    「鳥雲に入る」という空間を描き、いきなり「耳鳴り」を取り合わせてくる展開が、実にテクニカル。我が内耳の「耳鳴り」と「鳥雲に入る」空間は繋がっているのだという認識にハッとしました。
  • 八万で買われたバイク鳥雲に

    たーとるQ

    選者コメント

    夏井いつき

    愛車が「八万」で売れたではなく「買われた」と書きたい心情を想像します。強い愛着か、取り急ぎお金が必要なのか。「八万」は絶妙な数詞。季語「鳥雲に」が、作者の心の揺らぎを受け止めます。
  • ダイ・インを置き去りて鳥雲に入る

    ま猿

    選者コメント

    夏井いつき

    「ダイ・イン」とは、死体のように伏し抗議の意を表す行為です。広場でしょうか路面でしょうか。何を抗議しているのでしょうか。「ダイ・イン」の人々の姿がどんどん小さくなっていく鳥の視線。
  • 人焼きし炉に残る鈴鳥雲に

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

    選者コメント

    夏井いつき

    今回の兼題には、人が亡くなるという類想の句が多く寄せられました。が、「人焼きし炉」に残る「鈴」のリアリティの、なんと切ないことでしょう。下五「鳥雲に」の後の余白に悼む心が滲みます。
  • アルミほどのあかるさ雲に入る鳥は

    選者コメント

    夏井いつき

    一円玉を思わせる「アルミ」から始まり、「あかるさ」と比喩。上五中七全てが季語に収斂していく語順は、まさに「雲に入る鳥」を見上げる人の視線です。浅い春の明るさと憂いが共存した一句。
  • 椰子の実に海の重みや鳥雲に

    おきいふ

    選者コメント

    夏井いつき

    ♪名も知らぬ遠き島より♪とも歌われる「椰子の実」ですが、中七「海の重みや」という措辞のリアリティがまさにずっしりと感じられる一句。下五「鳥雲に」という遥かな視線が、佳き味わいです。

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