【並選】
鳥雲にあいつの逝った海は凪
万葉剣
うなづきも言葉のひとつ鳥雲に
山田蹴人
鳥雲に朽ちゆく家の閉眼供養
むらぴ
鳥雲に入るや今際の人語めき
めいおう星
鳥雲に読みさして立つ罪と罰
中島隆
鳥雲に入る父母の分骨貰い受く
樹魔瑠
オルゴールおしまいの音鳥雲に
ひさとみ純代
鳥雲に折り鶴の羽根整へて
知恵さん
火葬場は山の中腹鳥雲に
ピアニシモ@金カル
手配書の時効は明日鳥雲に
大西どもは
鳥雲に入るや海原へと落暉
ふくじん
空っぽの静かな子宮鳥雲に
井上れんげ
鳥雲に大仏殿の金の鴟尾
喜多丘一路
運ばるる遺跡の残土鳥雲に
中里 凜
グラウンドの球拾ひをる鳥雲に
吉野川
鳥雲に入る新曲の発売日
小島神泉
泥濘の戦車朽つ鳥雲に入る
吉田竹織
制服の肘のてかりや鳥雲に
沼宮内 かほる
鳥雲に入りて閑けき干潟かな
祐
鳥雲に本棚に辞書前のめり
河島 勇人
剥製の眼の先の鳥雲に
紙威楓
みづうみの底ざはめかせ鳥雲に
松本裕子
小刀に削る鉛筆鳥雲に
月石 幸
鳥雲に古城の松を辿りつつ
妙
海賊船の帆のはためきや鳥雲に
佐藤儒艮
鳥雲に入りて静もる琵琶湖岸
淡湖千優
生きづらし私も雲に入る鳥も
鳴海響
還るころささやく何か鳥雲に
白庵
鳥雲に入る追伸は母のこと
羊似妃
鳥雲に入る古墳みな郷を向く
和泉穣
逆の手で結ぶおみくじ鳥雲に
吟 梵
鳥雲に入りてみづうみ風を吐き
谷町百合乃
鳥雲に藤沢周平大人買い
空木花風
悔恨無く鳥雲に入る北は晴れ
おぐら徳
二人して老いを笑って鳥雲に
せいち
鳥は雲にロダンの像は俯いて
紫水晶
乾田の顔の黒々鳥雲に
杉尾芭蕉
鳥雲に高速船の波猛し
雨霧彦@木ノ芽
鳥雲に子の影長く踏まぬよう
亜沙郎
鳥雲に入りて便りのないポスト
橋本彩雅
鳥雲にケルンの向こう尾根続く
小山晃
鳥雲に入る点滴の向う側
苺井千恵
鎌倉の海青し鳥雲に入る
朝ぼらけ
スフィンクスの肌色鳥雲に入る
宮武桜子
鳥雲に入る其処は未だ人の國
伊予吟会 宵嵐
逢瀬過ぎ湖の辺踏むや鳥雲に
たていし 隆松
鳥雲に入る胎嚢は1㎝
とんぶりっこ
鳥雲に入るヴィオロンを終うとき
本村なつみ
鳥雲に列車にホーム余りあり
弘友於泥
深海の零の腐蝕や鳥雲に
水鏡新
避雷針しづかなり鳥雲に入る
太田栗青
鳥雲に入るキエフ市民は地下壕に
よかわもりお
鳥雲に入る黒塗りの箇所かざす
司啓
鳥雲に終末時計九十秒
吉 や
鳥雲に入る鉄路に砂の滑り止め
高山佳風
雲鳥に入る亡母の家を売る
たまのねこ
鳥雲にバスはヒースを縫うように
木ぼこやしき
鳥雲に入るトラクターの馬力音
白石美月
鳥雲にぱらぱら漫画やもしれぬ
まこ@いつき組広ブロ俳句部
鳥雲にリムジン江の水清く
松高網代
鳥雲に山葵田へ影残しけり
沢瀉みやこ
鳥雲に入りて会館建築中
荘司彩舟
鳥雲に入る記録のキリル文字
水間澱凡
鳥雲に入りて校舎の影絵かな
星影りこ
鳥雲に入る御朱印のなよやかや
不学
もんどり打つそびらや鳥雲に入る
流流
閉店の音楽流れ鳥雲に
カバ先生
はじめての自転車はガガガ鳥雲に
小西天
遺言の書き直しせり鳥雲に
杉山駄芭
鳥雲に入りて手紙の薄き文字
坂口いちお
鳥雲ニヰルカムチャツカデ死ネ
クロチョイス
伊豆沼に朝日射す今鳥雲に
岡田瑛琳
緑内障の翳りや鳥は雲に入る
乃の
ぼんやりと鳥雲に入る術後の目
蘇子
鳥雲に少年像の足ますぐ
久保田凡
上京の青空今も鳥雲に
酔下弦
教え子は同僚に鳥雲に入る
田村 宗貞
鳥雲に入る忘却は風のよう
立川茜
鳥雲に入るや点検表にレ点
たま走哉
青き磁場とらえし鳥の雲に入る
庭野環石
鳥雲に入る六角の湯桶つらつら
堀ゆうき
巨大防潮堤や鳥雲に入る
百瀬はな
散骨の白き浜辺や鳥雲に
ななかまど
湧き上がるシンフォニー鳥雲に入る
あらら
野音いま喝采のなか鳥雲に
伊奈川富真乃
振り仰ぐ朝の声色鳥雲に
斗三木童
鳥雲に入る退会者名簿の名
渥美 謝蕗牛
二時間を超える長考鳥雲に
月影の桃
湖に残す影あり鳥雲に
ららら句らら
鳥雲に入るや風の香入れ替わる
松田てぃ
鳥雲に入りて新居の鍵の音
野口日記
慣れたテレワーク切り上げ鳥雲に
荒一葉
鳥雲に売り場に並ぶ空輸チョコ
美月 舞桜
弘法の杖のたしかや鳥雲に
とんぼ
鳥雲に入るロザリオは翡翠色
卯月紫乃
鳥雲に入る荷造りの赤テープ
山川凛
強打者のバット強振鳥雲に
山川腎茶
リカちゃんの頭ころがる鳥雲に
佐川碧
鳥雲に自分の墓を買ひに行く
風花まゆみ
鳥雲に入りて遥かなる焦土
夏草はむ
鳥雲に入る閉校の植樹式
灰谷素数
鳥雲に四時の時報は短波にて
君島笑夢
鳥雲に入る羊水の白濁し
上村 風知草
鳥雲に入る堤普請の偉人像
毛利尚人
薄明のモンサンミシェル鳥雲へ
at花結い
魚欠伸して鳥雲に入りにけり
絵夢衷子
ぬるい炭酸飲めば鳥雲に入る
千暁
隣席の彼の消しゴム鳥雲に
東田 一鮎@金カル
鳥雲に不可も可もなく暮らす町
渡嘉敷五福
鳥雲に入る駅に屯す昼の鳩
木村ひむか
土俵の呼び出し鳥雲に入る
紅塩猫子
パン屑のまばらなひかり鳥雲に
村瀬っち
決断の褐色深し鳥雲に
宮川武久
身長の縮むる話鳥雲に
岸 小広
鳥雲に入る「情景」はハ長調
祥林
集積所に教科書の束鳥雲に
空豆魚
鳥雲に入りゆく出窓付き新居
豊島月舟斎
封筒の糊の掠れや鳥雲に
じょいふるとしちゃん
やほじほの満ち来れば鳥雲に入る
永田千春
神御座す百の頂鳥雲に
ときめき人
制服の試着済む鳥雲に入る
黄鶺鴒
鳥雲に入りて補欠のゼッケンなし
清水明美
待つことは生きていくこと鳥雲に
杜乃しずか
鳥雲に入りてロシアは空暗し
としたか
鳥雲に入る天空突く橋脚
阿波オードリー
天空に伸びゆく街や鳥雲に
あつちやん
鳥雲に入る山河あり山河あり
川端こうせゐ
拭ききった部屋は真空鳥雲に
花南天anne
鳥雲に入るや荒れ地の飛砂激し
風慈音
鳥雲に入りて甲斐駒の残照
さぶり
鳥雲に組み立て式の核シェルター
和鹿島荒巻
鳥雲に入る水色のワンピース
国東町子
あの墓地も今は緑か鳥雲に
陽光樹
鳥雲に入るシラバスは後で読む
しみずこころ
少年の瞬きに鳥雲に入る
山口雀昭
打ち込めば黒土の香鳥雲に入る
睦 陽花
本籍地番地あやふや鳥雲に
ふゆの都々逸
鉛筆をけづりけづるや鳥雲に
垣岡凡才
鳥雲に半音上がる弾き語り
三水低オサム
鳥雲に入り弁当はぜんぶのせ
いなだはまち
鳥雲に入る歳時記に母のメモ
山もと帰牛
もどられぬ子にはこづつみ鳥雲に
パンの木
鳥雲に入る教科書の背の焼ける
長谷機械児
神苑の立入禁止鳥雲に
たむらせつこ
介護士は南国のひと鳥雲に
湯屋ゆうや
波寄する砂丘の果てや鳥雲に
橋本こはく
放課後のロッカーは空鳥雲に
村岡花風
鳥雲へ釣り人多き烏帽子岩
ひろ志
鳥雲に入り定刻の介護バス
小川都
鳥雲に入る海風を羅針とし
okapi
鳥雲に入るバス停の列長く
おかだ卯月
鳥雲に入りて鳥居の赤眩し
おこそとの
鳥雲に入るや雫石の無言(しじま)
現代詩ジェントルマン
伊豆沼の空青く鳥雲に入る
佐藤甘平
バス停の三人のこゑ鳥雲に
TAKO焼子
鳥雲に身辺整理手に付かぬ
伊江かつじ
鳥雲にミルクに浸すサブレかな
森海まのわ
鳥雲にフリマで譲る考の本
佐藤烏有
鳥雲に入りて朝ドラ最終話
伊藤なおじい
入寮や鳥雲に入る東窓
西野誓光
鳥雲に入る残った右胸は無事
金井登子
鳥雲に入る湖はがらんどう
洋々
一本の龍と波打ち鳥雲に
シュリ
替ボタン穴をくぐらず鳥雲に
主藤充子
路地裏にほろ酔えり鳥雲に入る
土田清風
テラリウム蓋開き鳥雲に入る
鈴木来穂
足立区は住みよいか鳥雲に入る
中島走吟
延命はしないと決めて鳥雲に
花咲明日香
鳥雲に入るや地酒で献杯す
夢雨似夜
管制塔かすめて鳥雲に入る
きょんちゃん
鳥雲に入るや満員電車の圧
へなけん
鳥雲に入る伐木の空の青
天東あさじ
掠れし君の靴跡鳥雲に入る
弘中しかもり
海鳴りの墓地に父母あり鳥雲に
岡本 戎
鳥雲にクレーン伸びる貨物船
星月彩也華
鳥雲に洗い晒しの剣道着
葉月庵郁斗
整然と鳥雲に入る遅刻なし
山口朝子
襞深き山稜過り鳥雲に
森爺
雲に鳥組子は影を得て自由
八神てんきゅう
鳥雲に行き先決まる救急車
コーヒー博士
鳥雲に入るからだを置いて父もゆく
明後日めぐみ
発掘隊撤収鳥雲に入る
谷川ふみ
引き継がぬ資料は削除鳥雲に
佐藤香珠
鳥雲に風凪ぐ潮岬かな
えいぎょ
作務終えて鳥雲に入る花頭窓
西町花冠
家捨てし子のあらはれて鳥雲に
工藤悠久
人は影光を曳くや鳥雲に
部谷虎落
鳥雲に入る公衆電話の撤去跡
おたまじゃくし
鳥雲に畝は三列真っ直ぐに
はるく
するすると入玉模様鳥雲に
そまり
手品鳩ともだちだつた鳥雲に
花和音
鳥雲に入りてはらはら薄荷糖
綾竹あんどれ
鳥雲に放牧の牛草を食む
小石日和
三階の動かぬ影や鳥雲に
ぱぷりかまめ
洗濯を終ヘて干すころ鳥雲に
田村利平
鳥雲に入る吾の墓を決めし朝
佐藤レアレア
鳥雲に入る廃校は壊されず
一港
焼畑の静けさよ鳥雲に入る
村橋 桂
鼻歌の一つも出鳥雲に入る
落人家楽人
鳥雲に入る鈍色の谷津干潟
西野桃果
鳥雲に入る親父のやうに研げぬ鉈
楽花生
知らせまだき鳥雲に入るしっかりご飯
あるべきようは
鳥雲に入る生臭き吾ここに居る
カオス
先生は佐久間語りて鳥雲に
丹波らる
鳥雲に入る露天湯に真つ裸
亀田荒太
鳥雲に入る母の名のみの母子手帳
水須ぽっぽ
鳥雲に入るイムジン河渡る
入口弘徳
鳥雲に入る満州の古き家
はれまふよう
鳥雲に杖一本の息を吐く
花みずき
けたたまし急かすケトルや鳥雲に
黒澤墨青
鳥雲に干物のにほふ蜑が軒
すがりとおる
鳥雲に空は大きな綿菓子機
古賀
鳥雲に入る睫毛にも影がある
翡翠工房
ゴンドラの目線に鳥は雲に入る
芦幸
歌詞を見て歌ふ校歌や鳥雲に
嶋田奈緒
友と呼ぶ友との別れ鳥雲に
ヤヒロ
鳥雲に入る今日は死にたくない
なつめモコ
鳥雲に入るや盆地の深呼吸
木染湧水
鳥雲に入る左遷地に会話なし
はぐれ雲
鳥雲に入る激震の海だった
長田写々
鳥雲に俘虜なる父の見しバイカル
後藤三梅
婆に薬屋をしへ鳥雲に入る
池 閑茶
鳥雲に義父は軍手で土払う
諫鼓苔深
鳥雲に入りて焼場の音にわか
うみのすな
錠剤は舌下に解け鳥雲に
比良田トルコ石
里山の間伐や鳥雲に入る
青木豊実
鳥雲に十五歳とは面倒臭い
陽光
鳥雲に入る新橋に磨く靴
る・こんと
カーテンの長さ足りねえ鳥雲に
Q&A
鳥雲に最北端碑柵の無く
一久恵
この駅はゴールで起点鳥雲に
巴里乃嬬
購買のおばちゃんの声鳥雲へ
樹海ソース
鳥雲に入るまっすぐの波の峰
だいやま
鳥雲に悲しいといふのでもなく
桔梗
真っ青な風つぶしあい鳥雲に
千葉信子
鳥雲に現場検証見届けて
団栗あんパン
若者の戻らない町鳥雲に
そうり
鳥雲に入る高々と火打石
花純
鳥雲に入りて寂しきハーモニカ
深谷健
鳥雲に入りて鏡の中の吾よ
小林一平
鳥雲に街灯の点く5分前
八光地蔵
都には無職の息子鳥雲に
三日月 星子
空き缶の音階ラララ鳥雲に
だがし菓子
鳥雲に入る羽ばたきの進化論
高遠見上
ちんと鳴るトースター鳥雲に入る
田中ミノル
鳥雲に入る残飯持つ老人
HNKAGA
尻尾追う回転木馬鳥雲に
妹のりこ@金カル
癌ですと言われた日鳥雲に入る
中 はじめ
鳥雲に入る死ぬまではこの体
新樹番人
鳥雲に継ぎし校旗は青空に
桜鯛みわ
鳥雲に入りて鼻濁音に目覚む
春海のたり
鳥雲に入りて着信待つこころ
西川あきや
鳥雲に公民館の廊下の絵
つくばみらい亭
鳥雲に入りてあの島父母眠る
夏目たんちゃん
美しき鳥雲に入る帰り道
彩色絵具𓂃𓈒𓏸
生抜きの二十歳は鳶に鳥雲に
安達りんだう
小4の今日までの君鳥雲に入る
川魚鮎
鳥雲に入る定刻に市バス来る
ジン・ケンジ
天守へのリフト点々鳥雲に
岸来夢
鳥雲に入る伝言の白チョーク
時まる
死火山の笑ひかけ鳥雲に入る
宇谷アポロ
行く風に海の匂ひや鳥雲に
そめやまさみ
雨三日鳥雲に入る晴れ四日
長操
鳥雲にもはや連絡なき予感
森一平
鳥雲に前進守備をひよいと越え
多々良海月
潮寂びの満珠干珠や鳥雲に
上村惠翠
鳥雲にバーガー袋丸め投ぐ
北欧小町
義母からの極秘任務や鳥雲に
さくら悠日
新郎の結びのことば鳥雲に
夏立也
鳥雲に入るあずさ号新宿を出る
北岳鷲葉
筆談に頷く母よ鳥雲に
いつか
鳥雲に入りて深まる湖の碧
桃香
君が文の紙に凹凸鳥雲に
奧元信行
薄明の縹色へ鳥雲に入る
トラウマ製造機
全快といえぬ退院鳥雲に
三重野とりとり
手を上げて別るる駅や鳥雲に
塩野谷慎吾
スタンプだけのLINE鳥雲に入る
田季たまき
又数ふ遣へぬ貨幣鳥雲に
うはのそら
見つからぬコップのかけら鳥雲に
玉響雷子
制服で告げる別れや鳥雲に
釋愚拙
銅像の指はしろじろ鳥雲に
狩谷わぐう
ブスとして哭く放課鳥雲に入る
帝菜
炊き出しの列に子と父鳥雲に
津々うらら
鳥雲に入る決勝のキックオフ
東原桜空
鳥雲に入る家族写真は胸に
卯年のふみ
惜別のシャンパン鳥雲に入る
sol
鳥雲に入るや余命宣言過ぐ
新濃 健
解散はシュークリーム屋鳥雲に
亘航希
鳥雲に忙しそうに逝った姉
かん かんし
鳥雲に入るあの日のラストパス
GONZA
集積の塵の山々鳥雲に
三休
夕潮に消ゆる足跡鳥雲に
立野音思
鳥雲に入る教科書は風の匂ひ
ぞんぬ
磐梯の立つが吾が空鳥雲に
高木石塊
ハチ公像クンクン鼻を鳥雲に
浪速の蟹造
火の鳥雲に入るYMOビート
玉響海月
定年の迫る三択鳥雲に
戸部紅屑
明けの海より飛沫しぶき鳥雲に
沢胡桃
鳥雲に入るx+y=Love
モッツァレラえのくし
無い袖は振れぬ身軽さ鳥雲に
山田喜則
鳥雲に入る亜麻の荷は長安へ
関津祐花
学校は更地となりて鳥雲に
文月あつみ
ひなげしのコースター鳥雲に入る
夏雨ちや
鳥雲に指輪の跡の生々し
美馬ひとみ
鳥雲に吾子は机の下に入る
すのおくめいでん
鳥雲に入り嬰ハ短調の空
河野灰土
鳥雲に入り教室に「はい」の声
山法師彰子
戦没者慰霊碑は黒鳥雲に
でんでん琴女
鳥雲に入る自販機の腹ひらき
公木正
鳥雲に入る壁に剥がれぬシール
浜小鉢
バーゲンの旗翻り鳥雲に
近藤承穂
屋上に捨てる屈託鳥雲に
ふじこ
上映はスパイダーマン鳥雲に
メレンゲたこ焼き
避難所の人はまばらに鳥雲に
浜友輔
鳥雲に廃校の観察日記
渡邉竹庵
経文の一つ諳んじ鳥雲に
老人日記
鳥雲に入るシュレッダーと紙の音
まるかじり
どの人もどこか哀しい鳥雲に
熊谷 温古
現姓に置換完了鳥雲に
服部あや
鳥雲に心肺蘇生講習日
小林昇
鳥雲に入る遺されしごみ屋敷
けーい〇
鳥雲に入る鈍行は定刻に
瑞陽庵
鳥雲に入る虚空の潮騒靡く啼く
種
鳥雲に入りてしんみりしてるとこ
Kかれん
鳥雲に入る首都高は無機質
城内幸江
父建てし家は更地に鳥雲に
なかの花梨
鳥雲に入る壊れをる昼の月
猫ふぐ
鳥雲に鋸山の磨崖仏
上津 嘉子
工場の油煙真っすぐ鳥雲に
華
少年の540鳥雲に
伏見丹耶
鳥雲に書店に開く世界地図
水木合歓
鳥雲に外人墓地の人まばら
聞岳
鳥雲に路地に少女のリフティング
謙久
ふるさとは原発銀座鳥雲に
奈良の真
鳥雲に入る停止線引き直す
居並小
鳥雲に入る絵日記の一頁
かなえの
日曜は窓をみがく日鳥雲に
中 兎波
鳥雲に入国管理局の窓
原 水仙
鳥雲に入るや吠え出す座敷犬
理酔
鳥雲に入るや荒れ田に残る黙
ふのんへん宗悟
陽の射して鳥雲に入る退院日
Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
東塔の蟇股鳥雲に入る
いなほせどり
鳥雲に入る無名校の準決
山本たか祥
鳥雲に入るや白身の角立たず
野ばら
鳥雲に入るやぽんぽん船ぶすす
中原柊ニ
鉄気水運河に流れ鳥雲に
木村隆夫
鳥雲に入る下りホームに待つ始発
ノアノア
鳥雲に入る人もなき河岸の跡
よした山月
青菜茹だる香の満ち満ちて鳥雲に
愛柑
鳥雲に入る始まりと終わりの交
武知小雪
鳥雲に入るぼっちキャンプのコーヒー
千曜 桜
城の井戸は抜け穴鳥雲に入る
よぶこどり
シューベルトの翳りは微か鳥雲に
絵十
優しき風吹く方へ鳥雲に入る
橋本有太津
着信音鳥雲に入る日曜日
山 ゆり
鳥雲に入りてオパール色の海
清水縞午
鳥雲に背表紙擦れし世界地図
対馬清波
諳んじる防人の詩鳥雲に
まるちゃんにいさん
鳥雲に入る弓なりの三里浜
八幡風花
正体は温もりでした鳥雲に
あなぐまはる
指先に触るる切欠き鳥雲に
立ち漕ぎブランコじゅん
鳥雲に入る夕暮れをあやとびす
秋野しら露
鳥雲に紛れし鍵を尋ねをり
おぼろ月
鳥雲に最終バスの閉まるドア
ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
罫線は萌葱色なり鳥雲に
石塚彩楓
誘鳥木ざわめき鳥雲に入る
入道 まりこ
鳥雲に入る具なし味噌汁の朝
星野はいかい
職人に異動はあらず鳥雲に
くずもち鹿之助
如己堂はひなたのにほひ鳥雲に
はぐれ杤餅
山麓にひらけ果樹園鳥雲に
ちやこ
青き鳥描き終えたと鳥雲に入る
やっせん坊 池上
鳥雲に改札鋏は一拍子
水越千里
鳥雲にリケジョさくつと転職す
糸川ラッコ
パン種はまたたひらかに鳥雲に
石上あまね
妹のブーケトス鳥雲に入る
坪山紘士
父の日記燃え尽きて鳥雲に入る
池田行き急行列車
鳥雲に関東平野風ゆるし
あらかわすすむ
鳥雲にジブリパークは大樹の香
フィビキ I
鳥雲に入りて降りだす雨は歌
haruwo
存分に傷つけて鳥雲に入る
芽日火
コンビニのない町の鳥雲に入る
三井伽那
鳥雲にベルリン空港ストライキ
どいつ薔芭
帽子投げる鳥雲に入る空高く
富田健朗
みな違ふ人の行き先鳥雲に
東太
鳥雲に入るや終はらぬ棚卸し
さかえ八八六
鳥雲に托鉢僧の高き声
河本かおり
鳥雲にパン屋の部署が好きだった
ぉ村椅子(志村肇)
連れ合いの特養住まい鳥雲に
川島欣也
職を辞す名刺を焚くや鳥雲に
妄児
鳥雲に入るを見てのち一礼す
くみくまマフラー
ゴミ部屋の清掃業務鳥雲に
尾木三十一
鳥雲に入りてあなたは職業人
はくたい
27時間労働鳥雲に
梶井大地
開拓地の墓だけ残り鳥雲に
伊予西条藩俳句御用掛 銀 次郎
鳥雲に入る乗継を待つ羽田
京野さち
亡国の民に光を鳥雲に
かんこ鳥
空々し鳥雲に入る話かよ
モリコリゴリ
過去帳の先祖の名前鳥雲に
銀 次郎
校門の閂の錆び鳥雲に
宮間ミヤマ
鳥雲に入るロシアにはT-90
三河朱奇
鳥雲に入るや介護度四になり
六地蔵と狛犬
鳥雲に入り残る空色の川
沙那夏
路地裏の駄菓子屋たたむ鳥雲に
空木眠兎
鳥雲に入る桃花鳥色の日本海
亀田かつおぶし
ループする買い言葉鳥雲に入る
湊吾子
ラジオからテキサスヒット鳥雲に
ほこ
落陽の水面渡って鳥雲に
梅田カラハ
畳屋にショパンの調べ鳥雲に
萱原綾川
一人何も無き日の夕鳥雲に
徳翁
鳥雲に入るドッグラン駆けしチロ
緑茶花
恋の行方株価の行方鳥雲に
宗平 圭司
思へどもせんなきことよ鳥雲に
高木音弥
鳶色の八掛解いて鳥雲に
さゆり@金カル
鳥雲に入るトライアングルの丸み
森 日美香
知覧来て母への遺書や鳥雲に
宏楽
鳥雲に歩けぬ脚と歩く意思
青海也緒
鳥雲に入る水夫小屋の跡に影
夕虹くすん
最後の声スマホに置いて鳥雲に
Nakahara結月
鳥雲に入るまつすぐな枝捨つる
川澄 短火
古武士めく城は崖上鳥雲に
遊泉
鳥雲に入る実印握りしめ
羽織茶屋
鳥雲にユーフォニウムのソロパート
椿 佳香
霧島は全きなれど鳥雲に
ヨーダ 鍵
鳥雲に入る振り向けば鳥雲に
伊藤辰弥
鳥雲に入りて拒食の父に会ふ
常盤あけび
屋上にチューバの音色鳥雲に
土佐藩俳句百姓豊哲
鳥雲に螺髪朽ちたる摩崖仏
紫鋼
転校は生ものだ鳥雲に入る
橘鶫
鳥雲に入りて寂しき喉仏
檜鼻ことは
鳥雲に入る洗車する日曜日
きべし
カタカタと無声映画や鳥雲に入る
畑山六十二
鳥雲に入る妣は今炎の中に
希布
髭の無いハートのキング鳥雲に
幸久
鳥雲に入る四島の墓群まで
地球人
鳥雲に吾は東京にグッドバイ
向原てつ
鳥雲に入るコツペパン噛る吾
伊沢華純
ひかり増す眼内レンズ鳥雲に
小林弥福
鳥雲に入るや世界を換気せむ
千田とまと
鳥雲に入る「北」といふ不穏
パーネ・メローネ
鳥雲に入る頼朝公の落馬説
夜ノ森ムーミン
鳥雲に入るこの町に米を研ぐ
朱契
鳥雲に入る鈍行の第二ボタン
男鹿こーげん
鳥雲に入りてどこかは朝の星
川越羽流
鳥雲に入る日本代表通知
茉叶
鳥雲に入るてのひらに雨の粒
みうらけんじ
研修の期間のなかま鳥雲に
ほしの有紀
白髪をヘアドネーション鳥雲に
真宮マミ
鳥雲に荷物は小型トラックに
木村となえーる
鳥雲に水晶体のちぢむ音
杏是りゐ菜
カラカラと引き出しのペン鳥雲に
新子熊耳
アイロンの蒸気しうしう鳥雲に
丸山隆子
施設空くと留守電鳥雲に入る
山本 マユミ
鳥雲に入るフルートのプレリュード
さざなみ葉
鳥雲に砂場に朽つる青年誌
きみどり
揚力に変える逆風鳥雲に
秋月
烏口のインクの掠れ鳥雲に
小町瑞泉
地を這う銅鑼の音や鳥雲に入る
酔蚊眼
尖塔の影は伸び鳥雲に入る
千葉睦女
眼鏡拭き鳥雲に入るあゝ独り
つきのひと
弁明は長々続き鳥雲に
大山香雪蘭
古時計の正時打ち鳥雲に入る
ぐりえぶらん
鳥雲に入る全揚の回答旗
木野桂樹
波がさらふTHANKSの文字鳥雲に
幸田柝の音
光食みちらばして鳥雲に入る
登りびと
鳥雲に入る喫茶店のカフェラテ
剣翔寺亜太琉
病は影を残し鳥雲に入る
快晴ノセカイ
鳥雲に入るさざ波砂州へ消えり
吉武茂る
雲海の端から焼けて鳥雲に
亀山酔田
鳥雲に入る幼気なメヌエット
麻生四里
ふはふはと食パン切れば鳥雲に
ことまと
鳥雲に考のパイプを受け取りぬ
貝花
夕さりて引き据う屋台鳥雲に
犬山裕之
あとがきを書かぬ詩人や鳥雲に
青田奈央
フラミンゴはそっぽむき鳥雲に入る
外鴨南菊
居残りのグランドはロゼ鳥雲に
芍薬@独逸
鳥雲に入りてシベコン三楽章
猫凡
校庭の人文字となり鳥雲に入る
真喜王
寛解へまた一万歩鳥雲に
鈴白菜実
鳥雲に入らば転院完了す
不二自然
鳥雲に入りてぷっくりパンの種
乃筈三拍
鳥雲に我がふる里は味噌の町
戸田 静雄
鳥雲にНетвойне!と鳴きながら
菫久
鳥雲にわれに渡れぬ橋ひとつ
寂し野欅
善き人のうそはみずいろ鳥雲に
ねむり猫
鳥雲に入る墓守の煙草の香
平としまる
鳥雲に入る流木浜に上がる
あまぶー
新校舎竣工す鳥雲に入る
日向こるり
やはらかなもの残し鳥雲に入る
小木さん
鳥雲に入る忘れるといふ甘美
うからうから
今はもうただの石ころ鳥雲に
麻の葉
青空に綴る山の名鳥雲に
千の葉
鳥雲に入る新しき診察券
花伝
鳥雲に入る雨上がりの月曜
ゴー俳句翁
地球史のまだ二十秒鳥雲に
うた 歌妙
肉離れは十日目鳥雲に入る
としなり
鳥雲に入る戦場の土墳かな
ひな
鳥雲に入るシリンジはあと一つ
オニチョロ
鳥雲に入る輸送機吼えたぎる
大紀直家
ロング缶飲み干せば鳥雲に入る
登盛満
子は親を選べずも鳥雲に入る
帯壱
祝い鯛に塩振る鳥雲に入る
縞ふみ
鳥雲に地球回りが得意技
夏湖乃
ゴーギャンの島は遠くに鳥雲に
ぎんやんま
屋上の木馬消え鳥雲に入る
空想婆
鳥雲に入るラストフライトアナウンス
小笹いのり
「ロボットではありません」鳥雲に入る
佐野明世
ご赦免の絶たれし墓や鳥雲に
むったん@狐狸山会
トネリコの杖の手触り鳥雲に
まち眞知子
鳥雲に入りてウヰスキーほろ苦し
澄海まさと
補聴器の音声途切れ鳥雲に
パッキンマン
鳥雲に入る小さきは老いの家
全速
参考書の付箋を剥がす鳥雲に
佐々木 洋治
ハンチングを兄の柩へ鳥雲に
おかげでさんぽ
鳥雲に入るや御空にみづごころ
北藤詩旦
川向こうは立ち退きならず鳥ぐもり
黒田
砂時計の実直鳥雲に入る
靫草子
退院に添う鳥雲に入る朝に
雅屋少将
鳥雲に豆腐屋さんの車待つ
細木さちこ
鳥雲に入るバレリーナに花束
加山シンゴ
原発の蒸気モクモク鳥雲に
直美YC
鳥雲に入るや茫洋たるあした
岩木順
球はまた右へあぁ鳥雲に入る
山田雅己
鳥雲に父の文箱の震える字
定吉
木の上の子ら叫びをり鳥雲に
多摩川風子
鳥雲に入る相続を拒む人
恋瀬川三緒
パレットの打ち捨ててあり鳥雲に
赤尾てるぐ
鳥雲に入る終の新車はブルー
孔明
辞令には知らぬ地名や鳥雲に
大久保加州
鳥雲に入り我もまた畑に入る
田畑せーたん
鳥雲に駅舎の跡に木のベンチ
岡山小鞠
鳥雲に入るエドガーの大鴉
リーガル海苔助
鳥雲に入る万葉の荒磯かな
塩風しーたん
鳥雲に入る多摩川の変はりなく
大山和水
手にスマホ耳にイヤホン鳥雲に
宝もなこ
鳥雲に古きボートは繋がれて
ひすい風香
新たなる力こぶ鳥雲に入る
立歩
先生の手帳真っ黒鳥に
安井コスモス
まじないは指二本鳥雲に入る
ほしのあお
鳥雲に入れば東の視野に闇
だん がらり
望郷の日記読みし日鳥雲に
むじーじ
ドーナツの匂ひするバス鳥雲に
まめばと
鳥雲に入る大縄へいざ最後の子
青井えのこ
六畳の更新月や鳥雲に
瀬央ありさ
遠き子へ短くLINE鳥雲に
えりべり
鳥雲に入る後任は君だから
ひでやん
一乗の谷は静謐鳥雲に
蒼鳩 薫
コントラ・マッチは果て鳥雲に入る
半ズボンおじいさん
黙のまゝ発つ子の背や鳥雲に
海野あを
フルートのブレスに見ゆる鳥雲に
在在空空
鳥雲に入るあれは文晁の角度
くさ
鳥雲に介護施設の車椅子
淺野紫桜
鳥雲に入る追悼走行会終わる
ヒマラヤで平謝り
鳥雲に入るや前髪かきあげて
優木ごまヲ
終活は概ね済んだ鳥雲に
山水
下げ潮の幣舞橋や鳥雲に
寺尾当卯
鳥雲に入る影もなく立つてゐる
月岡方円
幻聴に答える父よ鳥雲に
山中 揚
鳥雲に入りて「野ばら」の昼チャイム
佐藤茂之
地球とはおおきな磁石鳥雲に
剛海
鳥雲にどこかへ帰る紙芝居
金子泰山
里子にと出すは三女鳥雲に
空流峰山
鳥雲に入る園児等の指眼鏡
高田杏
湧水の豊かな街や鳥雲に
そうま純香
波よ波よ両津へ鳥雲に入る
駒村タクト
耳鳴りは半音高し鳥雲に
西村 棗
鳥雲にパイの香の立つ日曜日
夏の町子
荒野荒野を五分回って鳥雲に
高市青柘榴
続きから書物をひらく鳥雲に
なか かよ
流木に宿りし神や鳥雲に
緒方朋子
Bメロの希望のかけら鳥雲に
オキザリス
縦列に歩く親子や鳥雲に
深草あやめ
鳥雲に入る鉄穴流しの水路
村木年子
鳥雲に入る口笛はサビばかり
大和田美信
一枚の白黒写真鳥雲に
渡邉 花
原色の選挙ポスター鳥雲に
安春
鳥雲に褒められるのは苦手です
中山月波
鳥雲に入りてブルースハープの男
明惟久里
跳ね返るRIMOWAの車輪鳥雲に
海峯企鵝
綿菓子の屋台のラジオ鳥雲に
平野光音座
教室の抜けぬ画びょうや鳥雲に
真名女
鍵の窪みなぞつて鳥雲に入る
菅井香永
鳥雲に入る健診の駐車場
安溶二
口中のグミの酸つぱさ鳥雲に
遊羽女
鳥雲に入るや風呂から知らぬ歌
篁 橙花
側溝を跨ぐや他郷鳥雲に
椋本望生
鳥雲に入りべったんの裏返る
瓦すずめ
鳥雲に入るクレヨンの青を手に
藤鷹圓哉
鳥雲にマトリョーシカに興じる子
吉川花ほっぺ
鳥雲に入るサコッシュには菓子パン
霜田あゆ美
相続の話終ふ鳥雲に入る
吉川拓真
鳥雲に入りて端島の朽ちゆかん
土谷海郷
鳥雲に入るや告白待ちの海
さとマル
鳥雲に入りて優しき妻の道
ゆすらご
鳥雲に入るヒマラヤは窓の下
鄙野木人
幾万の嘆きの波頭鳥雲に
つづきののんき
鳥雲に入りて糠床やめる母
藤田ゆきまち
鳥雲に川原に杭の等間隔
内田こと
鳥雲に津波の如く広東語
多事
鳥雲に入りて洗濯物乾く
八尾の正吉
田畑揺らめき立ちて鳥雲に入る
眠 睡花
靴底に張り付く馬券鳥雲に
くろべぇ
鳥雲に入る荷台より大号令
片岡六子
鳥雲に入るや鳴り出すスマートフォン
おのまい
鳥雲に母まだ母を辞められず
新蕎麦句会・凪太
鳥雲に残る川辺の貸しボート
長谷川ひろし
懺悔録焼き捨てて鳥雲に入る
大 広秋
鳥雲にトンボでならす三塁線
釜眞手打ち蕎麦
こりにまわすかいがね鳥雲に入る
正岡丹ん
父逝くを母知らざりき鳥雲に
池之端モルト
鳥雲に入る難民キャンプの黙
猫楽
鳥雲に入るげんしつうげんしつう
抹茶子
鳥雲に利根川くろく東せる
矢部重夫
鳥雲に小海老は河原天日干し
六花
鳥雲に入谷の本屋また閉まり
榊昭広
メレンゲはやうやう角に鳥雲に
亜桜みかり
鳥雲に入り陵へ埃風
暖井むゆき
鳥雲にシャッター開かぬ空き店舗
清白真冬
吾が母を好いてた従兄鳥雲に
こいぬ
武器の名のレンズ整列鳥雲に
トウ甘藻
一包と五錠飲む朝鳥雲に
雑魚寝
ぽんと蹴る体操着入れ鳥雲に
小だいふく
鳥雲に入りてタイヤのローテーション
山羊座の千賀子
鳥雲に抹消線を引く手帖
村上優貴
鳥雲に入り母鍬を動かしぬ
たなべ早梅
波紋なき今朝の湖鳥雲に
コケコッコー
鳥雲に入る日暮れても青き空
このみ杏仁
まだ買い手つかぬ生家や鳥雲に
大熊猫@四句八句
定年は徐々に延長鳥雲に
植木彩由
先生は母になる鳥雲に入る
野井みこ
鳥雲にスナック「純」の紙マッチ
みづちみわ
ニーチェの本をしまひて鳥雲に入る
千原 十吾
鳥雲に入りて学舎は海に沿ふ
柳絮
ふるさとを誇らぬをとこ鳥雲に
可笑式
大王の石室あらは鳥雲に
石浜西夏
鳥雲に入るポケットの重き鍵
小沢史
アイバンク用義眼は燃える鳥雲に
桜井教人@金カル
留学の荷物は軽く鳥雲に
万里の森
鳥雲に入る新講座申し込み
柴口裕香里
鳥雲に入る追伸のやうな空
広瀬 康
鳥雲に納屋の古びた農事帳
一走人
鳥雲に昨日のままの貌に波紋
豆闌
最終のランナーの背や鳥雲に
富佐野ほろよい
鳥雲に入るひさびさに皿を割る
百瀬一兎
鳥雲にピンクテープの巻かれし樹
藤白月
ふるさとの神より高く鳥雲に
こま爺
今日までの交換日記鳥雲に
あさのとびら
鳥雲に友に疚しきことなども
山河穂香
自転するさびしき地球鳥雲に入る
茫々
雇止め撤回される鳥雲に入る
西村小市
鳥雲に入るをモアイのいつまでも
池内ときこ
鳥雲に真っ当でない者と成る
山田蚯蚓
子の代で途絶える苗字鳥雲に
新多
船上の島立ちの子ら鳥雲に
伊藤てまり
鳥雲に大規模地震発生率
木寺 仙游
合格者無しの貼紙鳥雲に
世良日守
鳥雲に入るやあの子も辞めるのか
ノセミコ
鳥雲にスカイツリーの発射待つ
如月ドロップ
鳥雲に入りて引き出し空にする
岡崎ゆきこ
黒衣の撞く鐘しづか鳥雲に
てるきち
鳥雲に灯りはじめる電波塔
雪音
実家売る業者待つ朝鳥雲に
平野水麦
鳥雲に入るや西口広場消ゆ
東京堕天使
鳥雲にダッグアウトへ千羽鶴
にゃん
真っ直ぐに貼るガムテープ鳥雲に
矢橋
鳥雲に廃車となりしロマンスカー
野澤真澄
潮風の少女の像や鳥雲に
安寿
鳥雲に池未だ波紋を解かず
唯果
鳥雲に大雪山をしたがえて
雁梛
学校の話はならぬ鳥雲に
山内順子
鳥雲に入る伴走のしなふ紐
二郷京子
着任の絵葉書のリマ鳥雲に
大小田忍
鳥雲に地に探されぬ屍
久保田A
「練習中」の車増え鳥雲に入る
白薔薇
食パン静かに焼け鳥雲に入る
藤永桂月
斑雪めくマスクの町を鳥雲に
ミセス.アラン
鳥雲に入る累々と白き枝
田邉真舟
駅までの変わらぬ景色鳥雲に
坂 とき
鳥雲に入りて始める家じまい
沙季一世
憧れの兄のラジカセ鳥雲に
キッカワテツヤ
連写音拍手のように鳥雲に
中島 真珠
指折りて鳥雲に入る加減算
春風流士
年輪を刻むさみしさ鳥雲に
みやま千樹
鳥雲に仏語反芻して忘る
満る
鳥雲に入る解体を待つ団地
長谷川水素
鳥雲に入る議事堂の屋根尖り
由づる
鳥雲に指ピストルの指す方へ
新城典午
鳥雲に入る驚きのない辞令
野口真砂輝
鳥雲に埴輪はまるい息をはく
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
鳥雲に退職記念品発注
佐々木のはら
鳥雲に握手の小指離れけり
青居 舞
雲に入る鳥よ腕(かいな)の老犬よ
井納蒼求
役職の無くなる朝や鳥雲に
清鱒
バス旅や鳥雲に入る右の窓
蒼空蒼子
鳥雲に入る着々と墓仕舞い
おんちゃん。
鳥雲に入るVIP警護の空港へ
びんごおもて
置き去りにされしピアノよ鳥雲に
青木りんどう
鳥雲に入る山羊の飼い葉の足りぬべし
犬井山羊
鳥雲に入るあした先輩となる
高橋寅次
敗残の兵の頭上や鳥雲に
円路
御守りは墓石のかけら鳥雲に
中根由起子
いつ消えるケムトレイルや鳥雲に
アントワネット@ノエル
鳥雲に入る手賀沼の小さくなり
勘太郎
魚影追ふ船の前方鳥雲に
三月兎
街に色残らざるなり鳥雲に
くま鶉
引継ぎのエクセルファイル鳥雲に
夜音 友
鳥雲に採血痕の蕾めく
迫久鯨
鳥雲に入る普天間基地に墓
平良嘉列乙
鳥雲に入る労働は海のよう
羊 羽太
ハーモニスク広がる指や鳥雲に
千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
焼跡の空は広しよ鳥雲に
伊藤順女
鳥雲に十一年の只見線
青田葵
鳥雲に入る酢漿の葉は酸いい
季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
東京の職のみ渡る鳥雲に
陽花天
鳥雲に入る離婚は傷ではない
かつたろー。
鳥雲に連絡船の鳴らす銅鑼
津軽ちゃう
鳥雲に入る折り紙に龍や龍
杢いう子
天目指す遊子の段畑鳥雲に
津軽まつ
鳥雲に入る自販機がアリガトウ
瀬尾白果
鳥雲に吾子の手湿るデ・ハール城
北野南瓜
ガリ版刷りの詩集の匂い鳥雲に
小倉あんこ
鳥雲にホットサンドをあふるる具
伊藤 柚良
鳥雲に入る辞めた子は東京へ
田辺ふみ
鳥雲に会ひたき人もなかりけり
空魚
理科室のフナが白濁鳥雲に
秋野木吾
鳥雲に岬の晶子歌碑古りぬ
星埜黴円
ビクトリアハーバーや鳥雲に入る
濃厚エッグタルト
鳥雲に入るや鞄に無き名刺
いくたドロップ
鳥雲に地質調査のはじまりぬ
誉茂子@野の花
湖の句点めくころ鳥雲に
遠山比々き
無口なり鳥雲に入る退職日
クロまま
気持ちってどこから来るの鳥雲に
閑々鶏
鳥雲に入り民宿となる母校
山口鵙
鳥雲によし!離婚届を書こう
梨西瓜
鳥雲に入りて殯の丘に立つ
アリマノミコ
鳥雲に入るや地層に壺の紋
山城道霞
来し空の色忘れてや鳥雲に
山本先生
鳥雲に誰かがやればいい仕事
桃園ユキチ
母方の墓ある在所鳥雲に
也和
鳥雲に入る我が身ただ頼りなく
あおのめ
鳥雲にいつもの窓と椅子あれば
英ルナ
しづかなる団地となりぬ鳥雲に
なしむらなし
鳥雲に入るや羽ある児ら連れて
龍田山門
捷報の知らせ正しや鳥雲に
篠川 翠
鳥雲に牛乳の膜そつと裂く
天風月日
鳥雲に入るや大地に立てる鍬
野地垂木
鳥雲に入るや生家を塗り直す
諏訪ヤス子
破談後の別府湾晴れ鳥雲に
晴田そわか
鳥雲に入る鰯缶あける指
亀の
空一篇綴づやうに鳥雲に入る
元野おぺら
鳥雲に入る脳の指令として涙
篠原雨子
消されつゝ黒板白し鳥雲に
稗田鈴二郎
屋上の定点カメラ鳥雲に
富山湾
鳥雲に入るマトリョーシカへ懺悔文
真子井こはく
洞落つる水音幽けし鳥雲に
小川野雪兎
鳥雲に入る泥濘のレオパルト
若井柳児
鳥雲に入る連弾の駅ピアノ
富山の露玉
鳥雲に車窓に映る独り言
トポル
鳥雲に入るオカリナの最高音
竹村マイ@蚊帳のなか
納骨や女残され鳥雲に
まぐのりあ@蚊帳のなか
散骨の振り返らざる鳥雲に
久留里61
鳥雲に夫なき部屋に夫のギター
森中ことり
鳥雲に昭和錆びゆく連絡船
野々原ラピ
鳥雲に検討します戦闘機
宇田建
旅人はいつもよそ者鳥雲に
渡部 あつし
鳥雲に入るや僕らの負け試合
里山子
ホットワインは飽きた鳥雲に入る
邦生
老眼の読書鳥雲に入る日暮れ
殿さまペンギン
鳥雲に入る瓦礫の下に居る
久米穂風
ミカエルの綺羅つひばみに鳥雲に
坐花酔月
ため息の映る機窓よ鳥雲に
北川颯
鳥雲に入るや列車泊の孤独
砂楽梨
じょんがらの撥の限りを鳥雲に
津軽わさお
鳥雲に入る花柄もある婚姻届
西川由野
街あまた吞み込みしうみ鳥雲に
深山むらさき
無為徒食恥じて洗濯鳥雲に
二丁目
鳥雲に入る母の声消えるなよ
哲山(山田哲也)
鳥雲にかなしみあをくすきとほる
渋谷晶
風伯を従へて鳥雲に入る
そめいゆ
鳥雲に入る薬害のないからだ
蓮花麻耶
鳥雲に包んで捨てる母の襁褓
藤白真語
マックの匂ひ残る愛車や鳥雲に
竹田むべ
鳥雲に入る長編を締めくくる
羽野あき
鳥雲に入りて登り窯冷めゆく
山香ばし
二十五の島にさよなら鳥雲に
花紋
鳥雲に入りて明日より休耕地
ひなた和佳
鳥雲に入りて腹帯返しけり
一井蝸牛
祖父の訃報告ぐるごと鳥雲に入る
光峯霏々
海向かぬ異国の墓標鳥雲に
みやかわけい子
富士へ行く高速バスや鳥雲に
秋野茜
鎮静剤一滴二滴鳥雲へ
笑松
鳥雲に入り北極星(にぬふぁぶし)の清けし
有野 安津
鳥雲に入る絵筆らの洗はるる
一本橋ふくろう
鳥雲に入りて出生を嘆かぬ
殿村則子
入所日の合わさぬ歩幅鳥雲に
薫夏
ご破算の珠の音や鳥雲に入る
森脩平
イップスは完治せず鳥雲に入る
井田みち
貸切のロープウェイや鳥雲に
渥美こぶこ
がらくたもすべては遺品鳥雲に
天陽ゆう
着古しの作業着や鳥雲に入る
叶田屋
服薬の薄きセロファン鳥雲に
つまりの
鳥雲に入る亡き友のトランペット
新谷夏風
カルデラの湖になるまで鳥雲に
千歳みち乃
円墳は遊び場鳥雲に入る
どくだみ茶
雲に入る鳥のだくぼく空を耕す
西村青夏@金カル
消しゴムでぼかす自画像鳥雲に
露草うづら
鳥雲に入る友情という記憶
工藤雨読
手のひらのロザリオの型鳥雲に
はなぶさあきら
鳥雲に入るや短く母の爪
大塚迷路
長考の後手の二歩打ち鳥雲に
田畑 整
喪が明けて鳥雲に入る朝の橋
ぜのふるうと
鳥雲に入る一人暮らしのテーブル
むねあかどり
鳥雲に入るクグロフに深き穴
碧西里
鳥雲に入る太陽の再起動
沖原イヲ
鳥雲に入る朝食はぶつかけ
種種番外
鳥雲に入る螺鈿めく夕の星
小川さゆみ
鳥雲に入るガリレオの月の山
中島穂華
鳥雲に入る売れ残りの週刊誌
紅紫あやめ
鳥雲にみなみじゅうじ座見えぬ国
砂月みれい
鳥雲に入る故郷は瓦礫なり
竹春エリザベス
不揃いに干さるる漁網鳥雲に
戸口のふっこ
鳥雲に入るフェリー乗り場の紙テープ
富士桜花
鳥雲に入る指さす先は男体山
みなみはな
ペン置くや鳥雲に入る朝ぼらけ
仁山かえる
黒板消し叩く窓際鳥雲に
きなこもち
魚の跳ねた波紋鳥雲に入る
博さん
鳥雲にミヒャエル・エンデ「モモ」を読む
旺上林加
鳥雲に川に生まれたての水
夏椿咲く
偽薬飲みこみ鳥雲に入る車窓
倉木はじめ
鳥雲にタラちゃんの声五十年
あまぐり
鳥雲に入りて残るは風ばかり
遥風
鳥雲に入るや汽笛の空わたり
華胥醒子
鳥雲に街の鴉はビルに立つ
麗し
鳥雲に入るやたなびく野辺の烟
たけぐち遊子
鳥雲に入る友引のお引越し
鳥羽南良
鳥雲に入る鉄窓の朝陽かな
ぶうびい
鳥雲にイーゼルは背に斜め
せいしゅう
鳥雲に入る石積みの水道橋
星田羽沖
結霜硝子を光やはらか鳥雲に
しゃれこうべの妻
鳥雲に入るや真砂女の海暮れて
武田ラーラ
さよならの文字右上がり鳥雲に
加賀くちこ
鳥雲に入る水飲み鳥は鬱になる
雪井苑生
鳥雲に入る花売りの通り道
はまお
最適的な前立腺値鳥雲に
北山 烏兎
薄明を鴆毒のごと鳥雲に
しやれこうべの玉
鳥雲にビルの狭間に生駒山
荒磯魚々
革工場跡は無臭で鳥雲に
小豆白虎
鳥雲に入る規定値のトリチウム
染井つぐみ
疫病の家に灯りや鳥雲に
もりさわ
鳥雲に入る洗車後はいつも雨
鳥羽ししまる
墓守りの弟遠し鳥雲に
岡田雅喜
鳥雲に入る独り言多くなる
ざうこ
カルデラを一巡りして鳥雲に
青野遊飛@蚊帳のなか
産土は記憶の外に鳥雲に
M・李子
青墨の和紙へ一滴鳥雲に
広島 しずか80歳
鳥雲に入りしピラティス習おうか
濃紫えみ
アブサンに溺るる女鳥雲に
紫小寿々
鳥雲にロシアで唄ふ鶴の曲
誠馬ノマド
腕の傷白くなる鳥雲に入る
大津美
鳥雲にタバコの煙を吐き捨てて
夏目十貫
鳥雲に入るシュウヘイに告ろっか
タリタ クミ
鳥雲に入りて汀に残る羽根
真井とうか
鳥雲に入るばくだんの落ちる絵本
ぐでたまご
鳥雲に入るやロケ隊撤収す
雨李
鳥雲に入るバンドゥーラ爪弾く
渡辺桃蓮
鳥雲に父の無念も荼毘に付す
みうら朱音
鳥雲に入る遺品処分するしない
石本コアラ
線路は西へ大きくカーブ鳥雲に
越智空子
鳥雲にフォルテピアノの柔き音
橘萌香
ポチ子吐く全部吐く鳥雲に入る
忘れちゃった
荷造りの中断いく度鳥雲に
千波佳山
鳥雲に入り私は平社員
字土街海
鳥雲に入る術中の記憶なし
二重格子
鳥雲に入るや渦巻く貝の音
勘八
鳥雲に入る石膏は未完成
はっしー
レコードは音の塊鳥雲に
まこちふる
鳥雲に入る火葬場に入れない
ももたもも
鳥雲にしゃがんで硝子越しの祖父
夏風かをる
鳥雲に入る欠席に○を付け
潮見悠
鳥雲に見たこともなき道に出で
糺ノ森柊
山頂の御船の岩や鳥雲に
山野麓
あの頃のままの校歌や鳥雲に
汚芋
鳥雲に入るや気球のふぉわんふぉわん
ぐずみ
鳥雲に入る夕暮れの鳥居かな
白玉みぞれ
鳥雲に入るwifiのなき岬
みつれしづく
鳥雲に入る予定日に薄く丸
和季
鳥雲に入る病棟にかける鍵
板柿せっか
鳥雲に入るオフホワイトのシャツ
KII
ピロシキは揚げパンのこと鳥雲に
すりいぴい
びいどろは地鳴きに似たり鳥雲に
桜月夜
鳥雲に入る爪に三日月の白
松井くろ
鳥雲に食ひしばる歯にさはる舌
丹下京子
鳥雲に入る約束は守られず
洒落神戸
親らしき事もできずや鳥雲に
武井かま猫
鳥雲に入る先頭とそれ以外
たけろー
上野駅13番線鳥雲に
原島ちび助
川風や鳥雲に入り屋台組む
古庄 萬里
鳥雲に入りて水面の平らなり
あさぬま雅王
鳥雲に入る参鶏湯湯気のなか
ウロ
沈黙の碑を読まず鳥雲に入る
足立智美
鳥雲に入り尚耳朶に残る聲
虎堂吟雅
ひとすぢの水のきらめき鳥雲に
大庭慈温
この辺りまだ田舎びて鳥雲に
香依蒼
堤防のコンクリ厚し鳥雲に
谷本均
鳥雲に入るや番屋の割れガラス
オアズマン
畝立てし畑香る鳥雲に入る
香羊
鳥雲に昔ここには水車小屋
かぬまっこ
手直しのなき答辞鳥雲に入る
黒子
論文の名に教え子や鳥雲に
くぅ
産毛落つ鳥雲に入る湖の辺
茶
五行しか書けぬ履歴書鳥雲に
朝月沙都子
鳥雲に入りて黒板アート消す
けろけろたま蛙
風を生むパラパラ漫画鳥雲に
黒蜜かりんとう
爪切りに薄き爪皮鳥雲に
砂山恵子
水はまた空映すだけ鳥雲に
ダック
デコトラのかけるアニソン鳥雲に
ひねもす
社用車を洗車し鳥は雲に入り
鳥不驚
鳥雲に入るシーツやんわり乾く
田村美穂
おほかたのうら若き鳥雲に入る
三重丸
詩を書けぬ詩人のもとへ鳥雲に
島田あんず
鳥雲に震災死者数は不明
藤咲大地
鳥雲に入る阿波の祠は謎だらけ
まりい@木ノ芽
鳥雲に入る東京は三年目
やまさきゆみ
鳥雲に空いくつ過ぎカムチャツカ
山内 負乗
さっきまでなかった前科鳥雲に
阿部八富利
鳥雲にファントムバイブレーションは母
伊藤映雪
鳥雲に入るここより白河の関
那須のお漬物
坂東は平らな國ぞ鳥雲に
山内彩月
野営場のカップは火襷鳥雲に入る
梅世耕
鳥雲に水が合うのはパリと友
飛来 英
鳥雲に入る中田島の風紋
斧 的部
オカリナは鞄の底に鳥雲に
英子
鳥雲に石の声聞く穴太衆
横山雑煮
鳥雲に入る港に響く笛太鼓
四丁目
兄弟は所詮他人や鳥雲に
加和志真
鳥雲に星の王子と僕の以後
火炎幸彦
遮断機は未だ上がらず鳥雲に入る
平松 ようこ
ひきこもり百万人てふ鳥雲に
市橋正俊
方舟を出づるごと鳥雲に入る
堀口 房水
馬出の三日月堀や鳥雲に
岬ぷるうと
鳥雲に犬の世界は黒と白
灰色狼
鳥雲に入る写真機のキリル文字
看做しみず
鳥雲に入る未来都市線開通す
篠原正史
イヤフォンのラ・カンパネラ鳥雲に
吉崎赤絲
鳥雲にライン既読のまま眠る
夢見昼顔
鳥雲に入りてギターと行くツアー
無弦奏
鳥雲に街の交番一つ減る
朱鷺9条
鳥雲に一番星は不安定
茂平次
コロコロを縛って捨てた鳥雲に
丘上 すめる
鳥雲に入る樹木葬の風塵
木原トモ
鳥雲に入る二荒の山は輝きて
寿貢
鳥雲に入る足環はブルーなり
野山遊
鳥雲に入るや研ぎ師の道具箱
宮武濱女
鳥雲に入りて干菓子をひとつ食む
京あられ
鳥雲に入るカフェテラスにて手紙
秋白ネリネ
鳥雲に入る索敵の旧市街
野点さわ
鳥雲に体操袋引きずる子
小川テル子
糾へる生死の轍鳥雲に
恵勇
静謐な天を漕ぐ鳥雲に入る
松山松男
消印は最寄りの局や鳥雲に
野々村澄夫
鳥雲に入るぐんぐんと整然と
上津 力
あの先は時空の歪み鳥雲に
弥勒夕陽
鳥雲に入る鈍行の床に土
宥光
鳥雲に水の子島や貨物船
余熱
鳥雲に入るまで爆弾の話
葉村直
鳥雲に入る水溶液は無色
落句言
鳥雲に入る相続は放棄する
藍創千悠子
手習の窓に透けをり鳥雲に
立山穂高
像の門残る学校鳥雲に
林 水城
鳥雲に入る機長のアナウンス聴く
林りんりん。
言葉無く混ぜるコーヒー鳥雲に
林常住
鳥雲に「特攻日和」と記す遺書
林石爽子
鳥雲に入る退助はへそくりで
鈴木裕公仁
鳥雲に劈く四十五冊の背な
吽田のう
ジャングルジムはわたしの砦鳥雲に
澤田 紫
遠方凝視訓練のカノン鳥雲に
蘂六
鳥雲に六根清浄惑ひつつ
蜥蜴の尻尾
胎動はおんなのゴング鳥雲に
鈴野蒼爽
鳥雲に入る後は鍵返すだけ
水蜜桃
転籍に消ゆる古傷鳥雲に入る
星乃ぽっち
山頂に又一つ塔鳥雲に
和泉攷
病む友へ鳥雲に入り雨は降る
正念亭若知古
椅子の上に体育座り鳥雲に
西村柚紀
鳥雲に足場組立作業員
西田月旦
鳥雲に妻有休を消化中
西田武
スカートのほつれ直しぬ鳥雲に入る
青に桃々@いつき組俳句迷子の会
バス停三つ追ひて鳥雲に入る
沢拓庵
学窓の歪みしくひぜ鳥雲に
青空まる
鳥雲に入る太陽光の営業来
赤馬福助
トリガミの福永馬券鳥雲に
川上 生煎
叱り方まちがえちゃった鳥雲に
前田麺
鳥雲にかすかに残る虹の色
草間八千代
餞別に祖母のラフテー鳥雲に
唐草もみじ
鳥雲に入るサーカスの旗ゆらり
四季春茶子
鳥雲に貧しき家の屋根青く
小池令香
出番なきキーパー楽し鳥雲に
せり坊
とんとんと絵筆置く鳥雲に入る
干しのいも子
一時に焦がす飴煮や鳥雲に
清水 三雲
鳥雲に人は眠りに落ちるといふ
髙田祥聖
吾が声の明るさ知れり鳥雲に
ユ綺
通帳を繰り越して鳥雲に入る
さくさく作物
餞のマカロン甘し鳥雲に
井原冴
鳥雲に入るサルベージ船尖る
きのえのき
遮断機を持たぬ踏切鳥雲に
音羽凜
鳥雲に入るや新居の電子錠
詠頃
トルソーは手招くポーズ鳥雲に
牧野冴
進路まだ定まらず鳥雲に入る
古都 鈴
鳥雲に湖へ傾く船着場
杏乃みずな
川棚の湯気追うて鳥雲に入る
さいとう歌月
人間は寄り添うべきや鳥雲に
北大路京介
つぎつぎと返せるオセロ鳥雲に
彼方ひらく
鏡では見えぬ横顔鳥雲に
ちゃうりん
鳥雲に恩師加筆の伴奏譜
石田将仁
鳥雲に入るや湖畔に鼓笛隊
黒麹 糀
次回の兼題も
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