【佳作】
鳥雲に入るパトカーは給油所へ
栗田すずさん
屋上で告ぐる進路や鳥雲に
ふもふも
洋上へ延びる風車や鳥雲に
石塚碧葉
鳥雲に入る捨てきれぬランドセル
梅鶏
窯焚きて今日で十日目鳥雲に
哲庵
鳥雲に入る土蔵の塵きらきら
葦屋蛙城
鳥雲に献花みづみづしく白し
浦野紗知
水道水を濾過する砂や鳥雲に
朶美子(えみこ)
鳥雲に千の花瓶に千の底
内藤羊皐
鳥雲に入る傷のある象の耳
辻野 花
鳥雲に入る弔砲のにほひ来る
げばげば
鳥雲に入り鉄橋のうすみどり
立部笑子
ウェルカムドリンクの屈折鳥雲に入る
玉野汐音
サイフォンのみづがふがふと鳥雲に
イサク
鳥雲に三千本のチュロス焼く
石井一草
鳥雲に入る日の丸へごうと風
すずしろゆき
鳥雲に入るやペテロの石材店
松葉学而
コロッセオは虚ろな柩鳥雲に
アロイジオ
鳥雲に入る鎖付き象の脚
酒井おかわり
鳥雲に入る人は地に立ち水を飲む
直
鳥雲に入る餘部の駅高し
ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
地下鉄の狭き出口や鳥雲に
栞虫かじり
果てて知る大樹の齢鳥雲に
港のパン屋
鳥雲に入りまた鳥雲に入る灯台
いさな歌鈴
鳥雲に入る喝采の山中湖
いたまきし
鳥雲に入る十円で願うこと
虎八花乙
鳥雲にハイウェイラジオはここまで
葛城蓮士
船底に雑魚寝の三日鳥雲に
ふくろう悠々
鳥雲に入る赤きにほひの小豆煮て
み藻砂
ほいくえんってなにするところ鳥雲に
紀友梨
鳥雲に入りて出頭日和かな
藤岡美波
鳥雲に入る蔓青き老眼鏡
伊予吟会心嵐
本を売る写真焼く鳥雲に入る
堀雅一
鳥雲に入る粥匙に浅き窪
加座みつほ
キャンパスの白が怖くて鳥雲に
コンフィ
突き出せる桟橋長し鳥雲に
紗羅ささら
花束のみな俯きて鳥雲に
嶋村らぴ
雲に鳥飛び降りようとした屋上
丁鼻トゥエルブ
乳歯とは鋭きつぶて鳥雲に
ありあり
雲に入る鳥に耽るに佳き陸橋
さとけん
やさしくはない母も母鳥雲に
磐田小
日本橋の上を首都高鳥雲に
宮坂暢介
鳥雲に思ひ出といふ幻肢痛
久森ぎんう
鳥雲に入るやタイヤの穴を泡
藤 雪陽
鳥雲に入るや沖の瀬がらんどう
はまゆう
石室を出れば夕ぐれ鳥雲に
石井瑩
鳥雲に入るうつくしき汚染水
鈴木麗門
幾百の銀の十字架鳥雲に
アンサトウ
鳥雲に入る下総の露頭かな
白プロキオン
鳥雲に入るクイーンの切手貼る
剣橋こじ
鳥雲に溝半分はうちの土地
槌屋藤内
五年後の分校案や鳥雲に
竜胆
焼却炉の冷たき蓋や鳥雲に
とまや
鳥雲に空気の缶詰買いました
神谷たくみ
キャンバスを張るとき力鳥雲に
平本魚水
鳥雲に次に住むなら海の街
冬野とも
押収品戻りて鳥雲に入る
松山めゐ
工廠のがらんだう鳥雲に入る
大黒とむとむ
図書室に万のページや鳥雲に
南方日午
鳥雲に入るや木馬の背にポール
樫の木
漣痕の起伏なだらか鳥雲に
津島野イリス
水晶体はきれいないづみ鳥雲に
あずお玲子
ビー玉のひびはみづいろ鳥雲に
中岡秀次
雲に入る鳥の高さに鳴るひかり
横縞
宙吊の線路の撓み鳥雲に
仁和田永
コピー機のざばざばあつし鳥雲に
広木登一
鳥雲に入るフレスコの空割れて
錆田水遊
シェルターのはずの学校鳥雲に
うに子
鳥雲に干潟は安い和紙のやう
玉庭正章
眼球の傷を遥かに鳥雲に
新右衛門
砂塵立つ干拓地鳥雲に入る
ろまねす子
シーソーにゆふべの傾き鳥雲に
眩む凡
鳥雲に入るSus4といふ恍惚
ツナ好
トンネルの未通の砂場鳥雲に
ギル
測量士二人向き合ひ鳥雲に
柚木みゆき
拭き上げる円卓や鳥雲に入る
ペトロア
鳥雲に入りて三面鏡の空
樫の木
鳥雲に流木だつたヴァイオリン
七瀬ゆきこ
火葬場のお茶温し鳥雲に入る
あやっぺ
かはたれの紅茶は透けて鳥雲に
柊 月子
よれよれの預かり証や鳥雲に
飯村祐知子
鳥雲に入るや真新しき濤来
古瀬まさあき
鳥雲に瓦揚げ機は宛転と
北野きのこ
不安なほどシブヤ奇麗に鳥雲に
高尾里甫
鳥雲に入る反対方向は塾
加良太知
流れ橋は剥き出し鳥雲に入る
ちびつぶぶどう
鳥雲にほのと明るきウェアハウス
千代 之人
モノラルのグラッペリ鳥雲に入る
冬のおこじょ
ワシコフのやたらと哭ぶ鳥雲に
播磨陽子
次回の兼題も
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