menu
初めての方へ
選者紹介
結果発表
作品検索
新着情報
投句はこちら
中級者以上結果発表
HOME
結果発表
中級者以上結果発表 秀作
2023年12月20日週の兼題
蜜柑
【曜日ごとに結果を公開中】
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
蜜柑剥く手の甲仕事のメモ数多
つちや郷里
選者コメント
夏井いつき
選
忙しさに紛れて意識していなかった手の甲。蜜柑を剥きつつふと見ると、何やら文字が書きつけてある。どれも仕事のメモばかり。明るく甘酸っぱい蜜柑は、元気の素。気忙しく食べ終えて、仕事に戻っていくのでしょう。
卒論の資料とみかん籠城す
このみ杏仁
選者コメント
夏井いつき
選
「卒論」を仕上げなくてはいけない時期は、まさに「みかん」の旬の頃。卒論のための分厚い資料と蜜柑を抱えて、最後の追い込みの「籠城」です。蜜柑ばかりに手をのばすことのないよう健闘を祈ります。
みかんむく母はさみしきお人形
ことまと
選者コメント
夏井いつき
選
認知症のお母さんでしょうか。渡された「みかん」を剥くことはできるのだけれど、昔のような楽しいお喋りや笑いは、最早戻ってはこないのです。「母はさみしきお人形」という詩語のなんと切ないことでしょう。
治療終へ全房に種ある蜜柑
蜘蛛野澄香
選者コメント
夏井いつき
選
やれやれという安堵と共に口にした蜜柑。その全ての房に種があることに気づきます。「蜜柑」の描写でありつつ、何の治療かを示唆するような中七下五。摘出する治療か、命を宿らせる治療か。読みが広がります。
蜜柑なら三口以内で喰ふ育ち
立部笑子
選者コメント
夏井いつき
選
「蜜柑なら」という書き方については評価が分かれるかと思いますが、蜜柑を「三口以内で喰ふ」ような「育ち」であるよ、という表現に強いリアリティがあります。自嘲と読むか、あっけらかんとした笑いと読むか。読みの奥行きもあります。
香典を数えた指でむく蜜柑
夏草はむ
選者コメント
夏井いつき
選
「香典」を数えるのも家族の誰かがしなくてはいけない仕事。悲しみの中での金勘定。それを終えた「指」で剥いた「蜜柑」を口に放り込んだとたん、甘酸っぱさに思わず胸がつかえる。そんな経験が私にもありました。
盗めそう盗まないけど蜜柑成る
公木正
選者コメント
夏井いつき
選
確かに蜜柑って、道路の両側に畑があって、たわわに実をつけた木が並んでいたりするのです。「盗まないけど」まさに「盗めそう」。そう思ってしまう正直さ。思わず笑ってしまいました。
ボスの来ぬ役員会や蜜柑剥く
音羽凜
選者コメント
夏井いつき
選
PTAでしょうか、町内会でしょうか。今日は「ボス」が欠席しているというだけで、空気が和やかになっている「役員会」。中七の「や」の詠嘆が皮肉にも可笑しい。この場を象徴してやまない下五「蜜柑剥く」です。
胎児まだこの一房の蜜柑ほど
葉村直
選者コメント
夏井いつき
選
妊娠すると酸っぱいものを食べたくなる人もいます。口にしようとした一房の蜜柑。そうか、「胎児」はまだこのくらいの大きさなのだと可視化することによって、体内に宿る命の実感を手にしているのです。
トランプを終えてみかんを定位置へ
中山月波
選者コメント
夏井いつき
選
賑やかなトランプ遊びが終わりました。いつものリビングに現状回復。テレビのリモコンはここ。この時期定番の「みかん」はここ。「定位置へ」という措辞が、各家庭のそれぞれの定位置を思わせるところがミソですね。
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
過去の作品検索はこちら
おたより・質問フォーム
「ことばのちから」によるまちづくり
松山市 文化・ことば課
投句はこちら
選者コメント
夏井いつき選