俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2023年12月20日週の兼題

蜜柑

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 蜜柑吸ふ君の唇君の指

    紗羅ささら

  • 蜜柑の種や山頭火の未練

    岡根今日HEY

  • 蜜柑送る一席の句の新聞と

    北欧小町

  • 防人の訛に訛り蜜柑剥く

    南方日午

  • 追憶の小さき部屋よ蜜柑むく

    清鱒

  • 神妙に進路の話して蜜柑

    小園夢子

  • 視察旅放置山にも蜜柑生り

    田畑せーたん

  • 非対称の眼鏡はずし蜜柑喰う

    モリコリゴリ

  • 女生徒のむいて手渡す蜜柑かな

    落句言

  • 蜜柑剥く薄皮も剥くLINE音

    渥美こぶこ

  • 家計簿に蜜柑三個の昭和かな

    加藤多作

  • あの時の迷路のような蜜柑山

    ねむり猫

  • 留守番の子どものやうな蜜柑かな

    櫂野雫

  • 同じ数分けしみかんの甘さかな

    増田楽子

  • 「え?」と言ふ事多き夫蜜柑剥く

    浩子赤城おろし

  • 深爪で蜜柑剝く夜の別れかな

    田中美蟲角

  • 蜜柑むく祖母は戦中話など

    宗平 圭司

  • 嘘泣きをする子横目に蜜柑むく

    佐藤さらこ

  • ひと房の蜜柑で看取る卒寿かな

    もふもふ

  • 哀しい手の人に蜜柑を手渡す

    三隅 涙

  • 蜜柑へとついつい伸びる手と手触れ

    武蔵人

  • あれこれもタイムアツプの蜜柑かな

    大木典子

  • 好物の蜜柑を食べて逝きにけり

    紗藍 愛

  • 蜜柑山大きな富士に手をのばす

    井上於莵

  • この盆は我ら蜜柑が占拠した

    江口朔太郎

  • 君の鼻梁をチラ見して剥く蜜柑

    柴桜子

  • 戦死しし祖父の求愛蜜柑取る

    草夕感じ

  • マニキュアの剥がれし指で蜜柑剥く

    アムゼルえりこ

  • 富士の峰供えてみたき蜜柑かな

    瓢箪鮎

  • 展開の全き蜜柑の鎮座かな

    東山すいか

  • 蜜柑山土の新たに艶めきぬ

    悪七兵衛

  • 富士白くみかん黄に照る薩堹かな

    よかわもりお

  • 発車のベル鳴れどキオスクの蜜柑

    風間 燈華

  • 避難所の分け合う蜜柑娘の手

    真喜王

  • 工具置き蜜柑回して旅談話

    瀬央ありさ

  • 剥きかけの蜜柑ぽつんと置かれけり

    豊美島生音男

  • 蜜柑剥き開いたままの丸括弧

    四條たんし

  • 倍速の韓ドラ三話蜜柑五個

    永井春蘭

  • 失恋や蜜柑を剥けぬほど独り

    村瀬ふみや

  • 波光る入江望みて蜜柑狩

    いつか

  • 松山や土産話に蜜柑剥き

    彩明

  • 夕刊や詐欺師のくれた蜜柑剥く

    みずくらげ

  • 母と食む蜜柑すつぱき小言かな

    冬野とも

  • 工夫皆無口となりて蜜柑剥く

    岩瀬正人

  • 給食の蜜柑あの子へ大きい蜜柑

    坂野ひでこ

  • この色を灯りとしませう蜜柑剥く

    竹田むべ

  • 次々と捥がれ軍手の蜜柑かな

    糸川ラッコ

  • お位牌は燻んでばかり蜜柑置く

    嶺乃森夜亜舎

  • 蜜柑山海の見えないここで泣く

    夏雨ちや

  • 蜜柑食ぶ班分けなんて大嫌い

    つまりの

  • 今年も枝しなりくる妣の蜜柑

    縞ふみ

  • 人口をはるかに超える蜜柑仕分け

    団栗あんパン

  • 一湾を見下ろし撓む蜜柑の木

    松元転石

  • 落ち着いて剝けよ蜜柑の皮ぐらい

    西郡うり

  • 愛犬を亡くしても尚香る蜜柑

    諫鼓苔深

  • デパ地下に初耳の名の蜜柑かな

    内田こと

  • つい歌が匂いわき立つ蜜柑山

    マタネ

  • 蜜柑食ふ七つめなれば大罪と

    梅朶こいぬ

  • スランプや三つ目となる蜜柑むく

    仲 操

  • 蜜柑剥く同じ親指叔父四人

    菫久

  • 避難所の三密とかす蜜柑三つ

    花はな

  • 微分に剥き積分に食ぶる蜜柑

    永想

  • 結婚を決めた蜜柑の有田むき

    居並小

  • 差し入れの蜜柑避難所に灯る火よ

    のはらいちこ

  • 蜜柑剥きゃ友なる猫の寄り来たる

    一条春枕

  • もう誰も拾わない転がる蜜柑

    一の橋 世京

  • 芥川龍之介(あくたがわ)の蜜柑読みつつ蜜柑食ぶ

    岩田遊泉

  • 海きらり石垣天へ蜜柑山

    余熱

  • 蜜柑食み三島由紀夫を読んでゐる

    砂山恵子

  • 三重二重剥けば蜜柑の匂いたつ

    野山夕理

  • 一歳の姪のほっぺは福来みかん

    青い小鳥

  • 運命線長し蜜柑の筋剥がす

    山田蚯蚓

  • 沈黙や手持ち無沙汰に剥ぐ蜜柑

    白山一花

  • 補習果つ分母分子に足す蜜柑

    幸田梓弓

  • 腕振って今日は蜜柑の庭の道

    香羊

  • 蜜柑剥きかの日の列車なつかしき

    斗三木童

  • 索道へ昼食吊るす蜜柑山

    森爺

  • コンテナの選別までの蜜柑かな

    斧 的部

  • 仕送り物資の半分超蜜柑

    花紋

  • 逝きて幾月母の卓に在る蜜柑

    山下とらぺけ

  • 蜜柑一つ賽銭箱の隅にあり

    五十嵐 愁

  • 凸凹に照る月面や熟れ蜜柑

    余田酒梨

  • 見舞ふなら母に清しき蜜柑買ふ

    風早杏

  • 同人の夢に敗れて蜜柑食む

    円美々

  • えっお前伊予かよみかん真穴かよ

    あたなごっち

  • お不動さん褪せた火焔に蜜柑映え

    平野水麦

  • 蜜柑剥く部屋の灯りを点すごと

    山 ゆり

  • 蜜柑四つ意外や祖母のジャグリング

    虹岡思惟造

  • 秋田犬二頭かまい終えて蜜柑

    虎堂吟雅

  • 『雪国』や蜜柑に沈む指の腹

    麦のパパ

  • 返答は保留二個目のみかん剥く

    高橋風香

  • だしぬけにうちあけられて蜜柑二個

    新城典午

  • 南中時日時計覗き蜜柑剥く

    松高法彦

  • 香りたる蜜柑の貌の赤ラベル

    小夏

  • ふやけたる蜜柑湯船の母の手で

    井上美月

  • 蜜柑剥く地球の丸を割るごとく

    立歩

  • 蜜柑食ふ眼鏡にぴしと果汁飛ぶ

    源早苗

  • 蜜柑剥く睫毛の長きあの男

    琵琶湖のおばさん

  • 水よりも果汁は重し蜜柑摘む

    樹朋

  • あれやこれ詰め込むやうに蜜柑喰ふ

    山紗季茉悠海

  • この蜜柑ひと房食えば海はるか

    まー坊

  • 蜜柑蜜柑家族待たずに父逝けり

    八幡風花

  • 雨催い蜜柑食べつつばば抜きす

    清水千種

  • 親友のふりでうなづき蜜柑むく

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • 「檸檬」読む机の端に置く蜜柑

    気まぐれ亭いるか

  • 膝の猫顰む皮ごと割る蜜柑

    俳句王

  • 蜜柑山相模の海に富士の影

    東 湘輝

  • 蜜柑剥く父の瞳や終戦期

    青木豊実

  • 接見す蜜柑の好きな死刑囚

    奈良の真

  • 段ボールベッドにひとつだけの蜜柑

    藤咲大地

  • 蛇口よりジュース蜜柑はもらうもの

    佐川碧

  • 味のない二個目の蜜柑初七日

    華風ルナ

  • 入職の挨拶故郷の蜜柑

    望月朔

  • おとうとのなみだすっぱい蜜柑の香

    和緖玲子(あずお玲子)

  • 點描の如き蜜柑の置かれ在り

    帝釈四威儀

  • 蜜柑剥く嫌な思い出剥ぐやうに

    豚々舎 休庵

  • 日の蜜柑零るをとどめ伊予の海

    佐藤 位相朗

  • 一日一個くすりの如く蜜柑食ふ

    田邉真舟

  • 褒められることに慣れずに蜜柑剥く

    唯果

  • 寝室にベビーモニター蜜柑剥く

    コーヒー博士

  • 蜜柑山うへのはうより明けゆけり

    可笑式

  • たましいの行方は知らず蜜柑むく

    花とわこ

  • 舌にのる命蜜柑のちさき種

    野瀬藻石子

  • 爪立てて何か忘れし蜜柑かな

    ウロ

  • 〝石段を転がる蜜柑〟TAKE2

    ま猿

  • 箱みかんのM最下段より救出

    高市青柘榴

  • 蜜柑吸ひ予後の明るくなりにけり

    英子

  • 満員の映画の涙みかんの香

    じゃすみん

  • 後継の無き蜜柑山蜜柑捥ぐ

    熊本与志朗

  • 薄皮の蜜柑ちぎれて豊かかな

    一純。

  • 口も手も寂しき夜や蜜柑揉む

    梅鶏

  • 富士仰ぐ南斜面や蜜柑剥く

    小林昇

  • 蜜柑の香残る指間をペンまわし

    高永 摺墨

  • わが家へと蜜柑が誘ふ鳥の道

    パッキンマン

  • 蜜柑剥く指に躊躇ひ毫もなし

    黒澤墨青

  • 星ひとつ隠し蜜柑の蒂の黙

    三尺玉子

  • 木熟みかん昭和のまんま色づきぬ

    椋本望生

  • 震災のL字放送蜜柑剥く

    ふくびきけん

  • 眠る子の手より転がるみかんかな

    高田杏

  • 日本語の上手な一家蜜柑狩

    中里 凜

  • 盛られおる蜜柑似合わぬ家に生く

    登盛満

  • この蜜柑やはりワグナー聴かせたか

    三水

  • 母子共に健康らしい蜜柑むく

    山香ばし

  • 給食の物乞い蜜柑の皮ひとつ

    だてまき

  • 二上山鷲掴みせる蜜柑もぐ

    ちやこ

  • 黙って蜜柑摘む姉の目に泪

    紅 珊瑚

  • 遺言を蜜柑むきつつ切り出しぬ

    風の鳥

  • 助つ人は自主リーガーや蜜柑食ふ

    夕虹くすん

  • 朱に染まる窓辺の蜜柑母を待つ

    篁 橙花

  • 病人が呉れる蜜柑の甘きこと

    川辺世界遺産の居候

  • 煎餅と蜜柑と君とシューベルト

    しんしん

  • 紺碧の湖を満たせり蜜柑山

    蒼き鷹

  • 曼谷の旅人留むる蜜柑かな

    篠川 翠

  • お裾分けされて病室みかんの香

    千の葉

  • 独り居の訳あり蜜柑食ひ尽くす

    喜多丘一路

  • 平凡といふありがたさ蜜柑むく

    健蘭

  • にらめつこ終へて蜜柑の剥かれけり

    沢井如伽

  • 生爪の食い込みきゅうと鳴る蜜柑

    ジン・ケンジ

  • 神棚にないがしろなる蜜柑かな

    風慈音

  • みな蜜柑取りだす我を皮切りに

    ハンマーヘッド会釈

  • 蜜柑むく無事に心臓カテーテル

    長操

  • 父植えし庭の蜜柑の皮硬し

    東原桜空

  • 皺の手に皺の蜜柑の硬くなり

    井口あきこ

  • 美人では無しと渡さる島蜜柑

    伊予吟会 玉嵐

  • 蜜柑むく鳴らぬ電話を眺めつつ

    月影 重郎

  • 太陽と潮風詰める蜜柑かな

    小笹いのり

  • ゲーム交代今のうち蜜柑蜜柑

    田辺ふみ

  • 占ひは最下位悔し蜜柑喰ふ

    朱鷺9条湯八

  • 甘い方の蜜柑子の荷物へと

    カリヨン

  • キュラソーのグラスに映える蜜柑かな

    桔梗

  • 友の忌のそこだけ明るき蜜柑かな

    狩谷わぐう

  • 蜜柑食べ居間は平和な国となる

    檜鼻ことは

  • トランプや吾子の爪から蜜柑の香

    松本笑月

  • 巡回やメモの重しの蜜柑食べ

    砂楽梨

  • 諍(いさか)いの成敗蜜柑の残香

    三群梛乃

  • 揉みすぎてもう人肌の蜜柑かな

    常磐はぜ

  • 攻防の羽音はげしき蜜柑山

    対馬清波

  • 「蜜柑くれ」放物線が綺麗かな

    夏目あかり

  • モノクロの家族写真に蜜柑かな

    西川あきや

  • 趣味も聞き天気も話し蜜柑食む

    岡田雅喜

  • 旅立ちやアナウンス聞き剥く蜜柑

    暇禍

  • 散策へ宿の蜜柑を持つて出て

    秋野しら露

  • マジックの薬の日付蜜柑むく

    葉るみ

  • 蜜柑むくまさをの空を航る鮫

    松本裕子

  • 蜜柑剥くあんた血液型Aか

    鳥田政宗

  • ポケットに確かめてゐる蜜柑かな

    ノアノア

  • 代書屋の歌の艶やか蜜柑の香

    桜井教人@金カル

  • CMの間をうめる蜜柑かな

    大西金魚

  • 仏壇の蜜柑「食べるね」とつぶやく

    織 紫子

  • 蓬莱を探して来る蜜柑山

    岡本 戎

  • 英國の古りし食卓みかん剥く

    青野慈江衣

  • たわわなる蜜柑の少し揺れたよな

    ほんちゃん

  • 妹は蜜柑派筋は取らない派

    水蜜桃

  • 蜜柑剥いて剥いて剥いて剥いて日暮

    Q&A

  • 蜜柑剥く介護休暇の一日め

    恋瀬川三緒

  • 兄弟喧嘩蜜柑二つの和平案

    楽花生

  • 恍惚のひとに蜜柑を持たせけり

    長谷機械児

  • 蜜柑食むまだ親指は陽の匂ひ

    海野青

  • 一家沈黙蜜柑の皮は果ててゐる

    コンフィ

  • 肩たたきの褒美は蜜柑五つなり

    時まる

  • 厨から居間へ蜜柑の放物線

    ふるてい

  • 蜜柑手に嘘つくやつがいるもんか

    晴菜ひろ

  • おくやみに知人蜜柑の指で差す

    西村 棗

  • メルカトル図法のやうに剥く蜜柑

    西川由野

  • 瘡蓋の痕はぷよぷよ蜜柑剥く

    ちゃあき

  • CMを飛ばさず蜜柑剥きにけり

    大和田美信

  • 星白し喰われゐる墓前の蜜柑

    樹海ソース

  • またひとつ増ゆる隣家の蜜柑かな

    西野桃果

  • 後輩の恋の噂や蜜柑むく

    日向こるり

  • 抽選会の余りの蜜柑貰いけり

    安溶二

  • 悪口は聞こえぬそぶり蜜柑剥く

    くぼたみどらー

  • みかん食む二時間ドラマ崖の上

    じゅんこ

  • 十個目を頬張ってより蜜柑摘み

    誉茂子@野の花

  • 震災の救援物資の蜜柑かな

    とんぼ

  • 蜜柑投げる話はずむや新造船

    君島笑夢

  • はや妻に小さき心音蜜柑買ふ

    大庭慈温

  • 蜜柑剥き見合いの話聞く構え

    青い空加納

  • すべて初つけたき世界蜜柑食む

    伊予吟会心嵐

  • ママ友の旦那は大工蜜柑剥く

    佐藤志祐

  • 父の手品後ろ手より蜜柑三つ

    あいみのり

  • 蜜柑といふ程には甘くないみかん

    卓鐘

  • スカイツリー蜜柑ずどんと刺してやり

    花彼岸

  • この幸や蜜柑の里に知己のあり

    伊藤なおじい

  • すぢ取つて蜜柑の秘密暴くやう

    そら

  • 一族の墓にはじまる蜜柑山

    蓮田つばき

  • 職務質問ぬるい蜜柑を手でこねる

    ふくろう悠々

  • 蜜柑食むもうひとつ食む無聊の夜

    acorn

  • 蜜柑食べほこりの積もるギターの弦

    子守りりっこ

  • 母方の剥き方で食う蜜柑かな

    天野若花

  • 大粒の蜜柑一箱テレビ前

    スモールちもこ

  • 潰れたる小さき蜜柑や吾子の声

    スモールちもこ

  • きようだいは仲良くせんとあかん蜜柑

    日永田陽光

  • 昭和の子どの子も左の手に蜜柑

    夢雨似夜

  • みかん食ふ度に通販増えてをり

    神谷たくみ

  • 太き手が皮ごとかぶりつく蜜柑

    理酔蓮

  • 蜜柑掌にみかん色よと呟きて

  • 母娘には母娘の間合い蜜柑風呂

    斎藤さんけん

  • 贖罪のやうに蜜柑の筋を取る

    俳句ファイヤー立志

  • 地震速報剥きかけの蜜柑置く

    卓司

  • 謎解きの部屋の白紙に蜜柑の香

    伊沢華純

  • 幸せのやうに積まれし蜜柑食ふ

    なしむらなしん

  • ふくふくと蜜柑の皮のたるみかな

    外鴨南菊

  • 房分ける蜜柑ノートに貼る付箋

    シュリ

  • また蜜柑また剥くみかん片想い

    メレンゲたこ焼き

  • なほ下を向いてゐる子に蜜柑剥く

    青海也緒

  • 店先で産地の顔してゐる蜜柑

    旺上林加

  • 賭け金の代わりに蜜柑差し出して

    吉川花ほっぺ

  • 百年の畑の蜜柑の明々と

    明惟久里

  • 蜜柑の樹日がな一日空見張る

    梅世耕

  • 蜜柑捥ぐ放る蜜柑を捥ぐ放る

    宮坂暢介

  • 蜜柑山倉庫に眠る父の衣

     蔵原 貢次郎

  • 頭蓋骨ビンビンと鳴る蜜柑剝く

    国東町子

  • 蜜柑食ふオセロゲームは終盤へ

    文月

  • 蜜柑山大小言語失語症

    村上優貴

  • みかんを投げて渡すのはやめなさい

    永田千春

  • 訃報また甘きみかんを噛みしめる

    玉響雷子

  • 包帯の腕を吊りつつ蜜柑剥く

    月城龍二

  • 数学のテキスト二冊まづ蜜柑

    水鏡新

  • 茶の間なく昭和ではない蜜柑食ふ

    渡辺十把 

  • 蜜柑まぶし山また山の宇和の海

    中岡秀次

  • 臨月の足投げ出して喰む蜜柑

    卯月紫乃

  • 真円の日輪楕円なる蜜柑

    剛海

  • 蜜柑むく言い訳付きの独り言

    金子泰山

  • 遺影立てただひたすらに蜜柑むく

    広島あーやあーや

  • リュック開けまず仏壇へ初蜜柑

    小野陽笑

  • シワシワと蜜柑剥く音四畳半

    夏の町子

  • 星降る夜君は蜜柑と降り立ちて

    小林一平

  • 病むひとに蜜柑をむきし温きひる

  • 蜜柑みかん天地無用の空と海

    夏湖乃

  • 蜜柑の香残りし縁や猫の影

    田中一升

  • 万葉のひかり差したる蜜柑山

    くま鶉

  • 書類受け取って紙袋に蜜柑

    ももたもも

  • 同窓会なんて行かない蜜柑山

    麻生ツナ子

  • みかん積みミゼットが行く日暮れ時

    つづきののんき

  • 果舗の伝票の重石となる蜜柑

    中原柊ニ

  • 蜜柑剥く家族会議は熱を帯び

    信濃のあっくん

  • 病む母にまた嘘をつく蜜柑かな

    福原あさひ

  • 算数はおしまひ両の手へ蜜柑

    とはち李音

  • 蜜柑もくもく何か言いたいんやろ

    猫ふぐ

  • お駄賃のひとりひとつの蜜柑かな

    緩木あんず

  • ささくれの親不孝者蜜柑むく

    坂本羊雲

  • 継ぐ人の無きや蜜柑の山暮るる

    洋々

  • 蜜柑盛る子の美しき四角錐

    十月小萩

  • 親族は眉みな同じ蜜柑食む

    ふんちん

  • 始まりも失ひし日も蜜柑むく

    仮名鶫

  • マジックで蜜柑に書いた「また会おう」

    小島やよひ

  • 二杯目のお茶と蜜柑を勧めらる

    キッカワテツヤ

  • 分銅と釣り合ふ蜜柑外は雨

    めいおう星

  • 病窓や水分補給なる蜜柑

    渡辺香野

  • 皮剥けぬ蜜柑しゃあしいプラレール

    染井つぐみ

  • 半分は神様の分蜜柑むく

    綱川羽音

  • 赤網の蜜柑分かちて列車旅

    ひぐちいちおう(一応)

  • 吾とともに唄ってくれそな蜜柑選る

    夏椿咲く

  • 愛されて甘くなりけり蜜柑捥ぐ

    高木音弥

  • もぎたての蜜柑放課後の告白

    小だいふく

  • 蜜柑の皮たらひに放り足湯かな

    鳴海沓子

  • 食べ惜しむ葉付き蜜柑を並べいる

    日々の茶めし

  • 蜜柑剥く手の深爪を笑ひたい

    露崎一己句

  • 母の口へ尽きない蜜柑もっともっと

    やまだ童子

  • 日も海も風も蜜柑の揺りかごに

    鷹星

  • 父祖の地の蜜柑を喰むや光喰む

    國本秀山

  • それぞれの自由溶け込む蜜柑の間

    星詩乃すぴか

  • 乗っけられ少し萎びた蜜柑かな

    不二自然

  • 大正の蜜柑ひとつ剥かぬ舅

    中 兎波

  • 食べかけの蜜柑居眠る母老いて

    空 ひろ

  • 摘まれずに蜜柑は山に残りけり

    柊瞳子

  • 蜜柑むくあの店なぜか今日も混み

    千原 十吾

  • 親指は良く反るタイプ蜜柑かな

    赤尾実果

  • 蜜柑剥く機運熟するまで一夜

    蓮井理久

  • 愚痴聴いて掌にある蜜柑かな

    Early Bird

  • 蜜柑剝く手を止め震度二度見して

    雅屋少将

  • 何もかも忘れし母へ蜜柑剥く

    くぅ

  • この人とならやつてゆけると知る蜜柑

    沼野大統領

  • 対処別フローチャートや蜜柑剥く

    水きんくⅡ

  • 電話くれ蜜柑ひと箱送つたよ

    山もと 万句魚

  • 客待ちの占ひの剥く蜜柑かな

    河島 八々十

  • 剥きつくす蜜柑携帯の沈黙

    はまゆう

  • 彼結婚してたんだつて蜜柑剥く

    青居 舞

  • なほ集光する点として蜜柑は

    春野ぷりん

  • あいつ蜜柑あんだけ揉んで戻しよる

    大山和水

  • 蜜柑島遊女の墓の積まれけり

    山田不律

  • 親指の爪に抗う蜜柑かな

    今林海波

  • 蜜柑剥く忘れてまたひとつ剥く

    藍創千悠子

  • 蜜柑酸つぱし昔話はほろ苦し

    阿曽 遊有

  • 夜を晴れて八人分の蜜柑煮る

    着流きるお

  • 救援ヘリぐおおん蜜柑ぶるっ

    ひすい風香

  • お日様に一番近い蜜柑捥ぐ

    富山湾

  • 「かなりや」の歌の味せりこの蜜柑

    遠山比々き

  • 懐かない愛犬と蜜柑食う

    伊藤辰弥

  • 病室の渇く唇みかん剥く

    山尾政弘

  • 蜜柑さえあれば理想の家なのに

    GONZA

  • バイト代もらひ海へと蜜柑坂

    藤井赤童子

  • 石垣のごとく蜜柑の積まれたり

    平良嘉列乙

  • 突き刺さるほど天青々と蜜柑山

    香壺

  • 道の駅朗らかそうな蜜柑選る

    小川さゆみ

  • "美味しい"と最期の笑顔くれた蜜柑

    中島穂華

  • 巡礼に思ひをはせて剥く蜜柑

    愚老

  • 口きかぬ息子蜜柑を服に詰め

    花舎 薫

  • 自慢話を聞きながら剥く蜜柑

    ゐるす

  • 蜜柑剥く思春期の娘は・・無言

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • わらしべの夢想みかんの脳天気

    一斤染乃

  • ふるさとの蜜柑ひと山買ひにけり

    ひでやん

  • パソコンの向こうからいま蜜柑の香

    入道 まりこ

  • 日替りの蜜柑一つや道祖神

    鶴富士

  • 回春の青を夢見て蜜柑黴ぶ

    山田花橿

  • 硬派ですから蜜柑の剥き方も

    酒井春棋

  • ご自由に待合室の蜜柑かな

    白井百合子

  • 蜜柑剥き毛穴きゆきゆつと縮みおり

    オキザリス

  • 蜜柑置くカタログ歩行器のページ

    大岩摩利

  • でもとしか付けて出されし蜜柑かな

    美年

  • 蜜柑剥く還暦の夢は古書店主

    ハルノ花柊

  • 無言にもわかり合ふ仲蜜柑割る

    さぶり

  • 蜜柑拠る地軸の傾ぐ星に住み

    乃の

  • 夕餉後の母の蜜柑が食べられず

    弘友於泥

  • 去年から転がる蜜柑まだ元気

    竜胆

  • 後悔の手の爪切って剥く蜜柑

    けーい◯

  • 蜜柑滴らせて今、わたし、ケモノ

    石井一草

  • 蜜柑むく音だけの家君が妻

    翼つばさ

  • 片恋のはなし蜜柑の皮のうら

    伊予素数

  • ありふれた愛に蜜柑の房展く

    小川野棕櫚

  • 君の手に放る蜜柑よストライク

    一走人

  • テーブルに真穴蜜柑とマドレーヌ

    れんげ畑

  • シーグラス手の中に振る蜜柑山

    夏 六葉

  • 海光を背中一杯蜜柑摘む

    富佐野ほろよい

  • 喧嘩して蜜柑食べどき笑いどき

    たいらんど風人

  • 蜜柑剥く鸚哥を肩に三連休

    井田みち

  • ホームより届く蜜柑の甘さ加減

    珈藤絵本

  • 乾びたる蜜柑の皮やシャコタン車

    渡辺宵雨

  • 「たべすぎのせい」病室のみかんの偽証

    満嶋ハト

  • 酸っぱさが味覚の芯へ蜜柑落つ

    高橋 雅

  • 山盛りの蜜柑に託す祖母の予後

    遥風

  • 針仕事あと八寸の蜜柑かな

    京あられ

  • 鳥海山蜜柑に風の通る道

    辻野 花

  • あお空に蜜柑摘む音亡父(ちち)の影

    甘泉

  • ミゼットで父と越えゆく蜜柑山

    山口絢子

  • 十本の指磔の蜜柑かな

    紫月歪丸

  • ババ残り最後のみかん敵陣へ

    華胥醒子

  • 紀州より密書めく葉の蜜柑二個

    千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • このバスに乗れば父母待つ蜜柑山

    吟  梵

  • 十二年経つ避難先成る蜜柑

    野々原ラピ

  • また蜜柑食ひ始めたる前の席

    高橋寅次

  • チューバ吹き孤独じゃないし蜜柑山

    高井大督

  • 雑談に聞き耳たてて蜜柑剥く

    塩野谷慎吾

  • 腐り蜜柑怒り静かに伝染す

    宥光

  • みかん山夫と見る夢潰えけり

    草間八千代

  • 施設へと届けて帰る蜜柑籠

    中野風鈴

  • 蜜柑もぎ放題おれらの秘密基地

    へな☆けん

  • 長電話みかんの皮のかんぴんたん

    ノセミコ

  • カップ麺蓋を蜜柑で止め五分

    三休

  • 捥ぐ人の絶えて明るき蜜柑山

    釜眞手打ち蕎麦

  • 酸っぱいみかん選って昭和は佳き風

    藤鷹圓哉

  • 忌中明け手と手と手寄せ蜜柑むく

    水木花水木

  • 凸凹のみかん残っている仏壇

    望月とおん

  • 密会の宿に置かれし蜜柑あり

    雅蔵

  • 笑つてよ今日のビタミンほら蜜柑

    与志魚

  • おどろおどろしく陰キャな君に蜜柑遣る

    絵夢衷子

  • 海風の育てる蜜柑きのくに線

    なかの花梨

  • 霊場や手提げ袋に透ける蜜柑

    久保田凡

  • 大部屋にひとりあやとり蜜柑剥く

    岩本夏柿

  • 酸い方の蜜柑を選りぬ三男坊

    姫川ひすい

  • 石数個蜜柑数個の石切はん

    福良ちどり

  • 悪しきものの横顔は似て蜜柑かな

    たかはし千百

  • 故郷の名の付けられし蜜柑買う

    田中紺青

  • 二人して占い話蜜柑剥く

    渡邉花

  • 堀宅の蜜柑はSと知る駄賃

    宮井そら

  • 島の朝蜜柑かわして通学路

    蓮花麻耶

  • 見舞う人あるらし蜜柑ふたつ三つ

    朗子

  • 手にとって、ただ置く八百屋の蜜柑

    円谷琢人

  • 海の泡ひかりぷくぷくみかん山

    在在空空

  • 昼メロは山場無意識に剥く蜜柑

    妹のりこ

  • 祖母選ぶ蜜柑はいつも甘かった

    千葉睦女

  • 訳ありの蜜柑を決める見栄えかな

    誠馬ノマド

  • ゆさゆさと海に近づく蜜柑山

    城内幸江

  • 復帰できましたと便り蜜柑剥く

    川端こうせゐ

  • テーブルのガタつき蜜柑剥く無言

    看做しみず

  • 定位置はL字の廊下箱みかん

    ゆみづき

  • 亡き祖父の山の蜜柑も実りけり

    玖良咲

  • 荷ほどきの一人蜜柑の皮を剥く

    春蘭素心

  • 嫁ぐ舟蜜柑の島へひかる水脈

    高津春駒

  • 父の頬へ蜜柑そはせて柩閉づ

    山吹なお

  • 蜜柑一房雨粒集合体

    だがし菓子

  • 避難所の夜をじゆぐじゆぐと食む蜜柑

    晴田そわか

  • どのネットにもくまモンのゐて蜜柑買う

    木染湧水

  • 叔母からの箱蜜柑来る父思う

    平山千鶴

  • 入日追ひ蜜柑てんてん船見坂

    峰 乱里

  • 発熱の夜や蜜柑はおいしかつた

    オクシー

  • 蜜柑剥く蜜柑嫌いだった彼

    葉月庵郁斗

  • カップ麺のふたにちょこんと蜜柑かな

    ヒマラヤで平謝り

  • まだ未読未完の遺稿蜜柑剝く

    コーノ凡士

  • 潮風や蜜柑の島へ帰ります

    卯之町空

  • 蜜柑嗅ぐ小劇場の荒れ果てる

    高遠見上

  • 散りばめて暮を蒔絵に蜜柑山

    長谷川水素

  • 海光の名残を点す蜜柑山

    とも子

  • 蜜柑剝くとき哲学の薄れゆき

    和泉攷

  • 原発の裏の斜面は蜜柑山

    八尾の正吉

  • 上京すたかが七つの蜜柑の値

    鳥羽南良

  • 相棒のシルバーカーや今日は蜜柑

    ナタデココ

  • 正解を跨ぐCM蜜柑剝く

    ゴーマ

  • 蜜柑むく形良きつめ円心に

    みやかわけい子

  • 指さきに柔し冷し箱の蜜柑

    しろくも

  • 妻は臍から吾は蔕からむく蜜柑

    樋口滑瓢

  • ディーゼル車蜜柑山越え蜜柑山

    富士桜花

  • 給餌台蜜柑啜るや五観の偈

    百田信三郎

  • 守衛室「巡回中」と蜜柑載り

    也和

  • 蜜柑剥く遺産分与の話など

    無弦奏

  • デモ笑う大使蜜柑の皮に罅

    草臥れ男

  • 蜜柑剥く小さな愚痴はこぼさずに

    云々 美雲

  • テーブルに抗原キットと蜜柑かな

    迫久鯨

  • 引越しのダンボール解き蜜柑の香

    粋庵仁空

  • かごに満つ蜜柑昭和の集ひ方

    佐藤知春

  • バッグより飴玉のごと配る蜜柑

    山内順子

  • たどりたどり曲線を剥き子の蜜柑

    古乃池糸歩

  • 窮屈な蜜柑はやがて腐れゆく

    髙橋弓女

  • さあ夫の蘊蓄開始蜜柑剥く

    万里の森

  • 蜜柑剥く火星に蒼き夕日かな

    五味海秀魚

  • 初恋の娘と同じ名や蜜柑剥く

    津軽ちゃう

  • 富士より朝陽始発まで蜜柑剥く

    半ズボンおじいさん

  • 実家出て爪に蜜柑の香や消えず

    新樹番人

  • 蜜柑二個CM明けるまでに剥く

    羽野あき

  • 訳ありのどこが訳やら蜜柑食ぶ

    中島走吟

  • 箱入りの少し四角い蜜柑かな

    そめいゆ

  • 選別のベルト居残るL蜜柑

    おこそとの

  • 祖父の居ぬ島はればれと蜜柑山

    雨野理多

  • 点滴の手の甲固し蜜柑剥く

    空山プラネタリウム

  • 荷崩れの蜜柑ひとくち地震の朝

    みうら朱音

  • 行き詰まる二人の仲を知る蜜柑

    みしまちづる

  • 喉越しのみかんPET検査の夜

    オニチョロ

  • 蜜柑ぽつん環状線は奈良へ行く

    てつなお

  • 蠱毒めく無償の愛よ蜜柑剥く

    花屋英利

  • 日本海フェリーひたすら蜜柑むく

    さかえ八八六

  • 天龍へ届けと蜜柑高く高く

    鈴木麗門

  • 亡き猫の鈴の音かすか蜜柑むく

    sol

  • 熱戦を見るも見ないも蜜柑剥く

    野口真砂輝

  • 指刺すは蜜柑の臍のあたりかな

    永井無々

  • 差し入れは蜜柑三つ週刊誌

    白石 美月

  • 蜜柑剥く手休め母に無心され

    篠田ピンク

  • 撮り溜めのビデオを観るや蜜柑の香

    玲風

  • 蜜柑山一家を支えて五十年

    石川順天

  • 皮厚き都会育ちや蜜柑食ふ

    佐久凡太郎

  • 蜜柑生る面接帰りの商店街

    吉武茂る

  • もう一つ言うて蜜柑の五つ目に

    平林政子

  • ひかり吸ふ蜜柑畑や駿河湾

    陽光樹

  • おにぎりとみかん分け合ふ地震の昼

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • 大団旗揚げて後ろは蜜柑山

    柳絮

  • 母一人娘一人の居間蜜柑むく

    さとうナッツ

  • 五回目の余震の蜜柑コロロロロ

    翡翠工房

  • 寄り道を叱られている蜜柑山

    花南天anne

  • 平手打ちされたる傷に沁む蜜柑

    小田慶喜

  • 口論のエアーポケツト蜜柑剥く

    堀邦翔

  • 輪郭を拒む箱いつぱいの蜜柑

    播磨陽子

  • 有田むきして食べたつて愛媛みかん

    小田和子

  • 登頂の蜜柑甘いに酸っぱいに

    小和布

  • 爪のわた昨夜のみかん甘きかな

    スマイリー

  • 団欒を煎じ詰めれば蜜柑の香

    たこ山焼之輔

  • バス逃し無人販売所で蜜柑

    森中ことり

  • 病室の隅に乾きし蜜柑在り

    ふみ

  • 披露せし断面誇る蜜柑かな

    森 毬子

  • 火葬の夜に届く祖父からの蜜柑

    鬼殻

  • 食べ飽きてトミカに乗せらるる蜜柑

    あまぐり

  • 安蜜柑数えた事はない眠る

    柿司 十六

  • 蜜柑むくいただきますと陽にかざす

    ゆかりん

  • 発語する蜜柑剥きたり夜をひとり

    もりさわ

  • 箱買の蜜柑たらふく食ふ夜伽

    テレシア

  • 添削を添削されるゼミや蜜柑

    ぜのふるうと

  • 詰所の香開け放ちたる蜜柑の香

    鈴木裕公仁

  • 蜜柑むく猫背は蜜柑むく猫背

    百瀬一兎

  • 時間割終へずに蜜柑剥きはじめ

    錆田水遊

  • みかんむいてあげるおなかのいもうとに

    苫野とまや

  • 腕組みも足組みも解く蜜柑かな

    沢胡桃

  • 配られし土産菓子菓子菓子蜜柑

    笑松

  • ぶかぶかの蜜柑故郷の空気揉む

    松山めゐ

  • 定年後どこに住もうか蜜柑剥く

    ふくじん

  • 蜜柑薄皮ちまちまと京男

    若林明良

  • 旅ひとり温泉宿の蜜柑剥く

    古瀬まめねこ

  • がんばれとさする叔父の手蜜柑の香

    南波舟

  • 蜜柑剥く自閉症とは多弁なる

    富山の露玉

  • 蜜柑狩ねこ駅長は三代目

    むったん@狐狸山会

  • 勘違いしないで好きなのは蜜柑

    たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部

  • 地震らし蜜柑頬張り見るニュース

    砂月みれい

  • 蜜柑けと汽車待つベンチ手渡され

    せいしゅう

  • 伊予の陽を詰めた蜜柑を蝦夷で食う

    夏埜さゆり女

  • みかん畑見晴るかす西海に渦

    松風花純

  • 蜜柑山仰ぐ港の風温し

    村田益次郎

  • 一週間経ってまだある箱蜜柑

    釋愚拙

  • 初めてのふりして聞いて蜜柑剥く

    新多

  • 痂皮熟すダウンタイムの酸い蜜柑

    丁鼻トゥエルブ

  • ボカッと剥き蜜柑頬張るアメリカン

    雪さやか

  • 太陽のかけらが子ども蜜柑山

    桃園ユキチ

  • 惜別やネットみかんと夜汽車の香

    すがりとおる

  • みかん放る相手のいないワンルーム

    かゐみすず

  • みかん横目に反抗期の階段

    松田てぃ

  • そばにいてあげる蜜柑むいてあげる

    天陽ゆう

  • 暮色の荷形見の盆にみかん盛る

    たつき

  • 裏年の蜜柑に星の讃美歌を

    坐花酔月

  • 転びゆく蜜柑に伸びる腕二つ

    ぶうびい

  • 恋人ができて皮ごと蜜柑かな

    倉木はじめ

  • 蜜柑の皮干す縁側の祖父の椅子

    海月のあさ

  • 背に手に鴉の目あり捥ぐ蜜柑

    風蘭智子

  • 蜜柑たわわ希望のひかり灯すごと

    明後日めぐみ

  • 入院の夫の荷物に足す蜜柑

    夢見昼顔

  • どうにもならぬ恋ありて蜜柑剥く

    大 広秋

  • 階上に重たき足音蜜柑剥く

    上村 風知草

  • 蜜柑摘む沖の巨船のゆったりと

    聞岳

  • につぽんの蜜柑がすきになりにけり

    薫夏

  • 混み合ってます蜜柑の詰め放題

    ららら句らら

  • 昔日は母に鮮やか掌の蜜柑

    龍田山門

  • 漱石のシャツの色なに蜜柑剥く

    てるきち

  • ぽいっと投げた蜜柑は弾丸

    羅蒐

  • 蜜柑もぐ少女の唄に鳥の歌

    竹春エリザベス

  • 蜜柑箱積まれ試食のテントかな

    谷川ふみ

  • 蜜柑剥く私の芯が見つからぬ

    立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • 蜜柑担ぎくじ運強き姉帰る

    野地垂木

  • 平和なる日本に在りて蜜柑食ぶ

    於大純

  • 病欠宅へ揚げパンと蜜柑二個

    織部なつめ

  • 患者には患者の都合蜜柑裂く

    星埜黴円

  • 半壊の玄関やポツンと蜜柑

    小倉あんこ

  • 蜜柑剥く地球の平和分かつやう

    郡山の白圭

  • 火の国やかの温泉は蜜柑の香

    渋谷晶

  • お手つきは一回休み蜜柑剥く

    久森ぎんう

  • 蜜柑山人重なって来りけり

    谷町百合乃

  • ああ蜜柑乗り継ぐ車窓もああ蜜柑

    反芻医

  • 添え書きの字太し新種の蜜柑来る

    周防の鼠

  • 背戸に積む腐れ蜜柑の無念かな

    周防の兎

  • 蜜柑割きはなればなれになりにけり

    よしぴこ

  • 蜜柑てふ星のプレート剥がしけり

    濃厚エッグタルト

  • 唾液腺に愉楽の痛み蜜柑むく

    羊似妃

  • 一口に蜜柑を三房食べる日よ

    うさぎ柚和

  • 純愛のようで蜜柑はただ剥いて

    ちゃうりん

  • 種のなき蜜柑ばかりを食べにけり

    小木さん

  • 仕送りの箱に手紙と蜜柑やら

    雑魚寝

  • 夏目君蜜柑あるぞなおあがりや

    樫の木

  • 孤独っちゃ孤独なんですみかんトス

    司啓

  • 蜜柑にも葉にもひとつずつ光

    なか かよ

  • 曼荼羅をよみ解くように蜜柑むく

    Vn 花のん

  • ころころと蜜柑ころがし吾子破顔

    はるく

  • 頬杖の吾や蜜柑と暮れ残る

    山河穂香

  • 病室にぽつと明るき蜜柑かな

    雪音

  • 五回目のハリーポッター蜜柑剥く

    田畑 整

  • ひとつぶの蜜柑てのひら告白す

    吉谷地由子

  • 蜜柑剥く君のマニキュア蜜柑色

    駄々

  • 鼻先と同じ温度の蜜柑かな

    石神湖畔

  • おかえりを言って蜜柑をまずひとつ

    どゞこ

  • みぎほほにみかん一ふさ七ならべ

    酔蚊眼

  • 乳首のごとみかんの房を吸ふ子かな

    どくだみ茶

  • 蜜柑むきむき切り出し辛きおめでたよ

    白猫のあくび

  • キュビズムも嫉む蜜柑のヘタの星

    鳥不驚

  • 蜜柑剥く房剥がすたび風の音

    千賀子

  • 蜜柑食ぶ暖色の息吐くひとと

    石浜西夏

  • 老教師見舞ふ蜜柑の汁の濃さ

    唯野音景楽

  • 海風と話したがつてゐる蜜柑

    沖原イヲ

  • 瀬戸の島なぞへなぞへに蜜柑満つ

    内藤かをる

  • 蜜柑剥く地球は少し熱つぽい

    一日一笑

  • ため息の家計簿を閉じみかん喰う

    中村雪之丞

  • みかんみかん転がり落ちて陽の粒に

    はごろも856

  • 「籍入れる?」みかんむきつつ言うのかよ

    紀友梨

  • 仏壇を蜜柑があかるうしたるかな

    山中 あぎ

  • はじめてはあのあたりあの蜜柑山

    始の子

  • 蜜柑剥く娘らの頤丸きこと

    蒼鳩 薫

  • 蜜柑の香まとひて判子押しにけり

    とき坊

  • 昨日今日白紙の日記蜜柑剥く

    くみくまマフラー

  • 法面の爪痕に蜜柑燦燦

    種種番外

  • 停車するたび蜜柑また蜜柑なる

    里山子

  • 口笛のまばゆく渡る蜜柑山

    千歳みち乃

  • 子を見舞ふ友と言ふ子の手の蜜柑

    おかだ卯月

  • 遠近にひゞく鋏や蜜柑山

    大久保加州

  • 蜜柑五個ならべ羅漢としてみたる

    吉田涼太#

  • 真夜中に目覚め廊下にある蜜柑

    月岡方円

  • 受けとれと放る蜜柑の弧のやさし

    石塚碧葉

  • 介護士に見られて蜜柑口に入る

    海峯企鵝

  • 蜜柑剥く手の皺深き誕生日

    月待 小石

  • 節高の母似の指や蜜柑剥く

    岡井風紋

  • 蜜柑真つぷたつ天気雨の匂ひ

    横縞

  • 意識なき父の傍蜜柑食む

    えりいも

  • 鳥の絵を葬つたその手で蜜柑

    橘鶫

  • 厄落しみかん頬張り天神へ

    桂葉子

  • 不機嫌な地球にも蜜柑たわわなり

    魚返みりん

  • 今いづこ母校の襷みかん剥く

    紫鋼

  • 野暮天のあなたと老いて蜜柑山

    そまり

  • 剪定の合間ほお張るみかんかな

    小田ビオラ

  • はらからがそれぞれに食ふ喪の蜜柑

    川口雅裕

  • ジョーカーを引く指先に蜜柑の香

    雨李

  • 唇へ筋剥ぎし蜜柑の裸

    紅紫あやめ

  • きのふよりの着信は母蜜柑食ぶ

    紫小寿々

  • 瀬戸内の風は柔らか蜜柑山

    加藤水玉

  • 不眠の夜余震にはずむ蜜柑

    桜月夜

  • 蜜柑山離るる船へ波がしら

    はなぶさあきら

  • 蜜柑剥き母校のゼッケン探す朝

    山本マユミ

  • 大見出しの「八代亜紀逝く」蜜柑剥く

    諸塚凡志

  • 売物件たわわのミカン揺られおり

    叶田屋

  • ひと月でみかんはかせと呼ぶほどに

    青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • AIが嫌い蜜柑の筋よりも

    二重格子

  • 静物画完成間近みかん食ふ

    安達りんだう

  • いくらでも採れというかに蜜柑山

    浦野紗知

  • 蜜柑ひんやり眼球模型ひらく指

    幸田柝の音

  • 収穫や立ち漕ぎで行く蜜柑山

    谷山みつこ

  • 明け六つの卓に蜜柑と引出物

    おきいふ

  • 離郷の深夜バス蜜柑抱く和手

    海乃一夏

  • 蜜柑食ふ隣も蜜柑食うている

    ざうこ

  • 太陽に透ける手のひら蜜柑もぐ

    畑野稔

  • よそ者の渇き故郷より蜜柑

    久留里61

  • 蜜柑剥く鳥の集まる庭があり

    門田なぎさ@金カル

  • 幼子の剥きし蜜柑の歪かな

    詠頃

  • 蜜柑食ふ子の手の香る肩たたき

    むねあかどり

  • みかん置く読みかけのページしっとり

    竹原かよこ

  • 駆け回り蜜柑をもいで小休止

    ヒマラヤ杉

  • 一山の蜜柑よ清貧を語る

    オアズマン

  • 割当は1人5つのみかんかな

    竜子@ノエル

  • 野球部の酸っぱい記憶みかんかな

    百鶏@ノエル

  • お嫁ごの皮ごと四つに蜜柑割り

    篠雪

  • 蜜柑くらいの幸せでいいわわ・た・し

    多可木@ノエル

  • 落日を使ひ切つたる蜜柑山

    中根由起子

  • 蜜柑の香うっすら焦げた文字浮かぶ

    笑姫天臼

  • 蜜柑むく食うも食わぬも考えぬ

    天照昭光

  • 手の中に納まる蜜柑選びをり

    さんざし

  • 有明を探して自転さす蜜柑

    森脩平

  • 研修の練習台に蜜柑かな

    大山兎山@ノエル

  • 別れの日乳房に残る蜜柑の香

    紙威楓

  • 蜜柑いま祈りのようにむかずいる

    鷹取 碧村

  • 齢かな蜜柑に咽る二度三度

    高見艀舟

  • 負けるなと渡す蜜柑の朝陽色

    高木石塊

  • 一粒で山口蜜柑とわかる君

    さいとう歌月

  • 深爪や蜜柑の皮を剥く母の

    比良山

  • 蜜柑噛む吾と地震と戦争と

    八十六九

  • 影もとは光の意なり蜜柑山

    高尾里甫

  • 海光や蜜柑拒みし反抗期

    林省造

  • 時効の朝口は乾きて蜜柑震え

    八光地蔵

  • みかん剝く索引ページしみ微か

    おぼろ月

  • 『エルマーの冒険』最中蜜柑喰む

    杼 けいこ

  • 山積みの蜜柑の先の被災リポ

    一井蝸牛

  • 言い返すかはりに三つ目の蜜柑

    みつれしづく

  • あらんかぎりのひかりをぎゅ蜜柑手に

    立山穂高

  • 母ひとり小さき蜜柑に傷みの香

    山羊座の千賀子

  • 蜜柑ふと黄泉のあたたかさを思ふ

    綾竹あんどれ

  • みかん皮干して私薬剤師

    羽衣@ノエル

  • ジンとろり舐めて蜜柑のまるかじり

    西田月旦

  • 北国の友へ明るき箱蜜柑

    春那ぬくみ

  • ひとつだけ犬の棺に置く蜜柑

    渡辺桃蓮

  • 蜜柑剥く眉間に皺を寄せる癖

    百瀬はな

  • 「先寝るよ」メモと蜜柑と塩むすび

    ちょうさん

  • 蜜柑一つ放り呉れたる放物線

    堀雅一

  • 母のゆび震へ蜜柑をもて余す

    山田蹴人

  • 太陽が産み落としたる蜜柑かな

    冬島 直

  • 蜜柑剥く本日一名仮釈放

    石本コアラ

  • 幼子のパズルのごとくむく蜜柑

    吉野川

  • 夜警詰所見廻り迎え蜜柑剥く

    服部勝枝

  • 勝敗のポイントそこだったと蜜柑

    愛柑

  • 三河湾の風に熟れたる蜜柑山

    若林鄙げし

  • ババ持って泣く子に剥いている蜜柑

    花蜜伊ゆ

  • 境界線越えた隣の蜜柑かな

    飛来 英

  • 蜜柑へたから剥きもとの形によせてあり

    広島 しずか80歳

  • 避難所のマットに四人噛む蜜柑

    凪ゆみこ

  • この星の皮の薄さや蜜柑剥く

    洒落神戸

  • 高熱の月曜蜜柑に求む加護

    帝菜

  • ほどほどの固さの蜜柑選びたり

    小藤たみよ

  • なんとまあ蜜柑もむかぬ男なり

    キートスばんじょうし

  • 受験票置きてゆつくり剥く蜜柑

    輝 龍明

  • ヘルペスにしみる蜜柑や夜勤明け

    沼宮内 かほる

  • 心折れ喉に染み入る蜜柑甘し

    haru_sumomo

  • 蜜柑むくときを父子でありしかな

    川屋水仙

  • 三個目の蜜柑にぽつり重い口

    杜乃しずか

  • 瘡蓋の指がばらしてゆく蜜柑

    井上鈴野

  • 両腕に手に手に蜜柑応援歌

    河上摩子

  • 蜜柑放る太陽の空渡るごと

    藤白月

  • 蜜柑山登り指輪を返しけり

    蘭丸結動

  • 蜜柑剥く皺麗しき母の指

    亀田荒太

  • 蜜柑ふたつひとつ仏にひとつ剥く

    碧 萃生

  • 九時からの中国ドラマ蜜柑剥く

    かずポン

  • 蜜柑議論平行のまま半分こ

    みうらけんじ

  • 甘々し葉付き蜜柑のこんまいの

    淡湖千優

  • 千億の話題姦し蜜柑剥く

    風の旅人

  • 蜜柑添え歩けるようになりました

    笑笑うさぎ

  • 鉄橋のリズム転がる蜜柑かな

    黒麹 糀

  • 配給の蜜柑水銀灯が照らす

    久米穂風

  • 人生ゲーム負けて蜜柑の皮を剥く

    あなうさぎ

  • 蜜柑照る土地に焦がれて居着きたり

    伊江かつじ

  • こんなにも唆る蜜柑やオペ前夜

    綿鍋雪

  • 湯上がりの渇きに蜜柑妻笑う

    殿さまペンギン

  • 入院準備一息ついて蜜柑かな

    ルーミイ

  • 県民の矜持みかんは貰ふもの

    あみま

  • 蜜柑剥くやりたい事はためらはず

    石塚彩楓

  • 昨日より今日の被災地蜜柑剥く

    清水 三雲

  • 早生蜜柑小さめ良しと義兄の弁

    望月ぽん

  • ママ話聞いてない蜜柑何個目

    鷹見沢 幸

  • 家族の涙の余白に置く蜜柑

    青みどり

  • せいせいするわ蜜柑おとこ気がきかん

    モッツァレラえのくし

  • 青空が淋しすぎるよ蜜柑食う

    藤永桂月

  • 地蔵目を瞑りて笑ふ蜜柑かな

    髙田祥聖

  • 蜜柑剥くあなたの所作の美しさ

    つくばみらい亭

  • ぶちぶちと解体されて子の蜜柑

    岬ぷるうと

  • 塾の夜や弁当箱の上に蜜柑

    美織

  • 富士を背に絵葉書めきて蜜柑山

    雪井苑生

  • 蜜柑剥く妻の手とうに母の手で

    イサク

  • 蜜柑のトロッコ終点はじいちゃん

    あねもねワンヲ

  • 太陽のいろ閉じ込めり伊予蜜柑

    陽花天

  • 蜜柑丸呑み奇妙奇天烈だつた亡父

    塩の司厨長

  • 咲くやうに割いてうすつぺらい蜜柑

    古瀬まさあき

  • 蜜柑むく歓楽街の私小説

    山城道霞

  • 腹這ひて蜜柑ひと房吸ふ病臥

  • 籠に盛るみかん施設に居る父さん

    古都 鈴

  • 引継ぎを終え仕送りの蜜柑食う

    升 丁茶

  • 蜜柑摘む海風摩る相模湾

    那須のお漬物

  • 頼まれし留守居は蜜柑二つぶん

    清水縞午

  • さよならの蜜柑を積んでランドナー

    池内ときこ

  • 独り善し皆もまた善し喰う蜜柑

    瀬戸ゆらり

  • 大地震はふるさと飲み込む蜜柑

    田村 宗貞

  • 紀の国のここは飛び地ぞ蜜柑熟る

    柚木みゆき

  • 箱のみかん長期休暇の最終日

    豆闌

  • むきだしの蜜柑それとも虚栄心

    ツナ好

  • 蒂青し故郷遠きみかん山

    能研ショテカ

  • 待ち合ひの椅子のくぼみや蜜柑剥く

    しゃれこうべの妻

  • オバQを炙り出したる蜜柑かな

    茜咲

  • 前籠に貰ひ蜜柑の山溢る

    弥勒夕陽

  • 鈴なりの小粒の蜜柑散りにけり

    岡崎秀恵

  • 寡黙なる目利きの選ぶ蜜柑かな

    瀬戸ティーダ

  • 十キロの蜜柑重たしご挨拶

    祐 紀杏里

  • 物言わぬ迷子へ渡す蜜柑かな

    柊琴乃

  • 蜜柑の筋取つて赤子に見えるまで

    野井みこ

  • 手の蜜柑父の小言に温まれり

    糺ノ森柊

  • さみしきは傷むに似たり蜜柑むく

    飯村祐知子

  • あの人が褒められている蜜柑剥く

    うからうから

  • 深刻な話はいやよ蜜柑剥く

    渡海灯子

  • まず蜜柑剥き考へる暮向

    有野 安津

  • 酒瓶と蜜柑と俺の寝床かな

    北青山晋

  • あま蜜柑鳥の取り分一つあり

    恵翠善

  • ごめんねのメモと蜜柑をピアノ閉ず

    石田将仁

  • マニキュアを褒めさせて蜜柑を剥かせ

    加良太知

  • 五分後の陣痛蜜柑ひとつ分

    虎八花乙

  • 蜜柑とは太陽満ちる雑居房

    玉庭正章

  • 爺ちゃん死んだ蜜柑の山も手放した

    清白真冬

  • 城壁の海より聳る蜜柑山

    谷本均

  • 手伝いも遊びの一つ蜜柑食ぶ

    一港

  • 蜜柑割いて「もう胎動あるの」と女

    麻きなり

  • 心許なくて蜜柑を揉む病室

    だいやま

  • 薄皮のはじけさうなる蜜柑選る

    原 水仙

  • 玄関の蜜柑を四個いや、六個

    弥日

  • 求人の広告に誤字蜜柑食ぶ

    岸来夢

  • 履歴書の横にぽつんと蜜柑かな

    田辺富士雄

  • 手の届くところにリモコンと蜜柑

    横山雑煮

  • 朝ドラの主題歌夫と蜜柑剥く

    星月彩也華

  • 蜜柑晴遠くに望む天守閣

    さいたま水夢

  • 「戦闘」を「一旦停止」して蜜柑

    うみのすな

  • 北限の蜜柑よ地球は沸騰中

    千代 之人

  • 本の角押さえる蜜柑食う蜜柑

    中村すじこ

  • 故郷の蜜柑は口に筋残す

    齋藤方南

  • みかん囲む会話の外に祈りをり

    そうま純香

  • 揺れる枝もいだ蜜柑の皮一片

    テラゴン

  • 箱買ひの蜜柑や青空のペダル

    じょいふるとしちゃん

  • 能登を行く二両編成みかん食ぶ

    池 閑茶

  • 庭の枝に蜜柑さすひとりはさびし

    鈴白菜実

  • みかんむく別れ話の最中に

    よみちとせ

  • 爪切りて蜜柑の皮の厚きこと

    雨霧彦@木ノ芽

  • 半々の蜜柑ごめんの言えぬ君

    花和音

  • 生理痛紛らす蜜柑の酸っぱさや

    紫雲蒼月

  • 米兵の厚き手が剥く蜜柑かな

    沙一

  • 一房の蜜柑ほお張りドクヘリへ

    田中ミノル

  • 海光る造船所越し蜜柑山

    竜退治の騎士

  • 太陽もでこぼこしてるかも蜜柑

    広瀬 康

  • 居間の灯は消えて蜜柑の色かほる

    海星葛

  • 蜜柑抱き転び拾いて走り来る

    中嶋奈緒子

  • いたずらに起こす妹みかんの香

    露口全速

  • 暮れ方の蜜柑畑にパール富士

    原島ちび助

  • 砲撃を全否定して蜜柑むく

    ちゃるこ

  • 積み上がる蜜柑の皮とリモコンと

    でんでん琴女

  • くるぶしの血管蒼しみかん剥く

    遊羽女

  • 寝息聞き重ねる絵本剝ぐみかん

    TAKO焼子

  • 鉄道の旅は蜜柑に始まりぬ

    そうり

  • みかん史に新たな系譜蜜柑むく

    いさな歌鈴

  • 寛容が我にありしか蜜柑むく

    コイケキクエ

  • トランプを引くかに母のみかん選る

    島田ポン吉

  • 海賊の見張りの山や蜜柑山

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 真夜中の犬の遠吠え蜜柑揉む

    蘇子

  • 診療所段ボールごと置く蜜柑

    フージー

  • 渡されただけで甘いと知る蜜柑

    庭野環石

  • 蜜柑の木なにもこぼさぬやう撓ふ

    足立智美

  • 瀬戸内にみかん農家の船暮らし

    小林番茶

  • 青空に蜜柑は番いだすところ

    酒井おかわり

  • よろよろと蜜柑を一個ずつ配る

    野ばら

  • 気動車の能登路の旅や蜜柑剝く

    新濃 健

  • 蜜柑剥く母の愛しき爪に罅

    広島じょーかーず

  • 蜜柑箱真横に太き愛の文字

    小田毬藻

  • グリーン車袋に切符と蜜柑かな

    名出 結希人

  • 陽の色を蓄えきつて蜜柑山

    とおやまみえこ

  • 東京に買ふふるさとの蜜柑かな

    宮武濱女

  • 客間兼居間兼その他みかん五個

    せいち

  • しあわせは蜜柑の中にあるかもな

    めでかや

  • 急く暮れに荷箱の蜜柑転びをり

    永井旅人

  • 故郷の蜜柑贔屓に選びけり

    鈴木古舟

  • 蜜柑憎し蜜柑憎し剥き難し

    新蕎麦句会・凪太

  • 初七日の蜜柑供える小さき手

    藤 えま

  • 我が身にも蜜柑の黴の這ひ来たる

    江良 中

  • みかんころん夕日の色をたくわえて

    ふじこ

  • すつぽかすちびた蜜柑を喰ふ喰ふ喰ふ

    田季たまき

  • 手放した執着ひとつ蜜柑むく

    増山銀桜

  • 駄菓子屋のレジの輪ゴムや蜜柑剥く

    ふのんへん宗悟

  • 犬歯もてぷつと蜜柑を開きけり

    泉水あやめ

  • 確実に仕留めるやうに蜜柑むく

    いその松茸

  • 新NISA結局はどれ蜜柑剥く

    秋野木吾

  • 空も海も青の狭間にみかん狩る

    斉藤百女

  • 七並べ末っ子しぶり蜜柑四つ

    藤 れい

  • 国はもうひと皮剥けてみかんなど

    白庵

  • 成績は真ん中あたり蜜柑むく

    山崎  かよ

  • 酸っぱい蜜柑酸っぱい思いでもしたか

    Kかれん

  • 蜜柑剥く途端に香る俺の部屋

    亀山酔田

  • 蜜柑山こみちを辿る月あかり

    亀田かつおぶし

  • 車窓には蜜柑、青春きつぷ、海

    古賀

  • 蜜柑二個め矛先変ふる話かな

    リカ

  • 母送り父を送りて蜜柑剥く

    河村静葩

  • 丁寧に蜜柑剥く夜の島時間

    まるちゃんにいさん

  • 蜜柑むく句帳に汁をなすりつけ

    千曜 桜

  • 木守りの蜜柑ましらに狙われて

    細木さちこ

  • 冗談の一つも言えぬ蜜柑好き

    山口朝子

  • たそがれや昭和匂わす蜜柑山

    久下 真一

  • 二等車の窓をよき風蜜柑投ぐ

    滝上 珠加

  • 紹介の席に蜜柑の動きなし

    島陽広

  • 蜜柑食べ過去の記憶を手繰り寄せ

    谷 牛歩

  • 銭湯も駄菓子屋も消へ蜜柑買ふ

    鈴野蒼爽

  • 浜名湖の陽の燦燦と蜜柑黄に

    三島ひめばしょう

  • 蜜柑酸つぱ夫の育休三ヶ月

    天雅

  • 熟年の夫婦寡黙に剥く蜜柑

    松永恕淳

  • 姉様の砂糖漬けたる蜜柑かな

    ちくりん

  • 「甘いね」のあうむ返しや蜜柑食ぶ

    若井柳児

  • 和顔施と呼ばれし夜の蜜柑かな

    真井とうか

  • 嘘をつく貴方に無言で蜜柑剥く

    希布

  • Switchと蜜柑二十個入院す

    西野誓光

  • 蜜柑積む荷受年内最終日

    ゆすらご

  • タクト置く伊予のみかんを二つ三つ

    川蜷

  • 真心を手渡す如く蜜柑かな

    リーガル海苔助

  • 相続は熟るる蜜柑の山ひとつ

    たけぐち遊子

  • 孤児院や枝に明るき蜜柑差す

    恵勇

  • パノラマやモノラックゆく蜜柑山

    伊泉不洋

  • 日の匂ふ蜜柑ぬすみし昔あり

    熊谷 温古

  • 蜜柑剝く思ひの丈は告げられず

    渡嘉敷五福

  • 吾輩は蜜柑蜜柑でまるくなる

    ヒロヒです

  • 仏壇にみかん山積み姉来たる

    水須ぽっぽ

  • 「太陽がいっぱい」口を垂れる蜜柑

    戸部紅屑

  • 蜜柑の香うつらうつらの小宇宙

    伊都

  • 新婚よ蜜柑を剥きし新妻よ

    小山 晃

  • 蜜柑狩り握る手触りストレート

    伊ナイトあさか

  • 皮をむく手に太陽の香の蜜柑

    黄鶺鴒

  • 百貨店街に失くなる日の蜜柑

    灰色狼

  • 色づきてみかんの旅のはじまりぬ

    池田  凜

  • 蜜柑剥く医師ら番号待つ食堂

    福田みやき

  • 今日もまたミカン畑でポチが鳴く

    山口雀昭

  • 明日挑む山頂見上げ蜜柑剥く

    鶴岡木の葉

  • 湘南の海よ蜜柑山はここ、ここ

    志古女

  • 一箱の蜜柑抱えて告ぐ懐妊

    ほしのあお

  • 父ちやんの剥き癖残る蜜柑の皮

    木村隆夫

  • 七人で蜜柑三つ母に一房

    らん丸

  • 蜜柑剥くだってみんながほめるから

    ひなた和佳

  • 子の寝顔円やかになり蜜柑剥く

    阿山季思

  • 活断層の上にたわわの蜜柑

    入口弘徳

  • 蜜柑むく圧力鍋がシューと吹く

    くろべぇ

  • 箱買の蜜柑三つを夫へトス

    としなり

  • 検診ののちの蜜柑の甘さかな

    大谷如水

  • 投げ受けた蜜柑に描いた顔にキス

    イシデ電

  • 蜜柑ひとつ妹のちひさき背負籠へ

    空井美香

  • 山の墓地風の奏と蜜柑の香

    樹魔瑠

  • また一つもがれて萎む蜜柑の樹

    火炎幸彦

  • 薬情に温州蜜柑は可とあるや

    男鹿中熊兎

  • 静寂の母の写真灯す蜜柑

    高本蒼岑

  • 智恵子の檸檬大凡なる吾は蜜柑

    ティアラ文緒

  • 数学を解く手を止めて蜜柑剥く

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 蜜柑色の蜜柑探しているところ

    堀口 房水

  • 蜜柑食ふ博愛の筋もろともに

    林真紗湖

  • 退職や名無しの蜜柑甘すぎず

    剣橋こじ

  • 〇〇と蜜柑∞めく妄想

    佐藤烏有

  • ふぞろいの蜜柑小雨の良心市

    るびちゅ

  • 嬉しくて邪魔でポケットの蜜柑二個

    西田武

  • 山盛りの蜜柑ごろ寝の日曜日

    酔下弦

  • 欄干に微笑むように蜜柑置く

    犬井山羊

  • 障害者手帳の傍に蜜柑の黄

    空木眠兎

  • ドジャースはお金持ちねと蜜柑剥く

    朶美子(えみこ)

  • 酸っぱさはお日様の味蜜柑噛む

    壱太

  • この山は猿が出るから蜜柑むく

    たむらせつこ

  • みかん盆据えて婆ここを動かぬ

    三重丸

  • 人間の中心は臍蜜柑剥く

    土井あくび

  • てのひらのいびつな蜜柑あまいあまい

    染野まさこ

  • 蜜柑分け君は甘いと吾は酸いと

    むらぴ

  • 故郷は古りて蜜柑の届かざる

    円路

  • 貢がせてくれない男蜜柑喰む

    野原 華

  • 沈黙に沈黙返し剥く蜜柑

    クラウド坂の上

  • 南極点ここぞ蜜柑に爪立てり

    熊の谷のまさる@いつき組俳句迷子の会

  • 蜜柑手に馴染ませ母と和解せん

    矢橋

  • 名無くとも蜜柑よ十分条件よ

    へらみし

  • 惨状に蜜柑むく手も止まる宵

    山くじら

  • ひとり夜が甘く潤う蜜柑かな

    ぉ村椅子(志村肇)

  • 眼ん玉をしぼる泣蜜柑すっぱい

    吽田のう

  • さみしさの溜まる蜜柑の凹みかな

    伊藤映雪

  • 乗り鉄とふ青年と食ふ蜜柑美し

    月見柑

  • 親指の先蜜柑の痛みじんわりと

    一久恵

  • 賞品は蜜柑家族マージャンの夜

    中井無心

  • 渡さるる蜜柑ころころ昼休み

    かなの りえこ

  • 心が壊れた時蜜柑は甘い

    田口大寒六

  • 手ずからに施肥し蜜柑の甘さかな

    松葉学而

  • 啄まん残りし蜜柑一つのみ

    大阪駿馬

  • 園庭の蜜柑を食べるぱんだ組

    三浦にゃじろう

  • 蜜柑の房満ち欠けに似て並びおり

    古庄 萬里

  • 東京はなにもない街蜜柑食む

    東田 一鮎@金カル

  • 夜行バス兄の蜜柑は特大だ

    刈屋まさを

  • 手探りのスイッチ紐や箱蜜柑

    さ乙女龍チヨ

  • リハビリの手のもどかしく蜜柑むく

    タケザワサトシ

  • 蜜柑剥きながら家売る話かな

    山野麓

  • 蜜柑剥くたび亡き祖母の香が匂ふ

    山口葵生

  • みかん山錆びし鉄棒濡れそぼつ

    鈍亀

  • 卓上で待ち惚けの蜜柑の健気

    三無季生

  • ランドセル右腕通しむくみかん

    杜まお実

  • 蜜柑食ぶ前に食器を洗ひけり

    寺嶋杳杳

  • 独り身はとかく小さな蜜柑買う

    馬場めばる

  • 記念樹の蜜柑初なり子の独立

    S・葉子

  • アポなしに蜜柑くらいは持っていけ

    いたまき芯

  • 蜜柑甘し伏せ字は「愛」の可能性

    あらい

  • 泣きやまぬ吾子にごめんと蜜柑むく

    みつき 夏

  • SATSUMAとふ蜜柑手に取る三ユーロ

    うはのそら

  • ちょっぴりと飛沫の色や蜜柑の香

    宇野翔月

  • 訳ありのみかん十キロ一千円

    みのやん

  • 箱の中父母の匂いと蜜柑の香

    ゆぃ

  • 課長席より回り来る蜜柑かな

    る・こんと

  • それでねと続く話や蜜柑剥く

    芋 二郎

  • 蜜柑剥く泣かせぬやうにそつと剥く

    香田ちり

  • この蜜柑やはりワグナー聴かせたか

    山水

  • 今日は空白蜜柑だけそこにゐる

    市橋正俊

  • 宿題のできぬ理由やみかん剥く

    秋白ネリネ

  • クエッション薄い蜜柑を本の上

    上田ASH

  • あかつきや光る小粒の蜜柑手に

    さぬきのたぬき

  • 蜜柑剥く母の掠れたカラオケと

    たーとるQ

  • 星だらけ空席に蜜柑を置いて

    まるかじり

  • 映り込む太陽フレア蜜柑かな

    塩風しーたん

  • 蜜柑剥く筋を取る子に頬ばる子

    音のあ子

  • 島蜜柑熟るる頃なり渡し混む

    海猫

  • 叱られて泣いて抱かれて蜜柑の香

    春海のたり

  • ぴーひょろと祖母の薄皮剝く蜜柑

    西村小市

  • 長考の手に自転する蜜柑かな

    大黒とむとむ

  • 如来持つ薬壺の如き蜜柑かな

    星醒

  • 保険証マスキングして蜜柑むく

    星野はいかい

  • 結婚する気無し蜜柑の筋硬し

    多々良海月

  • 人誑しの君は蜜柑をどう剥くか

    西町花冠

  • 卓上の蜜柑の下の幼文字

    中田邦光

  • 剥きかけの蜜柑余震へ落ちていく

    坪山紘士

  • 蜜柑剥く飛沫あげつつ蜜柑剥く

    石垣ようせい@いつき組

  • 出来立ての秘密基地にて蜜柑食ぶ

    杜野 ほたる

  • 沈黙の相続会議蜜柑剥く

    野澤真澄

  • 頂いて蜜柑の輝度が冷めぬよう

    本村なつみ

  • そらそら蜜柑弾みて海の見ゆる方

    梵庸子

  • マラソンの途中で逃げる蜜柑山

    諧 真無子

  • 蜜柑一ケバス停に星と残る

    赤馬福助

  • 観覧車蜜柑と共に一周す

    梨山碧

  • 海光と海光の間の蜜柑かな

    泉晶子

  • 恋バナのやけにしぶとい蜜柑むく

    もぐ

  • 瓦礫積もる河口漂ふ蜜柑かな

    村岡花風

  • 蜜柑ならいくらでもやる笑っちゃえ

    沙那夏

  • 臨時ニュース蜜柑剥く手の止まりたる

    どいつ薔芭

  • 蜜柑買う夫の好きなSサイズ

    みなみはな

  • 蜜柑むくかつて尖っていた男

    月枝いと

  • つむじから又はへそから剥く蜜柑

    千夏乃ありあり

  • 金曜は甥と蜜柑とつい長湯

    なつめモコ

  • 蜜柑剥くモンゴロイドとしての生

    阿部八富利

  • 仏壇に蜜柑この時期合掌日に三度

    小西天

  • これと言う話もなくて蜜柑むく

    愛燦燦

  • アルベド論争黙って聞く蜜柑

    みなづき光緒

  • 山頂や見知らぬ女から蜜柑

    みやま千樹

  • 戦争のテレビ中継蜜柑むく

    栞虫かじり

  • 別れ話一つに蜜柑いくつも剝く

    ひねもす

  • 墓終ひいつにしやうか蜜柑剥く

    後藤三梅

  • 年表を二つ折りして蜜柑山

    香依蒼

  • 失恋よ清々とした蜜柑山

    柚明楽

  • 清拭のにほひの母は蜜柑噛む

    謙久

  • 煩悩をひとつ外して蜜柑食ぶ

    匹田小春花

  • 蜜柑むく愛は平凡なのがいい

    岡山小鞠

  • ポケットに蜜柑を入れて上京す

    春あおい

  • 憤懣の言語化のごと蜜柑むく

    味噌山鱶

  • 独り抱く母の秘密や焼蜜柑

    森野みつき

  • 人生をやり直すため蜜柑喰う

    猪子石ニンニン

  • 結納は蜜柑の出荷まで待てと

    田村利平

  • 島風や香り膨らむ蜜柑山

    蜥蜴の尻尾

  • 腐りし蜜柑の青銅極めたり

    不文律

  • 蜜柑食う管理組合初談議

    四丁目

  • ネイル見せびらかし挙句剥く蜜柑

    苺井千恵

  • 「だんだん」は伊予のあいさつ蜜柑山

    あつちやん

  • 曖昧な愛しさ夜の灯に蜜柑

    豆くじら

  • 二度切りの妻の手捌き庭蜜柑

    風の木原

  • 空爆の街は蜜柑の向こう側

    鳥乎

  • 検温を終へつまみたる蜜柑かな

    夏 しのぶ

  • 夫の手めがけはんぶんこの蜜柑

    菅原ゆう

  • 剥かれんと勇み蜜柑はみかん色

    坪田恭壱

  • 往路今ゴール蜜柑は十個半

    秋津穂 実

  • 忘れ得ぬひとの産地の蜜柑手に

    北乃薫衣草

  • 火葬待つ蜜柑の皮を積み重ね

    栗田すずさん

  • いとしき夫の手みかんのすじとる

    小春風 幸

  • 吾は三口妻は一房づつ蜜柑

    神島六男

  • 猿のごと吾子はひたすら蜜柑剥く

    花咲明日香

  • 長旅の客車蜜柑に噎せながら

    髙野雁梛

  • 五万個は蜜柑を食うた祖母の皺

    佐藤茂之

  • 蜜柑も運も小ぶり好みの吾が世かな

    きゅうもん@木の芽

  • 能登の地震蜜柑ひとつの有り難き

    虎穴虎児

  • 電気代値上げ蜜柑の冷たさよ

    田村美穂

  • 蜜柑山なんと晴れたるなゐの国

    島田あんず

  • トロッコのレールの撓み蜜柑摘む

    山路碧水

  • 入院中増える蜜柑に描く笑顔

    羽光

  • たわわなる蜜柑藩主の亀趺の墓

    峰泉しょうこ

  • みかん剥く花咲く丘のソノシート

    わおち

  • 印象派めく海光の蜜柑山

    西村青夏@金カル

  • 蜜柑恋しチフスの姉の喉乾き

    白井 佐登志

  • 仏壇に祖母の嫌いな蜜柑三つ

    羅美都

  • 薄皮を剥くやキラキラ蜜柑と子

    木村となえーる

  • 蜜柑食ぶ一番風呂で仕舞風呂

    暖井むゆき

  • 蜜柑と関門トンネル五歳の記憶

    笑酔

  • みかん汁目に入るララララララブソング

    藤田味

  • 軽トラのダッシュボードの蜜柑熟れ

    定位置

  • 掌からこぼれた蜜柑てのひらに

    いりこのにゃらつめ

  • 蜜柑山松山城がぼんやりと

    空郷 阿房人

  • 原発も蜜柑もあって過疎の村

    定位置

  • 回診や先生蜜柑召し上がる?

    巴里乃嬬

  • カタカナの母の便りやみかん剥く

    麗し

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