俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2025年2月20日週の兼題

啓蟄

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 啓蟄の何かに閊へゐるルンバ

    大黒とむとむ

    選者コメント

    夏井いつき選

     最近は、ロボット掃除機「ルンバ」の句もよく見るようになりましたが、中七「何かに閊(つか)へゐる」という表現が面白い一句。なぜか前に進めないルンバになりきって、その困惑をこんなふうに描いたのかもしれませんね。
  • 巨人覚む目に啓蟄の土を溜め

    元野おぺら

    選者コメント

    夏井いつき選

     「啓蟄」ともなれば、地中に眠っていた「巨人」も目を覚ますに違いないというのです。「巨人覚む」というアニメ的世界をリアルにしているのは、「啓蟄の土を(目脂のように)溜め」という表現。瞬きで落ちていく土塊まで想像させるかのような力があります。
  • 啓蟄や暗室に吊る空二枚

    播磨陽子

    選者コメント

    夏井いつき選

     「啓蟄や」と詠嘆したとたん「暗室」の光景へ。室内への展開で季語「啓蟄」を一体どう表現するのかと思いきや、「空二枚」と春の空を提示。現像液から取り出して乾かす「空」の写真です。暗室のツンとした薬品臭もありありと思い出される一句でした。
  • 啓蟄の塚は酸つぱく湿つてる

    嶺乃森夜亜舎

    選者コメント

    夏井いつき選

     この「塚」とは、一里塚か貝塚か、あるいは墓の類いかもしれません。いずれにしても「啓蟄の塚」は、なま温かく「湿つてる」のです。「酸つぱく」という詩的感知が、「啓蟄」という時候と「塚」というモノとを絶妙に繋いでいます。
  • 啓蟄や田中のへそのやうな古墳

    飯村祐知子

    選者コメント

    夏井いつき選

     田んぼのど真ん中に小さな古墳がある。そんな光景を見たことがあります。田植えをするのも刈り取るのも不便極まりないのですが、大事に祀られているのでしょう。「啓蟄」の「へそ」のような「古墳」の愛らしさもまた一句の味わいです。
  • 啓蟄をくすぐる刷毛に化石の歯

    一斤染乃

    選者コメント

    夏井いつき選

     「啓蟄」という時候そのものを「くすぐる」という詩的発想ですが、そこから「刷毛」「化石の歯」と手にできるモノへ展開させる構成が巧みです。「くすぐる」という動詞が、良き位置におかれて、面白い効果を発揮しています。
  • 啓蟄の吾が詩を滌ぐ輪転機

    沼野大統領

    選者コメント

    夏井いつき選

     「輪転機」とは大量に早く安く印刷する機械。「啓蟄の吾が詩」とは、啓蟄をテーマとした詩? やっと地上に顔を出したという比喩? 等々、幾つかの読みが想定できます。「滌ぐ」の一語が、詩語として光っています。
  • 啓蟄の空や木乃伊は木の匂ひ

    ぐ

    選者コメント

    夏井いつき選

     「啓蟄」は時候の季語ですから、「~の空」と映像に託したのは良き判断。「や」の詠嘆から、映像が切り替わりいきなり「木乃伊」へ。何千年もの時間をかけ人体は植物のように朽ちていくのでしょうか。「木の匂ひ」と詩的嗅覚を提示した着地もさすがです。
  • 啓蟄の磁石へ眠さうな砂鉄

    岡根今日HEY

    選者コメント

    夏井いつき選

     「磁石」と「砂鉄」はベタな取り合わせですが、「啓蟄の磁石」と限定し、「眠さうな砂鉄」と描写することで、一句は、詩という言葉の火花を飛び散らせます。「啓蟄」と「眠さう」もベタなのに、一句全体はベタでなくなる。上手いもんです。
  • 啓蟄や切手の中のはなむぐり

    中岡秀次

    選者コメント

    夏井いつき選

     1997年発行の十円切手には、蒲公英にとまったコアオハナムグリが描かれています。古い切手を使おうとしているのか、頂いた手紙に貼られていたか。「啓蟄」の頃ともなれば、切手から「はなむぐり」が飛び出してきそうな春の気分です。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら