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中級者以上結果発表

2025年11月20日週の兼題

冬至

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 玄々と湯の沸く釜や冬至の日

    ま猿

    選者コメント

    夏井いつき

     「玄々」は「くろぐろ」と読みます。描かれているのは湯が沸いている釜だけですが、中七「や」の切れ字によって、堂々たる調べを作っています。冬を擬人化した季語「玄帝(げんてい)」を思わせるのも味わい深い裏技です。
  • 冬至の日死して早いと言われぬ齢

    いずみ令香

    選者コメント

    夏井いつき

     死んだとしても「早い」とは言われない年齢になっていることに、ハッと気付くのは、同年齢の人の訃報を耳にした時かもしれません。「冬至」が太陽の折り返し点だとすれば……という人生の感慨に、深く共感いたします。
  • サボテンに赤き芽のある冬至かな

    古川一光

    選者コメント

    夏井いつき

     生きてるのか枯れてるのかよく分からない「サボテン」だけど、「赤き芽」が出ていることに気付きました。「冬至」をこの植物も知っているのだろうか、そんな思いがふっと過ぎる日。「かな」の詠嘆も利いています。
  • アルミめくこころに水をやる冬至

    すまいる そら

    選者コメント

    夏井いつき

     「アルミめく」という比喩で一円玉を思いました。軽くて価値の低い、そんな私の「こころ」に「水」をやりたくなる。ここから太陽が元気を取り戻していく「冬至」だから、自分の心もちょっと励ましてやりたくなるのです。
  • 息・煙・鳥は冬至の陽の中を

    いさな歌鈴

    選者コメント

    夏井いつき

     冬至の弱々しい太陽の中、人々から吐き出される白い息、さまざまな煙突から立ち上る煙、そして鳥たちは悠々と空を羽ばたきます。下五「~を」という助詞によって、空間と余韻を作り出すテクニックがさすがです。
  • グッピーは死着冬至の陽が白い

    オーガストスガワラマサト

    選者コメント

    夏井いつき

     「死着」とは、通販で購入した生き物が死んだ状態で届くことだそうです。動かない「グッピー」の姿態に、冬至の鈍い太陽が重なります。「冬至の陽が白い」という淡々とした口語表現が、強い印象となっている作品です。
  • 鳥影は低し冬至の高瀬舟

    reion

    選者コメント

    夏井いつき

     「高瀬舟」とは、主に河川で使われた吃水の浅い細長い舟。「鳥影は低し」と映像を描き、後半は鈍い日射しの中をゆく高瀬舟へ。低い鳥影は川面を過ぎったものであることが分かる、絶妙なカメラワークの一句です。
  • 冬至かな鬱に進行形の付与

    紅紫あやめ

    選者コメント

    夏井いつき

     上五「かな」はバランスが難しい型ですが、下五を体言止めにすることで巧く着地しました。自身の「鬱」が進んでいく。それを能動的に「進行形を付与」と言い切ることで、残りの冬を生き抜いていくのですね。
  • ビー玉の芯に冬至の色がある

    すりいぴい

    選者コメント

    夏井いつき

     「冬至」という映像を持たない季語に対して、勝手に「色」を想像してみるのも一つの発想法です。「ビー玉の芯」には光が歪んでいるのか、かすかに濁っているのか。「~がある」と言い切ったところに詩が発生しました。
  • 冬至の芯に居り胎脂の香のやうな

    松山松男

    選者コメント

    夏井いつき

     「胎脂」とは、生まれたばかりの赤ちゃんの肌を守るためについている、白い脂のことです。嗅いだことはないのですが、虚構の匂いは想像できる、実に個性的な面白い比喩です。「冬至」という母胎に丸まっている胎児のような私たちです。

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