【並選】
満月が富士の天辺寒卵
蒼鳩 薫
寒卵飲む禽獣となりにけり
寒卵飲む禽獣となりにけり
神奈川の家を思へり寒卵
稲畑とりまる
産声を待って三秒寒玉子
玉野汐音
目が覚めぬ目が覚めぬ寒卵割る
イサク
寡黙なる昭和一桁寒卵
妹のりこ
寒卵くらがりに割る留守居かな
河島 勇人
心臓とおんなじくらい寒卵
星乃ぽっち
山の端に朱の射し始め寒卵
なかの花梨
養生と前置きをせり寒卵
犬山裕之
湯治場に物売りの声寒卵
吉武茂る
マニキュアを塗らぬ娘や寒卵
佐藤香珠
熨斗付きのパック真白の寒卵
井納蒼求
寒卵曇り硝子に濾す朝日
恵勇
寒卵投下作戦辣油編
結壱隆月
寒卵昔結核療養所
江坂衣代
朝ドラのこの娘は強い寒卵
小鳥ひすい
父からの敬語の手紙寒卵
あなぐまはる
悪役の台詞は長し寒卵
羽野あき
胎動の目覚めぽこぷく寒卵
蜥蜴の尻尾
寒卵つかみどころのなき女
蘭丸結動
寒卵豊かな灯りゴツホの夜
英ルナ
寒卵ならべる二個の相寄らず
kikuti-aya
父母の老いてむつまじ寒卵
かぬまっこ@木ノ芽
守一の供物は一つ寒卵
海原 洋
おのおのの分に重力寒卵
華胥醒子
寒卵ラジオにて聴く第九かな
熱田俊月
みづからの殻を割る寒卵割る
松本笑月
アメ横へ軽トラの荷は寒卵
馬門宗太
ミサイルは幾ら寒卵は子らへ
乃の
鑿鏨夜気寒卵鏖
平野光音座
関東の癇癪持ちや寒卵
寺尾当卯
薄き濃き原初がごろり寒卵
帝釈鴫
寒卵タイの木彫りの無愛想
宇田建
散薬の振る音たのし寒卵
潮見悠
未だ暗き登頂の朝を寒卵
若井柳児
湖北では傘忘るるな寒卵
とき坊
蒼白に光れり真夜の寒卵
森一平
豚骨の湯気の真ん中寒卵
谷本均
光射す不治の病へ寒卵
一富士リリー
帰国せし真夜の牛丼寒卵
緒方朋子
割ってみたし寒卵とかθとか
あたなごっち
寒卵ご飯に割つて禰宜の朝
杉尾芭蕉
両耳にヘルペスの跡寒卵
花紋
井戸水をひかりざらりと寒卵
岸来夢
角打ちやまづ丸揚げの寒卵
紺乃ひつじ
三日目の朝七度二分寒卵
秦 理露
寒卵皿へ真つ直ぐな衝撃
たーとるQ
夫婦岩登る太陽寒卵
みなみはな
骨盤の歪みに沿うや寒卵
安田 栞
寒卵分けてつなげた神戸の灯
下條ちりり
寒卵われにやさしき土踏まず
おきいふ
緘黙の忙しき心寒卵
野井みこ
朝五時の光集むる寒卵
一久恵
弟子入りの朝寒卵二つ割る
富士桜花
恐竜の羽毛何色寒卵
弘友於泥
にこにこと阿呆になりし寒卵
長嶋佐渡
寒卵予後の食道落ちてゆく
麗し
ケージを零れ青白き寒卵
はれまふよう
菜箸をたてよこたてたて寒卵
しゃれこうべの妻
寒卵湯気にあばれて朝御飯
三島ひめばしょう
ビピンパの縁へ寒卵の加速
さるぼぼ@チーム天地夢遥
寒卵ポルターガイスト起こる夜
伊藤映雪
寒卵無くしたものは些事として
北村季凛
戦力外通告寒卵ひと呑み
ぐでたまご
寒卵殻割り未来完成図
宥光
寒卵道路工事の熱の香よ
てつなお
歌舞伎町の朝白々と寒卵
時まる
寒卵数へる指と割る十指
三休
はじめてのおつかいまして寒卵
蒼空蒼子
三度目の不妊治療や寒卵
梶井大地
割る前の何だかおごそか寒卵
ピアニシモ@金カル
厳かに剥がすシールや寒卵
鈴木麗門
静々と指を沈めて寒卵
冬野とも
ゆたかなる思春期の膿寒卵
暖井むゆき
大盛の飯を窪ませ寒卵
もふ美
ニルヴァーナここに寒卵の中に
濃厚エッグタルト
寒卵よ人となること許されよ
北藤詩旦
寒卵三度の食事に切る十字
みやま千樹
友人の声朗々と寒卵
松元転石
採血の夜に加ふる寒卵
大木典子
寒卵ただの遊びを思ひ切り
大和田美信
蒲柳とは縁なき母の寒卵
野々村澄夫
戦争は他国の事よ寒卵
宮武桜子
掌に無欠のかたち寒卵
玉響雷子
ささやかなビッグバンあり寒卵
ときめき人
安堵と遺憾辞職の朝や寒卵
あまぐり
初産の少し小さき寒卵
種種番外
みちしほのをさなのことば寒卵
夕虹くすん
産みたての寒卵祖父の咳渇く
野山遊
ちゃぶ台に寒卵あり小津監督
カオス
掌に寒卵いのち毀はれさう
山内彩月
稽古後の畳のにおい寒卵
どみ どみそ
力瘤くらべてゐたり寒卵
ひねもす
早朝の父のかつかつ寒卵
ぉ村椅子(志村肇)
ぱんぱんの母の右足寒卵
星月彩也華
どつしりと黄身の浮きたる寒卵
中山月波
痩せてゆく指輪の隙間寒卵
港のパン屋
寒卵家庭科室の成分表
アンサトウ
寒卵旅のひと日の始まりに
藤井赤童子
ぐぐぐつとこめた親指寒卵
空流峰山
やり直す人生ぽこり寒卵
林真紗湖
花まるのテストゆでたて寒卵
美村羽奏
寒卵再建の胸迫り上がる
立ち漕ぎブランコじゅん
「小さな死」また「小さな死」寒卵
チームニシキゴイ 太刀盗人
震災の祈りの朝や寒卵
雑魚寝
雌鶏は淋しと泣いて寒卵
伊藤辰弥
割り入れば力瘤めく寒卵
夢見昼顔
寒卵供へて怖ろしくなりぬ
山田喜則
ラジオから今日の運勢寒卵
ひなた和佳
労咳の見舞いは笊の寒卵
菊池克己
産卵日の印字鮮やか寒卵
広島 しずか80歳
朝日あび鶏の屎覆ふ寒卵
ぶうびい
寒卵夜ごと小さく死ぬからだ
津島野イリス
放射線治療は無痛寒卵
二重格子
頼もしや並ぶ納豆寒卵
竹田碧空
寒卵てのひらひとつぶん満つる
まこ@いつき組広ブロ俳句部
物憂しと伸ばす指先寒卵
葦屋蛙城
寒卵垂直降下する土星
高遠見上
大砲にみどりのゆびや寒卵
福田みやき
認知症の優しくたたく寒卵
加良太知
寒卵コトリと父のいない朝
夏草はむ
寒たまご大縄跳を走り抜く
にわのこでまり
八十億みな飯は食ふ寒卵
番人
寒卵割る喧騒は埠頭より
門田なぎさ@金カル
寒卵触れる寮母の手のゆたか
芦幸
病棟へ藁苞さげて寒卵
やっせん坊 池上
寒卵この世に落ちて乾きけり
彼方ひらく
ジェラシーのタンゴ流るる寒卵
狩谷わぐう
再開の日記五日目寒卵
安溶二
湯治場のざるにこんもり寒卵
はまゆう
寒卵明日こそノーと言ってみる
沖原イヲ
寒卵涙袋の佳きフラウ
高尾里甫
三十年遅れの青春寒卵
ふくろう悠々
寒卵いただきますといふ祈り
露草うづら
じいちゃんのラヂオ体操寒卵
つづきののんき
合否待つ真白な朝へ寒卵
栗田すずさん
寒卵みっけ世界の中心で
へなけん
凶弾の記事にくるまれ寒卵
たま走哉
寒卵そろそろ目立つ喉仏
松田てぃ
段ボール手紙の下に寒卵
ろひさま
寒卵神も仏もみな無口
荒一葉
寒卵帰京の朝の静かなる
澄海まさと
千歳の鼓に呑むや寒卵
あるべきようは
抓むより握れば重し寒卵
落句言
考えは煮詰まった寒卵パンッ
阿部八富利
寒卵銅板鍍金のやうな面
夏目十貫
赤ペンやこれはわたしの寒卵
澤田捨楽
白昼の月細くあり寒卵
愛柑
からからのホテル朝餉に寒卵
鳥羽ししまる
好日やはるると割るる寒卵
まるちゃんにいさん
いきものは生存機械寒卵
栞虫かじり
寒卵翼の生えた子供たち
夢雨似夜
寒卵じゆつと花咲くフライパン
中 兎波
寒卵を二〇個買つて恋した日
きゅうもん@木の芽
覆りやすき世歩む寒卵
詠頃
寒卵無聊を託つ父の背や
哲庵
厨房に大量に着く寒卵
美年
寒卵飲干し上腕二頭筋
陽光
飛蚊症溶けない寒卵混ぜても
ぜのふるうと
寒卵薬師如来の左手に
黒澤墨青
ばあちやんはカラザも使ふ寒卵
西野誓光
寒卵力の色の朝ごはん
駒爺
子規の膳二つ添えられ寒卵
塩風しーたん
子も蛇もどこか膨らみ寒卵
夢実
理由ありてしづくのかたち寒卵
市橋正俊
寒卵夜は術後の水晶体
吉野川
寒卵強気に生きる選択肢
木村隆夫
寒卵朝の鶏舎に湯気の立つ
おかだ卯月
寒卵割りて全き世界地図
うみのすな
その黄身は春の色なり寒卵
西村小市
寒卵めしを肉厚な滑落
中島 真珠
書き終えた昂りに割る寒卵
瀬尾白果
発令の夜ちくわぶと寒卵
不二自然
寒卵どの店もまだ支度中
快晴ノセカイ
トーキョーハソウユウトコロ寒卵
清水 三雲
対話型指導へと舵寒卵
孔明
清貧の今は昔や寒卵
洒落神戸
牧場の草に置きたる寒卵
はたのせんせい
PCR検査前夜の寒卵
粋田化石
寒たまご東天に明けの明星
どいつ薔芭
叡山の不滅燈明寒卵
よぶこどり
青空の光に匂ふ寒卵
ぎんやんま
どんぶりに蕎麦押しのけて寒卵
釜眞手打ち蕎麦
無愛想な叔父の手土産寒卵
恋瀬川三緒
少年期終はる寒卵のあぶく
登りびと
納豆を撹きて百回寒卵
中鉢矢的
つるつるの初孫重し寒卵
ちびつぶぶどう
マリアにと革の袋に寒卵
鯛 風
寒卵進路指導は長引いて
千代 之人
けふを生くためのこの詩と寒卵
立部笑子
寒卵まるつと飲みて始発乗る
reion
寒卵食することは祈ること
青木りんどう
寒卵坂の下には湊町
小川野棕櫚
寒卵一個で二杯の飯を食う
壱太
金春色透くあすなろの寒卵
青居 舞
昼月の引力浴びる寒卵
ふくじん
寒卵縫い目正しい手術痕
城内幸江
なだらかな金星丘へ寒卵
砂楽梨
二つ割れば違ふ手応へ寒卵
中根由起子
寒卵啜りくゎくしゃく吉田寺
吟 梵
一万の気孔の呼吸寒卵
水無月
寒卵さみしき人は太るらし
うに子
献身へおせんころがし寒卵
千葉信子
寒卵泡立つBarの深夜二時
ジン・ケンジ
鶏糞の尖る山並み寒卵
てまり
寒卵かざす婆の手籾の殻
平野水麦
太陽が寝ぽうしている寒卵
絵夢衷子
ほの温き満願の日の寒卵
青野遊飛@蚊帳のなか
いわれればかしこそうなり寒卵
花屋英利
定年の日の定食の寒卵
秋月
痩身に朝日のしむや寒卵
歩く鳥
攻略の一手深夜の寒卵
猫ふぐ
寒卵を割るやMー1グランプリ
博さん
一病と生きていきます寒卵
岡山小鞠
人生に余白ありけり寒卵
土谷海郷
寒卵のケースは正十二面体
藤咲大地
寒卵持たせてみたき麗子の手
ま猿
吾子の掌の熱さの残る寒卵
西田武
子規も飲み蛇笏も飲みし寒卵
泰山
寒卵ぷるるん飯のくぼみに点く
はんばぁぐ
五十円高く売られて寒卵
伊藤てまり
早暁の車内の黙や寒卵
そめやまさみ
吾はひとり友らもひとり寒卵
月岡方円
寒卵来たり土鍋へ米二合
みつれしづく
寒卵膜を鼓動が震わせて
みのる
手の中に眠りたるかな寒卵
キッカワテツヤ
からうじて薬要らずや寒卵
上村 風知草
寒卵泣く子いねかと太い声
おこそとの
寒卵の黄身の弾力みずみずし
はっしー
寒卵医者にも治せない病
そうり
ばあちやんの笑顔はしづか寒卵
きのえのき
寒卵割れば生まるる小さな死
五十 理化
惚けたふりしてゐる母の寒卵
檜鼻ことは
寒卵二十四円の重みあり
八十六九
朝日匂ふ真四角の卓寒卵
ほしの有紀
妾腹ひとりにひとつ寒卵
西田月旦
長寿とはときにかなしき寒卵
林石爽子
寒卵溶いておかゆへ描く○
西村柚紀
ざらとする夫の手に似て寒卵
葉月けゐ
竹笊の左手ずしり寒卵
ユ綺
星占ひ見つゝ食ひをり寒卵
かりかり久助
空青し産みて虚しき寒卵
大阪駿馬
立ち食いのかき揚げそばの寒卵
たかはし千百
水道管ピシッ寒卵が固い
山口鵙
寒卵割れば失せゆく肩の凝
愛燦燦
丸薬の減り寒卵溶く夕餉
音羽凜
今二ヶ月と言い出せぬ寒卵
あやっぺ
寒卵肥後のくにから来たる人
いしざわきさらぎ
寒卵カーフレイズは二百回
富佐野ほろよい
生きよ君君の前には寒卵
ゴー俳句翁
五メートルリハビリ進む寒卵
しんしん
羽根こびり付いて寒卵の紅し
古瀬まさあき
痩せし掌の握りて温し寒卵
野瀬藻石子
震央と震源の距離寒卵
悪七兵衛
子を諫む母の眦寒卵
石浜西夏
関取と山盛り飯と寒卵
竹春エリザベス
寒卵身に覚えなき請求書
辻野 花
寒卵ペースメーカーの右胸
木ぼこやしき
寒卵考の年まであと五年
荒磯魚々
今日の肌着なく昨日は寒卵
宮康平
寒卵如何ばかりかは存えむ
ひぐちいちおう(一応)
寒卵「やればできる子」やめる朝
パンの木
寒卵重し不妊はどちらのせゐ
倉木はじめ
自家製のたまり三滴寒卵
ひだ岩魚
長男は別格の土地寒卵
ほしのあお
真っ白なスケッチブック寒卵
いなほせどり
寒卵雨の匂ひの銀座裏
さいたま水夢
寒卵あした来ることうたがはづ
幸田柝の音
寒卵朝日差したる食堂車
陽花天
身支度の夜明けは遠く寒卵
麻生四里
特別の日の白粥の寒玉子
アントワネット@ノエル
朝稽古終えて茶碗へ寒卵
きなこもち
我が身から生まれし女の子寒卵
瀬戸ティーダ
幸いなる慈雨の調べよ寒卵
ともかわすてむ
寒卵ひと言だけの置手紙
えりべり
寒卵バクダン低気圧過ぎて
北野きのこ
寒卵あったかマフィンと珈琲と
古都 鈴
竹行李の籾殻深し寒卵
雨霧彦@木ノ芽
寒卵しみづ汲むごと掌に
クロまま
倒れてゐたいときもあるわよ寒卵
あまぶー
寒卵ずっしり貯金箱みっしり
空豆魚
退院日近し寒卵を買いに
瀬央ありさ
薄紙を剝がして宝珠寒卵
佐藤 位相朗
寒卵一人で生きていいですか
細木さちこ
大吉をぐいと引きたり寒卵
乃筈三拍
紀の川の寒卵呑む母ありや
やどかり
寒卵富士のくぼみは何個分
山本 マユミ
預言者のまなこ濁るや寒卵
内藤羊皐
寒卵まかないさんの京訛り
木野桂樹
鶏鳴や海より日出て寒卵
ハチ太郎
中卒の創業者の眼寒卵
武者小路敬妙洒脱篤
くす玉を作るお仕事寒卵
はぐれ杤餅
寒卵割つて発光するすき家
坐花酔月
寒卵自宅療養九日目
白薔薇
寒卵あのねえちやんが認知症
小池令香
寒卵十年日記の最終日
くさ
寒卵に愚妻の愚痴を奉り
ちゃるこ
寒卵残りし殻の置き所
新城典午
働ける日々の明るし寒卵
川越羽流
銀匙で打つ罅の殻寒卵
ペトロア
寒卵割って息吸う朝餉かな
吉川花ほっぺ
寒卵ゴクリ階段三つ飛ばし
佐藤烏有
ラテ欄の祝ふ縦読み寒卵
ちょうさん
母剥ける陣痛の夜の寒卵
神山やすこ
三度目の職に挑戦寒卵
萱原綾川
メモ紙に寒卵クエスチョン付
黒蜜かりんとう
球根と同じ成分寒卵
千歳みち乃
くくくひと米寿の喉を寒卵
でんでん琴女
寒たまご山家湯宿のおもてなし
川島欣也
寒卵位牌の中の嶽の文字
星埜黴円
割る音もひびく朝なり寒卵
大久保加州
寒卵握力計は1.5
葉月庵郁斗
愛といふ小言寒玉子かしやかしや
花南天anne
寒卵割りていよいよ婿にいる
ゐるす
寒卵足下にさらす黄身と殻
宮川武久
寒卵今日のため息はきれい
公木正
二十一グラムより重い寒卵
大熊猫@四句八句
土間にある暗き机や寒卵
犬井山羊
いい国と暗記せし日の寒卵
黒蜜きな子
炎揺れ窯焚く夫に寒卵
せいしゅう
寒卵光あまりにやはらかし
風慈音
寒卵終日誰もゐない卓
石上あまね
労咳の父だけありし寒卵
桃香
寒卵ぐりとぐらならこのサイズ
濃紫えみ
老害を諫め朝げの寒卵
山くじら
弓を引く素足に袴寒卵
またね
寒卵ぬくし実験棟さむし
板柿せっか
寒玉子突っ張りを受く胸厚し
むじーじ
寒卵立てて清しさ少しなり
庭野環石
寒卵火宅の漢の喉仏
篠原雨子
昭和の男の目尻や寒卵
葉るみ
寒卵飲みラマーズのひいひいふ
河本かおり
寒卵陰極まりて陽となり
猫凡
夜明け前鶏舎の灯寒卵
那須のお漬物
旅先に鐘聞く朝餉寒卵
一港
寒卵すする余生のど真ん中
安井コスモス
寒卵性なき生にある光
青田葵
幾何学的な曲線よ寒卵
dragon
飲み干せば脈打つやうな寒卵
髙橋弓女
寒卵こつりと世界は広がれり
森 日美香
寒卵卵の部首はふしづくり
中島走吟
寛解の予後五十年寒卵
遠山比々き
やはらかく妻に見らるる寒卵
小木さん
寒卵眩しみ朝の古旅館
酔下弦
寒卵割って身軽にしてあげる
三井伽那
ライバルや寒卵いま爆ぜそうな
大西どもは
おくやみ欄見てから割りぬ寒卵
朱鷺9条
箸先をよける寒卵の気骨
広木登一
叶うなら子規に飲まさん寒卵
コケコッコー
寒卵白身にしょう油はじけをり
じょいふるとしちゃん
朝粥へ味噌ごま油寒卵
すずしろゆき
寒卵ふつくらとした金星丘
三月兎
麻痺残る手に寒卵の重力
加藤栗庵
信条は大器晩成寒卵
高田杏
霊園の帰り無人機寒卵
鳳凰美蓮
三年も消えぬ痘痕よ寒卵
原神 かたな
二度寡婦となりし祖母の手寒卵
由づる
出社拒否しそうな朝の寒卵
ぐりえぶらん
寒卵ガンマナイフの入る朝に
椋本望生
牛小屋に牛声太し寒卵
茫々
こけし彫る一人親方寒卵
さとう夢虫
全きは赤子や立つる寒卵
ららら句らら
帰ってくれ泣ぐ子はいねえ寒卵
在在空空
結願や懇ろに積む寒卵
at花結い
水天宮寒卵丼待つ妊婦
美津うつわ
寒卵付けて朝日の牛丼屋
和季
寒卵の慈味人間の悪巧み
河野灰土
一段と厳しき戦地寒卵
糺ノ森柊
嬰のふぐりやはらか寒卵
満る
未来いつものっぺらぼうや寒卵
稗田鈴二郎
教会のバザー盛況寒卵
津々うらら
大漁旗掲げてふるさと寒卵
卯月紫乃
コロンブスは方向音痴寒卵
横山雑煮
寒卵や満期案内メール来る
ほうじ茶
寒卵つややか母の手ひややか
夏立也
寒卵明日は職場へ復帰せむ
日向こるり
姪つ子のくるぶし寒卵つるり
安達りんだう
さあ今日はマンモグラフィー寒卵
くみくまマフラー
難聴の吾にコツンと寒卵
夏の町子
四阿に坐禅のをのこ寒卵
達坊
寒卵割り鈍色の朝明ける
殿さまペンギン
一番は駅伝部員へ寒卵
まぐのりあ@蚊帳のなか
十月目のわが足みえぬ寒卵
河合郁
寒卵いくさ忘ると祖父がわる
天東あさじ
贅沢は味方寒卵を三個
糸川ラッコ
特売は小玉十五個寒卵
鶴岡木の葉
けふ父はパナマあたりか寒卵
伊藤 柚良
麻黄湯ごっくん寒卵ぷるん
オキザリス
黎明や厨に明き寒卵
けーい〇
寒卵ラジオの君は弱音吐く
あーすススメ
寒たまご黄身は明かりをみごもりぬ
大津美
寒卵カッシーニの浪漫
いごぼうら
寒卵ゾンビ映画が見れません
クロチョイス
正論は受け付けません寒卵
大山和水
寒卵ずずず生涯未婚率
多喰身・デラックス
完徹の管理本部に寒卵
笑松
退院のきみ軽四に寒卵
池 閑茶
ふっくらと蚯蚓ゐる土寒卵
ひすい風香
完璧を演じて九年寒卵
橘鶫
民宿の親父並べる寒卵
はなぶさあきら
靴紐のぎゅっとアンカー寒卵
落人家楽人
自販機は売り切れ赤き寒卵
もりたきみ
太陽の呪文のかたち寒卵
本村なつみ
看取りてふ豊かな時間寒卵
野ばら
山越ゆる噴気ま黒き寒卵
吉田竹織
手術痕さする手で割る寒卵
梨西瓜
寒卵割りて層なすひかりかな
ほこ
寒卵微細な夢は正社員
望月朔
寒卵立てて売らるる薬師堂
大庭慈温
てのひらの上のようじん寒卵
独星
卵屋の木箱の寒卵うようよ
ざうこ
寒卵に内なる灯あり夜の厨
睦 陽花
左手は出世の相や寒卵
植木彩由
寒たまご子宮全摘して帰宅
むらぴ
寒卵住民コードめく日付け
小川都
寒卵レ点のごとく朝の月
朱契
病歴の身内どこまで寒卵
ももたもも
寒卵呑んでまじないかける朝
駒野繭
内職は五個で一円寒卵
小山晃
ヒマラヤの塩てっぺんに寒卵
柳絮
寒卵ぼくらはやる気満々です
のつり
優等生なんてレッテル寒卵
井原冴
寒卵爪半月の似る養子
る・こんと
昼起きて腓返って寒卵
森コリゴリ
寒卵鶏舎の雄の眼の険し
吉 や
納豆の糸美しき寒卵
藤永桂月
埋めらるる万の親鶏寒卵
野地垂木
寒卵空に羽ばたく大鳥居
天満
寒たまごおはようきれいきいろい死
銀紙
ほろほろと日暈零るる寒卵
永田千春
親の顔見てみたき寒卵かな
山本先生
自堕落な独り者なり寒卵
亀山酔田
合否待つ担任の朝寒卵
花和音
寒卵ひとつカーキの略帽へ
西川由野
土堤に沿ふ無人販売寒卵
いたまきし
数式が寝転んでいる寒卵
勘太郎
復興の年月手には寒卵
空木花風
白銀に明け方の月寒卵
石丸武
朝刊に吐息の沁みて寒卵
たつき
寒卵余生の地たる避難先
伊奈川富真乃
楽屋には脇役ばかり寒卵
瓦すずめ
寒卵これが光の重さかな
嶋村らぴ
変な子と裏で言ふ友寒卵
丸山隆子
入院時面会は不可寒玉子
長谷機械児
家族とは歪なうつわ寒卵
天陽ゆう
竜か火かどちらかになる寒卵
関津祐花
針箱に制服ボタン寒卵
月石 幸
闘病や体温計と寒卵
くにた
異常なしのエコー写真や寒卵
しかもり
仏壇へ上げてすぐ割る寒卵
原 水仙
助け合ふ集落三戸寒卵
せいち
寒卵眩し36.9℃
ぞんぬ
寒卵父は右手であいさつし
紅塩寝子
養鶏場の傍ら寒卵の売店
虎堂吟雅
寒卵混ぜて性的マジョリティ
伊予吟会 宵嵐
人の手が怖い恋しい寒卵
桃園ユキチ
籾殻より寒卵五個肥立ちにと
としなり
レイノーの白き手寒卵の丸み
どくだみ茶
津軽にぞ貝焼き味噌に寒卵
津軽わさお
透析のあさ白米と寒卵
スモールちもこ
子に生きる意味問われ割る寒卵
大紀直家
寒卵朝のラジオの名調子
かん かんし
冷え性の指に割られて寒卵
ゆみづき
寒卵割って今日より「高齢者」
苺井千恵
寒卵飯かっこんで配達へ
田畑 整
欠点はひとつもなくて寒卵
フージー
これよりはころがるばかり寒卵
主藤充子
転籍を済ませて二人寒卵
いなだはまち
舌が綺麗てふ褒め言葉寒卵
千田とまと
養鶏のほとぎつしりや寒卵
迫久鯨
寒卵啜りて傘寿床上げぞ
新濃 健
寒卵啜りて夜勤明けの医師
武田ラーラ
生命の影柔に延ぶ寒卵
ササキベル
耳鳴りの気づき無言の寒卵
美濃紫
毒舌は健在の父寒卵
戸部紅屑
稽古部屋に寒卵の殻堆き
和泉攷
うかうかと寒卵に血また生きる
妙
まだ眠る母へ朝餉の寒卵
清水明美
寒卵さんしちにじふいちたすに
斉藤百女
太陽の張力ぷるぷる寒卵
靫草子
避雷針突き刺す朝は寒卵
陽香
声掛けて一個いただく寒卵
三重丸
寒卵ひとつながらのこころばへ
北代晋一
寒卵過去問めくる指に塩
四季春茶子
駆け上がる百の階段寒卵
有田みかん
原発のカーボンフリー寒卵
正念亭若知古
寒卵生理の重き君へ割る
多々良海月
寒卵ころがる先に痩躯な手
すいーとぽてと
寒卵割りて開闢轟けり
ゆうすけ
寒卵無人直売販売所
まるかじり
太陽を粉砕するや寒卵
水鏡新
寒卵鶏冠の赤に黙礼す
吉田わさび
寒卵沁む外出自粛期間
北爪いく葉
坊の朝ヒマラヤ塩と寒卵
acari
ゲルニカのごとく罅入る寒卵
桜鯛みわ
ひかめける黄身のふもとや寒卵
仁和田永
コンクリに割れた寒卵の骸
紙威楓
夜明け前馬籠の宿の寒卵
津軽ちゃう
親指に漲る力寒卵
海峯企鵝
つやつやの離婚届と寒卵
ノセミコ
寒卵俺は癒しの要らぬ人
やまだ童子
陽のいろの水のプリズム寒卵
森海まのわ
箸黄身の膜に沈みて寒卵
鈴白菜実
寒卵朝陽を包む珠として
楽花生
旅にして硫黄の臭ふ寒卵
君島笑夢
寒卵煮れば事たる酒のあて
佐川碧
門前の太き訓戒寒卵
神谷たくみ
返礼へ今産みたての寒卵
さぶり
寒卵割れば白身の粘り立つ
比良山
生き足りて東雲色の寒卵
このみ杏仁
寒卵ユーラシアプレート微動
一ノ瀬汚芋
湯治場のにじむランプや寒卵
安春
単身やどん兵衛寒卵ひとつ
小川テル子
茹でたてのうどんに光寒卵
土佐藩俳句百姓豊哲
掌に鎮まる夜の寒卵
そめいゆ
のぼさんも好物でした寒卵
喜多輝女
寒卵理詰めだけでは生きられず
畑山六十二
雪国らし寒卵のただならぬ
木原トモ
寒卵退職の日にマルをつけ
ひいらぎ
自販機の無休寒卵の個室
28あずきち
テラコッタ色の寒卵剥く明日は模試
芍薬@独逸
一つづつ配られ寒卵の重み
亜桜みかり@金カル
骨透ける手や存へて寒卵
悠雨木 はな
寒卵や三十万文字誤字脱字
縁穐律
引力の形に生まれ寒卵
香依蒼
鬱病にひかりの兆し寒卵
ことまと
欲すべて失せにし祖父や寒玉子
夏雨ちや
払暁の月は苛らぐ寒卵
立山穂高
独り身を貫くも良し寒卵
中原柊ニ
病得て三日三晩の寒卵
増田 昴
亡き母の声と思へよ寒卵
立歩
寒卵ふたつあとは日にち薬
永想
うたごえの聞こえし朝や寒卵
あらら
寒卵の中は吹雪と誰ぞ知る
大塚迷路
寒卵湯治の父の宿宛てに
くぅ
日光のにほひふくよか寒卵
播磨陽子
落ちてこぬ雲へはふつた寒卵
渋谷晶
僕の流儀一日六個寒卵
藤鷹圓哉
寒卵風の子だった頃の癖
おんちゃん。
寒卵かつん働きだす厨
佐藤儒艮
寒卵遺伝子書換完了す
真喜王
岩塩に岩塩透ける寒卵
元野おぺら
寒卵割って空気を吸わす朝
樹魔瑠
肥後守光る懐中の寒卵
堀ゆうき
寒卵いのちの裏側は無骨
ミセス.アラン
寒卵振れば浮力の不意にあらん
白プロキオン
寒卵小暗き厨明るうす
Kかれん
アントニオ猪木の元気寒卵
亀田荒太
寒卵平均余命など知らぬ
明後日めぐみ
寒卵包む福島民友二面
閑々鶏
聳え立つこころ一つの寒卵
羽沖
寒卵いただきますの掌
吽田のう
泥んこの長靴寒卵提げ来
竹田むべ
初めてのひよこクラブや寒卵
水越千里
次男坊なまで飲み込む寒卵
アリマノミコ
寒卵活字が踊る市況欄
石川順天
寒卵まずは稲荷へ供へけり
石塚碧葉
寒卵呑んで佳き日のまた増えて
藤白月
電飾と炊き出しの街寒たまご
まー坊
骨壺に返す入れ歯や寒卵
水須ぽっぽ
寒卵割る指先の割れてゐる
唯果
二つまでよし学食の寒卵
あさのとびら
太陽のかけらもらひて寒卵
はごろも856
一月十七日寒卵喰らふ
栗の坊楚材
歯並びのきれいな娼婦寒卵
るびちゅ
嘱託の夫に食わせる寒卵
山尾政弘
この村に生きると決めて寒卵
戸口のふっこ
折り紙の恐竜赤し寒卵
小だいふく
湯治場のタイルの流し寒卵
平としまる
二人とは一人と一人寒卵
井上れんげ
新しき書店十坪寒卵
くま鶉
ゴムで釣る笊の銭入れ寒卵
井上几兆
下請けは今日も怒鳴られ寒卵
コーヒー博士
発熱や独り暮らしの寒玉子
ゴーマ
寒卵五百万羽の殺処分
三重野とりとり
二つめの老眼鏡や寒卵
駒村タクト
隔離部屋にはボサノヴァと寒卵
空想婆
鼻歌や白梅色の寒卵
真子井こはく
身に巣くふ鬼を鎮めし寒卵
谷川ふみ
哲学に長けた貌する寒卵
空木眠兎
かろんかろんと鍋へ沈める寒卵
碧西里
寒卵届くヘルメット一杯に
熊の谷のまさる@いつき組俳句迷子の会
浮き沈み愉しむ釜の寒卵
豊島月舟斎
シャガールの雄鶏歌ふ寒卵
熊谷 温古
寒卵ふいに粟立つ胎動よ
望月とおん
寒卵透かしてみれば光る海
桂葉子
作業着は青寒卵剥きがたし
牧野冴
潮水で米研ぐ漁師寒卵
老人日記
てのひらにぬくもりほろろ寒卵
万里の森
大とろのごとく溶くるや寒卵
⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
藁苞の曲線美しき寒卵
六地蔵と狛犬
和平案拒否寒卵腐りさう
亘航希
雲もなき今朝の虚空や寒卵
奧元信行
寒卵父が秀才だつた町
梵庸子
寒卵割れてひかりのやうに影
眩む凡
死は人の完成形よ寒卵
Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
両の手の子宮の形寒卵
GONZA
寒卵ゆるりと老いて気ままなり
おぼろ月
寒卵妊婦の眠き散歩かな
かつたろー。
寒卵山に重なる山の影
KII
懐かしき納屋のほこりや寒卵
M・李子
子の唄の日々に新し寒卵
きみどり
結局は一人になって寒卵
Nakahara結月
一行の職歴永し寒卵
さかえ八八六
あの雲は再結晶か寒卵
さくさく作物
掌に獣のけはひ寒卵
あおのめ
寒卵飲んで吐息に獣の香
あずお玲子
羊水は陽だまり色に寒卵
さくやこのはな
合格の御守り五つ寒卵
さくら悠日
寒卵持つ手に皺の跳梁し
あずさ ゆみ
寒卵初めての唇はいつも
さとマル
研究のテーマは「あなた」寒卵
あつちやん
寒卵駅の直売販売機
しみずこころ
寒卵一つ鶏舎のまだ暗し
あなうさぎ
寒卵産み落とされし陽の幾つ
シュリ
つまらなき猫のニュースや寒卵
あらい
循環のひかりの層や寒卵
あるる
量り売るどろぼう市の寒卵
すがりとおる
寒卵海に天使の梯子立つ
いこん
いち日を生きる練習寒卵
うからうから
寒卵くわんくわんと目眩止む
だいやま
真一文字に銜へし絵筆寒卵
ウロ
寒卵白湯には白湯のにほひあり
たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
寒卵余命にあらず与命なり
えりいも
割り見ればこれぞ正しく寒卵
たまのねこ
寒卵掌に泣くわれは喪失期
タリタ クミ
寒卵いま太陽の軌道上
ちゃうりん
父の家の遺稿縛れり寒卵
おかげでさんぽ
疝痛の馬房の白む寒卵
杏是りゐ菜
寒卵御空の父へ腹八分
てるきち
うす青に明けゆく浅間山(あさま)寒卵
杏乃みずな
雌鶏の滾る鳴きごゑ寒卵
トウ甘藻
術中の献血父へ寒卵
伊沢華純
震災の授業の夜の寒卵
とまや
朝刊のトップは辞職寒卵
一井蝸牛
初老の繰り言ぷるんと寒卵
一走人
初めての胎動ぬらり寒卵
とんぶりっこ
はてしなきりんねのかたちかんたまご
稲畑とりこ
金毘羅や饂飩に金の寒卵
とんぼ
戦ない国に生まれて寒卵
芋 二郎
寒卵明日返事をする前に
羽織茶屋
不器用が好きと言われて寒卵
ななかまど
寒卵みどりごの髪ふあふあと
雨野 理多
寒卵暴れん坊は好かれがち
ねむり猫
いつからがどこからが死か寒卵
浦野紗知
安らひて目覚めし朝や寒卵
円路
久遠墓に決めし友あり寒卵
岡井風紋
初恋は遺影の人です寒卵
ぱぷりかまめ
遺句集に添へて有りけり寒卵
岡田雅喜
3.5人の朝を迎へる寒卵
ふじかつたび
寒卵百回超えた二重跳び
加賀くちこ
親である痛さ寒卵があまい
加座みつほ
青空の硬さを割りぬ寒卵
ふじこ
炊きたてにたてまつらむや寒卵
夏湖乃
黄身二つ大師の加護の寒卵
夏目タンチャン
寒卵捨てて阿修羅の人となる
河村静葩
ばらばらの生の形や寒たまご
ふのんへん宗悟
寒卵レギュラー落ちの兄の朝
海老名吟
寒卵余命三月の胃が欲す
灰田兵庫
偏屈の謝罪や今朝の寒卵
ぼたにこ
脳みそにたくさんの歌寒卵
ぽにゃんぽにゃん
寒卵ゆでる耳の縁がかゆい
まあぶる
二十年まへはよそもの寒卵
まんぷく
寒卵割れるか脳は詩を生むか
もりさわ
裏木戸の見舞いはだかの寒卵
ゆうじい
割り出でてなほ頑なに寒卵
ゆきなごむ
泡立てる手の筋重し寒卵
ゆすらご
寒たまご防疫服を脱げど闇
ろまねす子
寒卵あさざの父の纏う湯気
灰頭徨鴉
寒卵夫再燃のブルワーカー
渥美こぶこ
寒卵食らうや推しの誕生日
角野角子
修行終え飯一膳の寒卵
安藝 卯月
みどり児の拳に力寒卵
笠山静香
帰漁待つスープに落とす寒卵
叶田屋
寒卵まずはスノーダンプの朝
看做
背開きの音や未明の寒卵
剣翔寺亜太琉
満月の朝寝坊割れた寒卵
岩崎京美
五冊目の十年旅券寒卵
謙久
ざらつける地平に遺蹟寒卵
原 紀
獨逸捕虜絵日記古書と寒卵
亀の
寒卵せかいはどうせうつくしい
古賀
禍の過ぎて明るき寒卵
戸井島はな
心臓は長持ちだつて寒卵
虎八花乙
ガンバレと油性マジック寒卵
吉川拓真
寒卵飲めば増えてゐる残機
久保田A
寒卵三輪明神に願をかけ
後藤三梅
寒卵割って満期の話なぞ
久留里61
地球にも痣のありけり寒卵
光峯霏々
寒卵寺内医院は休診日
宮間ミヤマ
黙破る一人の朝の寒卵
向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
老いて尚かき込む飯や寒卵
宏楽
また星の弾けるニュース寒卵
工藤雨読
右耳にタバコ両手に寒卵
宮坂暢介
火星人は敵が味方か寒卵
幸久
寒卵腹を内より蹴る強さ
宮武濱女
よく噛んでよく笑ふ子や寒卵
幸田梓弓
寒卵割るや終末時計0時
広瀬 康
寒卵チラシの箱に溢れたり
居並小
憂鬱と寒卵とを丸飲みす
江良 中
喉といふ脆きをするり寒卵
京野さち
ホスピスに届く寒卵はきれい
綱川羽音
寒卵を割るなけなしの贅沢よ
玉響海月
母の風呂ひと月ぶりや寒卵
荒井まき子
鼻歌の児へ甘くして寒卵
香羊
小岩井の朝日きんいろ寒卵
月見柑
寒卵啜れば身体髪膚活
香壺
両掌ほどの心臓寒卵
高橋寅次
寒卵配る光をしぼるかに
山城道霞
寒卵一つは妣に供へたり
高木音弥
寒卵放つて殻はあつけらかん
黒子
ユニセフのポスター寒卵重し
山川真誠
合宿の朝餉楽しや寒卵
佐藤レアレア
寒卵五百野球部合宿所
佐藤茂之
ふくませる乳のあをすぢ寒卵
山田不律
寒卵早朝のかげ揺らしおり
山田蚯蚓
染付の青海波へと寒卵
佐野明世
殻よりの開放みづき寒卵
山本たか祥
寒卵割れば星座の光る音
斎藤さんけん
寒卵Jアラートの響く朝
山本蓮子
喪中ハガキの軽きこと寒卵
菜々の花畑
あの不便この不便善し寒卵
始の子
天平の鴟尾金色の寒卵
桜井教人@金カル
ハングルの成り立ち重く寒卵
桜月夜
寒卵はガベルだ夜をコンとひらく
笹野夕
寒卵をランプと思うまで睡る
酒井おかわり
たましひと思へば小さし寒卵
錆田水遊
接線は衛星軌道寒卵
三水低オサム
寒卵の味は戦前の昭和
宗平圭司
前向けば風は気弱に寒卵
山口朝子
真空のはじまり何処寒卵
山香ばし
書き終えた遺書より重き寒卵
秋野茜
完璧をこの手に寒卵百円
真井とうか
避難所に一つ残りし寒卵
秋野木吾
パトカーに敬礼をして寒卵
舟御前@ノエル
寒卵給食室のエアダクト
人宙人
寒卵割れば自立は自ずから
春海のたり
陰性後はこんこん寒卵の日々
仁山かえる
赤紙の朝生まれたる寒卵
水蜜桃
寒卵下ノ畑ニ居リマスよ
春風流士
ざらざらと心ある夜や寒卵
水木合歓
寒卵包む新聞崩御の字
諸塚凡志
母として母子手帳記す寒卵
菅井香永
祖父は二食や味噌汁へ寒卵
小笹いのり
臍の緒の繋ぐ明日や寒卵
清白真冬
戴帽式廃止寒卵飲む
小川さゆみ
総画は大吉寒卵の円ら
西村青夏@金カル
鎮魂の鐘早朝の寒卵
小川めぐる
寒卵見慣れた筈の祖母の文字
西町花冠
点滴の父のこぶしや寒卵
西野桃果
請願は握り潰され寒卵
小川若葉
寒たまご卵子凍結三回目
小倉あんこ
黙想の子の背いろいろ寒卵
青に桃々@いつき組俳句迷子の会
寒たまご有精無精問うてみる
尚茶
時計巻く祖父とわたしと寒卵
青井えのこ
血脈に受けし明るき寒卵
青田奈央
不整脈ぽくんぽくん寒卵ぽくん
石岡女依
あはれ掌にまろきひかりの寒卵
石塚彩楓
寒卵二ケあぶく銭にありつく
赤馬福助
新聞の見出し黒々寒卵
赤尾てるぐ
寒卵生き物係の小さき手に
雪井苑生
寒卵補助券ゆずる最終日
松山茜柑
寒卵食む出走のファンファーレ
雪音
角の無き影にもたれり寒卵
松山松男
ぴかちゅうという名の鶏の寒卵
千暁
もうどこも痛くない朝寒卵
松本俊彦
願かけに一日二つ寒卵
沼宮内 かほる
寒卵生まれぬことは選べない
上市まさ
こちこちの心を割って寒卵
千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
退院や吾の碗吾の箸寒卵
常磐はぜ
哺乳瓶ぽつん寒卵ころん
新右衛門
寒卵沈めば朝を透過させ
千葉羅点
寒卵堅し一生反抗期
新蕎麦句会・凪太
一つずつ祈りて包む寒卵
川端こうせゐ
死ぬまでは一緒の誓い寒卵
森 佳月
寒卵やる気スイッチ押してくれ
森無田
地を削るやうな朝日や寒卵
染井つぐみ
かはたれの暗さに触る寒卵
森爺
養育費未納七割寒卵
森脩平
掌に星の重力寒卵
前田麺
復職の月曜へ溶く寒卵
深山むらさき
寒卵藤田まことのドラマ見る
丹波らる
検診の成績Aに寒卵
全速
母思う心のような寒卵
炭酸泡水
転居して膝を正して寒卵
足立智美
寒卵載せて青磁の小宇宙
地球人
寒卵小銭を数へ買ふ暮らし
中岡秀次
老農の強き手のうち寒卵
村岡花風
ドヤ街に爺様の朝や寒卵
中田二俊
寒卵超弦理論の紐を解く
村上優貴
寒卵たんぽぽいろの朝になる
村瀬っち
幾重にも光の渦や寒卵
朝ぼらけ
特別の日の父といただく寒卵
多可木@ノエル
寒卵その重さ持て皿に清む
対馬清波
味噌汁の寒卵ちゆるつと吸ひぬ
帯壱
寒卵溶く腹の子のぽこと動く
朝月沙都子
神棚の受験票下ぐ寒卵
大小田忍
臍の緒を経由してをり寒卵
鳥羽南良
お互いに宜しく愚痴る寒卵
沢拓庵
湯治宿地獄に吊るす寒卵
谷口詠美
クレーン車の雨中の検査寒卵
鳥不驚
生臭き匂ひも全て寒卵
谷町百合乃
籠に盛れば音符のような寒卵
直美YC
父の朝二ついつもの寒卵
哲山(山田 哲也)
母国語の通じる母国寒卵
木佐 優士
明日絞める軍鶏の足あと寒卵
天風月日
まづは今日なすべきことを寒卵
木寺 仙游
真実は常にひとつか寒卵
田村利平
寒卵抗ひてなる溶き卵
木染湧水
餌やりは子供の仕事寒卵
田中ようちゃん
寒卵今日のラッキーカラーは黄
木村となえーる
丁寧な暮らしの開始寒卵
田辺ふみ
吾が腹に力や入れる寒卵
野中泰風
寒卵子ども食堂守る子ら
野々原ラピ
寒卵悔いる言葉に音は無し
斗三木童
遠征の朝を寒卵の二つ
柚木みゆき
父さんの居なくなった日寒卵
登盛満
逝く時は匙置くやうに寒卵
遊羽女
寒卵さらりと割つて今日を生く
与志魚
寒卵ひかりをにぎるごと握る
島田あんず
差し入れの太宰の本と寒卵
誉茂子@野の花
ひよこより5g重い寒卵
藤 雪陽
二人目の子の宿るらし寒卵
瞳子
手に盛りし朝の光と寒卵
羊似妃
寒卵の黄色解熱の空の青
葉月ことり
寒卵光りて菩薩の手に宿る
葉子@金カル
己が影に揺れて収まる寒卵
葉村直
少年がクレヨンで描く寒卵
入口弘徳
婦人部の副会長の寒卵
巴里乃嬬
ぶつけたら戦争やむか寒卵
遥風
寒卵エイドリアンと叫べ俺
梅鶏
生物の定義はいのち寒卵
陽乃姫
東京と同じ温度の寒卵
里山子
寒卵母は我慢を笊に盛る
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
免疫のドキュメンタリー寒卵
八尾の正吉
ぶりゆりんと白身はなるる寒卵
飯村祐知子
臥す人の縁先に置く寒卵
留野ばあば
つかのまの独身謳歌し寒卵
尾木三十一
鶏小屋の固き鍵穴寒卵
美音
賞罰なしと履歴書に記す寒卵
竜胆
夜伽明け父とふたりの寒卵
鈴野蒼爽
点滴の朝寒卵真っ二つ
蓮花麻耶
給食の寒卵分け妹にやる
綺楽よしじ
悉く神の曲線寒卵
菫久
辞世句のアンソロジーか寒卵
蓼蟲
寒卵割りて満月空に星
美月 舞桜
モイライに長さ乞うより寒卵
美乎梛
寒卵を一個贖ふガード下
美対かず
18分沈む外湯に寒卵
姫川ひすい
食い初めの赤子泣きやむ寒卵
百瀬はな
寒卵一つで俺は放火した
浜友輔
寒卵どるりと殻を出でにけり
武井かま猫
渾身の赤子の拳固寒卵
伏見丹耶
三年目単身赴任寒卵
福田かな子
おつかひは隣の部落寒卵
文月あつみ
妊活のサプリ寒卵のカラザ
平良嘉列乙
寒卵近ぢか選挙あるらしく
慢鱚
寒卵割る重力は恍惚なるか
満嶋ハト
寒卵声聞くほどに淋しき夜
岬ぷるうと
寒卵盗み取る手の甲に傷
妄児
恵みとはこの空色の寒卵
有野 安津
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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