【佳作】
人生は百年となり寒卵
まめばと
柔道もう辞めたい寒卵は五個目
ふるてい
おかんからからカラザのデカい寒卵
柿司
八連勤ほの青白き寒卵
山羊座の千賀子
てのひらは丘で寒卵は月で
横縞
寒卵てのひらに診る母の息
げばげば
いち日のすべては作務や寒卵
山田蹴人
太陽の輪郭青し寒卵
sol
寒卵飲みてオカンはサイヤ人
奈良の真
寒卵の殻そこはかとなく悧発
ツナ好
寒卵左右対称にて強し
花伝
ハモニカの眠りは浅し寒卵
三群梛乃
自伝には卑下寒卵には何も
大黒とむとむ
寒卵食ふや十連勤の初夜
いくたドロップ
チェーホフを読む間小鍋に寒卵
さとうナッツ
倹しき夜に詩を寒卵に塩を
長谷川水素
寒卵かつん蕎麦湯のよき濁り
ありあり
眦になみだ寒卵に黒血
亀田かつおぶし
薬指の爪に星あり寒卵
ふもふも
肥厚せる爪に縦じわ寒卵
今野淳風
寒卵呑んで組合交渉へ
谷山みつこ
溌溂と空へ朝来ぬ寒卵
うた 歌妙
寒卵食うて鼓膜を明るうす
ぐ
寒卵ひかり受け容れきれず罅
ギル
寒たまご優等生はくたびれる
にゃん
轟かすやうに割りたる寒卵
髙田祥聖
寒卵採る手を母の啄きけり
剛海
生きる理由あります寒卵の隆起
あいだほ
寒卵勇気百倍欲しい朝
上村茶娘
寒卵カラザは力強そうに
コンフィ
朝めしに正義ありけり寒卵
黒麹 糀
触れ合へばさらに淋しき寒卵
アロイジオ
重心の歪は叡智寒卵
世良日守
鶏小屋は野原の匂ひ寒卵
樫の木
寒卵美し遺言に見知らぬ名
八神てんきゅう
寒卵性別は回答しない
澤村DAZZA
寒卵すする安全靴しめる
トポル
白飯に埋まるものかと寒卵
もぐ
空欄を埋めてラ王に寒卵
あみま
寒卵わってひかめく再就職
一斤染乃
富士山は休火山です寒卵
すりいぴい
修論の千文字足りぬ寒卵
Early Bird
寒卵割れど仕事は見つからず
久保田凡
寒卵割って太郎のような黄身
火炎幸彦
井戸水清ら寒卵洗ふとき
直
タラちゃんの無邪気は怖し寒卵
理酔
見慣れたる子規の横顔寒卵
クラウド坂の上
箸先を塩許々袁々呂々邇寒卵
ひでやん
寒卵割るや原発再稼働
富山湾
寒卵客は佐渡より来しと言ふ
堀口 房水
菜箸のもんどり追うて寒卵
そまり
寒卵割る手は無限大のかたち
Vn 花のん
落人の宿神棚に寒卵
小豆白虎
寒卵割つた仏頂面だつた
丁鼻トゥエルブ
寒卵いまだ愉快に尖りたく
冬のおこじょ
寒卵吸うて臍の緒どくんどくん
じゃすみん
寒卵割っで本日吉と出る
夏椿咲く
低めから割り入れて愛づ寒卵
百瀬一兎
寒卵女工哀史の山遙か
祐
寒卵突いてその話は醶い
片岡六子
ゆううつを割ればあかるし寒卵
綾竹あんどれ
この腕は米研ぐ腕や寒卵
つまりの
光秀より叛意の書状寒卵
奧村幸二
寒卵読書かんそう文かけない
TAKO焼子
風呂なし物件がたつく机寒卵
磐田小
寒卵食らふ深夜の休憩室
Q&A
聞かずに逝くか寒卵割る音を
いかちゃん
寒卵溶く干渉はしないしない
えむさい
寒卵てふ人臭きまるみかな
ちゃあき
病室の太る折り鶴寒卵
つきのひと
寒卵ひかる昭和のストリップ
まこちふる
寒卵飲めば翼の生えるかに
みづちみわ
寒卵は考える卵である
めいおう星
寒卵うつすら尖る影きれい
絵十
しなやかに光の窪む寒卵
久森ぎんう
矮鶏の二こ地鶏の三こ寒卵
正岡丹ん
寒卵割る負ける気しかしない朝
霜田あゆ美
喉仏内から押すは寒卵
多事
消石灰撒くシフト表寒卵
杜まお実
停戦やナターシャが採る寒卵
渡辺桃蓮
賢妻のここち寒卵と呼べば
内田こと
寒卵ひとつ分だけ下がる熱
文月
次回の兼題も
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