俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2024年4月20日週の兼題

薄暑

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 置き廃るフィルムカメラの銀薄暑

    唯野音景楽

  • 定置網へ船の並べば薄暑光

    ほうちゃん

  • 宙吊りの薄暑の枝葉キリン食む

    じょいふるとしちゃん

  • 賽銭のカラカラ軽き音薄暑

    明々坊

  • 雲よ去れ薄暑の空を魔女はゆく

    佐藤 香珠

  • 知りたいの叔母が迫つて来る薄暑

    佐藤綉綉

  • 指先のイソジン匂ふ薄暑かな

    山口絢子

  • 難聴の進み顕著に街薄暑

    海猫

  • バス待ちの瞼陽を受け薄暑かな

    あおのめ

  • ドラマーを他校に募る薄暑かな

    さとけん

  • シトラスの香の名刺入れ薄暑かな

    佐川碧

  • 異人らの見る石庭や寺薄暑

    豊岡重翁

  • 薄暑光木陰に見える秘密基地

    小湊 八雲

  • わら帽子欲しがり自由なる薄暑

    須田爪黒

  • 父の背やバイクとろとろ夕薄暑

    馬場めばる

  • 夕薄暑父来てこごと言ひて去る

    風慈音

  • 忘却の影踏む友の夕薄暑

    桃姫

  • 母衣打ちの胸の眩しき薄暑かな

    野州てんまり

  • まだ見ぬ児かたりかけたる薄暑光

    竹村マイ(蚊帳のなか)

  • 湾をいで上ぐる船速薄暑光

    山野麓

  • 薄暑の校庭野球っ子の昼餉

    内田高雲

  • よよと酒呑んで薄暑の陀羅尼助

    椋本望生

  • 脹脛攣りつつ下山夕薄暑

    竜胆

  • 電話鳴り続く薄暑の診療所

    立川茜

  • シーグラス掲ぐゆびさき薄暑光

    海月のあさ

  • 雨上り烏の声の薄暑なる

    ヤヒロ

  • スーパーは改装中と知る薄暑

    恋瀬川三緒

  • 老僧の買ふ般若湯夕薄暑

    谷町百合乃

  • 抱っこの子靴がかたっぽ無い薄暑

    ふくろう悠々

  • 石積の角石探す薄暑かな

     蔵原 貢次郎

  • 包囲せよホシはハチ公前薄暑

    あさのとびら

  • よーじやの女の真顔あゝ薄暑

    赤尾双葉

  • ソーランの声だけ照らす薄暑光

    鳴海薫子

  • 三角に日の差す空地夕薄暑

    えりべり

  • ただのぼる道玄坂の夕薄暑

    露草うづら

  • カラオケとオン・ザ・ロックの夕薄暑

    よかわもりお

  • 夕薄暑本屋の奥の希少本

    檜鼻ことは

  • 街薄暑開けっ放しのホルモン屋

    でんでん琴女

  • 農の手や土塊に籠もれる薄暑

    反芻医 時光

  • 入り海に江戸の色落つ夕薄暑

    洋々

  • 語り部の被爆体験薄暑かな

    カバ先生

  • 托鉢の笠深くして薄暑かな

    ひすい風香

  • 駄菓子屋の白布まばゆき薄暑かな

    工藤悠久

  • 診断は休職力抜く薄暑

    作作

  • あんぱんをぐわしとかじる薄暑かな

    ねむり猫

  • 薄暑なり捨てらるる葉に桃の葉も

    石塚碧葉

  • 薄暑光肺腑の影の広ごりて

    岡山小鞠

  • 名を捨てて海に入りたる川薄暑

    村上優貴

  • 屋根裏に漏れて昭和の薄暑かな

    てるきち

  • 紺碧となりきれぬ海薄暑かな

    はごろも856

  • 日雇いを終えて薄暑の夜のベンチ

    Q&A

  • 薄暑はも数多の鯉のあぎとへり

    愛燦燦

  • プリン売る着ぐるみの猫街薄暑

    小池博美

  • 今朝吊るし夕餉に炙る薄暑かな

    西風 心鏡

  • 縁側に番付眺む夕薄暑

    玉響雷子

  • 雨に濡れ店へフランベてふ薄暑

    絵夢衷子

  • 陸橋の頂越えて薄暑かな

    五十嵐 三連単

  • しゆるしゆると鉋の磨く薄暑光

    はれまふよう

  • 腹の子はさかなのかたち夕薄暑

    日永田陽光

  • ニートにも薄暑に影はありにけり

    北里有李

  • 初恋のテニスコートにいた薄暑

    川口桃之助

  • 駅までは父と仔犬と薄暑光

    新井ハニワ

  • 薄暑の食フェス迷子の無表情

    田畑 整

  • ロープウェイ海はきらきら夕薄暑

    清水千種

  • 紙ストロー吸うて渋谷の夕薄暑

    内田こと

  • ペンギンの散歩薄暑の動物園

    中岡秀次

  • 蛙流る用水路の中の薄暑

    庄山正道

  • 薄暑なる青看板は空へ透く

    倉木葉いわう

  • フリスビー薄暑の臍へ着陸す

    宮坂暢介

  • 昼時の魚板の音や寺薄暑

    三休

  • ご当地マンホールの鮎跳ねるやう薄暑

    小笹いのり

  • 新た靴慣らす銀ぶら夕薄暑

    小林昇

  • 満杯のかご台車押す薄暑かな

    つちや郷里

  • 青空も雲も優しい薄暑かな

    砂月みれい

  • 一駅を歩く薄暑の可動域

    鳥羽南良

  • 地下街のスパイスカリー夕薄暑

    さおきち

  • みづおちは薄暑の影をはぐくみぬ

    百瀬一兎

  • 夜の風頬に記憶の薄暑かな

    江見陣暮

  • バス降りて薄暑に匂ふ土埃

    芍薬

  • グランドの狭き舞台の薄暑かな

    千原 十吾

  • 蒸すほどにうねる前髪薄暑かな

    上村茶娘

  • 図書室のごとカフェ通ふ薄暑かな

    奥田圭衣

  • 錠剤を摘む指にもある薄暑

    新山晶花

  • こもごもと跳ぬや薄暑のカンガルー

    清瀬朱磨

  • 聴診器少し貼りつく薄暑かな

    沼宮内 かほる

  • 骨ひらふ箸のふれあふ薄暑かな

    千葉信子

  • 首傾(かし)ぐ花一輪の薄暑かな

    小夏

  • ビル街を越ゆる飛行機薄暑光

    山崎 かよ

  • 取替し水に亀の背薄暑かな

    増田楽子

  • PayPayのなかなか鳴らぬ薄暑かな

    帝菜

  • 幽霊の出番そろそろ夕薄暑

    風の鳥

  • 山陽線耕作放棄地らの薄暑

    弘中しかもり

  • 薄暑来ぬバニラビーンズの点々

    絵十

  • 薄暑なり彼方に兄のトラクター

    ヒマラヤ杉

  • 議事堂は薄暑を纏っているようだ

    永田千春

  • 二度三度新硬貨弾かれ薄暑

    豆柴

  • 遠影のゆるむ薄暑の水晶体

    華胥醒子

  • 蛍光のビブスに孕む風薄暑

    佐野明世

  • 夕薄暑道草家庭訪問日

    植木彩由

  • イヤホンの紐絡み合ふ夕薄暑

    那須のお漬物

  • 川石の丸み眺めし薄暑の午

    田中みのる

  • 労働者野良で居眠る薄暑かな

    林口竹

  • 話つと途切れし卓の薄暑かな

    朗子

  • 薄暑光初めて聞きし吾子の夢

    冬野とも

  • きゆつぽきとサドルを高く薄暑かな

    西浦 貴浩

  • ジャージは水色脱ぎ捨てて薄暑

    二丁目蘂六

  • 悪役が素直に負けて街薄暑

    月石 幸

  • 同級会瀬戸の小島に夕薄暑

    嵐菜

  • 薄暑の陽ずっと赤芽の垣駅へ

    つづきののんき

  • 着ぐるみの兎の休む薄暑かな

    防子

  • 海峡の主塔十字架めく薄暑

    秋津穂 実

  • 公園の面会父子へ薄暑来る

    嶺乃森夜亜舎

  • クレゾール匂ふ薄暑の保健室

    きなこもち

  • 気持良き奈良の薄暑の深呼吸

    ちびつぶぶどう

  • 夕薄暑の関内酒とつけ天

    みなづき光緒

  • 薄暑光届かぬ骨壷の祖母は

    大月ユリコ

  • 寝癖髪水で繕う朝薄暑

    川辺世界遺産の居候

  • スキップの少女のリボン揺れ薄暑

    東原桜空

  • お隣はレオ党渋滞の薄暑

    瀬央ありさ

  • 多色刷りの世界はきれい薄暑光

    里山子

  • それぞれのビルに名のあり夕薄暑

    る・こんと

  • 服布団フライパン捨て薄暑かな

    アニマル可秘跳

  • 昨日より鍬の重たき薄暑かな

    立歩

  • 連休の病棟静まり薄暑光

    空 ひろ

  • ピアニカの音は澄み滲むこの薄暑

    Dr.でぶ

  • 石仏と話す薄暑の美術館

    遥風

  • ミャクミャクの顔は薄暑になつてゐる

    うた 歌妙

  • 七分袖鏡に問うて薄暑かな

    高市青柘榴

  • 銀メダル照らす薄暑の体育館

    藤村 一寿

  • 足指の爪切る夫の薄暑かな

    渥美こぶこ

  • 新品の体重計に乗る薄暑

    涼風亜湖

  • 福祉車両より母そろそろと夕薄暑

    ひでやん

  • 競馬場人の嘶く夕薄暑

    中田邦光

  • ボート部の掛け声響く薄暑かな

    藤永桂月

  • アネッサの羽衣纏う薄暑の陽

    青い小鳥

  • 如雨露より優しき水を薄暑光

    白神ハムサンド

  • ひかがみが薄暑のひかがみを追ひて

    清水縞午

  • 猫の眼の薄暑の深さ探るやう

    月城龍二

  • 電停や横一列に待つ薄暑

    野地垂木

  • たこ焼きの焼き上がり待つ薄暑かな

    麻生ツナ子

  • 余命ひと月たばこの父に薄暑かな

    雑魚寝

  • 蝶骨のわずかな歪み薄暑光

    津島野イリス

  • 新駅の都会の匂ひ薄暑かな

    風間 燈華

  • 遅番や薄暑の遊具に青き影

    周防の鼠

  • 町工場窓一つ開く薄暑かな

    渡辺宵雨

  • かけもちの現場応援夕薄暑

    くぅ

  • 駅頭をボンゴのリズム薄暑光

    板柿せっか

  • 駅前をステージとして夕薄暑

    秋白ネリネ

  • 合鍵のつるりと嵌まる薄暑かな

    東山すいか

  • 軒下のパラソルハンガ薄暑光

    広島 しずか80歳

  • 手相見のまはりくどさとゐる薄暑

    山田不律

  • 朝薄暑パンの小さくなったよな

    華風ルナ

  • 病み上がり着替へ薄暑の菓子屋へと

    云々 美雲

  • 磨ききるエンジンカバー薄暑光

    正岡田治

  • 新しい靴は薄暑のコン・ブリオ

    織 紫子

  • ストレッチしつつ定時に立つ薄暑

    松永智志

  • 豪農の鴟尾は鯱ほこ薄暑光

    田邉真舟

  • 薄暑の影跨ぎのたりと乗車せり

    よしぴこ

  • 親知らず抜き持ち帰る薄暑かな

    朝宮馨

  • 十本のクレーン皆西を向く夕薄暑

    カリヨン

  • 特売の品に群がる顔薄暑

    是空

  • 投函へ早走りせる夕薄暑

    三崎扁舟

  • 夕薄暑喫水上がる貨物船

    谷 道悦

  • 魚屋のだみ声響く薄暑かな

    上津 力

  • 洗濯のシャツバフバフと振る薄暑

    キッカワテツヤ

  • 衣紋抜き深し花街の夕薄暑

    どいつ薔芭

  • ガラス器に溶け出す茶葉よ薄暑光

    清水 三雲

  • 水平線隠し薄暑の江ノ電来

    青井えのこ

  • ラーメン屋扉全開街薄暑

    城内幸江

  • 空き納屋のこのはガラスに夕薄暑

    守屋 淨久

  • 風を呼ぶ五連水車や街薄暑

    夜ノ森ムーミン

  • パンダもうをらず薄暑の影を踏む

    和緒玲子

  • 庭いじりの薄暑午後の三十分

    空流峰山

  • 蚤の市歩く薄暑のバルセロナ

    野口真砂輝

  • 万歩して薄暑の襟を拭ひけり

    岩田遊泉

  • 市営バスに空席ひとつ夕薄暑

    高木音弥

  • 玉子焼き塩味が強し薄暑かな

    雅蔵

  • 足湯には人影まばら薄暑かな

    入道 まりこ

  • お運びの顔は清しき薄暑の席

    田村 宗貞

  • 背の順に子らの髪切る夕薄暑

    小川しめじ

  • 繰り返し遅延伝える駅薄暑

    水無月 

  • 生臭い鯉の大口寄り薄暑

    神谷たくみ

  • 首都高の尾灯に絡む夕薄暑

    森 毬子

  • 詫び状の裏に数式解く薄暑

    ほしのあお

  • フリースローを待つ薄暑のアリーナ

    しみずこころ

  • 骨壺を抱えて母を待つ薄暑

    佐々木ヨウジ

  • 先輩のインターバル走薄暑光

    伊藤恵美

  • 影も黄色鸚哥まどろむ窓薄暑

    井田みち

  • 軽暖や補選三区の批判票

    達坊

  • 逆光のフロントガラス街薄暑

    井上鈍句

  • 薄暑の街をダックスフント四頭と

    雨野理多

  • 千本の漆掻き初む薄暑かな

    花亭五味

  • 気おくれと新調の靴街薄暑

    佐藤儒艮

  • 時々雨薄暑に栞挿すやうに

    蓮井理久

  • 両足を攣るや霞ヶ関薄暑

    蜘蛛野澄香

  • 記録干す惨状知らぬ手に薄暑

    原貼女

  • 鴨川の亀の飛び石薄暑光

    卯之町空

  • シャラシャラとすすぐ薄暑の皿洗い

    丼上秋葵

  • 葬儀果て薄暑を緩歩雲の行く

    古乃池糸歩

  • 軽暖や万年筆の旅便り

    ふじこ

  • 回送の後も回送薄暑光

    中村すじこ

  • フラワーシャワー嬉しげな風薄暑

    つくも果音

  • 置去のカーネル叔父さん夕薄暑

    小島浩子赤城おろし

  • ミュージカルの子跳ねて薄暑を溢れけり

    七瀬ゆきこ

  • 履歴書に看護観挿す夕薄暑

    榎美紗

  • 膝裏に薄暑のくぼみ揉みほぐす

    綾竹あんどれ

  • 白鳩の薄暑を過る墓碑の影

    あるる

  • 薄暑天茶摘し祖母の小さな手

    高橋光明

  • 行ってもうた二時間待ちのバス薄暑

    コモドドラゴン

  • 薄暑ごとアンカー握りこむバトン

    小田嶋隅雀

  • ミステリー読み切る窓辺薄暑光

    天東あさじ

  • 薄暑とは短い前髪の湿り

    正雪

  • 風わたる消滅可能の町薄暑

    桃香

  • 目薬の気泡の柔し夕薄暑

    翡翠工房

  • 夕薄暑パンタグラフのチパチチと

    明神おぼろ月

  • ボタン押す火夫の黙礼薄暑光

    小川野雪兎

  • バス停に中日クラウンズの薄暑

    いぬかい美帆

  • 北の旅果てて薄暑の待つ家路

    羽住玄冬

  • 子規庵の庭に風来る薄暑かな

    渡邉花

  • 鯉の背のるらるら光る薄暑かな

    主藤充子

  • やわらぎの鈴や薄暑のカフェテラス

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • 竿竹屋ゆつくり通る街薄暑

    リカ

  • 休憩中のマジシャンの煙草薄暑

    石本コアラ

  • 薄暑午後叔母の喪服の肩パツド

    おきいふ

  • 階段を見落としている夕薄暑

    白庵

  • 薄暑の外野席裸禁止と警官

    宗平真実

  • ゆるゆると薄暑の街をモノレール

    ふくじん

  • 女工ふと針落としたる夕薄暑

    居並小

  • 水源に百の碧なる薄暑あり

    水蜜桃

  • イタリアの曲を歌ひて薄暑かな

    平本文

  • 味噌汁の塩味恋しい夕薄暑

    からすちゃん

  • 白球ぐんぐん薄暑のバスドラム

    剣橋こじ

  • 朝の茶の滲み出てゆく薄暑かな

    諸塚凡志

  • トラックに肉牛二頭薄暑光

    灰色狼

  • 名画座に昔のゴジラ薄暑街

    芋 二郎

  • 警官のきはどく笑ふ薄暑かな

    黒麹 糀

  • 中華街獅子踊り待つ薄暑光

    雨李

  • 灰色の背嚢軽き薄暑かな

    細川鮪目

  • この花の名もAIに聞く薄暑

    鷹見沢 幸

  • 一心に母乳吸ふ児や薄暑光

    笑笑うさぎ

  • 薄暑来ぬPTAの奉仕作業

    伊藤てまり

  • 鹿の糞踏んで愉快な薄暑の子

    坪山紘士

  • 病衣薄く薄暑の225号室

    鳥不驚

  • 階段のガム削ぐバイト駅薄暑

    木公男8888

  • 花束に贈り主なし夕薄暑

    虎堂吟雅

  • 自転車のチェーン薄暑の油差し

    野澤真澄

  • 湾岸線スピード落とす薄暑かな

    星影りこ

  • 切岸のサントリーニを薄暑光

    半ズボンおじいさん

  • 高円寺吐露にヤニの香宵薄暑

    イシデ電

  • 神楽坂三味立ててある薄暑かな

    佐藤 位相朗

  • ホルマリン漬けの標本置く薄暑

    黒蜜かりんとう

  • 町会費集金に来ぬ夕薄暑

    増山銀桜

  • ブレーキの金切り声や街薄暑

    堀邦翔

  • 象の書くLOVEといふ字や薄暑光

    朶美子(えみこ)

  • いざゆかん窓這う薄暑の虫潰し

    だてまき

  • コクピットめいて薄暑の塔高し

    ろまねす子

  • 借り物の着物の裾に来る薄暑

    上津 嘉子 

  • 仏具屋の軒の連なる街薄暑

    さいたま水夢

  • 物置の隅に犬小屋薄暑また

    川蜷

  • 組み合わせ抽選引く手町薄暑

    凪ゆみこ

  • 発熱の薄暑の端を悪夢中

    亀田荒太

  • 両腕の白さ薄暑の餌食なる

    紅紫あやめ

  • おしぼりをきつちりたたみ薄暑とす

    亀田かつおぶし

  • 寂しさに慣れし厨や夕薄暑

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • 天気痛警戒予報夕薄暑

    織部なつめ

  • 古本の背表紙裏なんばの薄暑

    鈴野蒼爽

  • 割引に髪切るシニア翁薄暑

    津軽わさお

  • 箒売る豊後なまりや街薄暑

    伊藤 容子

  • 菜園の鍬を休むる薄暑かな

    円路

  • 鞭入れて鼻差で逃げし馬場薄暑

    むじーじ

  • 売れ筋の耳掻き探す薄暑かな

    青い空加納

  • セーラーに透ける後れ毛夕薄暑

    高永 摺墨

  • 脳ドック終えて眩しき街薄暑

    美濃紫

  • 電柱に鳶止まる暮薄暑かな

    井口あき子

  • 挫滅創湿布真白き薄暑かな

    清仁

  • 街薄暑対戦めくや交差点

    森葉豆

  • 田より田へ一子言祝ぐ薄暑かな

    勇緋ゆめゆめ

  • 店から店へと薄暑の陶器市

    笑姫天臼

  • モッツァレラ顔まで伸びて薄暑かな

    高橋風香

  • 耶蘇像の手足垂れるや薄暑光

    松田寛生

  • 酒精綿の拭う前腕薄暑光

    星埜黴円

  • 翼生え水掻き生えて子ら薄暑

    Kかれん

  • 幼虫の咀嚼つづいて薄暑かな

    尚茶

  • 鳥の羽根拾う薄暑のグラウンド

    おのまい

  • 払暁の薄暑に駅伝部が走る

    村田益次郎

  • 夕薄暑草の波間に農夫あり

    西野桃果

  • 大縄の猛き薄暑のグラウンド

    ノアノア

  • のり弁の海苔のべとつく薄暑かな

    ふのんへん宗悟

  • 発掘の技師の背中の夕薄暑

    いなほせどり

  • 切り開くオムレツ薄暑光とろり

    藤里玲咲

  • タブの木は残る薄暑の駅舎かな

    松山茜柑

  • くっきりと引いて薄暑のアイライン

    谷山みつこ

  • 山門の敷居は円く薄暑光

    匹田小春花

  • 葉音聴く仕草のきりん園薄暑

    山吹なお

  • 始まりは薄暑のビビディ・バビディ・ブー

    沢井如伽

  • 能登や能登や瓦礫匂ひ立ち薄暑

    虎穴虎児

  • 石鹸の香りのブーケ薄暑光

    まるにの子

  • 薄暑光兄の骨浮き背の白し

    高本蒼岑

  • 薄暑の有楽町マリオン前

    柴桜子

  • 箸帯に金の寿載せ薄暑

    伊予吟会 宵嵐

  • 漸くの退院の日や薄暑光

    緩木あんず

  • 練りきりの淡き紫薄暑かな

    咲 まこ

  • 風切れば魚跳ねるや夕薄暑

    野々原すずめ

  • 初診の問診項目多き薄暑

    亜桜みかり

  • テンキーを迷ふ中指薄暑かな

    坂田三吉

  • 車椅子回して出る街薄暑

    衣笠 野波

  • 薄暑なる黄色の紙の催告書

    酒井均

  • 足場建つ外壁塗装薄暑かな

    横山三水

  • ガチャガチャで同じの三つ薄暑かな

    モリコリゴリ

  • 亀の手の岩に食い込む薄暑かな

    畑山六十二

  • ナイロンの空気抵抗てふ薄暑

    けーい〇

  • 反芻の果の滴や薄暑光

    蜥蜴の尻尾

  • 畦道に母を見つけし薄暑かな

    藤 無南

  • 若人の声のかがやく街薄暑

    タケザワサトシ

  • 東京や迷子になってみる薄暑

    芦幸

  • もう二時間診察待ちてをり薄暑

    姫川ひすい

  • 息子は老母の足の爪切る夕薄暑

    白薔薇

  • バス停の屋根無きベンチ薄暑かな

    どこにでもいる田中

  • 六本木駅の底から出て薄暑

    ふくびきけん

  • 東京のみな忙しき薄暑かな

    稲畑とりこ

  • 留守電は入選の告薄暑かな

    塩の司厨長

  • 薄暑光かざす手の節まがりたり

    ほんちゃん

  • ゴジラ来てシャッター開く街薄暑

    伊ナイトあさか

  • ウィルキンソンの源泉跡や薄暑光

    春蘭素心

  • 笹団子届くや新潟は薄暑

    旺上林加

  • 売店にハンマー博物館薄暑

    あいだほ

  • エレベータひとつ見送る夕薄暑

    梅朶こいぬ

  • 張り切つてまはれ薄暑のドーナツ盤

    すりいぴい

  • 野良猫を呼びて目の合う薄暑光

  • 薄暑のYAMAHA「更に戦う者たち」を

    ダンサーU-KI

  • 茶屋街の車婦の肌着の薄暑なる

    長操

  • 高くしたサドル薄暑の待ち合わせ

    梅路みね

  • ビル街の十字路渡る薄暑かな

    寺嶋杳杳

  • スキップのやり方薄暑の帰り道

    三水低オサム

  • 飼い猫の臭き温もり薄暑光

    奈良の真

  • 弟をまいて薄暑の映画館

    熊谷 温古

  • 薄暑のハイウェイラジオ「渋滞は二キロ」

    青桜ウインド

  • 一礼の野球少年夕薄暑

    ちょうさん

  • 街薄暑市制百年企画展

    平としまる

  • 家の壁震はす羽ばたきや薄暑

    鈴木裕公仁

  • みづふくらんで薄暑の手をこぼるる

    川屋水仙

  • 車椅子の園内散歩薄暑かな

    マタネ

  • 薄暑光昇降口の水飲み場

    塩風しーたん

  • 夕薄暑力士の混ずる総武線

    角田 球

  • たいようとかぜたたかってはくしょ来た

    寺尾ロゼッタ

  • 石段は不揃ひ薄暑は黄緑

    栗田すずさん

  • 園薄暑上目遣ひの逆さ猿

    くずもち鹿之助

  • 鉢植ゑの呼吸あふるる路地薄暑

    村瀬ふみや

  • 床ガラス跳んで踏まれて薄暑光

    西村 棗

  • 許されて許したき日の薄暑光

    美織

  • 薄暑来ぬヘアドネーションあと五ミリ

    らん丸

  • 予定日の胎動重し薄暑光

    ふみづきちゃこ

  • 奥の院芭蕉を探す薄暑かな

    卓司

  • 船頭の笠に薄暑の風渡り

    久えむ茜咲

  • スケボーの少女のピアス薄暑光

    信濃のあっくん

  • 甚太古の三味こそ津軽薄暑光

    野々原ラピ

  • ウクレレのBGMや夕薄暑

    アントワネット

  • マックより下界眺めて夕薄暑

    永嶋夜久

  • 緑青の湖畔の憩う薄暑かな

    小和布

  • 栞挿す図書室は薄暑なりけり

    王朋亡

  • 明日会えぬ吾子の手握る夕薄暑

    みつき 夏

  • 薄暑光出入りの多い保健室

    喜多丘一路

  • うなじ剃る床屋鏡の薄暑かな

    古川一光

  • 「後五分」試験の助手の声薄暑

    野瀬藻石子

  • 積読の麓に『老子』薄暑来ぬ

    八十六九

  • ターコイズブルーのペディキュア街薄暑

    玖良咲

  • 清掃の業者を待てる薄暑かな

    内藤羊皐

  • 街薄暑税を納めにコンビニへ

    石塚彩楓

  • うたがいもなく風色は夕薄暑

    林真紗湖

  • 魚群の反射風が集めて薄暑

    橋本有太津

  • 根こぶ避け風と遊歩道行く薄暑

    日向浜

  • 夕刊を球場に読む薄暑かな

    夏 六葉

  • 五限目の音楽すつぽかす薄暑

    さざなみ葉

  • 浜薄暑洗う波間に潜る貝

    岡塚 敬芳

  • 薄暑光肺になにやらゐるといふ

    吉村一音

  • 海薄暑音なき帆風3ノット

    田上南郷

  • 街薄暑継ぎ獅子三継ぎ四継ぎへと

    ののはな誉茂子

  • 霹靂のポリープ四個薄暑かな

    笑酔

  • ランナーズ・ハイ薄暑の風孕んで

    神谷史記

  • 高原に並ぶ彫像薄暑光

    八洲舟

  • 片頬に痛み薄暑の駆け込み寺

    中川青嵐

  • ビルに透くエレベーターや街薄暑

    与志魚

  • 白に白かさねし薄暑乱反射

    糸川ラッコ

  • 洗ひ皺ぱんとはたけば薄暑光

    佐藤さらこ

  • 板書消す師に薄暑光チャイム鳴る

    服部勝枝

  • 敷物を剥ぎ足裏の薄暑かな

    篠雪

  • 君も輪の外に薄暑のブーケトス

    松山めゐ

  • ウォーカーがジョガー追い抜く道薄暑

    神谷篝火

  • 昼飯をわずか五分で食う薄暑

    佐藤志祐

  • 川端を読んで太宰の薄暑かな

    畑野稔

  • 薄暑行く本屋辺りが一万歩

    渡辺香野

  • スリングの薄暑を芯にふくらみぬ

    坊 いち坊

  • 薄暑なる今日いじめから喧嘩へと

    マザーコーレーグース

  • 薄暑光のこぎり屋根はまだ静か

    関口いちろ

  • 緻密なる放ったらかしや畑薄暑

    永想

  • 友の名の刺繍頼める薄暑かな

    紗藍 愛

  • 撥高く和太鼓連打薄暑かな

    後藤三梅

  • 手術棟へコロッケかじり薄暑を戻る

    司啓

  • 人間は膜の生き物薄暑光

    堀口房水

  • 健診近し一駅歩く薄暑

    相沢薫

  • 水浴びの羽くろぐろと発つ薄暑

    おかげでさんぽ

  • 空いっぱい薄暑とならん世は動く

    田中美蟲角

  • リハビリの1000歩が遠い夕薄暑

    あなうさぎ

  • 退院や薄暑の街は真白なる

    野々村澄夫

  • バス揺れて薄暑の街の軋む音

    紗羅ささら

  • 薄暑の坂に果てし櫻の朱き根よ

    はなだ杢

  • チャンバラの棒転がった夕薄暑

    白井佐登志

  • ひとり抱きひとり手をひく薄暑かな

    たかみたかみ・広ブロ俳句部

  • 線上のサービスエース薄暑光

    雅 寝子

  • 闘病の友の訃報を知る薄暑

    北乃薫衣草

  • 教室に居場所見つかる薄暑かな

    みしまちづる

  • ネクタイに絡みつかれている薄暑

    うめやえのきだけ

  • 軽暖にマルハラメール届きけり

    水鏡新

  • 引く波に足跡けされ薄暑かな

    ひらた彩雲

  • マイカーを磨き上げたる薄暑光

    むねあかどり

  • 著作権切れた文庫を手に薄暑

    フージー

  • 薄暑かな世界遺産の古城見ゆ

    ぐりぐら京子

  • 焼き色のつかぬ薄暑のトースター

    志きの香凛

  • 綿飴てふ薄暑の糸を巻きあげる

    常磐はぜ

  • 煙突の影の先まで濃き薄暑

    俳句ファイヤー立志

  • 叔母二人駅まで送り街薄暑

    小石日和

  • 看護師に背を叩かるる夜の薄暑

    伊藤柚良

  • また緊急速報夕薄暑にまた

    清松藍

  • 着ぐるみの日給五千也薄暑

    長谷川水素

  • 街薄暑ヘアドネーション成し手櫛

    むらぴ

  • 悔恨を積んだ護送車薄暑過ぐ

    ふみ

  • 薄暑なり等間隔のオール跡

    霧 澄渡

  • 薄暑光熊避けの鈴カランコロ

    黒猫かずこ

  • 黒板と君の肌着の影薄暑

    山田花橿

  • 村牧師襟をゆるめる薄暑かな

    森 日美香

  • 十年分のハグ台湾も薄暑

    滝上 珠加

  • たっぷりと絞る薄暑のマヨネーズ

    福原あさひ

  • 白粥へひと振りの塩夕薄暑

    関津祐花

  • ノブのなき鉄扉分厚く薄暑の夜

    KAZU

  • 夕薄暑泥も厭わぬボランティア

    秋野木吾

  • 自販機の釣りをつひ忘れたる薄暑

    阿万女deノエル

  • ダボパンの裾に風あり夕薄暑

    淡湖千優

  • 今日二つ薄暑の村に家族葬

    宗平 圭司

  • 薄暑の汽車まちがい探し五ページ目

    廣實檸檬

  • 終業後バニーの店へ行く薄暑

    不二自然

  • 君の声ゆるく聞こゆる薄暑かな

    広島あーやあーや

  • 雛壇のノーネクタイの薄暑かな

    ふゆの都々逸

  • 「就活の軸」問はれたる街薄暑

    うみのすな

  • 薄暑なり吾子は集中治療室

    コーヒー博士

  • 白杖の辿る黄線や夕薄暑

    雨霧彦(木ノ芽)

  • 訂正印あまた薄暑は膨れゆく

    播磨陽子

  • 二人展の玻璃器とchapeau街薄暑

    たけぐち遊子

  • 伊勢木綿の藍色匂ふ夕薄暑

    中根由起子

  • ゴジラ出てきそうなしじま街薄暑

    森脩平

  • 手水舎の龍のくねりや薄暑光

    小川都

  • 街薄暑無言のままの人の波

    釋愚拙

  • 薄暑光迷彩色の道祖神

    六花

  • すべすべのスプーンの放つ薄暑光

    富田健朗

  • 薄暑の朝や豚舎から叫び声

    野中泰風

  • 艶やかな薄暑の羽根を繕ひぬ

    藤白真語

  • 昇り来る齢薄暑の山の道

    はたやま こう

  • 電子レンジの卵が爆ぜちゃって薄暑

    着流きるお

  • 退屈を知らぬ薄暑のこどもかな

    香田ちり

  • 蔦はなし原爆ドームに薄暑光

    老人日記

  • 饅頭の伝えもゆかし薄暑光

    鄙野木人

  • 宝物殿錆びたる錠の夕薄暑

    辻野 花

  • 薄暑なり担々麺のなほ旨し

    杉尾芭蕉

  • 肉うどんつゆ飲み干して薄暑光

    江良 中

  • 仔犬二匹もつれず歩き街薄暑

    野ばら

  • 薄暑突くフットゴルフの伸びる球

    おこそとの

  • 薄暑の破局メガ盛りの中華丼

    柳絮

  • 街中を揺さぶる薄暑かげひなた

    桔梗

  • 薄暑にてお休みパパのお馬さん

    樋ノ口一翁

  • 黙想や薄暑へ戻りゆく道場

    阿部八富利

  • リハビリの後ろ姿や薄暑光

    坂本梨帆

  • 棺桶を担ぐ我らの薄暑なり

    たーとるQ

  • 銀皿のナポリタン待つ街薄暑

    大熊寝子

  • 歳時記の付箋たるみし薄暑かな

    アムゼルえりこ

  • 調教の狂いしピアノ薄暑光

    石原由女

  • 薄暑海砂の穴より潮吹きぬ

    岡崎秀惠

  • 菅笠の向かふは海や夕薄暑

    林常住

  • 揺れそれぞれの草木に同じ薄暑光  

    美年

  • 塵芥車の音色ゆるりとなる薄暑

    とんぶりっこ

  • パーカーを孕ませ立ち漕ぎ夕薄暑

    まろのり

  • 鳶職の足裏眩し薄暑かな

    鈴木来穂

  • 夕薄暑テラスにジャズのコンサート

    なかの花梨

  • 薄暑なぜ分離帯へとタイヤ痕

    北藤詩旦

  • 葉脈はケーナの楽譜薄暑光

    綱川羽音

  • 処方箋持つて薄暑の眼鏡店

    高橋寅次

  • ネクタイと犬の舌の紅薄暑

    ニリンギ

  • 垂れ下がるポトス切り差す昼薄暑

    虫倉蝉音

  • 人の足規則正しき薄暑かな

    中村想吉

  • 薄暑の調律白鍵の弾力

    津々うらら

  • 先生の婆沙羅になりて薄暑かな

    S ヨージ

  • 先輩の清けきタンギング薄暑

    満生あをね

  • 瞬けば瞼に宿る薄暑光

    田中紺青

  • 山城は白し薄暑を駆け上がる

    我田無米いつせい

  • マンションか薄暑の跡地に看板

    小島神泉

  • 軽暖やロイター板の使い方

    山田蚯蚓

  • たんたんと錠剤弾む薄暑の夜

    紅塩寝子

  • アドバルーン三つ並んで薄暑かな

    二十八

  • 青空市もう昼過ぎて薄暑かな

    辻本四季鳥

  • 誰からも好かれる努力鳴呼薄暑

    月枝いと

  • 農継がぬか細き腕にも薄暑

    伊江かつじ

  • ローラーコースターがたごと薄暑の花やしき

    靫草子

  • 直線のガラスの街の薄暑かな

    とんぼ

  • 軍記物遅々と進まぬ昼薄暑

    夏の町子

  • ゴジラの尾薄暑の街に筋を描く

    斎藤さんけん

  • フレンチホルン音裏返る薄暑なり

    池 閑茶

  • 草稿を捨てて薄暑の部屋広し

    小島やよひ

  • 夕薄暑整骨院の多い街

    森中ことり

  • 八度目の薄暑の古都の恋みくじ

    おおきどくん

  • カーテンの波や薄暑の保健室

    山羊座の千賀子

  • 検診のあとの空腹薄暑光

    河上摩子

  • 釈迦堂の永遠の薄暑の中にゐて

    片平仙花

  • 誤字二箇所正す薄暑の指導室

    江口朔太郎

  • 貼られゆく値下げシールや夕薄暑

    高田杏

  • 鍋の焦げこそげ落とすや夕薄暑

    玲風

  • 合唱のアルトのパート薄暑かな

    きょんちゃん

  • 薄暑の夜詩の推敲はきりもなし

    若林明良

  • アーケード次々消えて街薄暑

  • がっぷり四つに両国の薄暑かな

    京野さち

  • 事業所が閉鎖だってさ夕薄暑

    猪子石ニンニン

  • にはとりが水辺を漁る薄暑かな

    蘭丸結動

  • 渋谷駅迷路出づれば夕薄暑

    宮川武久

  • 退院の荷物両手に薄暑光

    雪音

  • 竜宮の使いゆらゆら夕薄暑

    久森ぎんう

  • 老人の言葉カタコト夕薄暑

    松高法彦

  • ビー玉の影は薄暑のアラベスク

    いたまき芯

  • 日の色の金に降り積む夕薄暑

    風蘭智子

  • ダム底に沈みし薄暑の社

    真喜王

  • 起立!礼!わっと解散薄暑光

    土井あくび

  • 薄暑の庭木バリカンの音柔く

    雪さやか

  • 開店の幟薄暑の県道よ

    むい美縁

  • 膝小僧笑ふ薄暑の観覧席

    広瀬八重桜

  • 貯水量ちょっと気にする薄暑かな

    定位置

  • 街薄暑パンプスの底パカンパカン

    髙橋弓女

  • まだ白きかひな薄暑の新エース

    くさ

  • 草傾く澄海岬の薄暑光

    余田酒梨

  • 偶さかの母のかいなや薄暑光

    徹光よし季

  • 物憂げに緑際立つ薄暑かな

    石内宏明

  • 置き配の「天然水」へ薄暑光

    島田あんず

  • パントマイムに見えぬもの見る街薄暑

    荒一葉

  • パドックを新馬の滾りたる薄暑

    酒天わーい

  • とんこつの匂いむわつと街薄暑

    栞虫かじり

  • 渋滞の頭は農耕車夕薄暑

    鶴岡木の葉

  • ありふれた引退の馬薄暑光

    砂楽梨

  • バケットに廃材充たす薄暑かな

    伊奈川富真乃

  • 三百円ショップのかごを置き薄暑

    安溶二

  • ライナスの毛布洗いて薄暑かな

    黒蜜きな子

  • 料亭の暖簾の藍や薄暑光

    碧西里

  • 街薄暑媼交じりて路上飲み

    宇のななみ

  • ふたりして羽化見とどけている薄暑

    くみくまマフラー

  • 行間に薄暑滲んで来て捨てる

    猫ふぐ

  • ペディキュアを青く光らせ薄暑かな

    ゆぃ

  • 白線をまつすぐに引く薄暑かな

    ちゃるこ

  • 夕薄暑トイレのスリッパ買いました

    大野美波

  • 笹舟の難所越えゆく薄暑かな

    かなの りえこ

  • 山積みのLP処分せし薄暑

    紫鋼

  • あるなしの夕べの風や薄暑光

    峰泉しょうこ

  • 塩麹ぷくぷく育つ薄暑かな

    新多

  • 切符手に出られぬ改札機薄暑

    島田ポン吉

  • 創業日の大きな遺影薄暑かな

    ぐりえぶらん

  • 立て掛けてデッキブラシは薄暑光

    妹のりこ

  • 獣めくパジャマ薄暑の熱帯びて

    あなぐまはる

  • 絮のごと薄暑は山を漂へり

    看做しみず

  • 父ひとり菩提寺の禅夕薄暑

    哲山(山田哲也)

  • 鍋擦る換気扇強村薄暑

    戸口のふっこ

  • 岬薄暑西に海あり富士のあり

    君島笑夢

  • 薄暑光風気流るる欅かな

    哲山

  • 朝の白湯ちょっとそぐわぬ薄暑かな

    浪速の蟹造

  • 出勤を迷ふ微熱の朝薄暑

    竹田むべ

  • 美術館銀のボールを薄暑かな

    松葉学而

  • 音楽室アトム弾ける薄暑かな

    櫂野雫

  • 背表紙に色褪せてゐる薄暑かな

    ゐるす

  • 法服の裾を捌いて薄暑ゆく

    沢 唯果

  • 顔洗う一息の良さ薄暑かな

    雅由

  • 夕薄暑亀の泳ぎはひだりみぎ

    福井 桔梗

  • まだ音の出せぬホルンや薄暑光

    小藤たみよ

  • つき出しの煮卵しよつぱ夕薄暑

    小だいふく

  • カーレーターごっつんがたんがたんがたん薄暑

    石浜西夏

  • サヨナラにまたねと返され薄暑かな

    ツブ金

  • 妻とゐて未来を語る夕薄暑

    ま猿

  • 新卒の新車を洗車する薄暑

    季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 献血の列だらだらと夕薄暑

    吉川花ほっぺ

  • ドリル音分厚く響く街薄暑

    山路碧水

  • 理由には鬱病とあり薄暑かな

    碧萃生

  • 薄暑なるマルシェ観音様の前

    松本独り

  • 薄暑光生きようとする爪と髪

    そら

  • 病室の一枚硝子夕薄暑

    でんだ浜千鳥

  • ローランドゴリラの背中夕薄暑

    土井小文

  • 二日後の撤去と薄暑を待つポスト

    あたなごっち

  • 水を掻くシロクマの爪薄暑かな

    坂野ひでこ

  • 故障せぬ太陽薄暑の街道

    赤馬福助

  • 中華屋の入店待ちの薄暑かな

    佐久凡太郎

  • 薄暑とは日めくり十枚ほどのこと

    巳智みちる

  • ダンベルに手の馴染みたる薄暑かな

    夏立也

  • 幸福な肉体疲労夕薄暑

    亀山酔田

  • 手甲に皺分け入っても薄暑

    犬山裕之

  • 四階の音楽室の夕薄暑

    野井みこ

  • 更地の雑草薄暑の墓じまい

    杼 けいこ

  • 薄暑行くをみなの頸のひよろ長し

    白猫のあくび

  • 同居選ぶ父の弱音や薄暑

    ふわり子

  • 薄暑の朝ほど恋文の薄い黒

    青空豆千代

  • 卒塔婆をひとつ加ふる薄暑かな

    伊沢華純

  • 免許返納に無言や畑薄暑

    橋本茅々

  • 誰もゐぬ特攻基地や薄暑光

    健央介

  • 夕薄暑戦車は碧くひかりけり

    メディックス千里

  • 回覧板置きし手ぶらの薄暑かな

    椿 佳香

  • 電車くる薄暑の音を引きずりて

    伊藤順女

  • 図書館の薄暑は騒がしき無音

    駒村タクト

  • 薄暑光高速船に水煙

    髙見艀舟

  • 被災地のテント薄暑のボランティア

    松本笑月

  • 着席の息せき切るや朝薄暑

    ゆりのいろ

  • また同じ葬列に逢ふ夕薄暑

    可笑式

  • どことなくだらしなくなる犬薄暑

    ピアニシモ金カル

  • 虫の吐く糸に薄暑の水の色

    太田栗青

  • 港区の芋洗坂薄暑かな

    葉るみ

  • さつくりと酢飯のにほふ夕薄暑

    桜鯛みわ

  • エンドロール浸り薄暑へ夢心地

    緑瀬易義

  • 国境のまだ焼け焦げている薄暑

    松田てぃ

  • 砂上の譜海に溶けゆく夕薄暑

    楊梅江風

  • ストローの吸うタピオカや薄暑光

    柊瞳子

  • 飛行機の左翼が消える薄暑かな

    二重格子

  • 拓本の文字の凸凹薄暑かな

    吉武茂る

  • 街薄暑形見の紬はブラウスに

    うに子

  • 呑んべゑの仕事終はりし街薄暑

    KOMA

  • 浅草にむすめ車夫あり薄暑光

    まぐのりあ(蚊帳のなか)

  • 薄暑光妻本復の愉しさに

    林省造

  • 免許証巡査に見せる薄暑かな

    ぶうびい

  • 夕薄暑五時のチャイムのぼんやりと

    中井無心

  • 街路樹の葉うら銀色薄暑光

    丸山隆子

  • 橋脚のボルトに噛む薄暑かな

    吽田のう

  • 酒蔵の木戸開いてをり灘薄暑

    空井美香

  • マーラーのハンマーは二打街薄暑

    狩谷わぐう

  • 白象の鼻高々と夕薄暑

    高山佳風

  • 救急車出動開始薄暑光

    松風花純

  • 朝市の公費解体夕薄暑

    スモールちもこ

  • SLIM目醒む列島は薄暑を光る

    満嶋ハト

  • 町中華麺の湯切りや夕薄暑

    吉 や 

  • 山村に轟くバイク薄暑かな

    松元転石

  • まどろみてあたりを見渡す薄暑かな

    福島 昇天

  • 銀座線揺れかた変はり夕薄暑

    英ルナ

  • 放課後の廊下拭く顔薄暑かな

    宮沢 韋駄天

  • 靴を脱ぎ足裏呼吸の薄暑かな

    増田 昴

  • 薄暑の夜壁の絵をまたひとつ捨て

    ピレネーの城の幻影

  • 薄暑光老舗喫茶の銀の匙

    空山プラネタリウム

  • 舌出して笑う柴犬街薄暑

    木村となえーる

  • 磨り減つたガイドの靴や寺薄暑

    木村ひむか

  • 薄暑なり健康遊具試す午後

    太之方もり子

  • リハビリは薄暑の厨弾む音

    井上於莵

  • 引越の最後の荷物夕薄暑

    愛柑

  • 自粛明けバス停に待つ夕薄暑

    美羽烏子

  • 薄暑光白バイ潜む松林

    楽和音

  • 薄暑光掃いて土日の予定とか

    高尾里甫

  • レフ板のごときビル街薄暑光

    ぽんたちん

  • 棒高跳び撓う曲線夕薄暑

    在在空空

  • 四百の騎馬武者練り歩く薄暑

    澪那本気子

  • 一万歩街をみおろす夕薄暑

    コイケキクエ

  • くぐりたる大仏殿の穴薄暑

    谷本均

  • 遊具みな色鮮やかや園薄暑

    堀上葵

  • アオザイの紅すきとほる薄暑光

    梨山碧

  • スケボーのズボンのふくらみ薄暑かな

  • いつの日も大地に暮らす薄暑かな

    信子

  • おろしたて要の固き薄暑かな

    吉田春代

  • 夕薄暑照り返すにはたづみ踏む

    泉晶子

  • 朝刊の雨の香吸へる薄暑かな

    鈴木 浮浮

  • 湯の街の音もれの路地夕薄暑

    むったん

  • 宍道湖の鋤簾の爪を朝薄暑

    紫小寿々

  • すれちがふ着物匂へる薄暑かな

    香壺

  • 馬小屋も民家の一部薄暑光

    いつか

  • 塩沢のお稽古帰り夕薄暑

    みやかわけい子

  • 喜寿つどふ先づ黙祷す薄暑光

    やっちゃんち

  • 駐輪し見渡す空や薄暑光

    小野陽笑

  • 板チョコの甘き直角薄暑光

    千歳みち乃

  • あきんどの八百八橋薄暑光

    沙那夏

  • 海峡に橋脚高し薄暑光

    武井 超凡

  • 路地裏のどこも明るい薄暑かな

    岬ぷるうと

  • 後悔はスーツに滲む薄暑かな

    珈藤絵本

  • 駅ピアノ弾く人もなし夕薄暑

    河村静葩

  • 草丈のスカートに触る薄暑かな

    竹原かよこ

  • ひとり居の米のとぎ汁夕薄暑

    森 佳蓮

  • 満州の薄暑や夜来香甘く

    粋庵仁空

  • 缶蹴りの鬼はいづこに夕薄暑

    めでかや

  • 班長の集金にゆく夕薄暑

    岡田雅喜

  • 抗癌剤やめてみようか夜の薄暑

    ツユマメ・いつき組広ブロ俳句部

  • 薄暑の夜放し飼いする乳房かな

    立田鯊夢・いつき組広ブロ俳句部

  • 単館の佳作の長き列薄暑

    みらんだぶぅ

  • 白山羊の遠く遠くと食む薄暑

    犬井山羊

  • 靴底のすり減り方や街薄暑

    熊のまさきち

  • 客引きに道阻まれてゐる薄暑

    大黒とむとむ

  • アッカンベーするトドのゐて薄暑光

    山川腎茶

  • 漏油せし油槽船なり夕薄暑

    燈穂

  • 足裏にしめり覚ゆる薄暑かな

    信木庸子

  • 校長訓話薄暑の首の凝りほぐす

    みやざき白水

  • ぬくぬくのコロッケふたつ町薄暑

    たむらせつこ

  • ストリートギターはジャズを夕薄暑

    無弦奏

  • 袖口にペリエのしずく拭く薄暑

    幸田梓弓

  • 自販機のモーター加速して薄暑

    中島穂華

  • 薄暑光リルケを語るうわくちびる

    高遠見上

  • 公園を走るおむつの薄暑かな

    かこよし

  • ねむくない一年生の午後薄暑

    青海也緒

  • 薄暑のグリップごはごはのサウスポー

    鈍亀

  • 畑跡のタワマン仰ぎ薄暑かな

    彩明

  • 「ドービニーの庭」に薄暑の花の色

    るびちゅ

  • 薄暑の牧場頭突く子牛へ初乳

    咖哩亭 章之輔

  • 葬送の玉砂利果てず薄暑光

    謙久

  • 真っ平ら赤子の額の薄暑かな

    吉谷地由子

  • 引詰の襟足濡らす雨薄暑

    落句言

  • Fコード弾けぬまま過ぐ夕薄暑

    鈴木古舟

  • カステラのザラメ剥がさぬやう薄暑

    広瀬康

  • 切株の年輪うづく薄暑かな

    月影 重郎

  • 会議室暴言に射す薄暑光

    高重安眠

  • おさがりのそろばんにひび薄暑光

    星私虎亮

  • 風呂の壁目地まで白し薄暑かな

    登盛満

  • 寝室に薄暑の耳が透けてゐる

    千夏乃ありあり

  • 右の手の暖簾を分くる夕薄暑

    菫久

  • 数独の枡目埋まらぬ薄暑かな

    たこぼうず

  • 廃業の名入のタオル薄暑かな

    さ乙女龍チヨ

  • 転院の救急車睡魔の薄暑

    星醒

  • 夕薄暑タトゥーの粗き漁夫雑夫

    慢鱚

  • ホイッスルしづむユニフォームを薄暑

    森野みつき

  • 新前のメモ帳円む夕薄暑

    さく砂月

  • レジ台に小銭ならべる母薄暑

    オアズマン

  • ものぐさの道草添ふは猿薄暑

    宮下ぼしゅん

  • 軽暖のどこか涎に渇いている

    投雨

  • 仕事はね薄暑の街に放たれる

    笑松

  • 教え子と首都で乾杯夕薄暑

    平山千鶴

  • ブランチのパスタにこほり薄暑かな

    ひぐちいちおう(一応)

  • 鈍色の風よ薄暑の呉港

    原 水仙

  • 参道に骨董並ぶ日や薄暑

    ざうこ

  • 夕薄暑半解凍になった海老

    シュリ

  • 宿酔の薄暑窓の向こうは正午

    島田スパイス

  • 女装家の脚細長き薄暑かな

    沙一

  • カツ丼の三つ葉掻き込む薄暑かな

    酒井春棋

  • ボサノバ溶ける風ドライブは薄暑

    美月 舞桜

  • 哺乳瓶洗ふ夕薄暑の独り

    咲間元文

  • ストリートミュージシャン薄暑の喝采

    山香ばし

  • 着任の先生訛る薄暑かな

    平松 洋子

  • 銅山口へ祈る工夫ら山薄暑

    卑弥呼

  • 跳ね落ちる真珠の玉よ薄暑光

    有田みかん

  • 薄暑の夜巻き爪絡む綿シーツ

    桂子

  • 影法師踏みつつ歩む薄暑かな

    大阪駿馬

  • 岬へとつゞくバス停薄暑來る

    陽花天

  • 手庇の影の鴇色なる薄暑

    月見柑

  • 反則の判定待ちの薄暑かな

    松本厚史

  • 夕薄暑カレーパン売れ残りけり

    月待 小石

  • 和硝子の花瓶分厚き薄暑かな

    佐藤レアレア

  • 夕影に和太鼓ひとつ鳴る薄暑

    榊昭広

  • 鉄棒の子の逆さまに夕薄暑

    能研ショテカ

  • 薄暑の夜麒麟脚より生まれ落つ

    柊琴乃

  • 礼服を吊す窓辺や夕薄暑

    千の葉

  • ライト点灯薄暑の千本ノック

    名出 結希人

  • 手を繋ぐこともなくなった薄暑のせい

    紀友梨

  • 側溝に子タナゴ光る薄暑かな

    緑茶花

  • 園児より身を隠す猫薄暑光

    源早苗

  • 両隣の椅子のみ空いている薄暑

    睦月くらげ

  • 顔の無いマネキン薄暑の原宿

    アンサトウ

  • 道草を誘う薄暑やワンコイン

    山川土時

  • 藍染めの手ぬぐい首に薄暑かな

    白井百合子

  • 学食の列しなやかに薄暑光

    ユーロ

  • 図書館へ徒歩を楽しむ薄暑かな

    蒼鳩 薫

  • 母の後薄暑の畝を追い続け

    ムシ・ミカミ

  • 話すため自転車降りて押す薄暑

    星田羽沖

  • 娘等の風受け易き薄暑かな

    喜田紫陽

  • 不機嫌に鳴く犬叱る人薄暑

    大川あむ

  • 斎垣文字朱の褪せてゐる薄暑光

    石垣よーせい

  • ごみを結ひ軽き浜辺や夕薄暑

    麦のパパ

  • 薄暑光ピンチハンガー一つ白

    久米穂風

  • 花博を屋根付ベンチ薄暑はや

    かじま木犀

  • 夕薄暑具材の踊る中華鍋

    石川順天

  • 詰めて乗るエレベーターの薄暑かな

    河島 八々十

  • がらくたの呼吸に触るる薄暑かな

    刈屋まさを

  • 残業の蛍光灯は薄暑臭い

    迫久鯨

  • 蓋開けて息継ぐ古墳薄暑かな

    香依蒼

  • 境内の子ども土俵の薄暑光

    浩子赤城おろし

  • 初七日の白木位牌へ薄暑光

    西村青夏

  • 夕薄暑三十路半ばで売るギター

    港のパン屋

  • サティ似の絵描き薄暑の港町

    あみま

  • 街薄暑背伸びして見るジャグリング

    素数

  • ジャズフェスの果てて中洲の夕薄暑

    うからうから

  • 苔むせる樹皮反り返る薄暑かな

    立山穂高

  • 薄暑光文はブルーでガラスペン

    千葉睦女

  • 犬の舌みづと薄暑をまるめをり

    はなぶさあきら

  • 言葉無きデモ行進や街薄暑

    百瀬はな

  • かき玉汁のだしあっさりと薄暑かな

    仲 操

  • 古書店を巡りてカレー街薄暑

    宏楽

  • 回送バス傾ぎて曲がる夕薄暑

    樋口滑瓢

  • 高三の席替え静寂な薄暑

    鬼殻

  • ゆえに薄暑とは窓の半開とす

    あらかわすすむ

  • 深煎りを濃く淹れし午後薄暑かな

    牧笛子

  • 夕薄暑温泉街の日和下駄

    ふじかつとび

  • トロットの芦毛薄暑のリズミカル

    鳥乎

  • 差入は果実サンドとする薄暑

    宥光

  • ジェット機のにおい薄暑の覗穴

    ぉ村椅子(志村肇)

  • 目の覚めて薄暑にしみるメスの跡

    一井蝸牛

  • 梳き鋏入れて追いつく薄暑かな

    阿部油

  • 人工島の高架を曲がりゆく薄暑

    小豆白虎

  • ふところに犬ころ抱きて夕薄暑

    豚々舎 休庵

  • 薄暑光ヘルパーの爪切りしづか

    福田みやき

  • 迷彩の手差し洗いて薄暑光

    彩 詩充

  • 道三の城は高みに薄暑光

    市橋正俊

  • おしゃべりな補助輪眩し薄暑かな

    野原茉莉

  • 胸えぐる薄暑の月の細さかな

    壱太

  • 池の亀首をもたげて薄暑かな

    宝塚御殿子

  • アニサキスにょきにょき薄暑の出刃包丁

    苺井千恵

  • 教室の傘干すにおい薄暑かな

    花彼岸

  • 黒板に「大空襲」薄暑の放課後

  • 釜炊きのお米のやうな薄暑の香

    いくたドロップ

  • 投薬の種類変わりし薄暑かな

    山尾政弘

  • 薄暑来ぬフジコの鳴かすカンパネラ

    種種番外

  • 分骨の包み胸元夕薄暑

    紫水晶

  • 嘘なのか君のひとみの街薄暑

    風花美絵

  • ジェンセンの銀のピッチャー薄暑光

    卯月紫乃

  • 麺線の揃いしうどん薄暑かな

  • 薄暑の分娩室より親と成り

    孔明

  • 中華街路地迷い込み夕薄暑

    こきん

  • 卵焼き綺麗に巻ける薄暑かな

    万里の森

  • 白髪染めやめて生きます薄暑光

    葉月庵郁斗

  • 薄片は白亜紀の夢谷薄暑

    俳句王

  • 子をあやす駅の待合夕薄暑

    眠 睡花

  • 寄り道の境内ほの暗き薄暑

    日向こるり

  • 臨月をくるむ薄暑の風甘し

    さかえ八八六

  • 嚙み合わぬ会話薄暑の受話器置く

    S・葉子

  • 薄暑なり猫の肉球首にあて

    花屋英利

  • 騒々しく横切る電車薄暑かな

    香西京子

  • 夕薄暑施術にはづす首飾り

    石田将仁

  • モノクロの呉の焼け跡薄暑光

    鷹星

  • マネキンの着替へ眺める夕薄暑

    藤井赤童子

  • 突つ掛けの路地を蹴りゆく薄暑かな

    ひだ岩魚

  • 定宿は再開未定薄暑の夜

    柴田藤安

  • 出店並ぶ糺の森や夕薄暑

    ジン・ケンジ

  • 花手水ふれて薄暑の立石寺

    よみちとせ

  • どこまでも行けてしまいそうな薄暑は嫌い

    羅蒐

  • 歌舞伎揚格子の中の薄暑かな

    めい

  • おしやべりの阻む薄暑の遊歩道

    紅三季

  • 館を背に飛沫高だか薄暑かな

    沢瀉

  • 雑誌には薄暑と私のグラビア

    鳥田政宗

  • 高圧線鳥の其々薄暑かな

    斧 的部

  • 新しき硝子のポット薄暑かな

    古都 鈴

  • 夕薄暑小銭ばかりの財布かな

    かつたろー。

  • 薄暑かな各庭庭の端境期

    赤尾実果

  • 時間あり布引を訪う夕薄暑

    希布

  • 薄暑の夜疼き清めるピアス穴

    メレンゲたこ焼き

  • 薄暑来ぬ清き上生菓子の透け

    縞ふみ

  • 膝正し猿におひねり旅薄暑

    夕虹 くすん

  • 筆洗の水強くなる薄暑かな

    村岡花風

  • 漆喰の歴史の吐息薄暑かな

    桂葉子

  • 吐水龍ちよろちょろ吐きて薄暑かな

    み藻砂

  • バーベキューの金串洗ふ夕薄暑

    上村 風知草

  • 味噌蔵の土壁出でて薄暑光

    弥勒夕陽

  • 水玉の生地買い走る薄暑かな

    井上美月

  • ゲートボール終え休む東屋園薄暑

    甘泉

  • 着られざりし軍服出づる納屋薄暑

    春那ぬくみ

  • 認知機能検査してみる薄暑かな

    村上薫

  • ちちははの記憶を薄暑に干せたなら

    いりこのにゃらつめ

  • ペタペタと靴底笑う薄暑かな

    いその松茸

  • 往診の白衣片付け街薄暑

    竜退治の騎士

  • 軽暖の福神漬を弄び

    洒落神戸

  • 本館の取り壊されし街薄暑

    大久保加州

  • 親も子も恐竜の骨出ぬ薄暑

    越前俊水

  • 大楠を前に語り部薄暑かな

    余熱

  • 摩崖仏薄目開けたり薄暑かな

    琵琶湖のおばさん

  • 日替わりのメニューボードや昼薄暑

    小山 晃

  • 延着のバス待つ長き列薄暑

    吟  梵

  • 校長へ渡す似顔絵里薄暑

    八幡風花

  • 駅広場に若手芸人街薄暑

    みうらけんじ

  • 絶滅危惧種足元に咲く薄暑かな

    木村カズ

  • 歯が欠けて歯医者通いや夕薄暑

    かんこ鳥

  • コマ外し無言で離す手薄暑

    山くじら

  • 二十年前のブラウス街薄暑

    うさぎ柚和

  • STEPN起動薄暑の高尾駅

    白プロキオン

  • ナイターの地方球場夕薄暑

    菊池克己

  • 薄暑なりティッシュは二枚で一組

    きつネつき

  • 置き配可(^^)猫自由です薄暑光

    あが野みなも

  • 安曇野の水車の軋み薄暑かな

    川島欣也

  • 夕薄暑誰ぞ弾きゐるマンドリン

    日暮ひぐらし

  • くるぶしのまだ瑞々しい薄暑かな

    那津

  • 薄暑来ぬセコム少なき通学路

    庄司直也

  • 横断旗等しくひるがえる薄暑

    白石 美月

  • 精神科の回転ドアを出て薄暑

    草臥れ男

  • 夕薄暑飛行機雲を見る父子

    美津うつわ

  • ホペイロのくちぶえ湿る薄暑の夜

    坐花酔月

  • バス停の手話の二人へ薄暑光

    おかえさき

  • 暴れ出す水やりホース薄暑光

    このみ杏仁

  • 南蛮の酢の香籠れる夕薄暑

    柚木みゆき

  • 鎌倉の螺髪くろぐろ街薄暑

    布村 柚子

  • 中とほる梅田の地下の薄暑かな

    比良山

  • 列車入る北鎌倉に薄暑かな

    中田二俊

  • 薄暑光風に強まる応援歌

    空豆魚

  • 御所西の足腰御守薄暑かな

    小林番茶

  • 老いっぱいの百円バスや街薄暑

    篠田ピンク

  • お迎えのペダル重たき薄暑かな

    北のすずめ

  • むらさき・き・みどり薄暑を輪切り跳ぬ

    鶴小なみ

  • 路上カフェ店主と語る薄暑かな

    テレシア

  • 隠れ家の納屋に薄暑が邪魔をする

    山崎なお

  • 遠浅の浜は西から薄暑光

    風早杏

  • フィラリアの薬嫌がる薄暑かな

    なつめモコ

  • 菜園の鎌研ぐ音や薄暑光

    岩本夏柿

  • ゴンドラのチャオと漕ぎ行く夕薄暑

    山田季聴

  • 白杖の探る薄暑のバス乗り場

    海野青

  • 試験日の薄暑の夕のサボタージュ

    haruwo

  • 箸一本酸っぱさすくう薄暑なり

    榊裕江子

  • ガス燈の灯る順番夕薄暑

    球追

  • 薄暑の荷造り試し婚止める

    林りんりん。

  • 水替えの墓地の往復薄暑かな

    田畑せーたん

  • 薄暑光好きに透き通りし生家

    剛海

  • 手術痕痛む日もあり夕薄暑

    ルーミイ

  • 鼻と耳のピアスはとりなさい薄暑

    中島走吟

  • 靴ひもをほどく背中の薄暑かな

    わたり 和

  • お岩木へ捧げじょんがら音薄暑

    津軽ちゃう

  • PS5提げて薄暑の帰り道

    ぜのふるうと

  • 薄暑空雲はいいなの亡父の声

    橋本諒駿

  • 枡酒を盛りこぼしたる薄暑かな

    dragon

  • 寄り道の薄暑の午後の人魚塚

    理酔蓮

  • 怒られて嗤ひを返す薄暑かな

    蒼空蒼子

  • 坦坦麺生まれし四川ビル薄暑

    津軽まつ

  • 目印のインドカリー屋無き薄暑

    中嶋奈緒子

  • ねるねるねるねぐるぐるまぜる薄暑

    松本こっこ

  • 忘れもの室へ薄暑を取りに行く

    樹海ソース

  • 邪気を梳く名人櫛や木曽薄暑

    ときめき人

  • スカイツリーの空を劈く街薄暑

    ことまと

  • 段ボール(小)が足りない夕薄暑

    飯村祐知子

  • ラッセンの光る薄暑のダイニング

    藤原素粒子

  • 夕さりの城址あまやかなる薄暑

    玉家屋

  • 薄暑めく午後ワッフルコーンの湿り

    坂本雪桃

  • 会釈して横断する子等薄暑光

    山 ゆり

  • 割るる音まざる薄暑の瓶回収

    深山むらさき

  • 水紋に映る薄暑の震へけり

    太平楽太郎

  • 忘却のまつ毛につどふ薄暑かな

    坂口いちお

  • 鉄の香と石炭の香の驛薄暑

    秋星子

  • 足浴を猫の見守る薄暑かな

    千賀子

  • 足首に母の名児らへ薄暑光

    佐藤烏有

  • こぶしのやはらか薄暑の授乳室

    おかだ卯月

  • 牛乳の覆ひ被さる喉薄暑

    菅井香永

  • 伸びきつたホースの先や夕薄暑

    丹波らる

  • 松の形に庭師頷く薄暑かな

    鈴白菜実

  • 窯焼きの煙真すぐに薄暑かな

    桜月夜

  • ショウベン逞しからずや嗚呼薄暑

    シュレディンガーの獏

  • 駐車場満車奈良公園薄暑

    もりたきみ

  • 昭和のビルまたひとつ消え街薄暑

    Nakahara結月

  • 逝く人と分かつ白布や夕薄暑

    エヴァーグリーン

  • カーステの残しゆく歌夕薄暑

    となりの天然水

  • わが町や坂道多き夕薄暑

    池田  凜

  • 歩行マシン最中の水や薄暑光

    森一平

  • 猫ならば赦さるることをす薄暑

    夏雨ちや

  • 無事と云う返信ありて薄暑光

    田口大寒六

  • 薄暑かな九回裏もツーアウト

    勘太郎

  • ゴミ袋の多言語表記路地薄暑

    木村隆夫

  • 動き出す振りこ薄暑の修理部屋

    青野遊飛(蚊帳のなか)

  • ドリンクの結露薄暑のスタンド席

    夏湖乃

  • カブの僧はためく袈裟や薄暑来ぬ

    遅狐

  • 夕薄暑喪服にかける清め塩

    森爺

  • 鴨川の風に吹かるゝ薄暑かな

    大谷如水

  • 車椅子といざ新幹線薄暑かな

    赤坂みずか

  • 信号の影に立ちたる美女薄暑

    山乃尾乃道之翁

  • スープカレーの野菜の青き薄暑かな

    山内 負乗

  • 杖ついて薄暑長谷寺媼らも

    Karino

  • 薄暑光物質みな原子から成るや

    小倉あんこ

  • 交番の迷子にグリコ街薄暑

    庭野環石

  • 薄暑光小波ぎりぎり濡れぬ靴

    戸部紅屑

  • 公園の鴉王国薄暑かな

    木寺 仙游

  • ブラインド下ろし薄暑を暗転す

    はまゆう

  • 薬味の香まだ浅くして薄暑かな

    五味海秀魚

  • B♭鳴らぬウクレレ薄暑かな

    きべし

  • 虎柄のあふれる列車夕薄暑

    山内彩月

  • 腹帯干す妻のまぶしき薄暑かな

    花和音

  • 誘導かろやか薄暑の駐車場

    四丁目

  • 船旅の支度すすまぬ薄暑かな

    そめいゆ

  • 居眠りの生徒三人薄暑かな

    深草あやめ

  • 点滴の管揺らぎをり薄暑光

    じゅんこ

  • 合同の自主防災の笛薄暑

    新濃 健

  • 平凡なる薄暑朝から大谷

    乃の

  • 縁側を笑ひ転げて薄暑光

    夏 しのぶ

  • 通学路傘の杖振る薄暑かな

    岸壁の龍崎爺

  • 洗われぬうちに犬を吸う薄暑

    羽織茶屋

  • 三つ編みを衿にはずませ薄暑かな

    くぼたみどらー

  • 街薄暑ピザ窯の薪匂いけり

    空木眠兎

  • 参道の木々が薄暑の風を編む

    千代 之人

  • 職人はまだ屋根の上夕薄暑

    楽椿

  • 角打ちに揃う馴染みや夕薄暑

    東京堕天使

  • スカートを二枚薄暑の試着室

    深町宏

  • 面接の椅子のひんやり薄暑なり

    リコピン

  • 新生児ねむる仏間の薄暑かな

    金子泰山

  • バクラヴァの蜜も滴る薄暑とか

    森無田

  • 来ぬ人を歪み硝子の夕薄暑

    新城典午

  • 太陽の片割れ匂ふ薄暑きぬ

    市橋ふんちん

  • 熱弁の時間超過の薄暑かな

    岡 草紅葉

  • 胸乳やや重くしをるる薄暑かな

    さとうナッツ

  • 式神がゐるよ薄暑の橋のうへ

    渋谷晶

  • 横浜の中華街に薄暑の月

    まるかじり

  • 鋸引けば森が匂へり峡薄暑

    岡井風紋

  • 校名入りバッグぱんぱん薄暑光

    あまぐり

  • 入院は真新しい靴薄暑かな

    麗し

  • 街薄暑階段急ぐピンヒール

    杜野 ほたる

  • 勝ち馬に寝藁敷き終え薄暑かな

    さぶろう

  • 鐘楼の太き橦木や薄暑衝く

    外鴨南菊

  • みな帰宅までを薄暑の昏きかな

    だいやま

  • 借景の窓指紋浮く薄暑かな

    島陽広

  • 食後のカバ歯磨きせがむ薄暑かな

    立町力二

  • 安達太良の薮ぬけ眺む薄暑かな

    南波舟

  • 親友が旅立つ朝の街薄暑

    全美

  • 乳母車足をばたばた薄暑光

    はぐれ雲

  • 補導せし子らのうなじや薄暑の夜

    大 広秋

  • 薄暑とは庖丁式の鯉の鰓

    沢胡桃

  • サイン会薄暑の大盛堂書店

    浦野紗知

  • 清澄の海道つづく薄暑かな

    西郡うり

  • 綿弓塚短冊ゆれて薄暑かな

    PONホンダ

  • 坂上る影軽やかな薄暑かな

    峰 乱里

  • 大蛇めくデモ行進や街薄暑

    島田雪灯

  • イニシャルKリングの裏へ薄暑光

    羊似妃

  • 死産せし仔犬に墓を薄暑光

    永井無々

  • みどり児の伸びのスイッチ薄暑光

    白子ポン酢

  • ジョッキめく給水塔や街薄暑

    南方日午

  • 朝市のひよこが走る庭薄暑

    砂山恵子

  • 洗車後張り付く羽に薄暑光

    秋谷 忍

  • 薄暑の空へ訓練の消防士

    多々良海月

  • 目覚めぬ弟二度目の薄暑かな

    笹靖子

  • 夕薄暑遠回りして風の道

    加藤水玉

  • 駆け巡る太陽の子どもたち薄暑

    三無季生

  • 青き封筒に入れれば薄暑きぬ

    宇野翔月

  • 濃き峰の背景画干す薄暑かな

    トウ甘藻

  • 空と海とローソンと薄暑は青

    八光地蔵

  • 病棟の風呂待つ廊下薄暑光

    若井柳児

  • 同棲に終止符ふさわしき薄暑

    十月小萩

  • リビングにボサノヴァ満ちて薄暑光

    小川テル子

  • 薄暑光手のりインコが消えちやつた

    青空まる

  • 推し待ちの一樹に頒つ薄暑光

    伊予素数

  • 野外フェスギター繰る手に薄暑光

    鳴海沓子

  • 雀二羽遊ぶ薄暑の一里塚

    とも子

  • 研ぎの音念仏めける薄暑かな

    也和

  • 水といふ堅さのけはひ薄暑なり

    藤咲大地

  • 橋桁のかげを薄暑のフラダンス

    武者小路敬妙洒脱篤

  • 免許証書き換え迫る薄暑かな

    笑詠化

  • 金刀比羅の一段飛ばし薄暑光

    風の木原

  • 新品のお寺に出逢ふ薄暑かな

    卓鐘

  • 薄暑なり神は世界を曝したく

    髙田祥聖

  • 少年の助走はしずか薄暑光

    豊後の李子

  • ピヨピヨの速い青信号薄暑

    川越羽流

  • 旅の途や薄暑の車窓昼の酒

    ミント

  • 街薄暑出番まだこぬカーニバル

    浜 友輔

  • さておいて古書店はいりゆく薄暑

    どゞこ

  • 斑鳩の薄暑鴟尾の蒙古斑

    髙野雁梛

  • 胎動の音はしづかに島薄暑

    山口葵生

  • 薄暑来ぬ狩衣の列はスニーカー

    沖庭乃剛也

  • モッツァレラ焦げて薄暑のキッチンカー

    山姥和

  • 実のついた苗買うべきかさて薄暑

    西田武

  • 薄暑かな隣家の犬の裸なる

    一条春枕

  • 街薄暑ラーメン店に色紙書き

    たけろー

  • 薄暑光街は十字に分けられて

    風花まゆみ

  • テント干す部室のにほひ薄暑また

    くろけん

  • 拝みつつハガキ投函夕薄暑

    酔蚊眼

  • グライダーひかる薄暑の山こえて

    ほこ

  • 混雑や薄暑の匂ふ山手線

    田村利平

  • 観覧車てっぺんに着く薄暑かな

    中村笙平

  • 髪ゴムを嵌める手首や薄暑光

    海谷泰水

  • 薄暑かな人は誰かの生まれ替わり

    リーガル海苔助

  • 耐え切れず洗濯ばさみ飛ぶ薄暑

    馬門宗太

  • 格子戸の貫の埃や薄暑光

  • 旅先に夫を許す薄暑かな

    水須ぽっぽ

  • 一斉に壊れる家電薄暑かな

    綿鍋雪

  • 千本の鳥居くぐれり薄暑光

    陽光樹

  • 紫雲木の空の広ごる薄暑かな

    小園夢子

  • 薄暑光はにわの口と目の射影

    中原柊ニ

  • 夕薄暑ゆっくり動く鯉の唇

    吉永那夫子

  • 薄暑の事務室保護者からの電話

    苫野とまや

  • 飛球追う選手の口は開く薄暑

    たこ山焼之輔

  • 傍らにゐぬ人のゐる夕薄暑

    龍田山門

  • マンモスの恥骨のあたりより薄暑

    朝月沙都子

  • 人差し指ぶって薄暑踏む中指

    立石 神流

  • めいめいのゆびのたけぶえ薄暑来ぬ

    かゐみすず

  • 信号の点滅待てぬ街薄暑

    ゆきなごむ

  • 薄暑の塵や開扉の北円堂

    てつなお

  • チアのポニーテールみな揺れて薄暑

    窪田ゆふ

  • 夕薄暑坊主頭の帰り道

    鶴富士

  • 回転の展望フロア街薄暑

    夢見昼顔

  • 縁のなき黄金展の街薄暑

    哲庵

  • 洋菓子を迷ふ薄暑の北野坂

    水きんくⅡ

  • 旅かばん薄暑の窓を開け放す

    加賀くちこ

  • うらがへす薄暑の石や白衣の子

    西野誓光

  • ビスキュイの焼き上がる十五時薄暑

    向日葵姐いつき組広ブロ俳句部

  • 青空に緑のピザカー薄暑なり

    山本蓮子

  • 真っ暗の廃墟に薄暑光微か

    原島ちび助

  • 薄暑なりあの日の我はこのあたり

    どらまにあ

  • ゲネプロのヨレた台本薄暑かな

    at花結い

  • 将棋部と並ぶ薄暑の献血車

    井上鈴野

  • 薄暑なり昭和九十九年の

    斉藤百女

  • 悪玉は太陽フレアてふ薄暑

    有野 安津

  • 在りし日を糾すがごとく薄暑あり

    山百合

  • 薄暑なる三半規管に天地真理

    吉野川

  • ややありて揃う薄暑の応援歌

    木染湧水

  • さりさりとノイズ薄暑の放送室

    真井とうか

  • 車椅子畳む薄暑の退院日

    青木豊実

  • 横顔も薄暑も包むヒジャブかな

    はまお

  • バーボンおかわり薄暑のショットバー

    どすこい早川

  • 吊るし脱ぐシャツ薄暑のマッチョ倶楽部

    としなり

  • 軽暖の畑に祖父母と離職の吾

    仁山かえる

  • 植木屋の薄暑に架ける梯子かな

    谷川ふみ

  • 薄暑には亡き王女のパヴァーヌかな

    青柳修平

  • 薄暑光ドラムメジャーの服赤し

    神島六男

  • 面取らば薄暑の風のとほりけり

    青水桃々

  • 切りたての髪よ薄暑の通院日

    明後日めぐみ

  • 動かない電車の空調に薄暑

    清鱒

  • いちめんに煌めく絮毛薄暑の空

    haru_sumomo

  • 失恋の手を放したる薄暑にて

    閏ゆうすみ

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