俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2024年5月20日週の兼題

南風(みなみ)

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • モノクロの告知日南風強し

    中井無心

  • 南風吹く文化九年の石地蔵

    市橋正俊

  • 鯖檸檬パスタの南風起こしけり

    松本独り

  • 南風吹く髪からしずく深呼吸

    つぶ金

  • 大南風海のキリンに吊らるる荷

    岡根今日HEY

  • 南風吹く朽ちし教会のノワール

    笑酔

  • だんこ虫のおうち南風でとんでった

    寺尾ロゼッタ

  • 南風来て何度もかけるレコード盤

    増本空ふね

  • お祓いに行ってみようか南風

    栗花落カナヲ

  • 嘴の下は海峡大南風

    まるちゃんにいさん

  • 南風ごと綴づ百人の面談日

    椿 佳香

  • 読みかけし[こころ]のしをりみなみかぜ

    鈍亀

  • 在来線飛び乗れ故郷南風

    香田 野分

  • 北前の沖の南風に追はれけむ

    男鹿中熊兎

  • 野菜選る南風たつぷり吹かれしを

    西郡うり

  • 南風押す丸太の船や少年団

    白井佐登志

  • 南風吹く祖母の記憶に居た日数

    青みどり

  • 厨まで線香くさし南風

    喜多丘一路

  • 銀色の穂先揺るがす南風かな

    OH典子

  • 姉になるひざっこぞうの血に南風

    イシデ電

  • 南風にカリブの名残り詩にして

    reion

  • 南風や薄荷キャンディー二つ食ふ

    清水美沙

  • 南風や釣り餌の匂ひ指先に

    森 日美香

  • 新調のロッカー眩し南吹く

    鈴木裕公仁

  • 南風翁の語る昭和かな

    宝塚御殿子

  • 南風脹るるシャツや海を飛ばん

    おんあいす

  • ソーランの網引く振りへ南風来る

    小田嶋隅雀

  • 南風や儘ならぬ身の病室に

    リカ

  • 凱旋の温度を定む南風

    ほこ

  • 三陸の海も線路も南風かな

    あさぬま雅王

  • 大魔神怒る風炎と化す南風

    羽柳武助

  • 南風とはことごとく未然形

    そら

  • 南風来て家の回りを嗅ぎまわる

    芋 二郎

  • なまぐさき南風が押してゐる暖簾

    かん かんし

  • 吹き荒れる南風青空は微動だに

    まるかじり

  • 南風吹く錆色に鳴く風見鶏

    トマト使いめりるりら

  • パンケーキの円周率や大南風

    明神おぼろ月

  • 南風メメントモリもどこ吹く風

    平川一空

  • 南風吹く道着を干して昼に飲む

    小田毬藻

  • 少年の眼の青茶灰色南風立つ

    三重丸

  • 言訳と南風を閉じ釣仕舞い

    匹田小春花

  • 南風不安な前髪がちぢれるを

    笹 イボ太郎女

  • 急カーブの海の車窓や南風吹く

    ふのんへん宗悟

  • 南荒れ苫屋の漁師酒を酌み

    妄児

  • 南風吹く三日延期の宇宙船

    仲 操

  • 息止めぬ岬灯台みなみ吹く

    川島欣也

  • 寂びたるや南風駆け抜くアーケード

    伊予吟会 宵嵐

  • 大南風スケッチ帳の上に砂

    砂山恵子

  • 葉の心に大きな乱れ南吹く

    親睦

  • 南風吹くそろそろジャズに飽きた頃

    稲光虎介

  • 南風やミディアムレアのメガサイズ

    くずもち鹿之助

  • 南風向く川に漂う吐いた嘘

    月夜案山子

  • 神港の合宿跡地南風

    青空まる

  • 鈴ヶ森刑場跡や南風

    斉藤百女

  • あらはなるモンサンミシェル南吹く

    たこぼうず

  • 亜麻色の南風キリンの首を過ぐ

    田村利平

  • 舵を南風へ航跡波荒々し

    松永恕淳

  • たばこ屋は廃業したよ南風

    Kかれん

  • 本日の南風は四分音符かなぁ

    たか

  • 南洋に沈みし遺跡南風

    亀田荒太

  • 接岸の二十万トン南風ぐもり

    木村隆夫

  • 土佐湾のありたけ孕み南風

    白神ハムサンド

  • 指を立て南風の行き先聞いてをり

    伊都

  • 型押しの古代の文字に南風

    橋本鳩子

  • 南風よ君は異国のプレス工

    彩 詩充

  • 球を打つ南風向かつて一打入る

    藤 えま

  • 舟たたた湾に小さき弧や南風

    ナノコタス

  • 江田島の総短艇や大南風

    希布

  • 南吹くセーフセーフは草野球

    杉尾芭蕉

  • サーカスの象の汗ばむ南風かな

    GONZA

  • 南風やギター背負って上京す

    風来坊健丸

  • 大南風ドイツの友を迎ふる日

    そうま純香

  • 正南風の洗ふ寝釈迦と吾の蹠

    清島きゅうもんde木の芽

  • 南風吹く女将操る耕運機

    中田邦光

  • 南風や遠き認定こども園

    コーヒー博士

  • 南風吹く瓦礫となりし生家にも

    かこよし

  • ひざまづく葉かきの畑や南風

    小川都

  • 猫を抱くあえかなるひと包む南風

    池 閑茶

  • 南風あゆめば未知となる線路

    水瀬曜

  • 南風母はひとりで生きている

    ヒマラヤで平謝り

  • 南風と伊能忠敬なぞりたり

    とんぶりっこ

  • 南風吹き吾子の呟き解せぬまま

    ひぐちいちおう(一応)

  • 南風や一駅先は進学校

    三隅 涙

  • あの島の名前は知らぬ南吹く

    彫刻刀

  • 南風吹く白き洋館聳え立つ

    辻本四季鳥

  • 南風や並ぶ四種のユニホーム

    どこにでもいる田中

  • 空つぽの生簀へ南風だらり

    三浦海栗

  • 櫓を漕げ南風斎太郎節の嗄声

    福田みやき

  • 波の上ゆ国際通り南風(はえ)止まず

    藤井赤童子

  • 南風吹く大手を振って木片道

    夜ノ森ムーミン

  • 始発待つ鞄に喪服南風

    福花

  • 大関の大きな尻や大南風

    佐藤茂之

  • 過ぎ去つたジーランデイアの南風かな

    青柳修平

  • 南風ケチャップの海オムライス

    あが野みなも

  • 舫い解く祖父のキャップを打つ南風

    渥美 謝蕗牛

  • 水飴の絡みとつたる南風食ふ

    丹波らる

  • 南吹く白大島の銀座行く

    とりゆふ

  • くちづけしても酔いがさめない南風

    桃花鳥ゑ

  • 南風やどんな気持ちで付けた名か

    あらい

  • 大南風空襲の碑の黒御影

    狩谷わぐう

  • 鮮やかなベトナム料理南吹く

    ひすい風香

  • 南風や群れを外るる気球をり

    花和音

  • 舌根に漢方午後の南風

    雨野理多

  • 麻紐はいぼ結びなり南吹く

    いその松茸

  • 南風北軍の詩南軍の詩

    リーガル海苔助

  • 宮古駅に思い出ノート南風

    沢胡桃

  • 南風「あいつ死んだ」との誤報

    ふくろう悠々

  • 南風隣に倣う松林

    瀬戸ゆらり

  • 半島の南風湿度の鳥の負荷

    三群梛乃

  • 桟橋の幽霊南風の熱孕む

    小豆白虎

  • 南風吹く海沿いにある駐在所

    桃香

  • 検疫のレイ南風ごと持ち帰り

    藤里玲咲

  • 南風吹くここが烏の便所らし

    岬ぷるうと

  • 林間は僕と南風の休憩所

    一雁低空

  • 南風や悔い無く死せる人あらず

    宗平真実

  • 瞬きもしないで見てた南風

    石原しょう

  • 南風吹かばがしゃがしゃ塔婆揺れにけり

    田口大寒六

  • 南風吹く砂町銀座コロッケ屋

    小池令香

  • 駅前のポストからっぽ南吹く

    Q&A

  • 南風吹くパフスリーブを白帆とす

    石神湖畔

  • 一〇八の縫い目かっ飛ばせり南風

    立石 神流

  • 南風吹く竹のさざめき雲早し

    しろくも

  • 齷齪す我を笑ふか大南風

    は・な・み・ず・き

  • ペガサスの骨は野ざらし大南風

    渡辺桃蓮

  • 釣り船の最終便や南風吹く

    小林昇

  • 南風水ノ子島の波頭かな

    余熱

  • 欠航の張り紙拉く大南風

    佐藤烏有

  • 屋上を沸かせるシーツ南風吹く

    髙橋花紋

  • サックスや玻璃を震わす南風

    中村雪之丞

  • 低空の月を溶かして大南風

    外鴨南菊

  • かの男振り向けば吹く大南風

    日暮ひぐらし

  • 草ぬくも悉有仏性南風

    南波舟

  • 建て付けの悪しき箪笥や南風

    きべし

  • 鉄棒に百年の錆南風

    宮坂暢介

  • 老いた手を空にかざして南風鳴る

    ちくりん

  • 南風やしばらく君とけもの道

    ちびつぶぶどう

  • 南風来てウッドデッキの角まるし

    時まる

  • 南風やヒルクライムのタイム競る

    笑詠化

  • パフェの底青いシロップ南風

    ゆみづき

  • 甲板のぬめりと匂ひ南風かな

    はごろも856

  • もんやりと南風の匂う星の砂

    でんでん琴女

  • 斎場の昼の余白の南風かな

    犬井山羊

  • 南風や乾いた音のホームラン

    名出 結希人

  • 脱兎のごとく内覧の大南風

    吽田のう

  • 調律のピアノ不機嫌南風受け

    宮川武久

  • 南風受け方程式の解が飛ぶ

    織 紫子

  • 真つ新な卒塔婆へ南風強く

    たまのねこ

  • シーソーに預けた上着南風

    おかもとふあんた

  • 快速の過ぎて南風は海より来

    五味海秀魚

  • 野に足を投げて南風は毛むくじゃら

    柿司 十六

  • 南風の立方体として吹きぬ

    もりさわ

  • 南風の夜柳ジョージに酔い候

    苺井千恵

  • 南風太陽にさへあるホクロ

    虎堂吟雅

  • 南風やペット火葬車に嘴

    兎野紫

  • 南吹く両校ともに凡打のみ

    青桜ウインド

  • 本選へゆけぬ銀賞南風

    とはち李音

  • 南風平和の像の鳩飛ばす

    海峯企鵝

  • 椰子並木順に揺らすや南風

    虹岡思惟造

  • 南風据えし物置古書を積む

    虫倉蝉音

  • 南吹く龍馬の浜の砂に吹く

    清鱒

  • 南風の雨やごごごごと離陸の音

    藤咲大地

  • 入江より南風登りくる神社かな

    しづく

  • 正南風に乗ってサーカスやって来る

    健央介

  • 返信の一句ほのぼの南風

    こま爺

  • 南風ガラス越しの暴れ龍

    玉川 緑風

  • 大南風長球すべる決勝戦

    古庄 萬里

  • 南風なみだとさようならするか

    高市青柘榴

  • 南風吹く髪を結んだピアニスト

    中川青嵐

  • 絶海の二重カルデラ大南風

    このみ杏仁

  • みなみかぜ柱の闇の鈴が鳴り

    大山田いぬふぐり

  • 南風や手を振るフェリーターミナル

    卯之町空

  • 南風吹くプロペラ機へと乗り換える

    テツコ

  • そこらじゅう異国語そこここに南風

    松本こっこ

  • 南風や十六歳の膝小僧

    緩木あんず

  • ツル頸の駒引く二人南風かな

    さぶろう

  • 上棟荷揚げ始まるや南風吹く

    もりたきみ

  • 包まれて賛歌のごとき南風かな

    松沢ふじ

  • 南風ふわり失せ物戻る街

    越智空子

  • 富士山の腹を嬲って大南風

    秋野木吾

  • 校庭を行く雲の影南吹く

    信濃のあっくん

  • 電線の配線美かな南吹く

    夏目あかり

  • 鉄棒にかすかな潮気南風吹く

    祥林

  • 終焉の地にみなみ止めどなく止めどなく

    林 りんりん。

  • 三者面談へ向かふ眦南風よ来

    山田不律

  • 赴任地のWi-Fiに「WAR」南風吹く

    草臥れ男

  • 青あざの真中より癒ゆ南風

    菅井香永

  • 南風や寝床に寄せる波の音

    林口竹

  • 南風に挑みてサーブ打ちにけり

    楽和音

  • 南風や十月十日の腹ずしり

    旺上林加

  • 勝負師の髭もぢゃもぢゃに南吹く

    松永智志

  • 一山の葉を裏返し大南風

    まぐのりあ(蚊帳のなか)

  • 緩みたる地熱の蒸気南風

    小園夢子

  • 南風吹く小さきホテルの小さき部屋

    さとうナッツ

  • 南風吹く吾子にみなみと名付けけり

    黒田安人

  • 曳網に群がる羽音大南風

    対馬清波

  • 椰子の実を落としてきたか大南風

    慢鱚

  • 南風食むカモメ砂丘の先は海

    橘鶫

  • 南風吹く海の喫茶の喘ぐドア

    上村 風知草

  • ちやんちやんと錆打ちハンマ南風

    山崎なお

  • 丸洗ひさるる柴犬南風吹く

    駒村タクト

  • 南風やキリンのまつ毛はバッサバサ

    竹村マイ(蚊帳のなか)

  • 四十五度傾けし帆に南風ぐんっ

    巳智みちる

  • 五ページより文庫進まず南風

    うさぎ柚和

  • 洞窟の聖マリア像南吹く

    平としまる

  • 機首上げて南風突っ切る畑の上

    沢井如伽

  • 南風浴び腕逞しく男臭

    ゆぃ

  • フェリー追う海鳥の群れ南風吹く

    たなべ早梅

  • 鋭角の緩むズリ山南風

    猫またぎ 早弓

  • 残業を終えて南風に身の緩む

    出水ゆみ

  • 南風吹くコミケで売れた薄き本

    火星ラジオ

  • 高跳びのバー擦る背南風

    愛柑

  • 南吹くゲームチェアのぬくもり

  • ぬうらりとキリンのよだれ南風吹く

    青野遊飛(蚊帳のなか)

  • 南吹く烏を睨むカイトかな

    卓司

  • 南風吹く陀羅尼助丸二十粒

    Early Bird

  • 南風来る船乗りの眼の滾る碧

    楽花生

  • 男体の薙の幾筋南風吹く

    悪七兵衛

  • 産土は地球の臍よ南風吹く

    山路碧水

  • 南風にほつれる背番号の端

    渡邉 俊

  • 大南風父の御しゆく耕運機

    風早杏

  • 赤錆の物干し竿に南風吹く

    こきん

  • 毒ガスの記憶の島や南吹く

    久留里61

  • 正南風や天地返せし味噌の瓶

    ふゆの都々逸

  • 八度目の南風のエールさかあがり

    明惟久里

  • 寝返りを打てぬ痛さや南風吹く

    房総たまちゃん

  • 魚河岸はけふも混雑大南風

    立野音思

  • 南風もやいの父や力瘤

    西風 心鏡

  • 大南風ジョリー・ロジャーのよなおねしよ

    元野おぺら

  • 三月目の社員証下げ南風かな

    細木さちこ

  • 海賊の棲みたる島や南風吹く

    君島笑夢

  • 海抜ゼロ迫る国から大南風

    黄鶺鴒

  • 鉢底の石へ励ますごと南風

    八十六九

  • 流木の肌のすべらか南風

    竜胆

  • 桜島南風つれだち上京す

    ウロ

  • 南風はカレーライスを推しにけり

    猫ふぐ

  • 赤子泣きやまぬ家へと南風吹く

    ぐりえぶらん

  • 進水のテープへ南風巨船浮く

    樹朋

  • 南風吹く崖わだつみの喉仏

    錆田水遊

  • 白き帆の南風の止みて凪枕

    佐藤 位相朗

  • 日の国は北にヘラヘラ南風

    橋本諒駿

  • 夜明かしのしばたたく目を刺す南風

    松田てぃ

  • 南風やにれかむ牛の野に重し

    風慈音

  • 干す網へ銀の南風や波高し

    山姥和

  • なぜなぜに答ふる姉や南風

    香田ちり

  • お土産は瓶ドン車窓より南風

    十月小萩

  • キャンバスの混色暗し南風

    滝上 珠加

  • 南風吹く席からっぽの退職日

    佐々木ヨウジ

  • 天辺へゆく道けはし南風吹く

    千原 十吾

  • 南風吹く剣豪像の光る鍔

    浩子赤城おろし

  • 南風や子は洗はれて健やかに

    蒼鳩 薫

  • ルフランの南風嬰児の髪あらふ

    石上あまね

  • パピコのフタ舐めあう二人南風

    たーとるQ

  • 大南風廃車の山を吹き上がる

    秋星子

  • 山寺はもう少しだと南風

    和泉明月子

  • 深沼の南風よ骨の声拾う

    俳句王

  • 南風や真水に濯ぐ吾子の耳朶

    石田将仁

  • 南風吹く野猫は未だ捕まらず

    あたなごっち

  • 南風帰路を忘れし街の角

    中村あつこ

  • 南吹く峠を馬の一歩二歩

    半ズボンおじいさん

  • 南吹く堤防に祖父日もすがら

    平野水麦

  • 南風や線香の灰付く喪服

    金子泰山

  • 南風吹く夕黒雲に金の縁

    古川一光

  • ここはウィーン涙も渇く南風

    たけうち晴美

  • 雲つくる工場の音南風

    剛海

  • 間の悪き南風主役の待ち時間

    白沢ポピー

  • 彼方より藻塩の薫り南風吹く

    杉山駄芭

  • 骨壺の底に珊瑚や大南風

    高永 摺墨

  • 草千里わきたつ波の大南風

    上津 嘉子

  • 南風魚介パスタの黒胡椒

    千鳥城.チーム広ブロカナダ支部

  • 行商の肩の凹みや南風

    髙橋弓女

  • 南風吹くドックに舫ふ豪華船

    塩野谷慎吾

  • 南風に発つ知覧最後の特攻機

    吟  梵

  • 伏せた目のティッシュ配る子南風

    謙久

  • ピアノを運ぶ漢南風をよろめきぬ

    泉晶子

  • 畦道の石蹴り上げて南風吹く

    小原実穂

  • 放つ矢の孕む南風や霞的

    青木りんどう

  • 温み帯ぶ肺や帰港の父南風

    ペトロア

  • 大南風弊社のテントだけ斜め

    成瀬源三

  • 南風やママが愚痴聞く漁師町

    フージー

  • 大南風そよぐものみな青となる

    津島野イリス

  • サイレンのちぎれちぎれの南風哉

    山尾政弘

  • 南風背に洞穴を突く舳先かな

    白庵

  • 理科室の水生昆虫南風吹く

    入口弘徳

  • くじら組めくる室戸の南風

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • 南風吹く駱駝の鞍に蝶の柄

    藤白真語

  • 南風吹くほどなく後期高齢者

    渡嘉敷五福

  • 早朝の南風ヒロインの眉間

    鬼殻

  • 海行きの電車は光る南吹く

    こうだ知沙

  • 火起こしのできる園児ら南風吹く

    中島走吟

  • 南吹く砂丘に点のやうな人

    ななかまど

  • この町を「頼む」「任せろ」南風吹け

    芦幸

  • 南風吹くおんじは雨になると云ふ

    蒼空蒼子

  • 南吹く舟のポーズのヨガ百人

    宮武濱女

  • 南風乗る翼旋回十勝の野

    反芻医時光

  • 煙草の火おさめ南風と出港す

    沢 唯果

  • 祈りかたひとの数だけ大南風

    村木年子

  • 飛ぶ鳥のためらいもなし南風かな

    砂月みれい

  • 南風や砂場の城にあげる水

    大野美波

  • 富士山が揺れるはずない南風

    だけわらび

  • 鳥の子の胸毛やはらか南吹く

    みやま千樹

  • 過去にない支店五年目南風

    吉野川

  • ビルの海泳ぐ翼は南風乗り

    青い小鳥

  • 粥を食ふ吾子の大口に南風

    吉田竹織

  • 海神の松風囃す南風かな

    春海のたり

  • 鈴の音の足摺岬南風吹く

    白井百合子

  • 大南風自由の女神たじろがず

    とんぼ

  • 大南風海賊船の帆はシーツ

    小池博美

  • 解体の途中に南風喝を入れ

    しんしん

  • 外つ国へ旅の算段南風吹く

    風花まゆみ

  • 南風や三交代の鐵工所

    堀邦翔

  • 入港の船笛高し南吹く

    阿曽 遊有

  • 団旗振る浜の球場大南風

    眠 睡花

  • 灼熱のペスカトーレに南風吹く

    澪那本気子

  • 名の変はるバス停散髪後の南風

    臥榻其処等

  • 南吹く漁師は浜に児の手持つ

    甘泉

  • 喰ひしばり南風を渡す伸子かな

    加座みつほ

  • 南風やフェリーは海を切り開く

    菅野まこ

  • 突きん棒や仕留む真旗魚大南風

    黒澤墨青

  • 南風吹く町工場たる油の香

    哲庵

  • 紙メジャー揺らす新居の南風かな

    紗藍 愛

  • 南風吹く父の遺品の書道筆

    山川腎茶

  • 大南風天地返しの畑二反

    村上継鳥

  • 御木曳の木遣の張りや南風

    伊藤柚良

  • リアス式海岸抉りたる南風

    けーい〇

  • 巡業のまわし干さるる南風

    玉響雷子

  • 大南風十万億土は温かい

    つくも果音

  • 南吹く母の面会十五分

    白薔薇

  • 南風吹く岬に鎮座する野猫

    晴田そわか

  • 南風や楕円に歪むとんびの輪

    田辺ふみ

  • バリケード解除の町へ南吹く

    仮名鶫

  • 南風や波を一手に烏帽子岩

    空木眠兎

  • 南風吹く首里城跡のショベルカー

    いくたドロップ

  • 深呼吸すれば南風に君の気配

    中島穂華

  • 僚友の柩の窓や南風

    うた 歌妙

  • 原発に吹き付けている南風かな

    野中泰風

  • 南風や部室の跡を吹き抜ける

    麗し

  • 大南風錆巻く初代校長像

    木ぼこやしき

  • 南風や終点めける防波堤

    ジン・ケンジ

  • 南風やセロの音僅か下りたり

    むじーじ

  • タンカーの日の丸太し大南風

    坐花酔月

  • 去り際の又三郎か大南風

    真喜王

  • 南風吹くジャングルジムで母待つ子

    吉川花ほっぺ

  • 追い風は南風普通車乗り放題

    松山茜柑

  • 対局に南風掴むは誰ならむ

    ふみ

  • 巨船往く猿島沖の南風かな

    達坊

  • 牧場に佇むエミューみなみ風

    いたまき芯

  • 移住課の平たき屋根を南風

    なしむらなし

  • 原発の動く動かぬ南風は吹く

    京野さち

  • 大杉の樹齢千年南風吹く

    風の旅人

  • 街ピアノ連弾の手に南風吹く

    西町彰子

  • 藁焼きの浜にまっこと南風

    八尾の正吉

  • 廃船の傾くマスト南風吹く

    せいしゅう

  • お台場のどこ向く大砲大南風

    吉田わさび

  • 天を突く杉の木立や南吹く

    三天朱印

  • 白亜紀の崖の白さや大南風

    夏椿咲く

  • 岸は南風東京支社と長電話

    松山めゐ

  • 大南風に生意気な捨て台詞吐く

    森 佳月

  • ヘルパーは浅黒き肌南風

    千葉睦女

  • 新築の扉は香る南風

    一条春枕

  • 石の家まだある島や南風吹く

    みやかわけい子

  • 大南風吹き渡る脱藩の道

    竜退治の騎士

  • 南風吹く転がり続ける団子虫

    たむらせつこ

  • 船頭や南風の舳へどつかりと

    満生あをね

  • 南風塩盛大に子ども相撲

    常磐はぜ

  • 南風吹く熱海初島三十分

    与志魚

  • 商談の控える路地や南風行く

    ナゾラブ

  • 南風吹くメガソーラーの黒き山

    高尾里甫

  • 甘党のくちびるで吹く南風かな

    野原 華

  • 飛行機雲伸び南風の毛づくろい

    中村すじこ

  • 遠浅や南風と走るサッカー部

    日向こるり

  • 法名の板の乾きや大南風

    釋愚拙

  • 引退の選手南風のホームラン

    松本笑月

  • 弓音の真直ぐに届く南風かな

    神島六男

  • 正南風や車庫の愛車に鳥のふん

    いごぼうら

  • 南風や長生きしてたサリンジャー

    和泉次郎

  • 応援歌高らか旗へ大南風

    沖原イヲ

  • 赤瓦南風を吸ひてなほ赤く

    家守らびすけ

  • 南吹く今日より村の一員に

    いつか

  • 青銅の鬣なびく大南風

    高田杏

  • 南風磯笛焼玉の和音

    庄山正道

  • 南吹く朝犬舎のがらんどう

    棗椰子(なつめやし)

  • 十時には茹で上がります南風です

    作作

  • 南風吹く島に暮らして長寿なり

    かんこ鳥

  • 踏切の先を船行く南風かな

    堀口房水

  • プレゼンを終えて南風にご報告

    ムシ・ミカミ

  • 錬馬の朝海岸を往く大南風

    泉水あやめ

  • 南風吹くや錆の臭いの船溜まり

    渡部 あつし

  • 北へ行く南風よ野鳥観察台

    無弦奏

  • 袖口へ龍の尾のごと南風

    矢橋

  • 大南風だうりで重き帆布靴

    和緒玲子

  • 朝5時の筋トレプロテインは南風

    円谷琢人

  • 這ひ跡の銀のうねりや南風

    あまぐり

  • 放射線状の白髪や南吹く

    嶋田奈緒

  • 南風来る干されたままのスニーカー

    戌の箸置

  • 南風吹くや母の陰なる砂遊び

    おかえさき

  • 南風仔犬の声のあまやかさ

    はまお

  • 南風や水平線に君の船

    永井無々

  • ろくでなし繰り返す歌南風

    森葉豆

  • 南吹く父不明の町内放送

    華風ルナ

  • 錆び付いた檻に棲む虎南風吹く

    玖良咲

  • 南風や馴染めぬ巨大防潮堤

    かつたろー。

  • 荒濤に崩ゆる熔岩大南風

    巴里乃嬬

  • 長谷寺の光る甍や大南風

    海野青

  • 大南風向きの決らぬ風見鶏

    豊岡重翁

  • 術痕のうすらぐ胸へ南風

    夢雨似夜

  • 早逝の友の個展や南吹く

    だがし菓子

  • 海に島に南風たおやかなる石庭

    花亭五味

  • 南吹く宿の予約もせぬ旅よ

  • 脛撫でし南風止まれのひび割れて

    鳥羽南良

  • 池廻りもう一周や南風

  • 無線聴く祖父の手拭い南風吹く

    岸壁の龍崎爺

  • ひざ裏の砂の残りや南風来る

    つまりの

  • 南吹く雨戸の軋む木賃宿

    誠馬ノマド

  • 表出の地層を磨く大南風

    紅紫あやめ

  • 折鶴の転ける箸置南風

    中 兎波

  • 就活のネクタイ緩めれば南風

    悠雨木 はな

  • 南風吹くみづの匂いに父を撒く

    阿山きし

  • タロットの恋人達や南風

    水鏡新

  • 南風にあらがう鳶の余裕かな

    藤 無南

  • 大南風苔生す唐臼の鼓動

    はなだ杢

  • 海南風見聞録の頁繰る

    如月ドロップ

  • 嘴太の群れて突きて正南風かな

    黛素らん

  • ベランダに雑草のあり南風

    葉月けゐ

  • 大型バス連ね客来る南風来る

    九郎四郎

  • 南風向き南風を聴くや河口の鵜

     銀 次郎

  • 南風を酒盛りに沸く漁師の座

    たけぐち遊子

  • 南風吹く媛神祀る海の上

     蔵原 貢次郎

  • 陸亀に跨つてをり大南風

    小だいふく

  • 南風や前後左右に人の波

    小夏

  • 青々と雨は上がりて大南風

    鈴野蒼爽

  • 飛びながら鳥波となる大南風

    あなうさぎ

  • 面舵へ上腕筋へ南風

    水間澱凡

  • 胸鰭の付根の青の南風かな

    佐藤 藍魚

  • ダカラからポカリに変えたくなり南風

    川口桃之助

  • もう陸(おか)に上がると父や大南風

    小笹いのり

  • 海を向く古りし砲台南風

    さぶり

  • 南風雨も知らずに街歩く

    本気のめんそ

  • 窓をあけ理科の授業や南風

    布村 柚子

  • 南風吹くペンキの匂い黄色くて

    公木正

  • 南風や男子寮よりギターの音

    淡湖千優

  • 朱雀門つらにがたいに南風受け

    今野佑紀

  • 義父の育ちし小坪の海や南吹く

    小倉あんこ

  • 足指透く南風木陰に名を付けて

    九重かずら

  • 埋め立ての南風の匂い転校生

    黒蜜きな子

  • 南風や靴の疲れを吸う新聞

    島田あんず

  • ライバルは「翔平」って奴大南風

    蓮井理久

  • 南風や永遠にモアイの守る島

    黒蜜かりんとう

  • 南吹く一万歩まで一〇六歩

    梅朶こいぬ

  • 海神は人喰らう神大南風

    久森ぎんう

  • 赴任地へ電車は揺れて南風

    碧西里

  • 梳る髪の重さや南風寄す

    房総とらママ

  • 月面の砂をしならせ海南風

    白プロキオン

  • 生ぬるき南風の匂ふラチエン通り

    天陽ゆう

  • 南風の初回怒涛の甲子園

    そうり

  • 南風吹く膝の高さの係船柱

    高橋寅次

  • 熱帯のフルーツ露店抜け南風

    洋々

  • 貝塚の記憶を南風呼び起こす

    笑笑うさぎ

  • 喜屋武岬南風語るや波叫ぶ

    みなづき光緒

  • 南風や盆地の底に聖家族

    たつき

  • 岩陰に潜み南風をやりすごす

    星私虎亮

  • 南風や網に絡まる海揚り

    丁鼻トゥエルブ

  • 貝殻をつけた貝殻南吹く

    横縞

  • メンソールタバコ清しき南風かな

    多喰身・デラックス

  • 南風喪服の裾をもてあそび

    さおきち

  • 辛き地に遍く南風あらんほど

    矢嶋博士

  • 二人掛けのベンチ南風に一人分

    白石 美月

  • 忿怒の不動明王へ南風

    どすこい早川

  • さざなみと南風優しく乳母車

    粋庵仁空

  • 南風や婦人夕餉の魚釣り

    篠雪

  • 牧の音の行き交う朝や南風

    喜寿の嵐

  • 南風や追慕の句しか詠めぬ我

    高本蒼岑

  • 正刻を指さぬ時計や南風吹く

    ちゃあき

  • よぼよぼの老人ふたり南風

    小木さん

  • 街は南風旋回続くヘリの音は

    永井春蘭

  • 南風のはじめは梢ゆれる音

    豊後の李子

  • 「ともかづき」南風の息の生ぬるし

    星詩乃すぴか

  • 海南風課外授業はゴミ拾い

    空山プラネタリウム

  • 船体で割らるるボトル南風吹く

    火炎幸彦

  • 南風や古書店の扉を叩く

    梨山碧

  • 南風の匂いに揺れる象の鼻

    森爺

  • 南風よ貝吹き時を告ぐ漢

    メレンゲたこ焼き

  • 大南風小骨の刺を喉仏

    春風流士

  • コンビニは異国の夕べ南風

    千の葉

  • 鋸山の地獄のぞきや大南風

    むったん

  • 南風や真帆隆々と彼方より

    山乃尾乃道之翁

  • 南風吹く二日遅れの朝刊紙

    むねあかどり

  • 南風を含みし墨や「陽」並ぶ

    千暁

  • 夜の雨南風も人に分け入るか

    藤鷹圓哉

  • 雨靴を洗ひ南風へ並べ置く

    冬島 直

  • 三段壁神秘の洞へ大南風

  • 支木腹に喰はせ南風の浄土ヶ浜

    伊予素数

  • 南風背に練習超えるストライド

    天照昭光

  • フルフエイス脱げばねつとり南風の音

    はなぶさあきら

  • 無精髭白し南風のこそばゆく

    山香ばし

  • 南風や雑魚裂く指の手捷し

    山野麓

  • 前髪をはじく南風の透明度

    高遠見上

  • 一本の蹇ぎ行くベトン大南風

    迫久鯨

  • 南風しゅんどる。犬、猫、船、島民

    司啓

  • 東照宮南風に江戸はすでに雨

    一井蝸牛

  • 一望の新墓地抜ける大南風

    青野慈江衣

  • 知らぬ街南風の列に加はれり

    夜之本紙処

  • ABBA二枚抱いて家出る南風

    利尻

  • 石亀の首を戻せし南風かな

    藤岡美波

  • 南風や骨を鳴らして坂の街

    谷川ふみ

  • どっぷりと南風に濡れる倭かな

    山川土時

  • けん玉の音は高らか南風

    藤永桂月

  • 南風吹くぱいなつぷるとちよこれーと

    空木花風

  • 「南風ヨシ」心頼みの海図かな

    山河穂香

  • 指に髪からむ憂鬱南風かな

    那津

  • 大御手の小さきくろまつ南風

    可笑式

  • 胃カメラを呑み込むような南風かな

    早坂 一周

  • 二日目は現地のパレオ着て南風

    陽乃姫

  • 南風沖より皆を連れて来よ

    渡海灯子

  • 父を待つ吾は胎内や南風吹く

    満る

  • 南風吹く石碑の文字は読めねども

    王朋亡

  • あやとりの二人がいたる南風

    也和

  • 子どもらのソーラン節へ南風の香

    たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • 鬣にひかり跳ねたる南風の島

    日永田陽光

  • 海女の小屋飛ばされさうな大南風

    大西秋桜

  • 南風犬と立ちたるサーフボード

    佐々木のはら

  • 美しく馬の尿する南風かな

    岡田雅喜

  • 丸の内螺旋状てふ南風吹く

    紫小寿々

  • 南吹く汐にまみれる阿修羅かな

    中島 尚之

  • 大坂の兵偲ぶ南風かな

    暇禍

  • 南風やキリンの舌の冥き色

    大岩摩利

  • 牛乳かん固まり難し南風吹く

    周防の兎

  • 銅像のギター金色大南風

    周防の鼠

  • ブルーシートは怒涛鳶立つ大南風

    マザーコーレーグース

  • 朝練のオーボエ港から南風

    富山湾

  • 大南風笑む尊徳の仁王立ち

    ちょうさん

  • 南風吹く私だけ知る場所に吹く

    星醒

  • さまよひて明けの南風に包まるる

    野点さわ

  • 南風内なる女巨大化す

    美月 舞桜

  • 南風係船柱の鴎鳴く

    田畑 整

  • もう少し干しておこうか南風

    野州てんまり

  • 錆臭き古銭の緑青南風

    桜月夜

  • 南風からまわる物干ひかり撒く

    一型

  • 何も無い甲板南風受けてゐる

    楊梅江風

  • 俎板に黒き血の染み南風吹く

    樫の木

  • ビル跡やめぐる昭和を南風

    てるきち

  • 大南風隠岐の黒牛角の鋭き

    ちゃこ

  • 南風吹く乳の丸みの乳ボーロ

    ぐでたまご

  • 置き去りのキックボードや南風吹く

    中根由起子

  • 耕運機行ったり来たり南風かな

    酒井均

  • 選挙演説台上るみなみ来い

    新井ハニワ

  • 大南風鈍る速歩や飛行船

  • 南風や海王丸の帆の太し

    きなこもち

  • 撮影は大詰め南吹く岬

    福原あさひ

  • 立ち読みの手を止め南風過ぎにけり

    野口真砂輝

  • 海沿いを南風炊き上がるパエリア

    岸来夢

  • 南風吹く一反木綿の上機嫌

    二丁目蘂六

  • 青春は走ることなり大南風

    中里 凜

  • 海南風堆き死の熱さかな

    北里有李

  • 南風波を透かして管制塔

    きょんちゃん

  • 南風更地になりし友の家

    白蝶

  • 南風や埠頭に南極観測船

    なかの花梨

  • 南吹くトランペットの音ながる

    北山 烏兔

  • 骨壺の考擁く丘南吹く

    どくだみ茶

  • 南風のベンチや母とJ-pop

    ぜのふるうと

  • 口籠る思ひ南風が吹聴す

    霞山旅

  • 南風乾いた言葉床に落ち

    灰田兵庫

  • 切先のひかり南風を閉じ込める

    久保田A

  • バッシューの紐をほどけば南風ふく

    萱沼八つ帆

  • まぶただけ寝不足の昼南風

    羽野あき

  • 疫病の街から街へ南風吹く

    栞虫かじり

  • 南吹く七里ケ浜に星ひとつ

    松坂 コウ

  • ヘリコプターじっと南風のど真ん中

    藤原素粒子

  • 来週出る仮設住宅吹く南風

    小林一平

  • 新島の南風も喰らふくさや喰ふ

    飛来 英

  • 白波を南風等しく攫ひけり

    真夏の雪だるま(雪だるま改め)

  • 海鳥は南風捉へて滑るかに

    白猫のあくび

  • 女子班の飯は焦げたと南風告げ

    うめやえのきだけ

  • 払暁のモスクヒジャブに南風

    嵐菜

  • 太りゆく南風いびつな鯨塚

    靫草子

  • 南風や廃舟艫の錆びたヤス

    いなほせどり

  • 南吹く空堀の名を尼ヶ淵

    杏乃みずな

  • 退学の事後報告や南風

    空流峰山

  • 南吹く明日は父の来る日なり

    鷹見沢 幸

  • しりとりのおわりおぼろげみなみかぜ

    いりこのにゃらつめ

  • 明治以来南風受く城大改修

    諫鼓苔深

  • 水動き亀と目が合ふ南風

    清水 三雲

  • 南風や酔ひ来る叔母の島絣

    仁和田永

  • 南風やテラス席みな異邦人

    入道 まりこ

  • 積年の南風に松の傾きぬ

    太平楽太郎

  • 八度目の月命日や南風吹く

    桂子

  • 南風吹くえび結びして喜んで

    たけろー

  • 南風丸まって行く明石焼き

    谷山みつこ

  • 南風海みはるかす城あり

    霧 澄渡

  • 蒔くやうに南風の中へ掌の鳥を

    砂楽梨

  • 南吹くガパオライスを頬張りぬ

    かぬまっこ木ノ芽

  • 冷徹に成り切れぬ眼や大南風

    みずくらげ

  • 南風吹く布に巻かれた肥後守

    団栗あんパン

  • 新宿に閉ぢ込められてゐる南風

    コンフィ

  • 南風や十石舟の異国人

    谷 道悦

  • 南風飲む満ち満ちた私破天荒

    青矢 真紘

  • 母を救えぬ南風のベンチ

    仁山かえる

  • 大南風あの島影を引き上げむ

    北欧小町

  • 海賊と呼びたくばよべ大南風

    夏草はむ

  • 船の錆血の匂ひめき南吹く

    櫂野雫

  • 南風や遮光ネットの影淡し

    大谷 走郎

  • 南風閉じ込むやうにたたむ傘

    ざうこ

  • 椰子の夕ケチャの騒めき南風

    岡塚敬芳

  • 南風ギリシャ神話に誘わるる

    増田楽子

  • 転校生南風の匂ひさせて来し

    富田健朗

  • 自衛官蹴って南風の鳴き砂を

    山城道霞

  • 定期船廃止南風の唄の島

    水蜜桃

  • むらをさの南風の話また怪し

    黒麹 糀

  • 南風吹くハンバーガーに星条旗

    かねつき走流

  • 大南風因幡の風車回しけり

    花水木

  • 海女小屋のかまどへ重き南風の香

    山羊座の千賀子

  • 南風揺らす空き家に鎖樋踊る

    太之方もり子

  • 陶炎祭の野焼きの窯の南風かな

    岩本夏柿

  • 大南風闇夜に軋むもやい綱

    雑魚寝

  • 値引き日の買物カート南風

    雨霧彦(木ノ芽)

  • 靴10足捨てた靴箱南風

    綿鍋雪

  • 産声よ故郷の母へ南風

    全美

  • 「Amazon」と軽油のにおい南風吹く

    森脩平

  • 老犬が歩いてくれぬ南風浴びる

    八光地蔵

  • 南風やテトラポッドという礫

    さくさく作物

  • 砂防林人棲む噂みなみ風

    若井柳児

  • アンカーは真っ直ぐ海へ大南風

    うに子

  • 南風や人生は続くったら続く

    里山子

  • 南風に猫目を細め吾も細め

    すかーてぃっしゅ

  • 東へと走る「はくたか」南風吹く

    加賀くちこ

  • 南風や掴めば泥の朝礼台

    伊藤渡心

  • 墓じまい父の骨干し大南風

    古乃池糸歩

  • 吊橋の白く羽ばたく南風かな

    山内彩月

  • 南風来る叔父上果てしパラオより

    acorn

  • チョコレートバーに南風の波紋かな

    あなぐまはる

  • 懐つこい友の気遣い南風吹く

    真井とうか

  • 南風レミオロメンに消えた恋

    Nakahara結月

  • 南風吹くティラノサウルスが来ている

    川屋水仙

  • タービンのゆつくり動き出す南風

    一日一笑

  • 空色のバケツに貝を聴く南風

    千夏乃ありあり

  • 南風来ぬしやがめ小さく翔べ高く

    荒木響

  • 国賠や断種の兄に吹く南風

    はるく

  • 海南風瓶収集の音遠し

    橋本こはく

  • 南吹くリフトにぬるきウエスタン

    小川野雪兎

  • 妻の好きにさせる日もありみなみ風

    佐藤綉綉

  • 酔い止めの喉に消えゆく大南風

    洒落神戸

  • 移住者の漁師見習い大南風

    老人日記

  • 南風吹く砂漣の蟹の跡

    糺ノ森柊

  • 単独無寄港世界一周南吹く

    コーノ凡士

  • 砂まじる農家の庭や海南風

    糸川ラッコ

  • 南風や脇目も振らぬ風見鶏

    木村ひむか

  • 南風吹く昼をファンデーション匂う

    大津美

  • ネコバスのあまた行くごと南風吹く

    ひなた和佳

  • 十二人目の敵となる大南風

    あみま

  • 腹揺るるくじらの土葬正南風吹く

    清松藍

  • 灯台のポスト白しよみなみかぜ

    ひねもす

  • 先生は二人南風の小学校

    苫野とまや

  • 地蔵らに斬首の刑を南風を

    加良太知

  • 南風に安らう宜蘭縣庁舎

    青那 音

  • 救急車南風の真中だうだうと

    ふみづきちゃこ

  • 大南風影の抱きつくアスファルト

    湘南日事記

  • 打ち上げらるるペットボトルの山南風

    春那ぬくみ

  • 廃墟の景南風が青を色づけて

    ジョージア

  • 南風避け地図になきカフェ発見す

    下野海

  • ドライブの終着南風浴びながら

    塩の司厨長

  • 南風や朝引き潮の海緑

    坂本雪桃

  • 南風や水族園が開業す

    相沢薫

  • 南風ここにあるはずでなき命

    熊のまさきち

  • 南風吹く赤子明るき夜を蹴って

    野ばら

  • 南風吹く毛繕いなる水の音

    渡辺香野

  • 南風吹く限界効用の水よ

    雅蔵

  • 陸酔ひの地面はあの世海南風

    正岡田治

  • 夜が冷めて置かれた文と去る南風

    種種番外

  • 南風来てぶっとき歩道橋の橋脚

    美織

  • CAのにふぇーでーびる大南風

    前田昂平

  • 祖父になる南風をましな方の肺

    酒井おかわり

  • 鎌の刃を踊らせながら南風吹く

    倉持くらもん

  • 園児の目線そろった撮った南風吹く

    井田みち

  • 信号のない島北木南風吹く

    高橋風香

  • 学校のチャイムでっかし南風

    ほんちゃん

  • 南風予報の矢印は黄色

    うみのひつじ

  • 父だったけぶり南風の湿り気に

    たこ山焼之輔

  • 南風ゆく所かまわず錆の痕

    深澤 健聖

  • 醜男立つ南風に荒々しく上下

    小室雅俊

  • 行方不明者無事保護と南風

    ほうちゃん

  • 大漁旗掲げろ父の忌は南風

    勇緋ゆめゆめ

  • 南風昨夜のことばぬらぬらと

    雨森 茂喜

  • 去るひとの南風に残る煙草の香

    林 和寿

  • 山頂は私大のチャペル南風

    磐田小

  • 南風や歯医者のあとの水ぬるし

    阿万女deノエル

  • 南吹く指宿砂に埋もるる

    夢見昼顔

  • はじめてのカミソリ負けぞ南風吹く

    湊吾子

  • 昼時の鶏糞臭や南風

    さくら悠日

  • 南風や耳を塞ぎて聞く噂

    檜鼻ことは

  • 南風追いかけてゆきそれっきり

    清水小寸

  • 正南風やロケ隊を待つ副町長

    幸田梓弓

  • 締め直す鉢巻吹き渡る南風

    秋白ネリネ

  • 南風やいぶりがつこの匂ふ郷

    中原柊ニ

  • 南風上手く貼れない保護シール

    新山晶花

  • なんじゃもんじゃ見上げて南風首筋に

    絵十

  • 南風や海洋葬の船の揺れ

    早川まい

  • 東大の勝利あの日も南風

    さかえ八八六

  • 遠洋の漁船テープの果つ南風

    伊沢華純

  • 保護犬の潰れし眼へ南風

    無花果邪無

  • 南風香る潮目は遥か北ならん

    はなだんな

  • 南風や屏風ヶ浦を荒削り

    菊池克己

  • 入婿になる日背を押す南風かな

    豆柴

  • 病夫刈り上げるバリカン南風濃し

    あまぶー

  • 寂しげな干物の店や南吹く

    まるにの子

  • 足首に南風育休明けの朝

    空乃さゆり

  • 南風吹く咸臨丸の喫水線

    草夕感じ

  • 南風千人詠ふ明石浜

    トウ甘藻

  • 大南風ジョニーの小屋にワーゲンバス

    ほしのあお

  • 船影を探す新妻海南風

    浜 友輔

  • 鶏糞の重き匂ひや南吹く

    栗田すずさん

  • 南風やかすかにレゲエながれくる

    みうらけんじ

  • 南風吹く大縄跳びの入る順

    定位置

  • アルプスのあれが南風の通り道

    黒木しるこう

  • 背でぐずる子は南風になほ熱く

    at花結い

  • 鳩の背は水平なだらかなり南風

    太田栗青

  • 南風吹く舳先ヨーソロ風上へ

    聞岳

  • 南風喰らうトタンの肺の色

    半熟かさぶた

  • 静かなるペン先走る刻南風

    猪子石ニンニン

  • 線路上に乗客の列大南風

    ふわり子

  • 南風迎えて土佐の海岸線

    立山穂高

  • 南風や靡く五色の紙テープ

    渥美こぶこ

  • 南風は遅いひかりは次の駅

    石原 由女

  • 牛丼は七味たつぷり南風

    平井伸明

  • 市ぬけた南風は遊子となりにけり

    榎美紗

  • 南風や浮き桟橋の軋む音

    髙見艀舟

  • ビバルディまどろむ朝の南風

    国東町子

  • 南風や貝のかたちのイヤリング

    おかだ卯月

  • 裏寺の読経終わりて南風止む

    ちゃるこ

  • 船旅のパンフ捲りゆく南風

    越前俊水

  • 南風浜辺に集ふフラダンス

    有田みかん

  • 南風過ぐリノベーションの漁具倉庫

    しみずこころ

  • 南風や零時を跨ぐパン焼き機

    四丁目

  • 凱旋のオープンカーに南吹く

    是空

  • 壁の無きバリのロビーや南風吹く

    野々村澄夫

  • 巻貝の砂をこぼしぬ南風

    岡山小鞠

  • 嵩高に物言う跡目大南風

    天道虫

  • 南風や塩田跡を高架駅

    姫川ひすい

  • 東経の百四十度南吹く

    石川順天

  • 帆船を南風むおんと捕らえけり

    奈良の真

  • 南風や鱗だらけの軍手干す

    富良里旅人

  • プレハブの店舗あかるし南風

    伊藤恵美

  • 喜びの千々に南風の粒子受く

    宥光

  • 南吹くまるごと家を燻蒸す

    バンブー

  • ゆっくりと付き合う南風定年後

    津軽わさお

  • 申し子を生みし南風や名は龍馬

    津軽ちゃう

  • 南風吹くオール無垢材の成す家

    篠田ピンク

  • 大南風競りの大魚の光なす

    夢堂

  • 南風吹く龍馬の像の立つ限り

    津軽まつ

  • 縄文に還る柱や大南風

    オアズマン

  • 作業帽ツバに南風や留まりぬ

    田上南郷

  • 腹の肉切って二キロの南風

    山口雀昭

  • 南風吹く移住者増やす島囃し

    野々原ラピ

  • ガルーダの翼はシャムへ大南風

    篠川 翠

  • 社員証返して南風吹く街へ

    中村想吉

  • 大南風白き怒涛の稚児が淵

    東 湘輝

  • ラジオ体操第一膝を南風の押しもどす

    藍創千悠子

  • 南風指でステアのハイボール

    佐々木 一栗

  • 正南風を浴びる原発何もせず

    西田月旦

  • 南風ノートに滲む「ありがとう」

    白濁

  • 南風抜ける民話の多しカッパ淵

    那須のお漬物

  • ゆるゆると夕暮れ運ぶ南風かな

    どいつ薔芭

  • 推しグッズ売る南風吹く池袋

    月枝いと

  • 百超えの線量計へ南風かな

    チームニシキゴイ太刀盗人

  • 空き缶を妻拾ひたる南風かな

    田中美蟲角

  • 南風にゆらめく考のペンダント

    さとう隆明

  • 南風やヨットのやうな女ゆく

    一二 三四郎

  • 渋滞をかわすバイタク大南風

    風の木原

  • デモ隊のシュプレヒコール押す南風

    三水低オサム

  • 松原をぬけて南風を仰ぐかな

    武者小路敬妙洒脱篤

  • 流木は海の骨片大南風

    素数

  • 捜し物この頃多し吹く南風

    坂 とき

  • 南風や淡きグラスに波の音

    さいたま水夢

  • 南風や橋の翼の風の声

    岡崎秀惠

  • 南風や菱刈舟の水脈白し

    鯨尺

  • 夫婦岩のしめ縄固し大南風

    織部なつめ

  • 南風や湿る髪とか心とか

    リコピン

  • 昼の髭ふしだらに伸ぶ南風かな

    松井くろ

  • いざ南風象を三頭庭に置く

    桂葉子

  • 南風に向かいて辛しあかんべい

    めでかや

  • 展翅せる瑠璃の濁れり南風

    赤尾てるぐ

  • クープあるパン出来立てや南風

    高岡春雪

  • 南風来て泳ぎ出しそな舫船

    杉岡ライカ

  • 南風吹く便箋二枚はためきつ

    祐 紀杏里

  • ディオールは南風に乗せて夜の蝶

    藤源卿

  • 甲板に骨壺といる南風吹く

    山下こけ女

  • 大南風自宅サウナに篭る夜

    杜野 ほたる

  • 南風や此処に津波と朽ちし杭

    石塚碧葉

  • 南風吹く天狗の岩の神隠し

    じゃすみん

  • 南風浴びシャチのしぶきはより高く

    松沢真之

  • フロリダの姪を預かる南風の日

    鈴白菜実

  • 太陽の海に転がる大南風

    まきうち祐

  • 南風きて爺戦争をぽつりぽつり

    島 白椿

  • 薔薇の散るごとく岩撲つ南風かな

    秋野しら露

  • 日本丸総帆展帆翅南風

    神谷たくみ

  • 余白なき街の吐息よ南風

    笹 靖子

  • 赤松の林にぎやか南風吹く

    峰泉しょうこ

  • 南風吹けよニョクマムナムプラー

    寺尾当卯

  • 空耳に答える南風の中

    小和布

  • ゼロ並ぶ息飲む試合南風

    橋野虎空

  • 海原へ出ぬ石鯨へ南風吹け

    だいやま

  • 南風吹く築地市場は海の色

    そめやまさみ

  • 南風の帰路や高校実習船

    一久恵

  • 前書き 能登半島地震お見舞い申し上げます                     市場あと重機唸るや大南風

    服部勝枝

  • 号令や練習船へ南風吹く

    羊似妃

  • 古灯台の硝子取替え南風

    林 水城

  • 一歩づつまえへ南風を腹に吸ひ

    関津祐花

  • 正南風や国語教師の鼻濁音

    青居 舞

  • 散骨は遺言通り南風

    河上摩子

  • 縄文の舟が三艘大南風

    田邉真舟

  • 南風吹き屋根塗りタール臭い濃し

    中村 自在

  • 今日も又テレビで訃報南風止む

    宮沢 韋駄天

  • 馬珂貝の殻の転げる磯南風

    紗花譜

  • 南風吹くもんじゃの土手のゆるき事

    森 毬子

  • 南風や湯畑の香をさらいおり

    増田 昴

  • 泳げそうな粘度高めの大南風

    楽椿

  • みなみかぜパン屋ときどきカレー屋に

    月石 幸

  • 横断旗箱に一本のみ南風

    横山雑煮

  • ダイヤモンドプリンセス屹立束の間の南風

    ルーミイ

  • 優しさは罪と言われた日の南風

    木村となえーる

  • 南風や海豚の会議紛糾す

    津々うらら

  • 大南風はらほげ地蔵目は細し

    み藻砂

  • 南風や声怠き僧午下の経

    弥勒夕陽

  • 太陽がすつぴんで来る大南風

    梵庸子

  • 南風入る怠く息つく換気扇

    はれみちる

  • 南風吹く凍り納豆延び易し

    みゆむうしば

  • 南風や祖父の家業は養豚業

    みなみはな

  • 南風や特売肉に赤き汁

    ゆきなごむ

  • 南風が揺らすあの花は外来種

    橋本有太津

  • 十錠の薬ごくりと南風かな

    加東ネムイナ

  • PayPayの手つき馴染んで南風かな

    ツユマメ末っ子・広ブロ俳句部

  • 南吹く夫の眉間の深まれり

    じょいふるとしちゃん

  • ベテランのニッカポッカへ大南風

    ツユマメ・広ブロ俳句部

  • 婆様に遠き海あり南風

    島田ポン吉

  • 岬馬の南風になびく栗毛の尾

    はるおのぱぱ

  • 南風吹く鯨を祀る社かな

    沙一

  • 三度目の証明写真南風吹く

    くぅ

  • 南風吹く山猫軒は閉店す

    永田千春

  • 竜宮の使い走るや大南風

    オキザリス

  • 息熱く南風の夜の白薬

    田村美穂

  • 珈琲豆炒れば南風の香ばしく

    絵夢衷子

  • 南風へ機影ずんずん渋谷午後

    佐藤さらこ

  • 南吹く布施のかたちの頭陀袋

    蓮田つばき

  • 艫を解くつよき南風を帆にうけて

    山尾歩

  • 酔覚めの苦きコーヒー南風吹く

    武田ラーラ

  • お別れは嘘で固めて南風かな

    西野誓光

  • あかあかと南風ざらつく術後の目

  • 合同墓へ移す遺骨や南風

    後藤三梅

  • 南風や錆一色の漁師町

    能研ショテカ

  • 南風吹く街へやっとの離陸かな

    京あられたけむら

  • 頂に二人南風は吹くがまま

    わたなべ☆いつせい

  • わだつみやガマへ南風の木霊する

    酒天わーい

  • 南風やけふ一番の丸き石

    白子ポン酢

  • 大南風船の無線の音切れ切れ

    伏見丹耶

  • 波消しに「運命」響く大南風

    鶴富士

  • 南風や釣り人波に洗われり

    かとしん

  • 南風吹く硫黄島より遺骨の来

    鷹星

  • 朝練の靴の湿気や南吹く

    小川しめじ

  • 海南風重油臭する舫い綱

    夏野祥林

  • 大南風少年院にぶち当たる

    しおやま句吟子

  • 富士川を潮の匂ひの南風来る

    木寺 仙游

  • 検量の分銅ずしり南風

    おこそとの

  • みなみ風辻は眠たげ象牙色

    宮井そら

  • 南吹く天守は遥か頂きに

    木村カズ

  • 南風スワンボートの無表情

    はれまふよう

  • 亀の手の喋りたくなる南風

    東山すいか

  • プリンセスラインの新婦へと南風

    帝菜

  • 魚干す手にぞ南風の熱さかな

    小湊 八雲

  • 酒灼けのママはひとり身南吹く

    ねむり猫

  • 選挙カーから裏返る声南風

    まろのり

  • 南風乗り南房総忌部の地

    まりい木ノ芽

  • 南風吹く飯盒の飯良き香り

    中野風鈴

  • 吾と夫にナガンヌ渺渺大南風

    吉永那夫子

  • 退役の帆船を恋ひ南風

    酔下弦

  • 南風浜の瓦礫を漁る波

    坂土海夏

  • 糊固き横断幕や南風

    河島 八々十

  • オリーブの葉裏に光みなみかぜ

    長谷機械児

  • 南風やシンメトリーに干すタオル

    三上 栞

  • 南風や乗る海鳥のしなやかさ

    愚老

  • 南風や防草シートに二葉勝つ

    鱈 瑞々

  • 「宅配です」ドアを大きく南風入る

    くみくまマフラー

  • 南吹くプリンパフェには小さき旗

    増山銀桜

  • 介護車の夫と帰宅す南風かな

    花はな

  • 南風はだけし胸の銀ぐさり

    高木音弥

  • てらてらと吊らるるダック大南風

    灰色狼

  • 水軍へ迫る急潮南風吹く

    香羊

  • 南風を右頬に受けジョン万像

    向原てつ

  • 大南風テープカットのファンファーレ

    百瀬はな

  • 南吹く埠頭をジャズとウェディング

    播磨陽子

  • 七針の腿の抜糸や南吹く

    さ乙女龍チヨ

  • 南風来る唐宋音は読みづらい

    オーガストスガワラマサト

  • 揚舟のぎりと音する南風

    亀山酔田

  • 最上川下れば南風瀬を速め

    S・葉子

  • 消防の車列固まる南風かな

    円路

  • タクシーの窓辺豊かにみなみ過ぐ

    猪飼篤彦

  • 色褪せし係船柱や南風

    河村静葩

  • 鼈甲の形見の櫛や南風

    和泉攷

  • レッスンの賢治の指揮棒南風

    ときめき人

  • てつぺんの椅子に身を捨つ南風

    戸口のふっこ

  • 鮭弁当雲急ぎ行く大南風

    スマイリー

  • 南風やしれつとメール生きてたか

    喜田紫陽

  • 大南風鳴る集音の耳ざわり

    桔梗

  • 夜を鳥のひくき輪唱南風吹く

    鶴小なみ

  • 読み聞かせ園児と窓と南風

    スズランチイコ

  • 南風や昭和の歌は覚えてる

    窪田ゆふ

  • 南風吹く雄鶏の尾の勇ましき

    若生千佐

  • 南風や痩せ犬と見る細き月

    福井桔梗

  • 呼吸器に南風を混ぜむ起きてくれ

    青水桃々(俳句迷子の会)

  • 大南風全き梁の黒光り

    夏湖乃

  • ライオンの記憶に砂漠大南風

    ピアニシモ金カル

  • 馬入川上る南風のひとり勝ち

    となりの天然水

  • 南吹く造花そろそろ愚痴りだす

    ノセミコ

  • 南風や悠き祖国の二色旗

    卯月紫乃

  • 昼飲みはたまのご褒美大南風

    佐川碧

  • 南風荒る防潮堤の泣く如く

    富士桜花

  • 地球儀を南風にまはす指太し

    剣橋こじ

  • 死の島の洞を鳴らして南風

    うみのすな

  • つかまり立ちの吾子の尻もち南風

    ゆすらご

  • 南風吹きこよ夕日に赤い帆

    えりべり

  • アレクサが突如応えるもし南風

    縞ふみ

  • 南風の烏避け棒耀へり

    比良山

  • 満タンの愛車と君と南風かな

    ゴーマ

  • タワマンの中を南風煙草の香

    芍薬

  • 大南ぶるつと揺るる象の耳

    赤尾実果

  • 南風抜く部員の逞しき膝蓋

    むらぴ

  • チャカチャカと納豆混ぜて南吹く

    伊予吟会心嵐

  • トラックのマテハン軽し南風

    杜まお実

  • 南風や旅立つ柩ゆつくりと

    蜥蜴の尻尾

  • 南風や釘を咥へて父わらふ

    水須ぽっぽ

  • 船着き場はみな顔見知り南風

    沙那夏

  • トレッキングシューズ干す南風のなか

    あらかわすすむ

  • 南風吹き防潮堤に止まらず

    鈴木古舟

  • やはらかき南風を思ひ出し帰港

    Dr.でぶ

  • 気仙沼戻りは未だと南風告げ

    小林乏硯

  • 大南風消息絶ゆる愚か犬

    峰 乱里

  • 南風や祖父の墓標は翳ろへり

    青星ふみる

  • 海の香を使ひ果たして南風かな

    林常住

  • 南風南京錠に結ぶ恋

    風の鳥

  • 南風吹く鈴カステラは乳のにほひ

    アロイジオ

  • 南風吹くここは銅像あった場所

    森野みつき

  • 南風押す同行二人青に溶け

    兵頭紫峰

  • 大南風幼返りの父浜へ

  • イルカ漁の栄えし入り江南吹く

    伊藤順女

  • 江の島へのびる橋描く南風吹く

    haru_sumomo

  • Tシャツの髑髏踊りだす南風

    紫月歪丸

  • 南吹く水取り象さん太らせて

    地球人

  • 南吹く龍の形のダムカレー

    愛燦燦

  • 南風吹き塩に重たき枢かな

    信木庸子

  • 南風海辺は老人たちのもの

    じゅんこ

  • 南風吹き護摩の香染むる火焔塚

    川越羽流

  • 絵手紙のツバメ飛びそう南風

    佐藤ゆま(歯科衛生子改め)

  • 竈炊く湯気と南風と煙の香

    馬門宗太

  • 南風吹く骨董市の蜻蛉玉

    石塚彩楓

  • 南風吹く老犬の齢数へをり

    荒 一葉

  • 南風吹く身じろぎもせぬ鯨岩

    冬野とも

  • 南吹く鳴門海峡にはえくぼ

    中山月波

  • 佐田岬灯台真白南風

    れんげ畑

  • 南吹く案内漁師のなまり節

    上津 力

  • スワヒリ語交じる洋上南風

    朶美子(えみこ)

  • 調教のイルカが跳びて南吹く

    佐藤志祐

  • 南風吹き半紙が飛んだ六畳間

    鈴木由花子

  • 南風の中父捜す拡声器

    中嶋奈緒子

  • 東京の四角き空に大南風

    大久保加州

  • 老木の迫むる隘路の南風かな

    刈屋まさを

  • 南風吹く海辺に並ぶ避難台

    小山 晃

  • 南風や気圧は低目痛む膝

    杉柳才

  • 南風吹く青い翼の聖天使

    dragon

  • 吹き荒ぶ南風におん眼たまひけり

    みやざき白水

  • 予科練はみんなふんどし南風吹く

    加藤多作

  • 南風の帰路コインランドリーの香と

    瀬央ありさ

  • 漁港から醤油の蔵を抜け南風

    多数野麻仁男

  • 組合長は寂声南風の波止

    妹のりこ

  • 突堤に河豚転がつてゐる南風

    山田蚯蚓

  • 画仙紙のおもてうらあり南風吹く

    みのやん

  • 河童淵へペダルましぐら南風

    豆はな

  • 南風や土地持つ限り野良仕事

    ことまと

  • 君偲ぶ群青色や海南風

    川蜷

  • 南風吹く人には見せぬ青い傷

    坂口いちお

  • 南風やグラスボートの底みどり

    おきいふう

  • 大南風ふくふくゆるる腰のリボン

    染野まさこ

  • 骨壺の音の鎮もる南風かな

    久里尋太

  • 南風や守礼の門をくぐる鳩

    折口一大

  • 更年期たるや南風のにほひたつ

    紅三季

  • 大南風ゆうべの喧嘩お忘れで

    てつなお

  • 大輪の孔雀は真白大南風

    三尺玉子

  • 南風吹く船に曜日のなかりけり

    山本先生

  • 南風生む猫の島へと帰りなむ

    あさのとびら

  • 南風止まぬかつて単身赴任の地

    宗平 圭司

  • 隻腕の男の袖揺らす南風

    河野灰土

  • 南風の匂ひに変はるペンキあり

    大和田美信

  • 剃髪の青きつむじに大南風

    山口絢子

  • ぶち当たる南風傘寿のカメラマン

    斧的部

  • 南風やおなかの子にも護符貰ふ

    蘭丸結動

  • 開かれしモスクの扉南風

    大岡秋

  • JJは娼館なりし南風

    うはのそら

  • たどたどしく回るコンパス南吹く

    TAKO焼子

  • 南風吹く連絡船の来ぬ町へ

    看做しみず

  • 歌つても歌つても南風が攫ふ

    鳥乎

  • 南風来ぬアズナヴールの歌を乗せ

    神谷篝火

  • 捲られてゆくアスファルト南風吹く

    haruwo

  • 南風そよめく柑橘系の気持ち

    本村なつみ

  • バルコニー立てば南風飛鳥II

    横山山水

  • 大会はいつも惨敗南風吹く

    よみちとせ

  • 南風に戦時訓練海自ヘリ

    横山三水

  • 浜の駅のペンキ塗りたて南風吹く

    赤坂みずか

  • 追憶を打ち上げてゆく南風

    春あおい

  • 海岸の古きホテルの南風かな

    滝美音

  • なんかこうでっかいことを大南風

    たいらんど風人

  • 南風や牛の咀嚼の顎うねる

    坪田恭壱

  • 南吹く十年ぶりの友の家

    つづきののんき

  • C判定だとさどうする南風

    キッカワテツヤ

  • 羽化したる途中いよいよ大南風

    八幡風花

  • 現役の被爆電車に南風吹く

    ⑦パパ・いつき組広ブロ俳句部

  • 佳き南風や伊予灘まはり予讃線

    菫久

  • 南風を航く手摺のペンキ分厚しや

    阿部八富利

  • キャプテン就任南風まじりの下校坂

    四條たんし

  • 南風うけ頬しっとりの御本尊

    恋瀬川三緒

  • 物置は昭和のにほひ南吹く

    葉月庵郁斗

  • 大南風古都北山の杉撓る

    林真紗湖

  • 微笑する観音様に南風

    沼宮内 かほる

  • 南風吹く毛長の犬の地肌しろ

    清水千種

  • トーストの二枚目はジャム南風かな

    なつめモコ

  • 野外劇南風の揺らす影法師

    大 広秋

  • ぽろぽろと剥がるる錆や海南風

    余田酒梨

  • 南風病棟臭き水平線

    新城典午

  • バイパスは長き要塞南風

    釜眞手打ち蕎麦

  • ワダツミの牛車の軋み南風の中

    村岡花風

  • 吹けよ南風さようならの一歩目

    うからうから

  • 南風ぶわっおはらひさんの反り返る

    登盛満

  • 八十年便り無き父南風吹く

    鶴岡木の葉

  • 南風吹き暴投に捕手飛びつきぬ

    椿泰文

  • 南風吹きテトラポットに鳥遊ぶ

    りんごのほっぺ

  • 南風にレゲエ流るる屋台村

    ほしの有紀

  • 南風から潮の香だけを嗅ぎ取りて

    雅屋少将

  • 南吹くこれはおばけの方かもね

    わぎゃん

  • 大南風太ももばるんと走りだす

    水きんくⅡ

  • 失物いま見知らぬ駅に居て南風

    安溶二

  • 南風来るヘリポートのHに立つ

    阿部油

  • 大南風シヘラザードの喉奥へ

    鈴木来穂

  • 伝書鳩下り立つ街に南風かな

    中田二俊

  • ジェット機がビルの谷間へ南風の日

    嶺乃森夜亜舎

  • 南風過ぎて再起の畑かな

    田畑せーたん

  • 陸揚げの網の臭いや南風吹く

    塩風しーたん

  • 夜を駆ける龍の焔や大南風 

    幸田柝の音

  • 大南風告げる言葉を攫ひけり

    三崎扁舟

  • 南風吹く吾の靴音はカホンめく

    升 丁茶

  • 揺るる袈裟の睡魔生臭き南風

    野瀬藻石子

  • 南風吹くわが子が羽根を組み立てり

    伊ナイトあさか

  • 南風吹く貝殻骨にある微熱

    伊藤映雪

  • 異郷似る生まれし町の南風かな

    江見 陣暮

  • 南風や真つ赤な貝のネックレス

    多々良海月

  • 一人でもごきげんな街南風吹く

    小野陽笑

  • 釣舟や南風は海を捲りゆく

    内田こと

  • 南風や爺と漕ぎ出す伝馬船

    村上薫

  • 南風吹く老僧買うや般若湯

    谷町百合乃

  • 頬撫でる南風母かと振り向いて

    藤村 一寿

  • 南風待つ赤銅色の腕かな

    立歩

  • 南風吹くサビの部分は15秒

    時小町

  • 人いずこ矢尻遺る南風の畑

    原貼女

  • サックスのざらりと低き南風かな

    さざなみ葉

  • 南風吹く海軍カレーに銀の匙

    あつちやん

  • 南風やたてがみ靡く岬馬

    露崎一己句

  • 青天や帆布一面南風張る

    斗三木童

  • 接戦を制す格下南風

    亜桜みかり

  • 南風吹く汽笛は長く一度きり

    キートスばんじょうし

  • 俎を干して南風迎えけり

    猪倉さえこ

  • 南風吹く洗車係の束髪

    碧萃生

  • 椰子の木の海原白く南風吹く

    渡邉花

  • 潮臭き額のタオルや南風

    紗羅ささら

  • 大南風に仲を裂かれて阿吽像

    桜井教人

  • 南吹く憎き職場の跡地にて

    着流きるお

  • Tシャツを風見鶏にして南風

    田中紺青

  • 海色の南風江ノ電フリーパス

    原 水仙

  • 海行きの駅に一両南吹く

    やまさきゆみ

  • 透くほどの鉋屑舞ひ上げ南風

    下條ちりり

  • カプセルに未来のてがみ南風吹く

    山口葵生

  • 投網打つ南風の連れて来る光

    GONZA

  • 父母のかかりつけ医を記す南風

    鈴木 浮浮

  • 南風金の波間に銀の船

    るびちゅ

  • ぬるい茶は塩飴溶かし南風かな

    北青山晋

  • 正南風や船底塗料なぜ赤い

    柳絮

  • 海豹がくるしそうです南風

    植木彩由

  • 大南風ゴザの宜しき昼餉かな

    本宮豆奴

  • 南風吹く潮待ちの島ひと回り

    山本美奈友

  • 南風吹く黒猫足にまといつく

    あおのめ

  • 騎馬武者の青年の頬南風

    東原桜空

  • 歓喜する私の肺へ南風入る

    睦月くらげ

  • 釣り船のせわしき動き南風くる

    広島あーやあーや

  • うねりこそ海の矜持や大南風

    月影 重郎

  • 南風吹くビジター席の大漁旗

    梅田三五

  • 海南風カーブを過ぎて奇岩石

    千賀子

  • 南吹く登校拒む子の背中

    我孫子もふもふ

  • 南風に寄せくる波や水の星

    渡辺 小豆

  • 町の名に海の名残や南風

    森中ことり

  • 流木のモビール南風しなやかに

    安春

  • 大南風トップダウンに抗える

    春蘭素心

  • 南風薄荷ドロップばかり出て

    る・こんと

  • 空振って南風ミットの中なのか

    馬場めばる

  • 南風を打ち返したる素振りかな

    土井あくび

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