【佳作】
観るだけの小春の住宅展示場
佐藤知春
革靴に油分与へてゐる小春
森田かな
さくらねこ小春におのが不均等
花屋英利
アルバムの気泡小春へ逃がしけり
かむろ坂喜奈子
亡骸は小春にゆらぐ子が歌ふ
冬のおこじょ
小春の舎五十日しか生きぬ鶏
磯田省吾
ミニブタのしっぽぴぱぴぱ振る小春
平良嘉列乙
百恵派の爺のラジカセから小春
加地祐作
小春やなんて愉快な葬儀だろう
赤馬福助
こはるこはるこはる猫呼ぶ母こはれ
イサク
縁側の小春ぎゅぎゅっと虫眼鏡
杜まお実
客でない客の集まる小春の日
でんでん琴女
小春日の陽射し捕らへる鉋屑
内藤羊皐
見えてきたケルンの裏手まで小春
ウロ
復職の朝や小春のオフィスビル
木ぼこやしき
金胡麻の香る小春の担々麺
夏 湖乃
子ら拾うごみの渋谷のそら小春
とものた
キャラメルを剥く指先の小春かな
大小田忍
ゆで玉子むいて小春の十個かな
平本魚水
小春日や交互に使う箆と刷毛
せいち
小春日の三角定規は反抗期
座敷わらしなつき
チャオちゅーる入れとくね小春に眠る
寿貢
小春空たこやき器をかつてしまふ
磐田小
ムエタイの拳打ち鳴らして小春
伊藤映雪
神さぶる白猫の透く耳小春
たけぐち遊子
音速の小春に轢かれる3番線
尾木三十一
小春日のスープボウルに青い鳥
真冬峰
小春こはる山頂の菓子袋破裂
おたまじゃくし
小春日や生家に二十八の窓
そうり
礫を蹴る稲荷山古墳は小春
坂口浩樹
小春かな猫を通せる守衛室
古賀未樹
小春風鳥と分け合ふマーラーカオ
品川笙女
病院の小春の窓は立方体
小川都
六甲を下りて書店へ小春なり
毒林檎
刻まれし父の名二年目の小春
江藤薫
アスファルト切り剥がされてゐる小春
清永ゆうこ
わたし一人小春日和の月曜日
みなみはな
小春とは一つの純化かつ退化
まんぷく
日雇いにあぶれ小春の鳩になる
みづちみわ
撫牛のゆつくり磨かれて小春
久保田A
びんずるさまも小春のかたぬき菓子
夕虹くすん
落ちてまた落ちて鉄棒また小春
ありあり
喪の明けて卵きれいに割れ小春
居並小
はじめてのBや小春の模試結果
万葉剣
小春日や活きの良すぎる足の爪
城内幸江
資源ごみの軽い金曜日は小春
あたなごっち
大阪をくぐるジャズボートや小春
池内ときこ
足場板撓みて戻る小春かな
新子熊耳
珈琲に小春少々ミル回す
はるく
点描の小春スタッカートの街
シュリ
10号に富士の習作小春の日
ひろ志
昇進?僻地じゃねえか小春空
くさ
白犀の耳ぱたぱたと小春かな
やまさきゆみ
麻酔残る口ドア開ければ小春
剛海
五回目の面接小春のガムを噛む
じゃすみん
小春日や庭師の開く遊山箱
大庭慈温
シャンプーハットは月へと帰還小春空
ことのは もも。
小春なり煎餅匂ふ研究室
久我恒子
鶏の地べたに座る小春かな
綺楽よしじ
小春日の象舎の前に慰霊の碑
桜井教人
事実婚九年小春日に味噌汁
西田月旦
小春日やボート並びて閘門待つ
秦 理露
縄跳びがによろりと落ちてゐる小春
今野淳風
小春日を春と思ひて祖父逝きぬ
ふるてい
巻物はときわぎ小春日の署名
M・李子
三割が鉄の重さの星、小春
鳥羽南良
小春日や猫は尻だけ窓の外
冬樹 立
チャコペンで小春を可視化してみよう
さとけん
殺処分のニユース小春日の無音
はなあかり
足踏みのオルガンふんがふが小春
ぐりえぶらん
ひざに置く骨箱の重世は小春
定吉
ぷかりぷかりトドは小春に漂う
眠 睡花
大円や小春日和のレース鳩
長谷川水素
鳥の声こはるびよりの図鑑より
中山月波
小春日やカバの欠伸の口へ水
ギル
ハシビロコウ動くを待ちに待ち小春
影山らてん
出動は小春日特殊清掃員
アンサトウ
藁と糞とって小春を入れにけり
ほしの有紀
巨大猫抱ふ小春の膝を折り
おきいふ
バクの鼻小春捕へてくすぐつたい
綾竹あんどれ
小春日の光の匂ひ病む姉へ
池田 凜
両辺を快晴で割ってx=小春
光峯霏々
神木は太し小春のけんけんぱ
青蜥蜴
小春日や仏足石は村はずれ
そうま純香
手触りに小春モケット生地のバス
斎乃雪
子の寝相メビウスの輪に似て小春
ぐでたまご
貧血に耐へし小春の五時限目
港のパン屋
きっかけは尋ねた釣果小春凪
オペラ座の俳人
助っ人の父は三振小春空
常磐 はぜ
すべり台すべる猫をる小春かな
彼方ひらく
ためいきは二酸化炭素こはるびより
古賀
小春日を投票を視る係かな
南方日午
マヨネーズ色に小春の草枯れる
和季
小春日や白紙を満たす素数の和
KII
乱丁の頁のかどを愛で小春
ずしの蓬
シーグラスきやらきやら拾ふ声小春
坐花酔月
内股に歩くにはとり居て小春
椋本望生
花嫁のなみだ撮られてをり小春
RUSTY=HISOKA
アクセルを踏んで小春のプランB
柳絮
小春日をS字に撓ふベーシスト
くま鶉
錦糸町-両国間に揺れ小春
大黒とむとむ
小春日や額に傷の猫とゐる
可笑式
苗桜ひょろり小春のかたちとて
克巳@夜のサングラス
糸巻や巻く巻くまるくなる小春
渋谷晶
小春日や骨の一つにあるチタン
ことまと
客かへり小春のひかりだけの家
山田菫舎
小春なり点滴ひいて三百歩
新田 淑@狐狸山会
のんだくれたぬききつねねここはる
三浦にゃじろう
手のひらをひよこあふるる小春かな
ベーグル
鼻唄のカラメルプリンめく小春
小だいふく
ペンギンがかなり本気で跳ぶ小春
ちゃうりん
沖へ出て原子炉白き小春かな
古田秀
小春日や犬を荼毘から連れ帰る
田中勲
消しゴムのスーパーカー弾く小春
海音寺ジョー
日常や道に吐瀉物ある小春
どみ どみそ
水揚げは千のひかりとなり小春
浦野紗知
出棺のフォンが小春の耳の底
あずお玲子
汲み置きの水は小春を吸ひ込みぬ
吉武茂る
小春日や猿を捕獲と無線告ぐ
葉月けゐ
小春日よ野島断層数ふるよ
としなり
大仏が海を眺めてゐる小春
久森ぎんう
はねまはる仔ヤギ小春のビブラート
にゃん
ぼわと出る双子の黄身や小六月
満る
木馬ゆらゆらEテレと小春日と
登りびと
小春日やおかんに習ふ変化球
たま走哉
小春かな躁のときだけある電話
新蕎麦句会・凪太
吾が胎児小春の猫を蹴つてをり
いさな歌鈴
カンガルーの袋を出でし小春かな
ツカビッチ
ピザ生地は回り小春の芳しき
板柿せっか
懸賞を出して小春の用終はり
久留里61
葬列を離る小春の居酒屋へ
篠原 雨子
貰い手のついて小春の老チワワ
秋沙美 洋
小春日や父が掴めるブーケトス
多々良海月
廃屋に重機小春の猫の島
矢想
古書店の全集小春の塵ぬぐひ
剣橋こじ
教室はヤクルト色の小春かな
常幸龍BCAD
小春日やテトラポッドは乾きをり
新濃 健
噛み殺すあくび小春の薬剤師
うしうし
おとしぶたぷるぷるしてるこはるかな
大紀直紀
古本の活字にへこみあり小春
中岡秀次
お返事が来ない小春のせいですね
足立智美
朗読のまにまに三組は小春
高尾里甫
鳩目のみ作る工場の小春かな
さるぼぼ@チーム天地夢遥
達仏のおん手があったかい小春
Kかれん
窓をひらく小春の脳はすこし重い
オサカナクッション
園芸部員掌に小春ほのと
まるかじり
指の皮硬し小春の革を縫ふ
Julien
編棒太いだの細いだのと小春
東京堕天使
撓み減る干し竿小春てふ浮力
戸部紅屑
手を合わせ五秒小春の水みくじ
ヅラじゃない
十七のチワワのショコラ小春へ跳ぶ
伊藤辰弥
もう鬼に見つけてほしい小春かな
辻野 花
母は小春吾を覚えてをりますか
池之端モルト
コツメカワウソの握手ちひさき小春かな
七瀬ゆきこ
さやうなら小春のいすにねむるひと
夏雨ちや
小春風スワンボートに一人無理
楽市
挙げた手の小春を掴む人違ひ
川越羽流
使い捨てライターにゅっと小春の火
稗田鈴二郎
自販機に英字の水のあり小春
京野さち
巡業のふんどし干され寺小春
むったん@狐狸山会
小春日をもて寂聴の忌となさん
柚木みゆき
空き缶を蹴れば小春の音ぽおん
亀田かつおぶし
死ぬことをみんな忘れている小春
龍田山門
紙は木と気づきし図書館の小春
真名女
ラジカセは小春の畑へ志ん生を
あいだほ
小春とは寂聴さんの笑ひ皺
樫の木
リモコンは小春の部屋の何処にか
富山の露玉
逢ひたくば小春のバスに乗りたまへ
トポル
妹のやうにとほのく小春かな
玉庭マサアキ
はちきれるほどの郵便街小春
くりでん
中古車の店に小春やかしら右
吉野川
こころごと妻を小春へ明け渡す
すりいぴい
ひつそりと小春のひかり編むしつぽ
きのえのき
小春日や薄目の鰐をフェンス越し
いかちゃん
盗賊かもめに小春の向かひ風
露草うづら
パンダの背ばかり見てゐる小春かな
ももたもも
卵黄の小春の膜にをさまりぬ
宮坂暢介
小春の陽埃へ灰汁へ水垢へ
銀紙
人類の滅んだ次の日の小春
世良日守
在庫確認輪唱めいてきて小春
しばた もめんこ
小春日や水車ぐわつとん逆回り
岩橋春海
子パンダのぷくぷくふとる小春かな
うに子
琴柱はずし木目を拭く小春
安
小春日を競馬場まで負けにゆく
利尻
あかんぼのうんちにいきむ小春かな
中里 凜
韓の家のかたき閂小春風
対馬清波
公示日や小春をおりてくる埃
けーい〇
痩せ猫と一汁一菜なる小春
小池令香
退部届小春なんぞに書きやがる
堀口 房水
小春日やアルパカの吐く唾臭し
きなこもち
剥離紙のカール表札より小春
仁和田 永
風きらら会社を辞めたきょう小春
石川聡
背にかゆみ止め塗るホスピスの小春
大槻税悦
反抗期の寝顔小春のさざれ石
ぼたにこ
ゆつたりとじゅごん尾ひれを揺る小春
石垣葉星
トゥクトゥクとノック小春の調律師
古瀬まさあき
小春日やペットボトルを滅多踏み
公木正
何歳で死ぬのと聞かれをり小春
髙田祥聖
小春日や中折れ帽とつえと犬
飯村祐知子
小春日や仏と同じ物を喰ふ
蘭丸結動
滲みに茶の匂ひ小春の電話帳
ほろろ。
大仏の螺髪に小春置く日かな
江戸川青風
小春日の箱おおかみの腹のごと
ひねもす
冤罪や十年分の小春浴ぶ
澤村DAZZA
雲を踏むやうに小春の吊り橋を
干しのいも子
削蹄や小春の土の粒やさし
さくさく作物
永遠や兄は小春の野をどこか
倉木はじめ
タオルケットたたんで丸め積み小春
俳号考え中のユキ
サイコパス便器前方の余白にある小春
蟻馬次朗
鳩鳩ひと鳩鳩小春日の駅は
万喜ミツル
あらためて迷ふ小春のロータリー
田中木江
まだあったシリアル小春の昼ひとり
羽織茶屋
葬送や小春はこんなにも静か
成瀬源三
主菓子の黄にほぐるゝや小春の座
佐藤俊夫
無縁墓に入れてごめんね小春だし
小泉野魚
緩慢な小春のバターナイフかな
井上のなめ
臨月のおなか小春の臍たいら
空豆魚
小春日やカバの歯ブラシかつぐ子ら
げばげば
をとつひはここはるだつたけふがこはる
山田怠洋
小春のストーブごみ屋敷の隅に
利賀セイク
沐浴の耳を餃子にして小春
西原みどり
小春日や河馬の欠伸の十二秒
河本かおり
次回の兼題も
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