【佳作】
バンパーの古疵小さき氷柱生す
ろまねす子
朝練の蛇口の小さき氷柱かな
鈴野蒼爽
もりもりと氷柱の瘤のたくましい
嶺乃森夜亜舎
生意気な氷柱を殺すてふ仕事
樹海ソース
富士の氷穴溶岩流に氷柱
竜退治の騎士
研ぎすますかなしみ能登の氷柱かな
うに子
清純な朝日は嫌いなの氷柱
ひでやん
サイドミラーにもご丁寧に氷柱
石本コアラ
ごきげんよう氷柱の朝の子どもたち
檜鼻ことは
氷柱光る朝の回廊僧の列
麗し
友が逝く氷柱に透ける空の蒼
雨李
とんからと氷柱太らせ眠らせて
春海のたり
どこからが氷柱どこからが過ち
うからうから
ワイパーに氷柱明日も帰れない
杜まお実
あるいは音が凍て付く果ての氷柱
平山仄海
三日目の氷柱そろそろ倦怠期
山内彩月
氷柱だけが真つ直ぐ悲しんでくれる
青井えのこ
仄暗き海辺の氷柱しょっぱいか
那津
一昨日の辺りで折れてゐる氷柱
稲畑とりこ
高く鳴りさうな氷柱を叩き行く
家守らびすけ
間口一間六十本の氷柱かな
香依蒼
風止みてあをあをと喪明けの氷柱
谷川ふみ
バンパーを支えて六日目の氷柱
玉庭正章
氷柱斜めにそろふなり風つよし
喜寿の嵐
氷柱落ち山河堂々現れり
岡田瑛琳
氷柱太る役行者の洞穴に
高木音弥
幾ばくを呑んで氷柱のこの一本
古瀬まさあき
軒氷柱今日も太しや朝は米
コンフィ
決まらない会議二時間氷柱落つ
若井柳児
鎖樋うつすら透けてゐる氷柱
音羽凜
きりんからん星砕くごとつらら折る
しゃれこうべの妻
諸行無常あれは氷柱の落ちた音
澪那本気子
原罪のきれい氷柱を日に透かす
ひねもす
てらてらと輓馬のごとき大氷柱
すりいぴい
外祖母の家や氷柱が太い太い
彫刻刀
トイレから見える氷柱に街明かり
綿鍋雪
雨樋のつらら男手なき暮らし
太之方もり子
氷柱てふひとがはじめてもつ刃物
ツナ好
藁屋根に蛇眠りゐる氷柱かな
寺尾当卯
雫して氷柱や芯をひかり食む
ぐ
そそり立つ岩場のつらら臨死船
吉 や
湯めぐりや氷柱の隙間から薄日
あみま
氷柱とは淋しき楽器夜を歌ふ
ピアニシモ
雀発つ氷柱の先に満つるみづ
小室雅俊
きょうだいと氷柱の家を売る話
ヤヒロ
クラークの指の重たき氷柱かな
高山佳風
内定蹴つてやる氷柱折つてやる
石井一草
独房の柵より太い氷柱かな
GONZA
やわらかいところに朝はくる氷柱
酒井おかわり
せせらきに小さき氷柱の堰ありぬ
巴里乃嬬
歎異抄明けて氷柱に迎えらる
林常住
陰口に出られぬトイレ氷柱美し
山中 あぎ
まつすぐな氷柱の下に佇つてみた
あまぶー
先端の氷柱になれぬひと雫
羊似妃
仔馬立つ馬房の朝に氷柱あり
大和田よつあし
その奥に父と母ゐる軒氷柱
宥光
漏水の取材現場や大氷柱
じょいふるとしちゃん
軒氷柱死はだんだんとみづのいろ
げばげば
みちのくや婆が氷柱を薙ぎ払ふ
ま猿
上のレの音かな山小屋の氷柱
ほうちゃん
氷柱泣く牛舎のモモの乳が出ぬ
鈴白菜実
静かなる怒気は氷柱となりにけり
けーい◯
氷柱ぽき中吉のけふ始まりぬ
さくら悠日
白湯すする氷柱の檻に永らへて
喜田紫陽
小走りに氷柱の下を通りけり
塩野谷慎吾
けむ出しに垂るや琥珀の玉つらら
儚子
氷柱から音楽室の灯りかな
内藤羊皐
氷柱垂る政宗像の馬の鼻
みうらけんじ
マーラーの重音溜めて氷柱太る
ふもふも
今朝は氷柱コラムは相続放棄
むらぴ
つららのららがモディリアーニの顎みたい
凪太
青空や今日の氷柱は2H
蘂六
永平寺のつらら観に来てゐるやうな
中原柊ニ
消灯の託児所小さき氷柱かな
反芻医 時光
玄関に朽ちるちらしや軒氷柱
だっく
氷柱のみ長く伸びたる小間物屋
山口絢子
氷柱処理:仙人トンネル28
佐藤茂之
左から順に氷柱の譜を打ちぬ
ギル
OraOradeShitoriでつらら落ちさうで
亀田荒太
光堂の鳳凰金色の氷柱
岡山小鞠
馬小屋の太い氷柱鳥小屋の細い氷柱
亀田かつおぶし
あの家の氷柱はかなしき共鳴管
あらい
トンネルのつるはしの跡氷柱垂る
横山雑煮
筆先の墨汁つららよりしずく
絵夢衷子
能登はるか垂氷に透ける空のあお
さとう隆明
炭鉱の氷柱の長い町のこと
森2五歩
岸壁に氷柱落として出帆す
宮沢 韋駄天
おほつらら薙ぐ軸足を生に置き
播磨陽子
子を叱る母や氷柱の先丸し
落句言
肥えてまた氷柱へ致死量のひかり
北藤詩旦
友達は来ず氷柱折る舐める食う
みたまん
休校の午後氷柱折るモンスター
青海也緒
神様が調律したる氷柱なり
広瀬康
捜索の続くメットに付く氷柱
唯野音景楽
よく伸びる淋しき家の氷柱かな
佐藤志祐
先輩は修治と修司大氷柱
津軽わさお
軒つらら殴りて帰る弔問客
藤里玲咲
人は死ぬ氷柱は墜ちる釈迦は往く
九頭龍 一鬼
氷柱溶け龍のうろこの色だろう
だいやま
バンパーの氷柱牙として出勤
だがし菓子
龍の腹てふ渓谷千本の氷柱
ののはな誉茂子
ラーメンの湯気よ駅裏の氷柱よ
豆闌
北国は子らも氷柱もよく育ち
愛燦燦
青空の百の氷柱に百の空
山路碧水
シャッターの街を氷柱の太りゆく
天雅
灯油買ふ酒屋の軒の氷柱かな
むらのたんぽぽ
月光ひらひら膨らみゆく氷柱
岸来夢
誂へしかに山宿の大氷柱
酔下弦
瓦斯メーターの数字の下の氷柱かな
草夕感じ
朝刊に戦地の空よ太氷柱
彩明
大庇迫り出し列をなす氷柱
森爺
掻き落とす氷柱踏み踏み開ける店
亀山酔田
ステンドグラスへ放電せし氷柱
花はな
戸隠や柄杓に氷柱まだ落ちぬ
黒木しるこう
納骨は延期四回目や氷柱
ペトロア
休日のつらら刺繍のつづきせり
浅乃み雪
落としたる氷柱の残骸に氷柱
嶋田奈緒
ないのですかあまいつららはおかあさん
雨森 茂喜(あめのもり しげき)
その芯は光の泡の氷柱かな
原 水仙
氷柱垂る夜通し向ける砲の先
大塚迷路
氷柱伸ぶ眠るけものと狩るけもの
栗田すずさん
つらら打つ春の調律師のやうに
柿司 十六
空気割る楔のごとき氷柱かな
外鴨南菊
終わりなき祈りのすがた草氷柱
熊谷 温古
覚悟とはかくもざらざら大氷柱
千夏乃ありあり
投降か自決か氷柱尖る夜
沙一
舫綱つららひかりて今日は晴
じゅんこ
氷柱落つ詩とは光の純度だらう
嶋村らぴ
つらら薙ぎ折り開店や大内宿
佐藤儒艮
買ひたての傘が折られてゐて氷柱
関津祐花
弔問の止まない夜の氷柱かな
ツユマメ・広ブロ俳句部
星屑を満タンにして大氷柱
夏草はむ
強かをつるつるにしたのが氷柱
広島じょーかーず
氷柱飼う水の闘う意思として
あなぐまはる
廃校に氷柱貧しく育ちけり
はぐれ杤餅
先にまで夜の詰まつてゐる氷柱
多々良海月
真っ直ぐ行って氷柱立派な家を右
弘友於泥
長いのが子供が育ててる氷柱
水蜜桃
金槌の柄に極細の氷柱かな
ほしの有紀
つらら咲く鳥は牙無き空の覇者
トマト使いめりるりら
スコップを裏にし母の氷柱打ち
赤尾てるぐ
五合目の風しか知らぬ氷柱かな
ムーンさだこ
父危篤寮の氷柱は雫せり
新濃 健
宅配便つららの真下いま通る
ひだ岩魚
吾の胸の千尋の底を氷柱鳴る
栗花落カナヲ
大氷柱たゆむ源泉掛け流し
伊予吟会 宵嵐
草つらら迷子の小鬼のゐる気配
足立智美
カーバイトランプ排障器の氷柱
定位置
硬き氷柱や炊き出しの声高く
小川しめじ
自販機の眩き駅舎氷柱肥ゆ
谷本均
じょんからの激し氷柱はほのあをく
えりべり
氷柱光る笑うだろうか今日母は
紫水晶
つららばふんあきらめるつてそんなおと
もりさわ
氷柱落つソプラノはひりひりとして
大地緑
星きよら氷柱のきよら風きよら
細葉海蘭
全館の灯油のにおい氷柱かな
ぉ村椅子(志村肇)
鉄橋の鋼の匂ふ氷柱かな
菫久
つらゝことのはいづれで刺してあげましよや
らん丸
Openのネオンの滲む氷柱折る
平野芍薬
折ったのは星の入ってない氷柱
川越羽流
ひとすぢの氷柱未納の封を切る
Q&A
パワハラの訓告受ける氷柱折る
立川茜
刃毀れの氷柱が機械科の窓に
岡根今日HEY
自らの骸を墓標として氷柱
気まぐれ亭いるか
大氷柱機械油の匂ふ窓
中田邦光
飛び散らん光子の檻として氷柱
四條たんし
筆箱にしまへるほどのつららかな
暖井むゆき
氷柱はればれ神々なべて酒が好き
RUSTY=HISOKA
封鎖陸橋錆虫油氷柱
居並小
病臥に聞く氷柱の伸びる音かすか
宗平圭司
波怒る能登金剛や崖氷柱
横山三水
渓流の流れ激しや草氷柱
玲風
サイドミラー氷柱バリバリ開きたり
卓司
ラの音となるまで氷柱透きとほる
三月兎
軒氷柱まだ解けぬまま工事の日
蝸牛
吊り橋のゆっくりと揺れ大氷柱
西村小市
旧駅舎月夜の氷柱地に届かん
大久保加州
養豚場の氷柱を落とす留学生
コーヒー博士
日曜の氷柱や光り合ふ家族
大和田美信
氷柱折る生家は明日から虚ろ
三水低オサム
老犬の足裏の傷や草氷柱
髙橋弓女
重力のかたちきよらに氷柱かな
吉田竹織
産声は未だ聞こえず氷柱伸ぶ
俳句ファイヤー立志
ラッタルの氷柱三陸沖荒れる
星埜黴円
うるみたる氷柱ひかりを産卵す
山崎千晶
日時計の学校晴れて大氷柱
山田蚯蚓
垂氷折る冬の三日月折るやうに
まきうち祐
千本の氷柱に映る千の月
木村隆夫
予定なき旗日つららのゆるるまで
くろけん
氷柱折る墾田永年私財法
幸田梓弓
茅の切り口軒氷柱数百
空乃さゆり
茅葺の茅の太さの氷柱かな
じゃすみん
氷柱ごつごつ子宮などあるからだ
空豆魚
土色の氷柱やマッドガード蹴る
もふ美
モーテルに氷柱やネオンは筆記体
川澄 爽葉
クオッカの口角氷柱の鋭角
坂本梨帆
風待ちの港船の氷柱太し
島田スパイス
残骸の氷柱きらきら通学路
夏湖乃
ひかりひかり氷柱と呼ぶに頼りなき
山本先生
氷柱割る営繕さんの頼もしき
キートスばんじょうし
氷柱にくちづけくちびるに火傷の甘さ
岬りこ
氷柱のしずく消毒かおる廊下
美月 舞桜
快晴を氷柱鉄鎖を反り攀づる
冬のおこじょ
青空のかきんと痛い氷柱かな
古賀
毛沢東像の脆き氷柱折る
宇野翔月
バンド練終えて氷柱の尖ってる
羽野あき
氷柱咲くバックヤードの予備水槽
ナノコタス
少年のしづかに尖り氷柱の夜
可笑式
氷柱伸ぶ風呂は別棟いとこんち
ゆすらご
氷柱小さしバンパーの傷深し
滝上 珠加
宿坊の氷柱は蒼く太りたり
石塚彩楓
早足に氷柱潜れば牛の鼻
海峯企鵝
猫轢かれてる氷柱溶けかけている
千代 之人
供花濡らすガードレールの氷柱かな
うみのすな
母訪ふ氷柱のしづく首に跳ね
る・こんと
アリバイの一部始終を知る氷柱
椋本望生
軒氷柱ひかりとけだすように濡れ
岬ぷるうと
氷柱並んだ子ども食堂増えた
みやま千樹
草氷柱光る鎌倉切通
君島笑夢
病犬うつら氷柱の太る夜
日永田陽光
軒氷柱払ひ隣家を遠ざくる
よこいちやこ
電飾に氷柱閉店五分前
苺井千恵
極太の今朝の氷柱や勝手口
中井無心
氷柱伸ぶ立入禁止措置の家
笑松
人間に倦めば氷柱のよく尖る
錆田水遊
日の色の歪む氷柱や棄教せり
仁和田永
何者にもなれず氷柱溶けかけてゐる
ノセミコ
風饐えて廃炉にぬるき氷柱垂る
霧賀内蔵
つららつらら校門前で回れ右
ももたもも
足跡の無くて氷柱の生家かな
葦屋蛙城
朝一番つららを落とす養豚舎
中岡秀次
インターホンのレンズ氷柱の影一寸
藤咲大地
氷柱さみしコタンの星は低くあり
つちや郷里
軒氷柱遺品に埋もれた詩一編
素因数分解
生きるのを疲れてしまふ氷柱折る
蝦夷野ごうがしゃ
太陽光パネルに氷柱育ちけり
水須ぽっぽ
教室をラとソの音の氷柱かな
清水縞午
まず氷柱落として子らを通す軒
玉家屋
水沢の岩の氷柱やうどん打つ
呆け鴉
小康や氷柱は朝日滴らせ
いかちゃん
氷柱これが月より抜いて来し牙か
堀口房水
旅先の太き氷柱の蒼きこと
くぅ
汚職事件のニュース氷柱が青白い
着流きるお
軒樋の継ぎ目継ぎ目の氷柱かな
井納蒼求
豚舎の朝四十並びし氷柱折る
黒田栗まんじゅう
砕かれし氷柱残されチャイムの音
小田毬藻
東京の子らへ取りやるつららかな
植木彩由
良き方の氷柱折り家裁を辞する
江口朔太郎
小さき絵馬小さき氷柱と並びをり
砂山恵子
一本の太き引力軒氷柱
麦のパパ
氷柱折るユンボ始動の五分前
おおきどくん
みちのくの夜汽車はつらら生やし来る
樋口滑瓢
合宿は四泊極太の氷柱
ヒロヒ
産褥の耳や氷柱を落とす音
遠山比々き
つらら垂る社宅の錆びし受水漕
巣組龍虎
透明になるまで太る良き氷柱
七瀬ゆきこ
ドアミラー閉じて氷柱の折られけり
クラウド坂の上
鈴の音のような垂氷のひかりかな
中村すじこ
おとうとは届かぬ氷柱吾の氷柱
亘航希
墓碑銘は要らぬ氷柱をぶっ刺して
沢 唯果
氷柱つらつらグロッケンの音の粒
いたまき芯
トンネルの氷柱作業者のゴーグル
青居 舞
氷柱垂る君を忘るる途中です
立ち漕ぎブランコじゅん
氷柱肥ゆ筋腫とおなじしづけさで
山田不律
氷柱して井伊直弼の墓何処
星田羽沖
氷柱もてウォッカの炎鎮めたり
堀邦翔
野球部は朝練氷柱落とすつて
平本魚水
ブルドーザさらばつららよ母の家
西浦 貴浩
艫綱を氷柱舟迄つゞきけり
満生あをね
氷柱きらきら産院の窓曇る
星月彩也華
各々に勝利の氷柱凱旋す
野地垂木
氷柱とるコーヒー用のコッヘルに
千和にの
峡谷や気泡の蒼き大氷柱
王朋亡
折れてゐる氷柱の家や夜の燈
絵十
崖氷柱垂れて猿の背湯気立てる
山田季聴
さりげなく離村を質す軒氷柱
蒼空蒼子
ひかりあう旅の朝と氷柱かな
さく砂月
氷柱太し産屋の牛の息熱し
山下水音
氷柱透きとほれ言を刃とするなかれ
いさな歌鈴
空っぽの鳥かご星を抱く氷柱
いずみ令香
軒のつらら上半分は空の色
くぼたみどらー
ナウマンも観しや白川氷柱群
佐藤烏有
東雲の氷柱きりりと吉田寮
藤白真語
難産の仔牛まぶしき柵氷柱
戸部紅屑
御神燈並ぶ氷柱は果てしなく
半ズボンおじいさん
分校長つらら落しは口伝の任
花屋英利
シェルターにたどり着きたる夜の氷柱
武田ラーラ
入口の氷柱体育教師折る
ふくびきけん
太りゆく氷柱星明りの痛み
小川さゆみ
五本目は溶けきつて死ぬ氷柱かな
たーとるQ
囚われてみたし氷柱の鳥籠に
橘鶫
短めの氷柱新宿三丁目
朶美子(えみこ)
りんりんと月を放ちて大氷柱
富佐野ほろよい
口濡らすひとつに氷柱でんでら野
このみ杏仁
クラーク像たわわに氷柱太らせり
安春
隧道のゆたかなる罅大つらら
みづちみわ
氷柱落つゴム長はぐしゅぐしゅ進む
名之芽のなめ
鳥つぎつぎに氷柱のしづく甘からん
幸田柝の音
通夜明けて仄かに青き氷柱かな
京野さち
キリストの手首も穿つ大氷柱
イシデ電
嘶きは野を恋ふ氷柱より雫
長谷川水素
氷柱落ちる図鑑の鳥が威嚇する
ふくろう悠々
星原よ氷柱は恐竜の背びれ
綱川羽音
夜行バス降りて氷柱の山荘へ
せり坊
氷柱折る心が五ミリ軽くなる
孔明
出撃の我よ氷柱よ青空よ
仁山かえる
氷柱伸ぶ昴のよはひ測るため
元野おぺら
ちやくちやくと氷柱の伸びる鬱の家
中 兎波
母になる人がさはりにゆく氷柱
奥田羊歩
喪の家の氷柱ぬらぬら溶け出せり
大岩摩利
へし折ってください氷柱強情で
アンサトウ
女将亡く氷柱は長く堅い窓
水間澱凡
びつしりと氷柱こころは棘のやう
渋谷晶
通勤や氷柱が今日に突き刺さる
中島 真珠
わが家は二束三文長つらら
笑姫天臼
つららおるぼくはかしこくなりました
丹波らる
大氷柱落ちるシベリアがとび散る
山姥和
百葉箱の氷柱引き返す足跡
仲 操
喪ごころの膨らむ夜や軒氷柱
星詩乃すぴか
氷柱折る嘘はキラキラ太りゆく
妹のりこ
空白のひと日氷柱と共に過ぐ
竹内ユキ
氷柱より夕べの星の溶け始む
夏椿咲く
肥え太る氷柱に騒ぐ家鳴かな
長谷機械児
さかしまの太陽氷柱のなか昇る
常磐はぜ
つららつらら不実な母に似てきれい
本村なつみ
昭和初年とうきやう驛の軒つらら
桜井教人
猿田彦祀る宮居の小氷柱
九郎四郎
安曇野はひかりの孵化器軒氷柱
秋津穂 実
不登校きれいなだけじゃない氷柱
花星壱和
弘法の御廟へ氷柱突き刺さる
中島走吟
係留のスワンボートの嘴氷柱
むったん
目覚ましは氷柱を叩き落とす音
板柿せっか
つららしたたりたましひのにごるかな
鷹取 碧村
炭鉱の風を氷柱の墓標かな
蜥蜴の尻尾
真芯は星のひかりの氷柱かな
桜鯛みわ
囚われて氷柱の国を出られない
島田雪灯
まぐあひの獣や氷柱太くなり
世良日守
草木の眠りたくはへ大氷柱
青木りんどう
福岡の氷柱短し寺古し
八幡風花
プリズムのやう追憶のやう氷柱
さとうナッツ
吹きさらしの回廊包囲せし氷柱
天陽ゆう
氷柱持つ手のひら手相変わりそう
八田昌代
あかつきの氷柱を垂れてゆく樹液
葉村直
眩しさや氷柱は濡れてゐる泉
眩む凡
早出なる司書は氷柱を薙ぐ係
深山むらさき
氷柱折るか悩みなんか無いくせに
海音寺ジョー
明日抜歯氷柱の先は少し丸
内田ゆの
ISS追えば氷柱の切っ尖へ
at花結い
永訣や澄みて尖りて氷柱美し
舟端玉
居留地にぼんやり氷柱見てをりぬ
宮下ぼしゅん
回覧板ためて氷柱のよく肥えて
さるぼぼ17
氷柱みな11°なり物理棟
くさ
つららつららコンビニにパン届かない
里山子
昇りゆく星の骸として氷柱
きつネつき俳句系Vtuber
転校やスコアボードの氷柱折る
富山湾
太陽を十グラム吸ひ氷柱落つ
深町宏
会話にも氷柱にもあり消失点
ぐりえぶらん
四年目の脱稿北窓の氷柱
成瀬源三
開戦や軒氷柱しくしく育つ
ぞんぬ
トンネルの水漏れ氷柱でか過ぎる
紫小寿々
星を乞ふ傲慢が欲し氷柱太る
横縞
氷柱折り水疱瘡の子に与ふ
岡田雅喜
ヘリの音止まず有刺鉄線に氷柱
伊予素数
曲家の氷柱とぎれし厩口
とんぼ
氷柱くぐり長蛇の稚内税務署
坐花酔月
海鳴りを吸ひ込む桟橋の氷柱
明惟久里
明朝体のつららポップ体のつらら
ぐでたまご
夜の音あつめて氷柱伸びにけり
たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
絶縁の父の訃報や軒氷柱
晴田そわか
正直な氷柱へそ曲がりな氷柱
宮坂暢介
上質な朝の孤独のごと氷柱
門田なぎさ
恍惚と捻じ曲がりたる氷柱かな
アロイジオ
しりしりと鳴き交はしては夜の氷柱
綾竹あんどれ
影長き氷柱の美しき歪
干しのいも子
焔に火のこゑ氷柱にみづのこゑ
沖庭乃剛也
タケシんちの氷柱くじらのヒゲみてえ
かねつき走流
氷柱透くラフマニノフの褪せぬ影
reion
しゆんしゆんと真闇吸ひたる氷柱かな
くま鶉
氷柱舐めるやごろつきのナイフのやうに
蜘蛛野澄香
条件に足す「無宗教」氷柱伸ぶ
ひなた和佳
故郷の朝日の氷柱鳴るごとし
与志魚
惑星はなべて凸凹氷柱伸ぶ
細川鮪目
野の果を灯すらむぷや草氷柱
刈田陽子
老女史の朱入れ氷柱の先丸し
森脩平
しろがねの夜を吹きこめて大氷柱
沖原イヲ
氷柱ぶっこわす志望校落ちた
老人日記
氷柱伸ぶ星の軌跡を撮る仕事
浦野紗知
氷柱二寸檻の獣の眼の赫し
日月見 大
宿場町さみしき氷柱寄せ合へり
靫草子
警光灯氷柱を赤く人群れて
中嶋奈緒子
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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